兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

意地悪上司の、失態 後編

後編です

頼りになる部下達のお陰で、逃れる事が出来た課長。
可愛い部下の元に向かいます



意地悪上司の、失態 後編


「――単刀直入に言うわ。貴女、彼の何?」

休憩時間が終わり午後の業務を開始しても、あの女性に言われた言葉が頭の中から離れない。

「平凡な貴女は、彼には釣り合わなくてよ?」

呼ばれてついていくと、屋上に続く階段の踊り場で、彼女にそう罵られた。
真っ赤な口紅を塗った唇が、クスクスと嘲笑う。

携帯を出すように言われ、課長に待ち合わせのメールを送らされた。

仕事はなかなか捗らず、頼まれていた書類も業務終了時間までには終わらなかった。
手伝うと言ってくれた明玉達を「大丈夫だから」と帰し、誰もいなくなった一課内で夕鈴は一人パソコンに向かっていた。

時計を見ると、19時過ぎ――。

課長と彼女は、今頃一緒に過ごしているのだろうか…。

そう思うと、もやもやしたものが胸の内に溢れ、夕鈴は自分があの女性に嫉妬している事に気付く。
美人で、グラマラスで、仕事の出来る完璧な女性。
彼の隣に立つに、相応しい人物。
そう、きっと自分よりも…。

頬を伝う涙を懸命に拭い、考えても仕方が無いと夕鈴は止まっていた手を動かし始めた。

キーボードを叩き、印刷をして、ようやく仕事を終えた夕鈴は身支度を済ませ、パソコンの電源を落とした。
正面入り口はもう施錠されているので、警備に声を掛け裏口から外に出た。
そこは社員用の駐車場になっていて、夕鈴が出てくるのを待っていたように、一台の車のドアが開いた。

夕鈴は目を見開く。
彼は、ここにはいないはずの人物だった。

「課長…。」

どうして…?と言う言葉は飲み込んだ。課長は彼女と一緒にいるはずなのに。
そうなるように、彼女に画策されたはずなのに…。

「…終わったのか?」
「はい…。」
「じゃあ、飯でも食いに行くか?」

ぽつぽつと、交わされる会話。
二人だけでいる時には、黎翔も夕鈴も言葉少なになってしまう。

「課長は…あの人と飲んでいたんじゃないんですか…?」

そう言われて、黎翔は少しムッとしてしまった。

「誰とどこに行こうと、それは私の勝手だ。」

まるであの女と一緒にいたら良かったのにと言われているような気がして、思わず低い声が出た。
夕鈴がビクッと身体を震わせたのを見て、慌てて「悪い。」と謝る。

「汀が悪いわけじゃない。…初めてお前の方から誘ってくれたと思って、浮かれていたんだ。まんまと策略に嵌る失態を犯してしまった。」
「え…?」

驚いて夕鈴は黎翔を見た。

だって、でも、それって…。

夕鈴に見詰められ、黎翔はバツが悪そうに呟いた。

「…私にも好みがある。」

そう呟く彼の頬は、僅かに赤い。

あんなに美人な女性より、彼は平凡な自分と一緒にいたいと言っているのだ。
夕鈴の顔が、真っ赤に茹で上がった。
そんな彼女の腕を取り、自分に引き寄せる。

「――居酒屋にでも行こうか。」

腹減っただろ?と聞いてくる彼に、夕鈴はそっと凭れ掛かる。

「課長もお腹空いているんですか?」

バーで何か食べたのではないかと思ってそう聞くと。

「あんな所で良く知りもしない女と一緒に食うより、お前と一緒に飯食った方が何倍も美味い。」

照れているのか正面を向いてそう言ってくれる彼の事が、とても好きだと思った。

最初から飲むつもりだったのか、黎翔は大通りに出るとすぐタクシーを拾った。
安くて美味しいと評判の居酒屋で、二人は向かい合ってテーブルに付く。

「汀、これも食え。こっちの肉も美味いぞ?」
「課長…。そんなに食べれないです。」

彼が次々に注文するから、テーブルの上は料理で一杯になる。

「あ、この焼き鳥、美味しい。」

焼き鳥を頬張り、好物の枝豆を食べていると、黎翔に笑われてしまった。

「汀は酒をあんまり飲めない割には、つまみになるものが好きだな。」

そう言って笑う彼の手にはビールのグラス、夕鈴は頼んだカクテルをちびちびと飲んでいる。
笑われて、ぷうっと頬を膨らませた。

「悪かったですね、どうせ年寄りくさいですよ!」
「怒るなよ、誰もそんな事言ってないだろ?」
「いーえ!課長の目がそう言ってます…!」
「…バレたか。」

苦笑いする黎翔。
つられて、夕鈴も笑顔になった。

酒が入り、普段より会話が進み始めた頃にはもう、夕鈴の胸は痛まなかった。


END

おまけ
↓ ↓


~バーにて~

「…だからね、珀課長にはすでに想い人がいるのよ。二人の仲を引き裂く事は、私達一課社員、全員が許さない。」

三課の女は、一課の女豹を初めとする女性達に囲まれていた。

「そして、その相手の子も、私達の大事な仲間なの。」

お分かり?と、女豹が凄む。

「二人にこれ以上ちょっかいを掛けるなら、私達にも考えがあるわ。」

にっこり笑う彼女の瞳は氷のように冷たい。
自分を囲む他の女達も、同じような表情をしている。

三課の女は蒼褪め、身体を震わせて。
二度と一課には関わらないようにしようと、心に決めた。





女の集団ほど、怖いものはない?












関連記事
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

プロフィール

高月慧ネン

Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

キリの良い数字を踏まれた方は、ご連絡下さい♪

ご訪問中のお客様

現在の閲覧者数:

にほんブログ村ブログパーツ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。