兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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願い ―前編―

SNS白友さくらぱん様から、またまた素敵なお話を頂いてしまいました

前回100hitキリリクでさくらぱん様に贈った『♪恋蛍―こいほたる―』の派生作品なのだそうで、ブログの方にもお持ち帰り下さいと仰って下さったので、遠慮なく持ち帰りました

さくらぱん様の素敵サイト『花の四阿』にも、Ⅰ~Ⅳとしてアップされてますよ。

こちらでは前後編と二つに分けて載せちゃいます。
(さくらぱん様、勝手に分けてすみません…

現代パラレルの、切なく、そしてとても甘い黎翔と夕鈴のお話です


願い ―前編―


星の瞬く綺麗な夜に
深夜の静寂を切り裂く

近所迷惑な
街角に鳴り響く大音量の爆音

心当たりの無いその音は
大きなバイクの音だった。
重低音のエンジンが鳴り響く・・・

雷が鳴り響くようなその音は、
ピタリと、夕鈴の家の目の前で止まった。

騒音が止まると同時に
夕鈴のスマホの着信音が鳴る
この音は、黎翔さんの着信音。

大好きな彼からの電話に
本来なら輝きの笑顔を魅せる夕鈴なのだが
この日の夕鈴は、ちょっと顔を曇らせた。

今日は、彼とはちょっと話せない。
仕事で、失敗ばかりの一日。
そんな日だからこそ、彼に心配かけたくない。

コール音が部屋に鳴り響く。
何時までも、このままでは、やっぱりマズイよね。

勘の良い恋人は 何かを感じ取るはず……
躊躇いつつも……彼と話す為に、スマホに手を伸ばした。

「はい。」

(やっと、出てくれたね、夕鈴。)

「ごめんなさい、すぐに出れなくて……」

「黎翔さん。こんな夜更けにどうしたの?」

ちらりと、時計を見ると日付が変わる時間帯だった。

(急に君に逢いたくなって……、出てこれない?)

(今、君の家の前に居るんだけど……)

「……!!!!」

その言葉に、慌てて夕鈴は窓のカーテンを開けて外を見た。
ーーーーーーそこには、大きなバイクを背に、スマホ片手に夕鈴に手を振る恋人の姿。

「……黎翔さんっ!!!!」

びっくりして、慌てて階段を駆け下りて、家を飛び出した。
夕鈴は、恋人のもとに、駆け寄る。

「……どっ、どうしたんですか?黎翔さん。」

「しかも、バイクだなんて……」

『だから、君に逢いたくなっちゃって……』

『来ちゃった♪』

悪びれない小犬の笑顔で応える黎翔さん。

『たまには、いいかなって……』

『夕鈴、ちょっとつきあってよ。』

そう言って、大型バイクからピンクのヘルメットを取り出して、片手で夕鈴に放り投げた。

放物線を描き、ポスンと夕鈴は、ヘルメットを受け取った。

「黎翔さん、今日は私……」

言い訳にならない、言い訳を並べようとした夕鈴の言葉を黎翔さんが遮る。

恋人の赤の瞳が、優しく笑っていた。

『何も言わないで……』

『ほんの少し、僕につきあってよ。』

きゅぅーんとした、小犬の瞳で見つめられては、断われない。

結局、

「少しなら……」

という約束で夕鈴は、黎翔のバイクに乗ることになった。


深夜の冷たい風を切って、黎翔の操るバイクは、
暗がりの道を駆け抜ける。

夕鈴には、黎翔が何処へ向かおうとしているのか
分からなかった。

だけど、そんなことはどうでも良かった。
彼の背に身体を預けていると不思議と安心感があった。

なにより、霧が晴れて行くように夕鈴の心が晴れていく。

星も町明かりも全て二人の目の前を流れていく
光りの軌跡が全て、バイクの轟音とともに、後ろへと流される。

バイクの速さとしては、夕鈴に合わせて遅いのかもしれない。
だけど、夜のスピード感が増した景色に
いつの間にか、夕鈴はバイクの爽快感に包まれていた。

大好きな恋人の背に腕を廻す。
普段は、そんなこと恥ずかしくて夕鈴から出来ない。
だけど、今日は言い訳がちゃんとある。
彼の熱を腕に感じながら、彼の鼓動を感じ取る。


夕鈴は、全身で風を感じていた。
日中の嫌なこと全てが流されていくようだった。

恋人の動きに合わせ、夕鈴も体重移動する。
バイクも黎翔も夕鈴も、いつの間にか一体となっていた。

星降る夜に、疾風のごとく駆け抜ける二人は一陣の風になっていた。


バイクは、街を駆け抜けて、郊外の海岸線へと続く道へと入った。
間もなく、大きな月と夜の海が見えてきた。

さざなみが、海に出来た月の道を彩る。

何処までも二人を乗せたバイクは、海岸線をひた走る。

幻想的な夜の海。


月と星とが美しい夜。
ぽつりぽつりと耀く街灯が……優しい地上の流星を作る。
夢のような景色を夕鈴は、黎翔の背で感じていた。

全身で、彼を感じ、世界を感じる。
なんだか、この世界に二人しか居ないような感覚。
夕鈴は安心感とともに幸せを感じていた。

(あぁ……なんか癒されていく)

(黎翔さん……私癒されていく)

(やっぱり、あなたが好き……)

夕鈴は、黎翔の背に廻した腕をきゅっと抱き締め直した。

何処までも追いかけていく静かな月が、二人を見ていた。


後編


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Comment

掲載ありがとうございます。 

慧ネンさん
今晩は
さくらぱんです。

掲載ありがとうございます。
気に入っていただき嬉しいです。

例のものの掲載は、出来上がってから考えさせてくださいね。

さくらぱん
  • posted by さくらぱん 
  • URL 
  • 2013.06/29 22:34分 
  • [Edit]
  • [Res]

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2013.06/29 22:44分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 掲載ありがとうございます。 

さくらぱん様

コメントありがとうございます。
掲載許可頂いていたのに、遅くなってすみませんでした<m(__)m>

例のお話、楽しみにしております♪


  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.06/29 22:46分 
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