兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、大人げない嫉妬

ホワイトデー小説完結してないのに、別のお話ですみません…

どうしても大人表現有りのお話の進みは遅いです

このお話は『意地悪上司と、可愛い部下』の二人です。

前回思った以上に好評だったので、調子に乗って書いてしまいました
カテゴリを別に作ろうかなと、考え中

サクッと軽く読んでくれる方だけどうぞ。


意地悪上司の、大人げない嫉妬


金曜日の居酒屋は、とても賑やかだ。
有名チェーン居酒屋の二階にある広間は、スーツ姿の男女で埋まっていた。

白陽コーポレーション『第一営業課』の面々は、大きな商談を成功させたお祝いに業務終了後、飲みに繰り出した。

始めのうちは仲の良い者同士隣り合って座り、お互いの苦労を笑い話として談笑していたが、時間が進み酒が回ると、元々仲の良い事もあり、また課を取り仕切る課長も口煩く言ったりしないので、上司も部下も関係なくほぼ無礼講状態だ。

「か・ちょ・う?…飲んでますか~!?」

すでに出来上がっている女性社員に声を掛けられ、第一営業課課長・珀黎翔はグラスを片手に苦笑いしながら「ああ」と返事をする。

「今回の商談が無事纏まったのも、課長の手腕のお蔭ですよ。」

別の男性社員が「さ、どんどんいっちゃって下さい。」と、グラスに並々とビールを注いでくる。

黎翔は別に今回の成功が、自分の力によるものだとは思っていない。
各個人がそれぞれの力を発揮して、この商談を成功に導いた。
第一営業課は、個人個人の能力も高い。

「…会計の事は気にしなくて良いから、どんどん好きな物頼めよ?」

自分の下で良く動いてくれた部下達を労わるように言うと、彼等は目を輝かせて声を上げる。

「さっすが、課長!」
「太っ腹~!!」

厳しくても決して理不尽な事で怒ったりしない。
部下の動きを把握し、労わる時はきちんと労わってくれる。
まだ23という若さだが、彼は部下からの信頼も人望も厚い。

黎翔の周りには沢山の社員が集まり、とても賑やかだ。


広間の一角、机の上に乗るのは、ビールではなくウーロン茶とソフトドリンク。
まだ未成年で酒を飲めない数人の社員も、料理に舌鼓を打ちながら会話を弾ませる。

けれど、その中の一人・汀夕鈴は何だか浮かない顔だ。
チラチラと視線を彷徨わせ、時々眉間に皺を寄せている。

「……気になるんなら、行ってきたら?」

そんな様子の彼女に、同期入社の親友・明玉が呆れたように声を掛ける。

「べ、別に、気になっているわけじゃないわ…!」

反論しながら課長から顔を逸らすも、彼女の視線はまた彼に向けられる。

「素直じゃないんだから…。お疲れ様でしたって、声掛けてくればいいだけじゃない。」

何をそんなに悩んでいるのかと、明玉は思う。
すると夕鈴は、少し悲しそうに視線を伏せてポツリと呟いた。

「私なんかが声を掛けたら、課長が不機嫌になるだけよ…。」

まるでいじけたように、さっきから枝豆だけをつまんで食べている。

「あ~~。」

明玉は心底困って、唸った。

今回の商談の最中、目の前にいる親友はミスをしてしまった。
商談先の会社から掛かってきた電話を受けた彼女は、その内容の連絡を上司である課長にするのを忘れていたのだ。偶然席が隣でその電話内容を覚えていた同僚のお蔭で、最悪な事態は免れたのだが、夕鈴はきつい叱責を受けてしまった。

いつも細かい事で自分を怒る課長に文句を言っているが、今回は明らかに自分に非があったので、彼女は言い訳もせずそれを受け止めた。

夕鈴は仕事が出来ないわけではない。
だが元々おっちょこちょいな所があるため、変な所で空回りしたり、良かれとした事が裏目に出てしまったり。
根が真面目なので、叱責を受けるとそれを引き摺ってしまう。

損な性格だと、明玉は思いながら溜息を吐いた。

「…よ、汀、飲んでるか!?」

せっせと枝豆を食べていると、急に声を掛けられた。
視線を上げると、先輩の社員数人がビール瓶とグラスを持って近くに座る。

「先輩、私達未成年ですから、飲めませんって。」

かなり酔っている先輩社員達に、明玉が笑いながら声を掛ける。
グラスに残っているウーロン茶を勝手に飲んでビールを並々注いだ男性社員は、「あ、そっか。」と笑って自分でそれを飲み干した。

