兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

♪愛々傘(あいあいがさ)

最近SNSの某コミュに入り浸っている慧ネンです。
更新が無くすみません…。
リクエスト小説の続きは、もう少しお待ち下さい

このお話は6月20日に、SNSの慧ネン宅で記念すべき3000hitを踏まれました、へもへも様に捧げたSSです。

Creuzシリーズです。
先日アップした、1000hitキリリクSS『~♪rainy~』の数日後のお話になります。

そしてこの話を読んだSNS白友からあげ様から、すっごく素敵な絵を頂きましたので、こちらにも載せちゃいます
皆様もご堪能あれ…

※タイトルは、誤変換ではありませんので、悪しからず…





♪愛々傘(あいあいがさ)


恋人・夕鈴の周囲も静かになり、いつもの日常が戻ってきた頃、梅雨が明け熱い夏がやって来た。

クーラーがきいた車で移動しながら、助手席に座っている浩大が窓にへばりつくようにして空を見上げている。

「…あれ?」
「どうしました?」

運転している李順が、彼があげた声に反応した。

「あっちの方、曇って来てる。一雨来るかも。」

浩大が指差す方向を見ると、確かに厚い雲が覆っている。

「私はこの暑さが和らぐなら、何だって良いです…。」
「…貴様はいつでもだらしが無いな!」

ぐったりとシートに凭れている水月に、悪態を吐く方淵。
その隣で、黎翔は無言のまま空を見上げていた。

数分も経たぬうちに周囲は暗くなり、ポツポツとフロントガラスに雫が落ちてきた。
――と思ったら、あっという間にどしゃ降りになった。

急な雨に、道行く人達が慌てて走りだし、建物の中に逃げ込んだりしている。

「…梅雨明けしましたけど、最近夕立ちが多いですね。」

視界の悪さを気にしながら、李順がうんざりと呟いた時、黎翔は歩道を歩く見知った少年を見つけた。

「李順、止めろ!」
「え?…あ、はいっ!」

少し先で車を停車させる。
彼が車の横に差し掛かった時、黎翔は窓を下ろした。

「――青慎君。」
「あれ…?黎翔さん?」

驚いたように目を見開いたのは、夕鈴の弟、青慎だった。

雨の中立ち話をするわけにもいかず、彼を車の中に招き入れる。
何より、こんな所で話をしていて、誰かに見られたら大変な事になる。

「夕鈴のお迎え?」
「はい。」

青慎は可愛らしいピンクの傘を手に持っていた。
肩が濡れているのを見て、水月がタオルを差し出すと、青慎は恐縮そうに受け取り雫を拭う。

今日の朝の天気予報では、雨が降る事は言っていなかった。
バイトに出掛けた青慎の姉で黎翔の恋人、夕鈴は、傘を持って行ってない。

「でも傘なんて、今時どこでも売ってるだろ~?」

コンビニや駅の中の売店でも、安いビニール傘が売られているはずだ。何もこの雨の中、傘を持って迎えに行かなくても良いのではないか?

浩大の問いに、青慎は苦笑いをする。

「姉さん、勿体無いって傘を買わないんです。」

それを聞いて、全員が無言になる。

「雨が降るたび買ってちゃ、ビニール傘ばかりになって邪魔になるとか言って。どうせ家に帰ったらお風呂に入れるからって、濡れて帰ってくるんですよ。」

そのくせ、自分や父が同じ境遇になるとすぐ傘を買うように言う。
濡れて帰ると、涙目になって怒る。

「姫ちゃんらしいねえ♪」
「夕鈴さんらしいです。」

その光景が目に浮かぶようで、それぞれが苦笑い。

「…笑い事じゃないんです!」

青慎が困ったように叫ぶ。

夕鈴はずぶ濡れになって帰ってくる事もしばしばで、着ている服が肌に貼り付いて、時々下着が透けて見えている時もあるという。

ピシリ…と車内の温度が下がり、黎翔から絶対零度の空気が噴き出す。

「怖ええ!怖ええからやめろ!!」

誰もが蒼褪め、浩大が全員の心情を察するように悲鳴を上げるのだった。

***

駅の改札口を出ると、「夕鈴」と声を掛けられた。
そちらに目をやると、そこには眼鏡をかけた恋人が壁に凭れて立っていた。

「れ、黎翔さん?」

彼に駆け寄り、どうして…と夕鈴は首を傾げる。
降り出した急な雨に、いつものように青慎から「迎えに行くから駅で待ってて」とメールをもらっていた。
なのに、迎えに来てくれたのは弟ではなく彼氏。

