兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司のお知り合い? -二課の男- 後編

後編です。
連続アップ、すみません…。

書ける時に書いておかないとね



意地悪上司のお知り合い? -二課の男- 後編


夕鈴の目に浮かんできた涙を見て、浩大は慌てて彼女に声を掛ける。

「ちょ、…泣かないでよ!」
「えへへ…ごめんなさい…。」

彼女としても泣いてしまったのは不本意だったのだろう。
慌てて涙を拭っているのを見ながら、浩大は周囲に意識を向け警戒する。

こんな所を見られたら、自分の命が危ない。
(マジでやばいって……!!)

嫉妬深く気が短い男の姿を思い浮かべ、浩大は冷や汗をかきながら夕鈴が落ち着くのを待った。

「落ち着いた?」
「…はい、すみません。」

ようやく泣き止んでくれて、浩大はホッと息を吐いた。
まだ真っ赤な目をしてる夕鈴を見て、彼は少し考え込んだ後、口を開く。

「あのな、夕鈴ちゃん。別に一課課長は君を嫌っているわけではないと思うよ?」

彼の言葉に、夕鈴は弾かれたように顔を上げる。

「でも…!私いつも怒られて、ダメ出しされて!皆にはすごく優しいのに、私にだけ厳しいんですっ!私には、笑顔すら見せてくれない……。」

箍が外れたように一気に叫んだ後、彼女は語尾を小さくし、しょぼんと俯いてしまった。

いつも思っている事が、一気に溢れだしたのだろう。
これがこの子の本心か…、と浩大は思う。

(誤解は早めに説いた方が良いが、これは根が深そうだなあ~。)

誰かさんの態度が、彼女に誤解を与えてしまっている。
――しかも、思いっ切り悪い方に。

「…あの人好き嫌いがはっきりしてるから、見てたら分かるよ?本当に嫌っている人とは、話すらしないし。」
「そう、なんですか…?」
「うん。…まあ、仕事上必要最小限の会話はするけど。これまた無表情で、怖いのなんのって…!」
「無表情な課長を、想像出来ないんですけど…。」

同僚達と話している時の楽しげな顔や、怒った顔、デスクにいる時の真面目な表情しか夕鈴は見た事が無い。

「課長が君を怒ったりするのは、まあ、愛情の裏返し?…優しくしたいけど、素直になれないだけだよ。」

彼の気持ちを浩大は知っているが、それを自分が言うのはフェアじゃない。
彼女が好きなら、その気持ちは本人がきちんと伝えるべきだ。
けれど、嫌われていると思っている夕鈴が可愛そうなので、少しだけアドバイス。
無事に誤解を解いて、彼女に想いを伝える事が出来るかは、素直じゃない珀課長にかかっているが。

「そうだったら、良いんですけどね…。」

ちょっと困ったように苦笑いする夕鈴に、(早くその日が来ると良いね)と心の中でエールを送る。

「―――でさ、ちょっと聞いてほしんだけど。」

この話はここまでにして、浩大は新しい話題を振った。
仕事の話、上司の話。彼の話は面白くて、夕鈴の表情に笑みが戻る。
笑い声を上げる彼女に、浩大がホッとしたその時。

「――ずいぶん楽しそうだな。」

突然掛かった低い声に、二人はビクッと身体を震わせた。
浩大はゆっくりと顔を上げ、夕鈴は恐る恐る振り返る。
夕鈴の後ろ、給湯室の入口に凭れるようにして黎翔が立っていた。

彼は浩大を一睨みした後、夕鈴に視線を向けた。

「…汀、明玉が探していたぞ。」
「は、はい…」

低い声に萎縮してしまったように、彼女の細い身体は震えている。
そんな夕鈴を見て黎翔はますます機嫌が悪くなり、ちっと舌打ちをしてしまった。

「こ、浩大さん!…その書類、お願いしますね!」

弾かれたように立ち上がった夕鈴は、浩大にそう言うと黎翔にぺこりと頭を下げ、その横を擦り抜けた。

「りょ~かい!…ちゃんと課長に渡しておくから!」

逃げるように去っていく彼女の背中に、浩大は大きな声で叫んだのだった。


「―――さて。」

低すぎるその声は、彼の機嫌が相当悪い事を浩大に伝える。

「どういう事か、説明してもらおうか。」

睨み付けてくる黎翔に、浩大は大きく溜息を吐くと椅子に深く座りなおす。

「…だってさ、見てたら歯痒くって。」

嫉妬に燃えている紅い瞳を、正面から見つめ返す。

周囲から見れば夕鈴が黎翔を好きな事も、黎翔が夕鈴を愛している事も丸分かりなのに。
当人達だけが、それに気付いていない。
挙句の果てに、夕鈴に至っては自分は嫌われていると誤解している。

