兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

意地悪上司のお知り合い? -二課の男- 前編

久し振りの、新しいお話です。

最近スランプで、「書きたい話やネタはあるのに書けない」と某所で愚痴った所、メッセージやコメントで暖かいお言葉を頂きました。

皆様の言うように、『焦らずゆっくり、書きたい時に書く』ようにしようと思います。
なので、しばらく更新が無いと思ったら、いきなり続けて更新があったりするかもしれません。

気まぐれ慧ネンですが、良かったらお付き合い下さいませ。

今回のお話は、『可愛い部下は、意地悪上司の夢を見るか』の続きになります。
ついにあの人が、登場します。



意地悪上司のお知り合い? -二課の男- 前編


夕鈴はドキドキしながら、提出した企画書に目を落としている上司を見詰めていた。
パラパラとページを捲っていた手が止まり、フウッと彼が吐いた溜息にびくりと身体を震わせたのだが。

「――まあ、良いだろう。」

返ってきた言葉に呆気にとられて、思わず目を見開いてしまった。

「もう少しつめて欲しい箇所もあるが、これでも十分通るだろう。明日の会議に参加してもらうから、そのつもりでいろよ。」

差し出された企画書を、反射的に受け取る。
もうすでに別の書類を見ている課長を呆然と見ていると、彼は顔を上げ怪訝な表情で夕鈴を見上げてくる。

「…何だ?まだ何かあるのか?」
「い、いえっ!…何でもありません!!」

ハッとして夕鈴はぺこりと頭を上げ、「失礼します」とその場を慌てて離れた。

企画書を胸に抱え自分の席に戻りながら、夕鈴は首を傾げる。

今までのように、この企画案もバッサリと切られると思っていた。
また怒られて、皆の前で怒鳴られると思いビクビクしていたのに…。

――あの日から、上司の態度が妙に優しい。

飲み会があった翌週の水曜日。
出張帰りだった課長は、夕鈴が出勤した時すでにデスクに座り仕事をしていた。
飲み会の時の暴言を責められる覚悟で、酔った自分を送ってくれた事に感謝と謝罪の言葉を伝えに言ったが、彼は特に何も言わなかった。

ただ一言、何だかバツの悪そうな声で、「もう体調は良くなったのか?」と聞いてきた。
「はい」と答えると、「そうか」と言ったきり何も言わなかった。
急に変わった彼の態度に、夕鈴は戸惑っていた。


「――汀。」

もうすぐ昼休憩の時間になる頃、夕鈴は先輩社員に声を掛けられた。

「飯前に悪い。これを二課の課長に届けてくれないか?」

渡されたのは、書類が入った分厚い封書。

「営業二課の課長に渡したらいいんですね?…他に言伝はありますか?」
「いや、話は通してあるから渡すだけで良い。」
「分かりました。」
「悪いな」
「いいえ。」

これも新人の仕事だと、夕鈴は首を振り一課を出た。
封書を胸に抱え、広いビルの廊下を歩く。

「――あ、しまった…。」

大会社の白陽コーポレーションは、沢山の課や部署に分かれている。
二課と言うのは、もちろん『第二営業課』の事だ。
それは知っているし、二課の場所も分かるが…。

「課長のお名前、聞くの忘れちゃった…」

一瞬戻ろうかと思ったが、二課に行って聞けばいいと思い直し、夕鈴は進んでいった。

二課の入り口から中を覗くと、課内には誰もいなかった。
当然だ、もう昼休憩の時間になっている。
皆、食堂か外に食べに出ているのだろう。

持ってきた書類をどうしようかと夕鈴は考える。

(デスクに置いていくわけにはいかないわよね…?)

『渡してほしい』と頼まれたのだ。もし、とても重要な書類なら何かあったら大変な事になる。
二課には知り合いもいなくて、どうしようかと途方に暮れていると。

「…ど~したの?誰かに用?」

後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには男が立っていた。
赤茶色の髪をした童顔な彼は、夕鈴を見てニパッと笑う。
初めて見る人だったが、その人懐っこい笑みを見てホッと息を吐いた。

「あの、私一課の汀と言います。こちらの課長さん宛の書類を預かってきたのですが…。」
「あ~、ごめんね。皆出払ってて…。」

申し訳なさそうに話す男性に、夕鈴は首を振る。
休憩時間なのだし、課内にいないのは仕方のない事だ。

「申し訳ないんですが、この書類を課長さんに渡していただけないでしょうか?」

本人に直接渡したかったが、いないのなら仕方が無い。
この男性も二課の社員だろうし、彼に頼むしかないだろう。

クスリと笑って「良いよ~」と書類を受け取る男性の、歳はいくつだろうと夕鈴は思う。
高卒入社なら同い年になるが、彼は夕鈴の同期ではない。

(一つか二つ、先輩かな?)

