兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪同級生 ♯前編

Creuzシリーズです。

同級生なのは、誰と誰…?

♪同級生 ♯前編


大きなショッピングモールがあり、深夜営業の店舗も多いこの周辺は、駅に近いという事もあって夜になっても人通りが絶えない。

そんな喧騒から一つ通りを入った場所にある一軒のバー。

昼は別の業者が一階で喫茶店を営業し、20時からは地下にあるこのバーがopenを掲げる。


室内はどこか薄暗く、カウンターが数席とテーブルがたった五つという、狭い店舗。
だが室内に置かれた調度品はどれも一流の物ばかりで、室内には落ち着いたクラシックが流れる。

知る人ぞ知るこのバーは、週末にはいつも満員だ。

隠れ家的なバーを訪れるのは一般市民ではなく、大物政治家や芸能人ばかりだった。


週末には満員のこのバーも、平日の夜には多少の空席がある。

そんなある夜、カウンター席に二人の男が座ってグラスを傾けていた。

一人は闇を思わせるような漆黒の髪、冷たい紅い瞳をした端正な顔立ちの男。

もう一人は金に近い茶髪の、右目を眼帯で覆った、こちらも整った顔の男だ。


今人気沸騰中のバンドグループ、Creuzのリーダー・Reiこと珀 黎翔。

そしてフリーのライターと、カメラマンという肩書きを持つ、几 鍔。

二人は高校の時の、同級生だ。


「…恋人が出来た?、お前に?」

黎翔の言葉に、几鍔は驚いて目を瞠る。

「うん。」

「もしかして、最近付き合い悪かったのってそのせいか?」

「付き合い…悪かったかな?」

「ああ。…飲みに誘っても『今日は用事があるから無理だ』って、何度も断りやがって。」

責められているように思えて、黎翔は思わずごめんと謝った。

「まあ、過ぎた事はもう良いんだけどよ、今日は彼女の方、良かったのか?」

「…デートに誘ったけど、明日テストがあるから無理って断られちゃった…」

黎翔はしょんぼりと呟いて、カウンターに顔を伏せる。


几鍔はへえ…と思う。

無駄に顔の良いこの男は高校の時からモテていたが、その頃は黎翔にこんな顔をさせる女も、黎翔からの誘いを断る女もいなかった。

「Reiの誘いを断るなんてすごい女だな。…美人か?」

過去、彼と関係を持っていた女達は、皆お色気たっぷりの美人ばかりだった。そんな女とばかり関係を持っていたから、黎翔の女の趣味は『色気美人』だと几鍔は思っていたのだが。

「…美人って言うより、とっても可愛いんだ。」

黎翔はフワリと笑う恋人の表情を思い出して、クシャっと蕩けた顔で笑った。

酒に強い彼の頬に、酔ったわけではない赤みが差している。


こいつのこんな表情を初めて見ると几鍔は思う。

以前の彼はどこか飄々としていて、掴み所が無かった。

沢山の女と関係を持っていても、それを楽しんでいる風ではなく、何をしている時でもつまらなそうに見えた。

好きでしているはずのバンドでさえ、心の底から楽しんでいるようには見えなかった。


高校を卒業した後、黎翔はCreuzを結成。几鍔は彼らの活動を撮影し続けてきた。

大勢のファンに囲まれ、ステージで歌う黎翔は確かに楽しそうではあったが。

瞳(め)が、いつも悲しみに揺れていた。

心の底から笑った顔を、几鍔は見た事が無かった。

その黎翔が、幸せそうに微笑(わら)っている。

本当にすごい女だ、と几鍔は思う。


「テストがあるって事は大学生?」

「彼女?…いや、高校生。」

爆弾発言に、几鍔はブッと酒を噴出す。

「汚いなあ…」

黎翔は嫌そうな顔で几鍔を横目で見て、テーブルを布巾で拭いた。

「ゲホッ、…ちょっ、お前、それヤバくねえか?」

人気沸騰中のバンドグループのリーダーが、高校生と付き合っているなんて世間にバレたら良いスキャンダルだ。

黎翔はスキャンダルなど慣れているからなんとも思わないだろうが、相手の子はそういう訳にはいかないだろう。

芸能人と付き合うと言う事は、様々なリスクを背負うと言う事だ。

几鍔が言っている事は、黎翔も理解している。

二人の交際が明るみに出れば、報道陣はここぞとばかりに食い付いて、ある事ない事を騒ぎ立てるに違いない。

今でさえ芸能人と一般人という違いに、彼女は苦しんでいるのに。

それ以上の苦しみを、彼女に与える事になりかねない。


だが、それでも。

二人は出会ってしまった。

これ以上ないという存在に出会ってしまったのだから、どうする事も出来ない。

「…僕は、彼女を愛している。…何があっても、彼女を守るよ。」

「お前がそれを分かってて、決意をしているなら俺は何も言わねえよ。」

黎翔の強い意志を感じて、几鍔はそれ以上言うのを止めた。


「…だが気になるな。お前を射止めた女って、どんなヤツだ?」

『女』と言うより、相手は高校生なのだから自分達から見たら『少女』だ。下世話な事だと思うが、どうやってこの男の心を射止めたのだろうと興味が湧いた。

何としても聞き出してやろう、と几鍔はにやりと笑った。



続く
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