「彼女が誤解している原因は、あんただよ。――黎翔。」

(あんたらとっくに、両想いなのに。)

「…いくら俺と彼女が仲良く話していたのが気に入らなかったからって、もう少し言い方考えろよ。」

黎翔の声を聞いて、笑っていた彼女の顔が凍り付くように固まってしまった。
あれでは、嫌われていると思ってしまっても仕方が無い。

図星をさされた黎翔はグッと言葉に詰まる。

先輩社員に書類を届けるように頼まれて、彼女が二課に向かったのは知っていた。
その帰りが遅かったので、気になって二課に来てみれば、仲良く話す二人の姿――。

浩大が何か言ったのか、彼女の笑い声が弾ける。
お腹を抱えるようにコロコロ笑っている彼女。
自分には決して見せてくれない、表情。

悔しい。
その笑みを、浩大には見せるのか――。

『――ずいぶん楽しそうだな。』

思った以上に、冷たい声が出た。

「どうして彼女を引き止めた?」

ドカリと、先程まで夕鈴が座っていた椅子に腰を下ろす。

「噂の可愛い部下ちゃんと、話してみたかったから。噂通り可愛いね?…夕鈴ちゃん。」

黎翔の片眉がピクリと上がり、彼がますます機嫌を悪くしたのが分かる。
自分が呼んだことが無い彼女の下の名を、浩大が呼んだからだろう。

「…自分を二課の一社員と偽ってまでか?」

二課の課長は、お前だろうと言われ、浩大は夕鈴から預かった封書から書類を取り出す。

「別に騙すつもりはなかったんだよね。」

浩大は溜息を吐いた。隠すつもりもなかったが、彼女が自分をただの社員と思っているようだったので、別に訂正する必要はないかと思っただけだ。

「…彼女、お前に嫌われているってしょげてたぞ?もう少し優しくしてやれよ。お前が来た途端ビクビクして…。あれじゃ可哀想だ。」

浩大に言われなくても分かっている。
自分の横を擦り抜けていった、彼女。
決して、目を合わせようとしなかった。

そうさせているのは、自分の態度なのだ。
そんな事、分かっている――。

黎翔はギュッと唇を噛み締めた。

「――あ、そう言えば。」

立ち上がった浩大は、思い出したように黎翔に言った。

「李順さんが顔を見せるように言ってたぞ。」
「李順が?」
「一課に掛かりっきりで、本職をしないあんたに、痺れを切らしたんじゃないか?」

ただでさえイライラしている時にさらに気が滅入るような事を言われて、黎翔は溜息を吐くしかなかった。


END


長くなった~(汗)
何とか完結出来て良かった(^^♪


おまけ

-一課に戻ってからの夕鈴-

「え!?…浩大さんって、二課の課長さんなんですか!?」

言っちゃ悪いが、見た目からしても課長には見えない。

「あ~、二課長、童顔だから。仕事はうちの課長並みに出来る人だぞ?」
「あれで珀課長より二つ年上だからな~。」

驚きだよな?と、先輩男性社員達は顔を見合わせて頷き合っている。

一課課長・珀黎翔は23歳。
という事は、彼は…。

「25歳!?…嘘おぉぉ!!?」

一課に、彼女の悲鳴が響き渡った。


今度こそEND。






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Comment

NoTitle 

きゃ~~~♡

浩大がイケメン!!
お兄さん的アドバイス!
く~~~っ、いい\(//∇//)\

早く、お二人さんくっつけ~~~~~(笑)
  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.06/08 07:13分 
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  • posted by  
  •  
  • 2013.06/08 10:17分 
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きゃぁーー 


きゃぁーー!


大ちゃん
流石は、お兄ちゃんです☆

最高でしたぁ〜

ふふっ♪

でもでも
黎翔さんの本職って、まさか……。

きゃーー!
なになに♪

楽しみに
待ってまぁ〜す☆


でわ☆


  • posted by 鈴⭐ 
  • URL 
  • 2013.06/08 10:18分 
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Re: NoTitle 

ぷーちゃん様

お兄ちゃん浩大、二人のために頑張ってます!!

お二人がくっつくのは、まだまだ先になりそうですよ~(←珀課長のせいで)
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/09 01:51分 
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Re: NoTitle 

ますたぬ様

やっと完結出来てホッとしてます。
このシリーズは、確かにまだまだ続きますよ~。
コーヒーをたぁ~ぷりご用意して、ゆっくりコーヒータイムを楽しみながらお待ち下さい。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/09 01:54分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: きゃぁーー 

鈴様

お兄ちゃん浩大は、皆さんに大人気です♪

珀課長の本職は、またそのうち…。
お考えの通り、かな?

もう少しお待ち下さいね(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/09 01:57分 
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よろしくお願いします。

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