兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪ふわふわ、蕩けるホワイトデー ♯2

ホワイトデー小説の続きです。

当日はすでに過ぎましたが、いつもの事なので気にしないで下さい



♪ふわふわ、蕩けるホワイトデー ♯2


「…りん…夕鈴?」

「……はっ、はいっ!?」

ぼんやりしていた夕鈴は黎翔の声にハッとして、慌てて視線を彼に向ける。
テーブルの向こうで、黎翔は心配げにこちらを見詰めていた。

「どうしたの?ぼんやりして…。料理、美味しくなかった?」

不安げに首を傾げている黎翔を見て、夕鈴は慌てて首を振る。

「そんな事ないです!…お料理、すごく美味しかったですよ!」

滅多に会えない多忙な恋人とのせっかくのデートなのに、自分の態度が彼を不安にさせたなんて。
こんな事じゃいけないと、夕鈴はブンブンと頭を振る。

「…大丈夫ならいいんだけど。食後のケーキも来てるよ?…ホワイトデー限定のメニューだって。」

にこにこしながら言う黎翔の視線を追ってテーブルを見ると、そこにはいつの間にか、ケーキセットが置かれていて、夕鈴は自分はどれだけぼうっとしていたのだろうと思った。


3月14日

自宅近くのいつもの公園まで夕鈴を迎えに来てくれた黎翔の車で二人が向かったのは、クリスマスデートで使用したホテルだった。

そして出迎えてくれたオーナーに案内されたのは、あの日の夜と同じレストランの、同じ席。
季節は冬から春へ移り変わったが、ここから見える景色は変わらないと夕鈴は思う。

まるで大きな宝石箱のような、眼下に広がる光のパノラマ。
大きなガラス窓にへばりつくように、感嘆の息をつき、景色を見詰める夕鈴の背を、黎翔は優しい眼差しで見つめていた。

コースメニューに舌鼓を打ちながら談笑して、穏やかで優しい恋人の時間が過ぎていく。
だが、もうすぐデザートという頃になって、急に夕鈴がぼんやりとするようになったのだ。
何か思い悩んでいるのか、心ここに在らずと言った感じだ。

不安になって掛けた声に答える夕鈴は、いつもの彼女だった。

「わあ…!このケーキ、すごく美味しいですっ!!」

ケーキを一口口に入れた夕鈴は、目を輝かせて黎翔を見た。
黎翔も食べてみて、「本当だね」と笑う。

パティシエが今日この日のためだけに作り上げたケーキは、非の打ち所がないほど完璧だった。
柔らかなスポンジ、チョコとホワイトチョコのソースは甘いのに飽きが来ず、何個でも食べる事が出来そうだ。

夕鈴は口一杯に頬張って、「ん~~~♥」と幸せそうに目を細めた。
数日前に親友達と行ったカフェのケーキも美味しかったが、やはりこのケーキには敵わない。

「…口の中でふわっと溶けちゃいますね!」

蕩けるような口溶けって、本当にあるんだなあとご満悦な夕鈴を、黎翔の紅い瞳が情欲を湛え見詰めていた事に、この時夕鈴は気付かなかった。


「――はい、夕鈴。」

ディナーが終わり案内されたスイートルームで、夕鈴は黎翔が次々と渡してくる贈り物達に呆然としていた。

このホテルに着いた時、黎翔はホテルマンに荷物を預けていたらしく、それは先に部屋に届けられていたようだ。

「れ…黎翔さん、これって…」

見た事ある高級ブランドの紙袋、世界的にも有名な宝石店のロゴが入った箱。
バッグに服に、時計や指輪などの装飾品。

「ん?…バレンタインデーのお返しだよ?」

今日はホワイトデーでしょ?と微笑む黎翔を見ながら、夕鈴は一体総額いくらになるのだろうと、ぐらりと倒れそうになる。

「……気に入らなかった…?」

黎翔の突拍子もない贈り物に頭痛がして、額に手を当てて溜息を吐いた夕鈴に、彼の弱々しい声で問い掛けてくる。

ハッとして彼を見ると、黎翔はまるで怒られた子供のように、途方に暮れた顔をしていた。
あるはずもない幻の耳が、ペシャンと伏せられているのが見える。
『怒っちゃったの?』と泣きそうな瞳が問い掛けてくる。

黎翔にしてみれば、夕鈴に喜んでもらいたくて、この大量の贈り物を用意したのだろう。
元々金銭感覚が違う二人だ。
夕鈴があり得ないと思う事も、黎翔は平気でしたりする。

夕鈴はフウッと息を吐き、黎翔に向かって微笑んだ。

「…怒ってませんよ? とても嬉しいです。」

夕鈴は紙袋からワンピースを取り出し、自分にあててみる。
これからの季節に合わせた優しい色合いのワンピースは、彼女にとても合っていた。
きっとサイズもピッタリなのだろうと、夕鈴は少し頬を染める。

「でも、一度に沢山の贈り物はダメですからね!?」

ぱあっと破顔した彼に、次同じ事をしたら受け取りませんよと、念を押すのも忘れない。

うんうん、と頷く彼の伏せられていた耳がピコピコ動いているように見える。

結局自分も、黎翔の嬉しいそうな表情には弱い。

仕方ないな、と、夕鈴は笑った。


続く


ちょっと短めになりました…





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Comment

No title 

豪快な・・・・

さすが、うん倍返しですね。
黎翔さんだから許されるのよね~。^^

うん。実際されると・・・・嬉しいけど、引くよね、きっと。

続き!
期待して待ってます!♪
  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.03/16 00:24分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

ぷーちゃん様

こんばんは。コメントありがとうございます!

ちょっと更新止まっていますm(__)m
すみません…。

黎翔さんのお返し攻撃。三倍の域を超えている!?
夕鈴は一体どうなるのでしょう(*_*;

なるべく早く、完結させたいと思います☆
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.03/23 21:22分 
  • [Edit]
  • [Res]

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