兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

可愛い部下の、初出張 4

続きです。

『課長、夕鈴を護ってあげて!』というお言葉を沢山頂きました。
珀課長は、皆様のご期待に添えるのでしょうか!?

今回は、急スピードで話が進みます。
商談の仕方も、捏造です(した事ないから、知らないのです。)
気にならない方だけ、お読み下さい



可愛い部下の、初出張 4


「白陽コーポレーション、第一営業課課長の珀黎翔です。」
「同じく、汀夕鈴です。」

「――です。こちらこそ、よろしくお願いします。」

互いに名刺を交換し、早速商談に入った。

持参した資料や書類を見ながら、夕鈴は相手会社社長と話を進める。
隣に座る課長はあくまでもサポート、今回の商談は夕鈴に任せるつもりなのか、口を出して来ない。
けれどこれで良いのか不安になった時、チラリと課長に視線を向けると――。

彼はそれで良いとばかりに、小さく頷いてくれた。

黎翔は部下の成長振りに少し感動していた。
まだ荒い所や、至らないところも確かにある。
けれど知識と経験を生かし、彼女は上手に話を進めている。
部下の成長は、上司にとってとても嬉しいものだ。

「では、このように進めていきましょう。今後ともよろしくお願いします。」

社長と握手を交わし、商談は無事に終わった。

「――汀。」

ホテルに戻る車の中、掛けられた課長の声に夕鈴は条件反射でびくりと身体を竦ませた。
そんな彼女の反応を見て、黎翔はショックを受けたが、今までの自分の態度を考えればそれも仕方が無いと考え直す。

「…今回の商談、上手く纏めたな。社長も、満足していたようだ。」

前を見たまま、黎翔は夕鈴に言葉を掛ける。
面と向かって言うのは恥ずかしい。
けれど、これが今の自分の正直な気持ちだ。

「――良くやったな?」

目を見開いて自分を見ている彼女に、黎翔は微笑んで称賛の言葉を掛けた。

また怒られるのではないかと思っていた。
自分自身では上手く出来たと思っていた商談も、課長から見たら駄目だったのではないかと。
名を呼ばれた時、いつものように叱責されると思い、身を竦ませた。

けれど、掛けられた言葉は称賛だった。
そして、初めて向けられた彼の笑み――。

「ありがとう、ございます…」

――ああ、私はやっぱりこの人が好き。

夕鈴は、目の淵に涙を溜めて微笑んだ。


課長は所用があると言って、ホテルで夕鈴を降ろすと出掛けて行った。
遅くなるかもしれないから先に食事はとるように言われ、夕鈴は前日の夜のように彼と一緒に食事が出来なかった事を少しだけ残念に思えた。

食事を終え、シャワーを浴びてホテルの部屋で寛ぐ夕鈴の携帯電話が着信を知らせたのは、午後八時過ぎ――。

『…怪しいって!あんた、絶対行っちゃダメ!!』
「でも…、明玉…」

掛かってきた電話の相手は、本日商談を終えた会社の社長。
書類の内容で、説明が欲しい箇所があるので会えないかと言うものだった。

『…課長と一緒にならともかく、一人なんでしょ?』
「うん…。」

課長とは夕方、別れたっきりだ。

『女一人で男の元に行くなんて危険よ。止めなさい。』
「でも、本当に仕事の事かもしれないし…」

明玉は商談相手の社長の事を、色々おかしいと勘ぐっていたが、彼と商談をしてみて、夕鈴は特に危険な人物だとは思えなかった。
けれど、勝手に行くのもどうかと思い、課長に連絡してみたが繋がらず。意見を聞こうと親友に掛けてみたら、彼女は『行くな』と一点張り。

『――良いわね?一人で勝手な行動はしない事!』

ビシッと言われて、通話を切った夕鈴はハアーと溜息を吐く。
課長といい、明玉といい、いつも自分を子供扱いする。
皆が思うほど、自分は子供じゃないと夕鈴は自負している。
たとえ一人でも、立派に仕事をして見せる!

