兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪同級生 ♯後編

続きです。

兄貴は色々と心配なのです…。

Creuzシリーズ

♪同級生 ♯後編


この男からして曲者だと思うが、あのCreuzのメンバー達も曲者揃いだと思う。

どいつもこいつも、一筋縄にはいかない者ばかり。

そんなメンバー達は、夕鈴の事をどう思っているのか。


Ryuこと、柳 方淵

「方淵は夕鈴の事を認めていないみたいだね。…よく睨みあってるよ。たまに話したりはしているから、嫌っているわけではないと思うけど。」

まあ、方淵が何と思おうと、別れる気は無いんだけどね~と笑う黎翔を見ながら、黎翔至上主義のあの男は認めたくないだろうと几鍔は思う。


Suiこと、氾 水月

「水月は…認めてはくれていると思う。夕鈴ともよく話すし。ちょっと妬けちゃうから睨み効かせると、青い顔で逃げていっちゃうよ。」

そのたびに僕が夕鈴にお小言食らうんだけど…と肩を落とす黎翔を見て、物腰が柔らかい彼は夕鈴の人となりを気に入っているのだろうと思う。


Hiroこと、浩 大

「浩大は、認めてくれているよ。…僕と夕鈴に何かあるたび、励ましてくれたり、世話焼いてくれる。『いつまでも味方だ』って言ってくれた。」

たまにからかわれるんだけど…と照れたように笑う黎翔に、おちゃらけたように見えて面倒見が良いあの先輩は、二人の事をまるで弟妹のように感じているのだろうな、と几鍔も笑う。


「…陰険マネは?」

「李順、か…」
黎翔は考え込むように口を閉ざした。

「頭の固いあのメガネは、認めたくないだろうな。」
神経質そうに眼鏡を押し上げる男の顔を思い出し、几鍔は嫌そうに顔を顰めた。

「…認めてはいないと思うが、それほど邪険にはしてない。今は様子見…と言うところだろう。」

「夕鈴を見極めている、という事か。」

「ああ。」

頭は固いが、決して悪い男ではない。根はいいヤツだと几鍔は思っているので、夕鈴が彼の目に適う事を祈ろう。


「後は…お前の実家か…」

「奴らの事はどうでも良い。」

几鍔の言葉に、黎翔はきつい声で返す。黎翔にとって、実家の事はタブーだと几鍔は知っている。それでも尋ねるのは、二人が付き合っていく上で、これから避けては通れない道だと思うからだ。

「そう言うわけにはいかないだろ。」
見るからに不機嫌になった黎翔に、几鍔は負けじと言い放つ。

「…お前が親の事をどう思っていようが、お前は確かに珀家の息子だ。向こうさんも、何か接触を図ってくるんじゃないか?」

黎翔が親の事を親と認めていなくても、確かに黎翔はあの珀家の人間だ。父親の珀会長にとっては、大事な跡取りの一人だ。その息子に恋人が出来た事など、もう気付かれているだろう。

「…お前が何故そこまで実家を嫌うのか今さら聞こうとは思わないが、そのせいで夕鈴が傷付くのだけは許さないからな。」

「…分かっている。」

黎翔はグラスを持つ手に力を入れる。

必ず守る。実家には何も、手出しはさせない。
夕鈴を傷つける存在は、例え何者であっても許さない。

たとえそれが、血を分けた実の親であっても。


「それがお前の…覚悟なんだな。」

几鍔は夕鈴を守り抜こうとしている、黎翔の強い意志を感じた。

それなら本当に、自分から言う事は何も無いと思う。
これからは近くで、二人の事を見守っていくだけだ。

そんな存在を見つける事が出来た黎翔を、少し羨ましいと思いながら。


少しざわついて来た店内。二人が飲み始めて、もうすぐ二時間。

「もう一つ気になっていたんだが、聞いてもいいか?」

酒豪とはいえ、良い感じで酒が体内を巡る頃合。

「何を?」

「ちょっと…いやかなり下世話な事だと思うんだが…」

几鍔は黎翔の耳元にスッと顔を寄せる。

男同士の会話は、どうしてもあっちの話になる。

「…あいつとは、もう寝たのか?」

「!…ぐっ、~~っ…ゲホッ…ゲホ!」

先程の几鍔のように酒を噴出しそうになるのを懸命に耐えた黎翔は、なんとか飲み込んだ酒に盛大に咽た。

「~~何て事を聞くんだ、君は。」

涙目になって、黎翔は几鍔を睨んだ。

「いや、だって、気になるじゃねえか。相手はあの、夕鈴だぜ?男勝りで、『色気』の『い』の字も知らないようなヤツだぞ。」

花の女子高生と言うのに、毎日家事に追われ、バイト三昧。

そんな夕鈴を前に、この男が性欲を抱くのかと思ったのだ。ただの好奇心である。

「~~まだだよ…」

「だよなあ…。あんな女っ気の無い女を、早々抱こうとも思わないよな。」

「?…夕鈴はすごく色っぽいよ?肌なんか、ツルツルで柔らかいし。」

「!?おまっ、今『まだだよ』って言わなかったかっ?!」

「うん?言ったけど?…あ、最後まではしてないよ?…最後の一線を越えるのは、夕鈴が高校を卒業してからにしようって二人で決めたんだ。」

「それはあいつが、子供っぽいからか?」

今まで異性と付き合った事が無い夕鈴は、初めての体験にさぞ戸惑っているだろう。

「ん~、一番の原因は僕かな?…君も知っていると思うけど、僕は過去沢山の女と関係を持っていたでしょう?…でも、本当に誰かを好きになってお付き合いをするのは、僕初めてなんだ。」

