兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪その光に手をのばし ♯2【日常】

続きです~。

出来るだけ早く、お届けできるよう頑張ります

今回はちょっと短めです




♪その光に手をのばし ♯2【日常】


彼から電話がかかってきたのは、炊事と洗濯を終え、ホッと一息吐いた頃。

バンドグループCreuzのリーダーで、俳優業もこなしている恋人は、年明けだろうと忙しかった。
昨夜も少し話して、今日はライブの最終日で、忙しいから終わるまで連絡出来ないかもと聞いていた。
それなのに、突然の電話。

驚きはしたが彼の声が聞けるのはとても嬉しいので、夕鈴はリビングのソファに座り、彼との会話を楽しんだ。
父は出張で家を空けていて、弟も塾に行って不在。
芸能人と付き合っている事は二人にはまだ秘密なので、傍にいない事にちょっとだけホッとしていた。

いつも子供のように甘えてくる彼は、いつにも増して子供っぽくて。
明日学校が終わった後、会えないかと聞かれ、バイトだと答えると、携帯の向こうでがっくりと肩を落としたようだ。きっと、たまに見える幻の尻尾と耳が、悲しげに伏せられている事だろう。

夕鈴がバイトをする事を、彼はあまり快く思っていない。
どうしても帰宅が遅くなるし、不特定多数の人と接する仕事をしている。
当然男性客もいるわけで、自分以外の男が夕鈴に話し掛けたりするのが気に食わないと、彼は言っていた。

けれどそれも仕事なのだから仕方ないし、生活費も必要なのでバイトを辞めるわけにはいかない。
今年は修学旅行もあるので、何かと入用だ。
少しでも資金を貯めておきたかった。

元旦は休みをもらったものの、二日からコンビニバイトのシフトを入れてもらっていた。
忙しい恋人はライブツアーでしばらく会えないので、家にいても寂しいだけだ。
バイトをしていた方が、気が紛れて良かった。

冬休み最後の今日は、年末年始に使用した食器などを、綺麗に洗って倉庫に仕舞おうと考えていた。
学校が始まったら時間が取れないかもしれないので、今日やるのが一番良いと考えたのだ。
それが終わったら買い物に行って、夕飯の準備をして…。
いつもと変わらない、日常を過ごす。

夕鈴にとってこの日は普段と変わりない朝だったが、彼の様子はいつもと少し変わっていた。
何かあったのかなと思いそう聞くと、言葉に詰まり、息を飲む気配がした。
けれど彼は、『何もないよ?』と笑った。

彼がそう言うならそれ以上深く聞く事も出来ず、気にし過ぎかなと苦笑いしていると、誰か来たのか彼の声が聞こえなくなる。恐らくメンバーの誰かかスタッフの方に、彼が短く返事を返すのが聞こえた。

「呼ばれちゃいましたね。」
『うん。ごめんね、ゆっくり話も出来なくて。』

申し訳なさそうな彼に、ライブを頑張って下さいとエールを送る。
大好きな恋人とはなかなか一緒にいられなくて寂しいけれど、彼の仕事を考えたら仕方が無い事。
付き合い始めた時から、分かっていた。

『夕鈴。』

物思いに耽っていると、彼が名を呼んだ。
とてもとても、優しく、甘い声で。

「はい?」
『――愛してるよ?』

彼の口から何度も紡がれる、最上の愛の言葉。
低く、蕩けるような声が、耳の奥に吹き込まれる。

身体が甘く痺れるような感覚に、思わず息を飲み。

『わ、私も…愛してますっ』

それでも、自分も同じ気持ちだと彼に伝えたくて、消え入りそうな小さな声でそう返した。


通話が切れた後も、夕鈴はしばらくの間ぼうっとソファに座っていた。
大好きな恋人とこうやって話をした後は、幸せ過ぎてその余韻に浸ってしまう。

彼の様子が何だか少しおかしかったように思ったが、気のせいだったのだろうか?
一週間にも及ぶライブツアーで、さすがに疲れているのかもしれない。

会いたいと、思ってくれるのは嬉しいけれど、いつも以上に必死な彼に少し違和感を感じた。

「…変な黎翔さん。」

呟いて、クスリと笑う。

夕鈴は、足元にやって来た子犬を抱き上げる。
黎翔が家を空けているので、年末から夕鈴が実家で世話をしているのだ。

「あなたのご主人様は、どうしちゃったのかなあ?…ラブ。」

「くうん?」

「…何てね。分かるわけないわよね~?」

「キャン。」

両手で小さな体を抱くと、ラブは首を傾げて小さく鳴く。
自分が分からないのに、人間でもないラブに分かるわけがないかと、夕鈴は苦笑いをした。

「――さ、ちょっと予習でもしとこうかな。」

何だか遊んで欲しそうなラブに「後でね。」と謝り床に下ろしてやると、彼はととととーっと窓際の日溜りに走っていき、そこで丸くなった。

温かい日差しの中で、お昼寝をする算段らしい。

勉強も仕事もしなくて良い彼は、自由気儘で羨ましいと夕鈴は笑った。

いつもと変わらないはずの日常が、この後崩れる事を、知らぬまま――。


続く


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Comment

 

こんにちは♪
リクエストしたお話を良い子に待っていたかいがありました(*^^*)
私が期待していた以上のスタートで続きもとっても楽しみです♪
Creuzのお話が大好きなので、もうゴールインするまで書いてほしいくらいです!
続きもまってます(^o^ゞ
  • posted by 夕鈴ラブ 
  • URL 
  • 2013.09/03 21:31分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

夕鈴ラブ様

コメントありがとうございます!
そして、大変お待たせしてすみません<m(__)m>
良い子で待って頂いて、ありがとうございます!!
素敵なリクエストを、上手く書き切れるのか不安はあります。流れ的には出来上がってますので、後はそれを上手く文章化出来るかどうか…。
一体何話で終わるか慧ネンにも分かりませんが、気長にお付き合い頂けたら嬉しいです♪
Creuzシリーズも、まだ書きたい話が一杯残っているので、書ける限りお披露目していけたらなと思ってます(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.09/03 22:41分 
  • [Edit]
  • [Res]

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