兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪恋蛍―こいほたる―

5月6日に入国した、『白陽国SNS地区』にて、記念すべき初のキリ番を踏まれました、さくらぱん様に捧げたSSです。

タイトルが思い浮かばず、さくらぱん様に泣き付いたところ、素敵なタイトルを付けて下さいました

ブログ掲載許可も頂きましたので、こちらにもアップします

Creuzシリーズの甘々な二人をどうぞ




――蛍の光りは、求愛の光り。


♪恋蛍―こいほたる―


背中に感じるのは、愛しい女性(ひと)の温かい熱――。

時間は夜の八時を回っていた。

夜遅くに高校生の彼女を連れ回すのはどうかと思ったが、こうして会える時間は少なく、その僅かな逢瀬の時間を無駄にしたくはない。

待ち合わせの場所に時間より早くやって来た夕鈴は、ビックリしたように目を見開く。黎翔は普段のように車ではなく、大きなバイクに凭れ掛かるように立っていた。

「…バイクですか?」
「うん。ちょっと寒いかもしれないから、これ着て。」

黎翔は持参してきた皮のジャンパーを夕鈴に着せた。

「私、バイク乗るの初めてなんですけど…。」

ちょっと恐々と言う夕鈴を見て、黎翔はクスッと笑う。

「僕にきちんと捕まってて。…そんなにスピードも出さないから大丈夫。」

まだ躊躇っている彼女に、バイクに跨った黎翔は『乗って』と促した。

色気も何もないけど、ズボンを穿いてきて良かったと夕鈴は思う。

(スカートなんかでこんなバイクに乗ったら、足が寒いもの)

黎翔の後ろに跨ると、ヘルメットを手渡された。

「…しっかり捕まっててね。」

夕鈴がヘルメットを被ったのを確認し、黎翔はエンジンをかけ走り出した。

夜の街を、軽やかに走り抜ける。

初めはキャーキャー言っていた夕鈴も大分慣れたのか、黎翔の腰に腕を回し、背中にピッタリと身を寄せてくる。

少し肌寒い風が吹く今夜は、背中に感じる彼女の熱がとても心地良かった。

「黎翔さん…!」

街を抜け少し山道に入ってから、夕鈴は黎翔に声を掛ける。

「ん~!?」

前を見たまま、黎翔が返事を返してくれた。

「…たまにはこういうのも、良いですね!」

夕鈴は黎翔の背中に思いっ切り抱き着く。

普段は人の目があるため、彼に甘えたり、人前で抱き着いたりする事はない。
彼の職業を考えたら、それは仕方が無い事だと夕鈴も理解している。
けれどたまにはこうやって、普通の恋人同士のように外で甘えてみたい。

ギュッと身体を寄せると、何だかバイクが少しぐらついたように感じた。

背中に感じる熱は温かくて気持ち良いけど、ムギュっと押し付けられる柔らかいものも感じて、黎翔は真っ赤になる。

(…これじゃ拷問だよ、夕鈴。)