「あんた達は痩せすぎだから、これでも食べな!」

こちらも相当酔っているらしい女性社員が、カロリー高そうな料理を皿に盛って渡してくる。

「先輩方、飲みすぎたら明日に響きますよ?」

仕事を無事達成出来た喜びに浸っている彼らに、無粋な事は言いたくなくて軽く注意するだけに留める。

「かーちゃんみたいな事、言わないでくれよ~。」
「あんたは私のママか!?」

楽しげに笑う彼らに、夕鈴は何だか心が軽くなってきた。

あのミスの時、課長に叱責を受け彼が去った後、夕鈴は色々な感情がグッチャグチャになって、耐え切れずに泣いてしまった。

そんな自分を、この先輩達は宥め、励まし、「大丈夫、一緒に頑張ろう。」と力付けてくれた。
年齢はそれぞれだが、とても頼りになる先輩社員達。

夕鈴が微笑みながら話していた時、彼らに黒い影が落ちた。


無礼講になった広間は、それぞれが席を立ち、すでに元の位置にいる者は数人くらいだ。
部下達と飲みながら常に視界に入れていた、彼女の姿。
親友である明玉という女性社員他数人で席に着く彼女の傍に、酔いが回った男共(+女豹)が近付いていく。

先輩後輩とは言え、共に同じ部署内で働く同僚だ。
ただ話をするだけなら、許せない事もない。

けれど彼女の笑顔を見た瞬間、黎翔は吸っていた煙草を灰皿に押し付け、グラスに残っていたビールを一気に煽ると席を立った。

かなり飲んだはずなのに全く危なげない足取りで歩いていく課長の後姿を見ながら、その場にいた女性社員は「キャー♥」と黄色い声を上げ、男性社員は苦笑い。

「…気になるなら、傍にいてあげれば良いのに。」
「課長も素直じゃないよね?」
「汀は鈍いから、あんな態度じゃ分からないよな。」

課長の気持ちを知る面々が自分が離れた後そんな会話をしていた事を、黎翔は知らない――。


―――彼女に近付く男を見ると、イライラする。

―――仲良さげに話しているのを見ると、その相手が憎らしくなってくる。

―――私にはそんな顔、見せないのに。


「…楽しそうだな。私も混ぜてくれないか?」

部下の肩を叩きながら隣に腰を下ろすと、「か、課長!?」と男性社員は焦った顔をする。
「あら~♥?」何だかニヤニヤしている女性社員(女豹)は、この際無視だ。

先程まで楽しげに笑っていた彼女が、自分が来た瞬間ピシリと硬い表情になったのを見て、黎翔は苦い気持ちになる。

好きだからこそ、大事にしたい。
好きだからこそ、苛めたくなる。

彼は、困った事に後者だ。

けれどその事実に、夕鈴は全く気付いていない。
どんなに想っていても、相手に伝わらないのでは意味がない。


彼女が自分に笑顔を見せてくれない理由。

それを知らない黎翔は、今日も部下相手に大人げない嫉妬をする。

―――その理由が自分の態度にあると、気付かないまま。


END


何かめちゃくちゃキーが進みました…





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  • posted by  
  •  
  • 2013.04/11 09:02分 
  • [Edit]
  • [Res]

No title 

ニマニマ・・

いや~、23歳にして嫉妬ダダ漏れヘタr黎翔・・・・、

さっさと自分のものにしちゃえ!

と、お説教?したくなるのはしょうがないかも?

きっと周りの社員も同じでは?

大変楽しく読ませていただきました~♥

満腹、満腹♪
  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.04/11 14:17分 
  • [Edit]
  • [Res]

No title 

現代パラレル最高です!!
続きものにならないんですか(´・ω・`)??
  • posted by 陽向 
  • URL 
  • 2013.04/11 22:30分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

らっこ様

コメントありがとうございます!

何だかこのお話、ものすごく書きやすかったです!(^^)!
黎翔さんの子供じみた愛情表現が書きやすいのかな?
鈍感夕鈴には彼の気持ちは全く伝わっていませんが(汗)
周りの人達があり得ないほど良い人達ばかりなので、二人の仲の進展をサポートしてくれるかも。

らっこ様の思っている通り、夕鈴は課長に嫌われていると誤解しております。
嫌いだから、少しの事で怒ったりするんだと。
黎翔さんの子供のような愛情表現は、逆効果なのでしたm(__)m

周りに嫉妬する前に、自分の態度を改めなくてはね、黎翔さん。
大人のくせに、困った課長さんです★

ホワイトデー小説、お待たせしててすみません。
完結目指して、頑張りますね!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.04/15 19:51分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

ぷーちゃん様

コメントありがとうございます!

慧ネンが書く黎翔さんは、どのお話でもヘタr(自主規制)ですね。
特に夕鈴に対しては、全くのダメダメ。
仕事に関しては素晴らしい手腕を発揮するのに、好きな子に対しては全くもってどうしようもないです。

他の社員さんは黎翔の気持ちも夕鈴の気持ちも分かっているので、早くくっつけば良いのにと思っています。
なんて暖かい皆さんでしょう!

黎翔さんはまず彼女に対する態度を改めなければ、前に進めませんね(汗)
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.04/15 19:56分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

陽向様

コメントありがとうございます!

この二人は続き物になりそうです(笑)
脳内にはいくつかお話浮かんできているので、慧ネンの指が打ち出すまでお待ち下さい★
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.04/15 19:58分 
  • [Edit]
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