ニコニコしている彼は、面倒見の良いお兄ちゃんと言った感じで、彼のような人が上司なら楽しく仕事が出来るだろうなと思う。

自分に対しては辛辣で、滅多に笑わない上司を思い出し、夕鈴は少しだけショックを受けて目を伏せた。

「ねえねえ、君さ。…今時間ある?」

床を見ていた夕鈴は、何だか楽しげな声でそう聞かれて思わず顔を上げた。

「え…?」

軽い言葉は、何だかナンパされているようだ。

「…あ、無理なら良いんだけど。噂の一課の女子社員に会ったら、ちょっと話したかったんだ!」
「噂…ですか?」

自分が社内で噂になっているなんて知らない。
そんな話、聞いた事もない。

「…好きなくせに素直になれない誰かさんが、優しく出来なくてつい苛めてしまう秘蔵の可愛い部下って君だろ?」
「…はあ!?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
この男性(ひと)は、一体誰の事を言ってるんだろう。

――好き?
誰が、誰を?

秘蔵の可愛い部下って…一体、『誰』の事?



続く


前後編で終わると信じてます…。



関連記事
スポンサーサイト

Comment

いやん! 

二課の課長さんて誰ですか~♪
堪らないですね。
浩大の年齢を知った時の汀さんの反応とか、浩大に構われている汀さんを見た時の珀課長の反応とか!

もうウキウキで待てしてます。
楽しみ過ぎて正座が浮いております!

無理せず、書いて下さい。
ファンはこうしてウキウキ♪と待てますよ?
  • posted by 羽梨 
  • URL 
  • 2013.06/04 00:31分 
  • [Edit]
  • [Res]

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2013.06/04 00:34分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: いやん! 

羽梨 様

コメントありがとうございます!
二課の課長は、ご想像通りのあの人です♪

座布団の上に正座して下さいね。いえ、正座なんかせず、ゆっくり寛いでいて下さい。

更新なくても遅くても、文句も言わず待ってて下さる皆様のお陰で、へこたれずに頑張れます。
無理せずゆっくり、自分なりにやっていこうと思います(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/04 01:04分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

ますたぬ 様

コメントありがとうございます!

ようやく始動しました。
羊羹もお茶も、たっぷりとご用意してお待ち下さい(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/04 01:06分 
  • [Edit]
  • [Res]

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2013.06/04 01:13分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

からあげ 様

こちらこそ初めまして!
コメントありがとうございます!!

このシリーズが好きだと言って下さって、とても嬉しいです(^^♪
更新も少ないブログですが、気長にお付き合い頂ければと思います。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/04 01:26分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

お久しぶりです~(^ω^)

お仕事お忙しいのでしょうか?
お元気でなによりです^^
あちらでもなかなかお会い出来なくて心配しておりました。

ということで、更新の上司と部下。
少しは優しく出来るようになったんですね^^
でも、ここで例(?)の男性出現??うふ
どうなるのか楽しみです~。
でも、あまり無理せずにね(´∀`)

  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.06/04 07:44分 
  • [Edit]
  • [Res]

お久しぶりです♪ 


きゃぁーーなになに♪

大ちゃん
出てきちゃってぇ〜
先が気になりますよぉー

夕鈴ちゃん
なにを聞かれるのでしょ?

続き
楽しみに待ってまぁ〜す


でわ



  • posted by 鈴⭐ 
  • URL 
  • 2013.06/04 11:16分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: NoTitle 

ぷーちゃん様

お久し振りです~。
更新は少ないですが、ちゃんと元気ですよ?
ちょっとだけスランプですが…<m(__)m>
あちらでは(ゲームの方は)絶賛稼働しております。

意地悪上司、ほんの少~しだけ優しくなりました…?
でも新たな人物も登場して、これからどうなる事やら、です。
続きは無理せず、でも出来るだけ早めにアップするように頑張ります!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/05 00:10分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: お久しぶりです♪ 

鈴様

やっと始動しました…。
新たに大ちゃんも出て来て、これからどういう展開にしようかと画策しております。
夕鈴は質問攻めになっちゃうのかな~??
続き頑張ってアップします(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/05 00:13分 
  • [Edit]
  • [Res]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

プロフィール

高月慧ネン

Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

キリの良い数字を踏まれた方は、ご連絡下さい♪

ご訪問中のお客様

現在の閲覧者数:

にほんブログ村ブログパーツ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。