兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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可愛い部下の、初出張 12

続きが出来ました~。

夜な夜なポツポツと書いて、ようやく完成

今回のお話で、ようやく終わりが見えてきたような気がします



可愛い部下の、初出張 12


「頭流すよ~?」
「はーい!」

明玉の言葉に、夕鈴は目を閉じて右の頬をタオルで押さえる。すぐに温かいお湯が掛けられ、泡が流れていった。
夕鈴一人では危ない、という事で、明玉と一緒にお風呂に入る事にした。
幸い、このホテルのバスルームは広く、バスタブも二人で浸かっても余裕だった。

昨日の夜からずっと熱を出して寝ていた夕鈴は、汗ばんだ身体を洗う事が出来てホッと息を吐く。

「こんな風に、一緒にお風呂入るのも久し振りね。」
「…そうね。働き始めてから無かったかも。」

高校生の頃は泊まりに行ったとき、たまに一緒にお風呂に入った事もあったが、社会人になって忙しくなり、互いの家を行き来する事も稀になった。

並んでお湯に浸かりながら、夕鈴と明玉は懐かしいと笑い合った。

腫れは大分引いたとはいえ、頬を怪我している夕鈴に長湯は禁物だろうと、二人は早々と湯船から上がる。

「ねえ、明玉…」
「何?」

脱衣所で着替えていると、夕鈴が覇気のない声で明玉を呼んだ。髪を拭きながら夕鈴を振り返ると、彼女はただじっと床を見詰めている。

「今回の商談、やっぱり破談になっちゃうのかなぁ…?」
「夕鈴…。」

夕鈴にとって、今回が初めての商談。
それが相手会社社長のせいで、こんな結果に終わってしまった。

何だか泣きそうになっている親友をどう慰めて良いのか分からず、明玉は立ち尽くす。
何を言ってあげれば良いのか。
『次を頑張れば良い』なんて、軽々しく言えない。

悩んでいると、夕鈴は無言になった明玉に気付きハッとする。
親友を苦悩させたいわけじゃない。

「ごめん、ただの愚痴だから気にしないで?」

夕鈴は眉を下げて、悲しげに笑った。


バスルームから出ると、三人の男がソファに座って待っていてくれた。

「やっほ~、夕鈴ちゃん!」

底抜けに明るい笑顔の彼が、明るい声で夕鈴を迎えた。

「浩大さ…課長?、と…?」

夕鈴はチラリと浩大の横に座っている男性を見る。少し長い黒髪を後ろに束ねた、スーツ姿の若い男。

「克右さんと仰って、今回色々手助けしてくれた人。ちょっとカッコいいと思わない?」

瞳を輝かせた明玉が、耳元で囁いてくる。

「初めまして。徐克右と申します。」
「は、初めましてっ!…汀夕鈴ですっ!」

にこやかに挨拶して手を差し出した克右と握手をしていると、彼に興味深そうにジッと見られて、夕鈴は首を傾げた。

「あの…、何か?」
「――ああ、すみません。…なるほど、と思いまして。」
「え?」

言っている意味が分からず困惑していると、「――克右。」と黎翔から低い声が掛かった。困ったように笑った克右が、手を離す。

「課長のお知り合いですか?」
「…私の部下だ。地方での情報収集を任せている。」

夕鈴が問うとソファに座ったままの彼が、何故だかブスッとした表情で説明してくれた。

面白くない、といった顔だ。
彼の心情を理解した浩大はおかしそうに笑い、明玉は苦笑いした。

たかがルームサービスと言っても、高級ホテルは味も量も違う。
5人でテーブルを囲み、所狭しと並べられた料理を味わう。
夕鈴は口の中を切っていたので、刺激の少ない料理を選んで少しずつ食べた。あまりの美味しさに、思いっ切り食べれたら良いのにと、ちょっとショックを受けてしまった。

「――汀。」

食事を終えた後、黎翔は分厚い封筒を夕鈴に差し出した。

「何ですか?」
「…今回の商談の、契約成立書だ。」
「――え…?」

夕鈴は慌てて、封書の中の書類を取り出す。
課長の言うように、『契約書』と書かれた書類。

あんな事になって、きっと契約は取れないだろうと思っていた。

「一つ言っておくが、あんな事があったから、相手側が融通を利かせたわけじゃない。会長に直接企画案を見てもらい、彼がこれなら大丈夫だと契約をしてくれた。」


相手会社の会長に渡した封書には、夕鈴が今回の商談で纏めた企画案の書類が入っていた。
彼はそれを受け取ると自分のデスクに座り、隅から隅まで目を通した。

「――これは貴方の部下の女性社員が?」
「そうだ。」
「…ふむ。まだまだ荒削りな所もありますが、緻密に練られた良い案件だと思います。これなら両社の発展にも役立つでしょう。これからの活躍が期待出来る、頼もしい社員さんですね。」

『彼女のような方を部下に持つ、貴方が羨ましいです。』
彼はそう言って、悲しげに笑っていた。


「――お前が頑張った結果が、認められたんだ。」

ぽろっと、夕鈴の目から涙が零れた。

「…夕鈴っ!良かったね!!」

隣に座っていた明玉が、ギュウッと抱き着いてくる。

「良かったじゃん、夕鈴ちゃん♪」
「おめでとうございます。」

浩大と克右が、笑顔で労をねぎらってくれる。

「――汀、良く頑張ったな。」

彼が言う、普段は見せてくれない笑顔で。

「あ、ありがとう…ございます…!」

いつも怒ってばかりの意地悪な上司に褒められた事が、辛さも痛みも忘れそうになるくらい、夕鈴は嬉しかった。


続く

ちょ、ちょっとは進んだかな?






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Comment

NoTitle 

進みましたよ~^^
よかった。相手会長に認められて、契約取れて・・・・。

か・・・課長が。
夕鈴に笑顔を見せた?!

これは、夕鈴、心から嬉しいはず!!
もっともっと、笑顔を見せて距離を縮めて~(>人<;)
  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.07/06 14:48分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: NoTitle 

ぷーちゃん様

やっと帰れそうな気配に、慧ネンは一安心です♪
今回は夕鈴の初めての契約。
せっかく頑張ったのだから、当然の結果ですよね(^^♪

課長の笑顔も見れて褒められて、夕鈴はしばらくポワポワしていそうです。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.07/10 13:08分 
  • [Edit]
  • [Res]

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