周囲が真っ暗で、ヘルメットもあって良かったと彼は思った。

着いた先は、展望台がある公園だった。
山の中腹にある為か、周囲に人がいる気配はない。
街灯もないが、月明かりが足元を照らしてくれた。

「わあ~!」

バイクを降りて背伸びをした夕鈴は、さっそく展望台に行き、そこから見える景色に歓声を上げた。

自分達が住む街の灯りが、キラキラと輝いている。

「夕鈴、そっちも綺麗かもしれないけど…ほら。」

今夜のメインはそっちじゃないんだ、と黎翔は声を掛ける。

「え…?あ…!」

後ろにいる黎翔を振り返った夕鈴の鼻先を、仄かな光が横切った。

「ホタル…?」
「…うん。」

よくよく見れば、一匹だけではなく周囲に沢山の光が。

「この辺はまだ土地開発されてなくて、自然がそのまま残っているから。貴重な場所なんだって。」

確かにこの都会で、これだけの蛍がいる場所はもう残っていないだろう。
星が瞬く夜空に、優しい光りを灯し、舞うように飛ぶ蛍。
それはとても、幻想的で…。

「綺麗…」

そう呟いた夕鈴の身体を、黎翔は思わず抱き締めた。

蛍もそっちのけで、宙を見上げ魅入っている夕鈴の横顔を見ていた黎翔。
少女から大人の女性へと成長していく彼女はますます綺麗になり、会うたびにハッとさせられる。

「綺麗だ…。」
「え?…はい。綺麗ですよね?ホタル…」

いきなり抱き締められて夕鈴は驚いた。
彼の口から紡がれる賛美の言葉は、当然蛍の事だと思ったのだが…。

「違う、…君が。」
「――え?」
「とても綺麗だ、夕鈴…。」

黎翔はいつも自分に甘いが、今夜は輪をかけて甘過ぎると思う。
うっとりとした瞳で見詰められ、夕鈴は顔を真っ赤にさせる。

「あ、ありがとうございます…。」

冗談や世辞だと思っていた彼の言葉も、付き合い始めて一年を過ぎた今、全て本心で言っているという事を知っているから。
夕鈴は素直に、感謝の言葉を述べる。

「夕鈴といると、夜空の星も蛍の光も、僕には霞んで見えるよ。」
「……もうっ!褒め過ぎですっ!!」

でもやっぱり、彼の賛美は恥ずかし過ぎる…!

夕鈴は頬を赤くしたまま黎翔を睨むが、彼は優しい瞳でこちらを見詰めてくる。
全てを包み込むような、柔らかい微笑み、とても優しい眼差し。

(黎翔さんの方が綺麗…)

見惚れていると彼の顔が近付いてきて、チュッと唇に口付けられた。

「…そんな目で見ないで?」

彼の胸に顔を押し付けられ、力強い抱擁を受ける。

「ここが外だという事、忘れてしまいそうになる。」

心底困ったような声が頭上から聞こえる。

――熱に浮かされた、欲の籠った彼の声。

「ゆうりん…」

そんな声で呼ばないで。
それだけで身体の奥が、熱くなっちゃうから…。

「…帰ろうか?」
「はい…。」

肩を抱き合ったまま、二人は公園を後にした。

二人の秘密の逢瀬は、煌めく星と蛍以外は、誰も知らない――。


END


リクエスト内容【Creuzの黎×夕。バイクで夜のツーリング。背中に夕鈴を感じながら夜の街を駆け抜ける黎翔さん。 着いたところは、静かな公園。そこには、蛍が…】

素敵なリクエスト、ありがとうございました!
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お知らせ♪ 

慧ネンさん
今晩は
さくらぱんです。

何度読んでも、良い作品ですね。
外部倉庫『花の四苛』で『恋蛍ーこいほたるー』5拍手いただいています。
ウチでも、人気の記事となっています。
転載の許可ありがとうございます。


昨日は、お知らせありがとうございます。良かったですね。
UPの確認及び、お知らせの拍手コメントもありがとうございます。
返事が遅くなりました。返信コメントが追いつきません。。。
ここ数日、いきなり多くて、嬉しい悲鳴です。
ここ数ヶ月たまごだったのが、嘘のようです。

メッセのお返事をサイトの超初心者向け最新号に御返ししました。
透明文字の裏技つきです。
ご活用ください。
  • posted by さくらぱん 
  • URL 
  • 2013.05/15 01:44分 
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ああっっヤラレタ☆ 

慧ネンさん
度々スミマセン
さくらぱんです。

コメント欄にだまされました。
透明文字こちらです。
空白部分をドラックして下さい。
文字が現われます。
こちらの裏技が、お返事に書いてあります。
  • posted by さくらぱん 
  • URL 
  • 2013.05/15 01:48分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: ああっっヤラレタ☆ 

さくらぱん様

コメントありがとうございました!
慧ネンも、コメントのお返事残してきました~。
裏技を使う事が出来るようになるのは、もう少し先かな?
まずは頑張ってリンク作ります!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.05/15 02:40分 
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  •  
  • 2013.05/16 01:48分 
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  •  
  • 2013.05/16 23:55分 
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  •  
  • 2013.05/18 04:46分 
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Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

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