「せ、青慎は…?」
「途中で会ってね?夕鈴を迎えに来たって言うから、変わってもらっちゃった♪」

ニコニコしながら言った彼は、夕鈴の表情を見てしゅんと項垂れる。

「僕より、弟君のお迎えの方が良かった…?」

耳がペシャン、尻尾がへにゃりと力を無くした(幻が)見えて、夕鈴は慌てた。

「そ、そんな事ないです!」

多忙な彼が迎えに来てくれて、とても嬉しい。

「さ、行こうか?」

さりげなく夕鈴の腰を抱いた黎翔は、帰ろうと彼女を促す。

「あ、あの…黎翔さん?」
「うん?」
「…何で傘、一本しかないんですか?」

夕鈴は不思議に思い、呟いた。
青慎に会ったのなら、彼が持っていたはずの自分の傘がある筈だ。なのに、黎翔が持っているのは、群青色の大きな傘一本だけ。

「え?…だって、必要ないでしょ?」

ニコニコ笑う彼は、傘を開き夕鈴の身体を引き寄せると。

「恋人同士の僕達には、これ一本で充分だ。」

ニヤリと、妖艶な笑みを見せた。

「ちょっ…ダメですよ!誰かに見られたら…!」
「大丈夫、大丈夫!」

焦って離れようとする夕鈴に対し、黎翔は平気だと笑う。

「みんな急な雨に気を取られて、僕たちの事なんて目に入ってないよ?」

彼の言うように道行く人は皆、家路を急ぐように駆けていく。
確かに、黎翔の素性に気付いているような人はいない。

「もっと寄って?肩が濡れちゃうよ?」

ホッと力を抜いた夕鈴の肩を抱き寄せる。
小柄な夕鈴は、黎翔に寄り添うように歩く。

背中に感じる温かい彼の体温。
パタパタと傘に雨が当たり、弾ける音。

この世に、たった二人だけでいるような錯覚を受ける。
スリ…と、夕鈴は黎翔の胸元に頬を押し付けた。

「――どうしたの?夕鈴。」

黎翔が驚いて足を止めた。
人前で甘えてこない彼女の初めての行動に、彼はタジタジになっている。

「ううん、何でもないの…。」

こんな些細な事なのに、彼が傍にいてくれたらすごく幸せ…。

雨の音を聞きながら、夕鈴は黎翔にしがみ付き、静かに目を閉じる。
そんな彼女を見て、黎翔は身体を屈める。

大きな傘の陰で、二人の唇が重なった。
唇を離しそっと目を開くと、潤んだ瞳で見詰めてくる夕鈴。
至近距離で見詰め合った後、黎翔はもう一度、今度は短いキスを送った。

♪愛々傘(からあげさまより)
(からあげ様より、素敵な絵を頂きました


「――帰ろう、夕鈴。」

青慎君も待ってるよ、と言われ、夕鈴は小さく頷く。

本当は、この狭い世界で、もう少しだけ二人でいたい。
そう思いながら黎翔の腕に凭れ掛かると、彼は優しく肩を抱いてくれた。

夕暮れが迫る道を、二人は雨の中歩く。
隣にいる互いの温もりを、感じながら…。


END

リクエスト内容【梅雨の時期ですので、Creuzシリーズの二人が相合傘してる所が読みたいです(^m^)】

※リクエストを頂いたのが、梅雨の時期でした。そして書くのが遅すぎて、梅雨が終わってしまうと言う最悪な事態に…
という事で、梅雨ではなく、通り雨という事にしました。

黎夕と言うより、Creuzのメンバーがでしゃばっちゃってます
素敵なリクエストを、ありがとうございました

からあげ様、ブログ掲載の許可頂き、ありがとうございます
とっても嬉しいです~
幸せな萌の連鎖でした


関連記事
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

プロフィール

高月慧ネン

Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

キリの良い数字を踏まれた方は、ご連絡下さい♪

ご訪問中のお客様

現在の閲覧者数:

にほんブログ村ブログパーツ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。