兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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ハラハラ?波乱な慰安旅行 前編

『上司と部下シリーズ』に見せかけて、実は、お遊びSSです。

思った以上に好評だった上、「今度は上司と部下の二人が、ピクニックで行った森でおおかみとうさぎに再会すると言うのはどうですか?」と言うコメントを頂きまして。

それ、面白そう…!と思い、書き始めました。

と言う事で、内コラボ第二弾も『上司と部下シリーズ』×『おおかみとうさぎのお話』です。

結局、二人のピクニックが想像出来なくて、一課の面々と慰安旅行に行く事にしました。
今回のお話は、『ラブリィ♥マスコット?』より少し未来の話になります。
前回は両片想いだった二人ですが、今回は恋人同士の設定です。

そして、またしても有り得ない設定ですが、お遊びなので細かい事は気にせず、笑って許して頂けたら嬉しく思います。

では、どうぞ!

まさかの前後編になりました…



ハラハラ?波乱な慰安旅行 前編


白陽コーポレーションには、課ごとの慰安旅行がある。とは言っても、一度に全員が会社を空けるわけにはいかないので、半分ずつに別れて二回行くようになっている。

都会からバスで数時間の山間にある、古風な温泉宿。
小さいながら老舗で、露天風呂が有名な知る人ぞ知る旅館だ。
高台にある旅館のすぐ裏手には広大な森が広がり、イノシシやイタチ、もっと奥深い場所ではクマやオオカミの目撃例もある。

旅館に辿り着いた一行は、割り当てられた部屋に荷物を運び入れた後、温泉に浸かり夕食を楽しんだ。
そんな中、運よく一緒の組になった課長の珀黎翔と部下の汀夕鈴は、他の社員の事など目に入らず、二人で仲良くしけこんでいた。

――いや、それには語弊がある。

数年かけてようやく両想いになった二人。
仲の良い女子社員と一緒に色々楽しもうと計画していた夕鈴を、黎翔が離さなかったのだ。

社員達は男女別の相部屋だが、課長である黎翔だけは一人部屋だった。
夕食の後、さっそく夕鈴を拉致し、自分の個室に引っ張り込んだ。

それが気に入らなかったのは、夕鈴である。
夕食の後、卓球でもして遊ぼうと計画していたのに、黎翔に捕まってしまった。

黎翔曰く『食後の運動』として、畳の上に敷かれた布団に押し倒され、伸し掛かられて、危なく食われそうになり、必死に抵抗した後、黎翔にビンタを喰らわせて、彼の部屋から飛び出した。

乱れてしまった浴衣を直し、泣き顔を誰かに見られるわけにもいかず、夕鈴は気持ちが落ち着くまで、旅館の周囲を散歩する事にした。
懐中電灯を片手に裏口からそっと抜け出した彼女に、気付いた者はいなかった。

「バカバカ!…課長の馬鹿!」

カラカラと下駄を鳴らて、夕鈴は黎翔の悪態を吐きながら歩く。

入社した時からずっと好きだった黎翔と両想いになれて、しかも彼も自分の事をずっと好きだったと言う事を知って、夕鈴はとても幸せだった。

確かに、彼に抱かれるのはとっても気持ち良い。
けれど、それと同じくらい怖くもある。

誰かと付き合うのが初めての夕鈴の戸惑いを、黎翔は全く分かっていない。
それに…。

(二人だけで部屋に閉じ籠っていたら、ナニしているか皆にバレバレじゃない…!)

つまりの所、夕鈴は他の社員に自分達の事を知られるのがとても恥ずかしかった。

30分ほど歩いて、大分体が冷えてきた夕鈴はそろそろ帰ろうと踵を返そうとした。
その彼女の足元を、何かが横切る。

「…きゃっ!?も~、ビックリした。」

恐らく動物だと思うが、驚いて思わず懐中電灯を落としてしまった。
何かに引っ掛かったのか、転がっていたそれが止まったのが、光が動かなくなった事で分かる。
旅館の灯りは遠くに見えているが、この暗闇の中、明かりもなく帰る事は難しそうだ。

