兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪何よりも大切なもの ♯××(後日談)

後日談です。

無事に仲直り出来た二人。
お世話になったあの人に、お礼をします。

Creuzシリーズ

♪何よりも大切なもの ♯××(後日談)


火曜日 AM9:00


某スタジオの控え室のソファに座っていた浩大の前に、スッと箱が差し出された。

「おわっ!…ビックリした!」

扉を開ける音も聞こえず、気配さえ感じなかった浩大は突然目の前に現れた箱に飛び上がるほど驚いてしまった。

「何だよ~気配を消して近付かないでくれよ、Rei。」

「…別に気配は消してない。」

「お前は元々無意識に気配消してるんだから、先に声を掛けてくれ。」

足音さえも立てずに近付かれる事も度々で、そのたびにビックリさせられた事が多々ある浩大は黎翔を責めるが、彼はどこ吹く風だった。

自分の忠告を聞こうともしない黎翔に溜息を吐き、浩大は先ほど目の前に差し出されて反射的に受け取ってしまった箱に目をやる。

「で、これ何?」

箱の包み紙に印刷された文字を見て、浩大の目が見開かれた。

「?!…こ、これって…!幸福堂の幸福饅頭!!?」


幸福堂(しあわせどう)の幸福(こうふく)饅頭とは、駅前にある和菓子専門店の人気商品だ。

職人手作りのその饅頭は、一日限定100個、お一人様5個まで。

商品の箱には蝶結びの熨斗が巻かれ、表書きに『幸福饅頭』と記されてある。


その下には贈られる側、贈る側の名前を入れてもらう事も出来、幸せになって欲しい人、自分達の幸せを分かち合いたい人に主に贈られ、縁起物として人気を得ていた。

幸福堂は朝7時開店だが、その頃には幸福饅頭を求めて店前には長蛇の列。

その人気商品を手に入れようと、朝早くから並ぶ者がいるらしい。

饅頭が大好きな浩大は是非とも食べてみたかったが、彼には幼い兄弟達がいる。勤めに出る両親は朝忙しいので、Creuzの活動があまり忙しくない時期には浩大が兄弟の面倒を見る。

朝早くから並ぶ事は出来なかった。


浩大はポカンとして黎翔を見上げる。Reiが、自分のために朝早くから店頭に並んだというのか。

他者の事など気に掛けない、誰かの為に何かをしようとした事もなかった、あのReiが…。

それに箱の大きさからして5個ではない。お一人様5個までのこの饅頭を10個買えたという事は…。

「まさか、…姫ちゃんも…?」


「『幸福饅頭?』」

「そうです。…浩大さん、お饅頭大好きでしょう?でも、そのお饅頭はすごく人気があって、朝早くから並ばないと買えないんです。」

ソファの上で、お互いの身体を堪能しあった後。

交互にシャワーを浴びて二人で軽い食事を作り食べながら、黎翔は夕鈴の話しを聞く。

「…今回の事で浩大さんにすごくお世話になったんです。黎翔さんに自分の気持ちを伝えようと思ったのも、浩大さんが後押ししてくれたからで、それがなかったらいつまでも貴方に会えずにグジグジしていたかもしれません。」

「うん…。そうだね…。」

浩大の言葉がなかったら、自分もここまで夕鈴と向き合えただろうかと黎翔は思う。

「…私今、すごく幸せだから…。お礼も兼ねて、浩大さんに幸せのお裾分けをしたいんです。」

そう言って夕鈴は笑う。

「でも、夕鈴。…明日学校……。」

自分は明日あまり早くないし、一日寝なくても平気なくらいだ。だが彼女の家は母親がいない。朝早く起きて、家の事をする彼女は大変ではないだろうか。

「大丈夫です。…朝、炊飯器をセットして、温めたら食べれるおかずを用意したらすぐに出れます。…お饅頭買ったらその足で、直接登校します。…だから、えっとですね…」

スパゲティを突付きながら、夕鈴は言いにくそうに向かいに座る黎翔を見る。

「ん?」

「…あの、今日、泊まっていって良いですか?」

そして明日の朝、一度家に送ってくれたらありがたいのですが…。


爆弾発言をかました後、そう続ける彼女を、どうしてやろうかと黎翔は思った。


結局、何もせずにリビングのソファベッドに夕鈴を寝かせ、黎翔は寝室で眠った。彼女の隣で共に寝れば、明日学校の彼女にまた無理をさせてしまうだろうし、寝室に連れ込んでしまうと、自らの誓いを破ってしまうそうだったからだ。

二人で並んだ店先で、内緒話をするように小声で夕鈴とした会話も楽しかった。

もちろん、あのReiだとバレてはいけないので、黎翔は深いキャップにサングラスで、多少変装していたが。こんな風に肩を並べて待つという、普通の恋人同士がするような事が出来たのが素直に嬉しかった。


「…ありがとう。」

今回の事で、散々迷惑を掛けたらしい浩大に、黎翔は素直に礼を言う。

「ん?…何が?」

すでに2個目の饅頭に食い付いている浩大は、きょとんとした表情で黎翔を見た。

「…分からなければ、いい。」

黎翔はそれだけ言うと、手を上げて浩大から離れていく。


「…黎翔。」

仕事場ではいつもReiと呼ぶ浩大。珍しく本名で呼ばれて、黎翔は思わず足を止めて振り返る。

「…俺はいつだって、お前と、姫ちゃんの味方だよ。」

「浩大…」

「幸福(しあわせ)のお裾分け、ありがとさん。」


『幸福饅頭』

『浩大様  黎翔・夕鈴』



とってもとっても、美味しいよ!

幸せな気持ちになって、浩大はにこやかに笑った。


END
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