「良しっ!」と意気込み、夕鈴は立ち上がった。
さすがに私服はマズイだろうと思い、ハンガーに掛けてあったスーツに着替える。

「…ごめんね、明玉。」

心配してくれる親友には悪いが、いつも課長を頼るわけにはいかない。
もう一度彼の携帯に掛けるが、電源を落としているのか、場所が地下なのか、やはり無機質な女性の声が響き繋がらなかった。

相手会社社長に会いに行く旨と、場所を明記し、彼が帰ってきたら渡してもらうようフロントに預ける。
そしてタクシーに乗ると、夕鈴は指定されたホテルに向かった。

黎翔がホテルに戻ったのは、夕鈴がここを出て30分ほど経ってからだった。

黎翔は商談の後、人と会う約束をしていた。
地方の会社の動向を探る為各地を飛び回っている部下で、たまたま近くにいた彼と急遽会う事となった。

遅くなるかもしれないので食事は済ましておくように言った時、「分かりました…。」としょんぼり俯いた部下が可愛くて、本当は離れたくなかったが仕方が無い。

各地を飛び回る部下と直接会って話をするチャンスは、中々無い。
しかも、自分の身分を偽っている今は特に――。

「――珀様、お帰りなさいませ。」

フロントに向かうと、丁寧に頭を下げられた。

「汀様より、お手紙をお預かりしています。」
「――手紙?」

どういう事だ?
彼女は、部屋にはいないのか?

手渡されたのは、ホテルの部屋に備え付けられているメモ用紙。
内容を読む黎翔の表情が、厳しく、険しいものになる。

「彼女がここを出たのはいつだ!?」

「は、はいっ!…今から30分ほど前でございます。」

問い詰めるような黎翔の声に、フロントマンは時計を確認し慌てて返答する。

「……っ!あの、馬鹿!!」

ぐしゃりとメモを握り締め、黎翔は踵を返す。
駐車場に走って向かいながら、先程別れた相手に連絡する。

「私だ。…今すぐ、××ホテルに来い。」

厳しい黎翔の声に相手も何か感じ取ったのか、すぐに了承の意を示した。


暗闇の中、街の灯りやテールランプが流れていく。
正面を見据えたまま、ハンドルを握る彼の顔は険しい。

どうして、一人にした?
あの男から何か連絡があっても、一人で行ったりするなと何故伝えなかった?

彼女を見詰める、熱い瞳。
欲の籠った、厭らしい視線。

ヤツの危険性は、顔を見た瞬間理解していたのに。


課長へ

社長さんが書類の事で聞きたい事があるそうなので、今から行ってきます。

場所は、××ホテルの303号室です。

終わったらすぐに帰りますから、心配しないで下さいね。

汀 夕鈴


人を疑う事を知らない、純真無垢な部下――。
虎視眈々と獲物を狙っている男の元に、自ら出かけていくなんて…。

「……どうか無事でいてくれよ、夕鈴…!」

あの笑顔が、曇る事の無いように。
――彼女の無事を、祈らずにはいられなかった。


続く


関連記事
スポンサーサイト

Comment

 

波乱な展開ですね! もぉ課長、思いの丈を喋っちゃえば良いのにぃ!
是非是非、続きが読みたいです!
  • posted by  
  • URL 
  • 2013.06/16 01:50分 
  • [Edit]
  • [Res]

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2013.06/16 01:54分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

6/16にコメント下さった方

お名前が無いですよ~<m(__)m>

波乱な展開はこれからです。上手に表現出来るかどうか…。
課長さんが思いの丈を喋るのは、このシリーズのラストになるかも…ですね。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/18 12:57分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

ますたぬ様

可愛い夕鈴を狙う輩は沢山いますよ!
課長には色々頑張ってほしい所ですね~。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/18 12:58分 
  • [Edit]
  • [Res]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

プロフィール

高月慧ネン

Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

キリの良い数字を踏まれた方は、ご連絡下さい♪

ご訪問中のお客様

現在の閲覧者数:

にほんブログ村ブログパーツ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。