兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪その光に手をのばし ♯7【家族】

書ける時には書けるもんですね。
毎日連続更新なんて、慧ネンにしては珍しいです

このノリで、ずっと続けていけたら良いのに…。

あ、夕方アップしたSSSに拍手&コメント、ありがとうございます!
あんな短いお話に拍手やコメント頂いて、申し訳ないくらいです
お返事はまた後日…。

あのお話の黎翔バージョンと、その後のSSSを書こうかなと思うのですが、読みたいと言う方いらっしゃるかな?
あれはあのままで置いといても良いとは思いますが、続きを考えてしまったり、シリアスをハッピーエンドに変えたいと思うのは慧ネンの悪い癖です

読みたいと言う方、手ぇ上げて~!…嘘です。コメントでも良いのでご意見下さい。メールフォームも設置してみましたので、そちらでも良いですよ~

それでは、リクエスト小説の続きです






♪その光に手をのばし ♯7【家族】


バタバタと通路を走ってくる足音が聞こえ、三人はそちらに視線を向けた。
重そうなビジネスバックを抱え、コートを翻しながらこちらに向かってくるのは中年の男性。

「…お父さん!」

黎翔の横で、必死に涙を拭っていた青慎が立ち上がり、掛けていって飛び付いた。

「遅くなってすまない、青慎。」

娘・夕鈴が事故に遭ったと連絡を受け、すぐに車でこちらに向かったのだが。渋滞に巻き込まれ、遅くなってしまった。岩圭は必死に頑張ってくれていた息子・青慎の頭を撫でる。

「親父さん。」
「――几鍔君。君にも迷惑を掛けたね。」
「いえ…。」

家族ぐるみで付き合いのある汀家と几家。
几家の長男である彼には、今まで何度も支えられてきた。
自分より背の高い几鍔の背を、岩圭はポンポンと叩く。

「…あの子は大丈夫だ。妻が、きっと追い返してくれる。」

奇しくも、夕鈴が事故に遭ったのは、岩圭の妻、夕鈴の母親が事故に遭い、亡くなった場所だった。
大切な人を失う悲しみを知る夕鈴は、残された者達を置いて、逝く事はしないはずだ。

「夕鈴は必ず、戻ってくる。」

もう泣くなと、青慎の頭を撫で回している岩圭の力強い言葉を聞き、几鍔は自分の右手を見詰めた。
あの日、この手を握り締めた夕鈴の母親の手が冷たくなっていく感触を、今でも覚えている。
優しく、とても子供思いだった彼女は、自分の娘を連れて行ったりしないだろう。
ギュウッと、几鍔は右手を握り締めた。

岩圭はふと、ベンチに座ったまま、自分たちのやり取りを見ている青年に気付く。

目元は赤く、顔色も良くない。
恐らく、この中で一番憔悴した表情をしている。

「…君は?」

初めて会うはずだが、整ったその顔は、どこかで見た事がある。
彼がベンチから腰を上げ、「初めまして」と頭を下げた。
立ち上がると、几鍔とそう変わらないほど背が高い。

「…まだ挨拶してなかったのか?」

几鍔に意外そうに聞かれ、黎翔は困ったように眉を下げ、頷いた。

ただでさえ、芸能人と一般人というハードルがあるのに、自分があの『珀』の人間だと知られたら、彼女の身内にどう思われるか。
そう思うと、なかなか彼女の家族に…、父親に会う事が出来なかった。

けれど今となっては、もっと早く、きちんとした場所と時間を取って、挨拶をしておけばよかったと思う。
まさか、病院の待合で、彼女の家族に初めて挨拶をする事になるなんて。

「姉さんの彼氏だよ、お父さん。」

言いあぐねていると、父親から離れた青慎が隣に来て、黎翔の手をぎゅっと握ってくれた。

「か、彼っ…!?」

「珀黎翔と、申します。…夕鈴さんと、お付き合いさせて頂いてます。」

とても温かい青慎の手に勇気をもらい、黎翔は岩圭に挨拶をしたが、可愛い娘にすでに彼氏がいる事を全く知らなかった彼は、ガツンとショックを受けたようだ。

けれど深々と頭を下げる黎翔を見て、困ったようにポリポリと頭を掻いた。

「あの子に…こんな大人の、恋人がいたなんて…。」

幼くして母親を亡くし、それから夕鈴は汀家の母代りだった。
遊びたい盛りの年頃から、オシャレに夢中の年頃になっても、バイトに家事に明け暮れる毎日を送っていた夕鈴。
けれど父親の岩圭にとって、彼女はまだ子供だった。

「そうか…。夕鈴になあ…。」

ちょっと涙を浮かべ、遠い目をしている岩圭を見て、几鍔は「頑張れよ?」と黎翔を冷やかした。


微妙な空気を晒しながら男四人がベンチに並んで座っていると、手術室のランプが消えて看護師が顔を出した。

「…ご家族の方、どうぞ中へ。」
「あの…!」

立ち上がった岩圭が、看護師に声を掛ける。

「彼らも、良いですか?家族のような存在なので…。」

その言葉を聞いて、黎翔は目を見開く。

看護師に許可をもらった岩圭は、「几鍔君、黎翔君も中へ。」と二人を促した。

こんな時に娘の恋人だと言う男がいきなり現れても、認めてもらえるはずが無いと思っていた。
ここは長期戦で、夕鈴の父親にお付き合いの許可をもらうしかないと。

なのに今、彼は何と言ってくれた?
初対面の自分を『家族のような存在』と言ってくれたのだ。

目頭が熱くなり、黎翔は片手で目元を覆う。
嬉しくて、溢れる涙を止められなかった。

泣きながら立ち尽くす黎翔の背中を、几鍔が良かったなと言うように、力強く押してくれた。


続く




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よろしくお願いします。

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