兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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こんな雨の日には

只今執筆中なので、別ブログから作品を持ってきました。

去年の梅雨時に書いたお話です。

冷たい雨も、二匹(ふたり)一緒なら…?




こんな雨の日には


ある日の午後。

おおかみは木の根元で昼寝を、うさぎは少し離れた場所で同族の兎と走り回っていました。

午前中は良いお天気でしたが、どこかの水辺にいるであろう蛙が合唱を始め、少し湿った風が吹いてきました。
おおかみの鋭い嗅覚が反応し、彼は目を覚ましました。

これは、雨の匂いです。

空を見上げると、山の上の方は既に厚い雲に覆われていて、凄いスピードで黒い雲が流れてきます。
これは早いうちに、今日の寝床を探した方が良さそうです。

おおかみが呼ぶと、うさぎは兎に別れを告げ、駆け寄ってきました。

「雨が降りそうだから、どこか凌げる所を探そう。」

「分かりました。」

おおかみの言葉にうさぎも空を見上げましたが、先程まで見えていた青空は既に見る事が出来ませんでした。

二匹(ふたり)は懸命に走って、休める所を探しました。

ですが、うさぎの短い足ではあまり早く走れません。おおかみもうさぎを置いていくような事はせず彼女に歩調を合わすので、必然的に彼の進みも遅くなります。

そうしているうちに、二匹(ふたり)の鼻先に、ポツポツと雫が落ちてきました。
降ってきた、と思った瞬間には、ザアーと大粒の雨が二匹(ふたり)を襲いました。

ぴゃ~と、うさぎが悲しげな声で鳴きます。

大きな身体のおおかみでも、打ち付ける雨で身体が痛いくらいです。小さなうさぎは、さぞ痛いでしょう。
長期間雨に打たれるのは、体温も下がってとても危険です。

おおかみはうさぎを自分の背中に乗せました。

「…少しの間我慢してね、夕鈴。ちゃんと僕に捕まってるんだよ?」

うさぎが自分にしがみ付くのを確認したおおかみは、全速力で駆け出しました。


ポチャン…

岩肌から水滴が落ちてきて、水溜りに波紋を作るのをおおかみは見ていました。

あれから少し走って、雨から身を守れる岩穴をみ付けたおおかみは、今日のねぐらをこの場所に決めました。

うさぎを下ろし、おおかみもその身体を横たえます。目の前にいるうさぎの綺麗な毛並みが、雨に濡れてぺしゃんとしています。

寒さからプルプル震えているうさぎが可哀想で、おおかみは思わず、大きな舌でうさぎをぺろりと舐めてしまいました。
うさぎはビクリと反応し、驚いた顔でおおかみを見詰めます。

「あ、ごめん。嫌だった?」

うさぎを少しでも暖めてあげたくてした事でしたが、本能的に危険を察知したのかもしれません。

「…いいえ。」

うさぎは顔を赤くして、首を振ります。

「暖かいです。」

気持ち良さそうに目を閉じたうさぎを見て、おおかみは何だかいけない事をしている気分になりました。

うさぎの毛並みがフワフワに戻った頃、彼女はお返しにと言って、おおかみの身体を舐めてくれました。
他意はなかったのでしょうが、うさぎの小さな舌はくすぐったくて、おおかみは少しだけ、変な気分になりました。

うさぎには見せたくない狼の本性が、目覚めてしまいそうです。
うさぎを見る赤い瞳が、妖しい光を放っていました。

この小さなうさぎの全てを、自分の物にしたいと言う勝手な欲望がおおかみを支配しました。

と、その時。

カッ!と、周囲が急に明るくなった瞬間、ドーンと言う大きな音が響きました。

落雷です。

「きゃー!!」

うさぎは悲鳴を上げると、身体を縮こませガタガタ震え始めました。
恐怖からか毛が逆立っています。

おおかみはうさぎの悲鳴で捕らわれていた昏い感情から覚めました。
もう少しで、大切な唯一の存在を自ら傷付けるところでした。

「…夕鈴。」

ホッと息を吐いたおおかみは、うさぎの小さな身体を自らの身体で覆います。
決して潰したりしないように、うさぎに負担を掛けないように。
細心の注意を払い、おおかみはうさぎを抱え込みました。

「黎翔さん?」

うさぎが見上げてきます。

「こうしたら暖かいし、ほら、雷の音もあまり聞こえないでしょ?」

ギュッと、懐に抱え込まれ、うさぎは確かに周囲の音があまり聞こえない事に気付きました。

「フフッ…とても暖かいです。」

おおかみの胸にスリスリと頬を押し当て、うさぎは微笑みました。
うさぎの耳に届くのは、トクントクンという優しい音だけです。

外はまだ、雨が降っています。雷も鳴っています。

雨風を凌ぐ、岩穴の中。

おおかみは小さなうさぎを胸に抱いて眠り、うさぎは彼の心音を聞きながら寝息を立てます。


毛並みが濡れ、身体が冷えるこんな雨の日には。

こうやって寄り添って眠れば良いと、二匹(ふたり)は思いました。


END

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よろしくお願いします。

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