淡々と語る黎翔。彼が高校時代、そしてその後も女と関係を持っていた事は几鍔も知っていた。そこに愛が無かった事も分かっている。

そんな彼が、初めて人を愛した。


「…身体だけの関係なら別に良いけど、夕鈴は違う。ただ欲を吐き出す為に、抱くわけじゃないから。…僕の醜い欲で、彼女を怖がらせたくない。だから彼女を抱くのは、彼女がもう少し大人になってからにしようと僕が決めた。」

そして夕鈴も、それに承諾してくれた。

「でも我慢できなくて、ちょっと味見しちゃった…。そしたら…」

初めての行為に戸惑いながらも、夕鈴は可愛らしい反応を見せてくれた。

「…すごく色っぽく鳴くから、僕、困っちゃった…」

せっかく我慢してるのに…と、黎翔は頬を紅くして呟いた。

「…聞くんじゃ無かったよ!」

話を聞いていた几鍔の顔は真っ赤だ。

「君から聞いてきたくせに…。」

怒られるなんて心外だ、と黎翔はぼやいた。


「…今日はお二人とも、よく飲まれますね。」

ギャーギャー言い合っていると、そう声を掛けてきたのはこのバーのマスターだった。

「マスター、急に声を掛けられるとビックリするじゃないですか。マスターの顔は、ただでさえ怖いんですから。」

几鍔が少し驚いた顔でマスターに言う。

マスターの名は、周と言う。落ち着いていて、物腰も柔らかで、彼が作るカクテルはとても美味いのだが。

如何せん、彼は顔が怖いのだ。

「それが分かっていてカウンター席(そこ)に座るのは、貴方方ぐらいですよ。」

初めての方は顔を見るなり逃げていきますけどね、とマスターは口角を上げる。どうやら笑っているようだが、その顔をおどろおどろしていて、どこか、怖い。

「話が弾んでいたようですね。…珍しく、Reiさんの口数も多かった。何か良い事ありましたか?」

マスターは自らの仕事をしながら、客の話を聞くともなしに聞いている。だが彼は、それを決して外に洩らしたりはしない。

だからこのバーは、有名人がよく訪れるのだ。政治家達の密会場所として良く使われる。

現に奥のテーブルには、テレビでよく見るような大物政治家が、どこぞの美人女優と密会中だ。最も薄暗い店内では、顔が良く見えないので断定は出来ないが。


「…こいつに恋人が出来たと報告を受けたんです。しかもそれが、俺の妹。」

親指で指されて「指で指すな」と、黎翔は嫌そうに言う。

「それはそれは…。では彼女の存在が、Reiさんにそんな表情をさせるのですね。」

初めて見る顔をしてますよ、とマスターに言われ、黎翔はきっとその通りだと思う。

「…ではこれを。貴方にそのような存在が出来た事への、私からのお祝いです。」

サービスですよ、とマスターはスッとグラスを差し出した。


黎翔の前に置かれたグラスには、薄いピンク色、さくらんぼが乗っている美しいカクテル。

「…貴方が愛する女性は、きっと母性に満ちた優しい方でしょう。貴方好みの、少し甘めにしております。」

黎翔はゆっくりとグラスを傾け、口に含む。優しい色合いのカクテルはマスターの言うように仄かに甘く心が安らいで、夕鈴にとても似ているように黎翔は思う。

「几鍔さんにはこちらを。」

几鍔の前に置かれたグラスには、濃い水色、ミントの葉が浮かべられた涼しげなカクテル。

「妹さんを獲られて不貞腐れている貴方に。…心が落ち着きますよ?」

「…一言多いですよ、マスター!」

自棄酒を呷るように、几鍔はグラスを一気に傾けた。濃い色合いの割には味はきつくなく、ミントも仄かに味がする程度。だがスウッと喉を通る爽快感は、マスターの言うように心が落ち着いた。

「私も貴方の恋人を、見てみたくなりました。」

「…まだ高校生なんで、20歳(ハタチ)になったら、連れてきますよ。」

「それは楽しみですね。…約束ですよ?」

「…ええ。その時にはまたこのカクテル(これ)を、作ってくれますか?」

夕鈴にも飲ませてあげたい。この優しく、心が安らぐようなカクテルを。

「…もちろん。お約束しましょう。」

三年後、夕鈴と一緒にこのバーの扉を潜ろうと、黎翔は笑った。


「今日はサンキューな。」

「いや、こちらこそありがとう。…とても楽しかった。」

バーを出た二人はタクシーを拾う為に、大通りに向かう。

「そういや例の新曲、10週連続チャート一位だって?おめでとさん。」

「…ありがとう。」

「近いうちにお祝いの品贈るよ。」

「そんなの良いのに…」

「…いいや、今のお前なら絶対喜んでくれる。楽しみにしてろよ、じゃあ、またな!」

手を上げて走っていく几鍔に、黎翔も同じように片手を上げて別れた。

久し振りに、楽しく飲む事が出来たと思いながら。


数日後、黎翔の部屋に届いた几鍔からのお祝いの品は、彼を大層喜ばせたらしい。

それが何だったのかは、贈った几鍔と、贈られた黎翔のみぞ知る。


END


終わりました~なんか無理やり繋げて、書きたい事を詰め込んだって感じですが…

周(宰相では無いが…)こんな所で、まさかの登場です
本編でも彼は比較的夕鈴に優しいので(臨時花嫁だと知らないからだと思うのですが…)顔は怖いけど、結構好きです



さてさて、几鍔は何を贈ったのでしょうね…。いつかその秘密が明らかになる事でしょう
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  • 2013.01/16 17:58分 
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