月明かりの中目を凝らしながら、しゃがみ込み懐中電灯に手を伸ばす。

「――よし!届い…っ!!」

それを掴んだ瞬間、彼女の足元がぐらりと傾く。

『裏山には、近付かれなきようお願い致します。動物も出ますし、足場も悪くなっておりますので。』

旅館に着いた時の、女将の言葉が頭をよぎる。

「きゃあああああ…!!」

足場を失った彼女は、まっさかさまに森の中に落ちて行った。


黎翔は布団の上に座り込んだまま、不貞腐れていた。
彼女が思いっ切り引っ叩いてくれたので、頬はジンジンとした痛みを伴っている。

彼女が奥手で、こういう事に慣れていないのは重々承知だが、それでも、ようやく恋人同士になれたのだ。
黎翔としては、いつでも彼女を貪っていたいのが本音。

イライラしながら何本目かのタバコを吸い、夕鈴が飛び出して行ってから30分以上たって、彼はようやく重い腰を上げた。
夕鈴はああ見えて、とても頑固である。
こうすると決めたら、自分が納得するまでテコでも思いを変えない。
喧嘩をした後は、早く仲直りをしないと長引く事を、黎翔は経験から知っていた。

部屋を飛び出した夕鈴の行き場所は限られている。
自分に割り当てられた相部屋か、卓球やビリヤードが出来るロビーか、また温泉に入っているか。

女湯を覗くわけにはいかないので、黎翔は取りあえず彼女が泊まる部屋に行って、他の部下に聞いてみる事にした。夕鈴の幼馴染で大親友の明玉もいるので、部屋にいなくても居場所はすぐに分かるだろう。

そう思いながら部屋に向かった黎翔は、自分の考えが浅はかだった事を知る。

「…悪い、汀は戻っているか?」

お喋りに花を咲かせていた女性社員達は、突然やって来た課長の言葉にシーンとなった。
――何故なら。

「課長…、一緒にいるんじゃなかったんですか?」

呆然としている彼女らの表情を見て、決して嘘や冗談で言っているわけではないと言う事が分かる。
すぐに踵を返し走り出した黎翔を、数人の社員が追ってくる。

「課長、私女風呂確認してきます!」
「私は最上階を!」
「じゃあ、私は○階を探します!」

指示を出さなくても、彼女達は自分で判断してそれぞれの場所に散っていく。
ロビーに向かった黎翔は、必死に夕鈴を探すが、娯楽を楽しむ宿泊客の中に、彼女の姿はなかった。
フロントで聞いてみるが、彼女の姿を見た従業員はいなかった。

だが数分後、裏口に置いてある下駄が一足無くなっているのに気付き、夕鈴がここから外に出た事が分かる。
懐中電灯で辺りを照らしながら、夕鈴の名を呼んで進む。彼女が通っただろう道を辿るが、呼びかけへの返事もなく、彼女に会う事はなかった。

「…課長!」

呼ばれて、黎翔はその男性社員の元へ向かう。

「どうした?」
「これ…。」

彼が指を指した場所は、土が削れていた。
懐中電灯で照らし下を覗くと、何かが滑り落ちたような跡がずっと続いている。

「――課長。」

傍に集まってきた社員全員が蒼褪めている。
信じたくないが、夕鈴はここから落ちた可能性が高い。

周囲を捜索して、きちんとした道ではないが、何とか下に降りれそうな場所を見付けた。

「本当に行くんですか?課長…。」

足場を確認している黎翔に、部下達から不安げな声が掛かる。

この闇の中、夕鈴を探す事は困難に近い。
また、黎翔自身にも危険が及ぶ可能性もある。
けれど、このままじっとただ待つだけなんて出来ない。

「旅館に戻ったら、女将に事情を離して警察を呼んでもらえ。それから、もし明日の朝までに私が戻らなかったら、二課長に連絡して、指示を仰げ。」

まだ不安な表情をしている部下達に「いいな?」と念を押して、黎翔は彼らを励ますように微笑んだ。


半分滑り降りながら、草を掻き分け道なき道を進む。
急な斜面はかなり続いていて、すぐに深い木々に遮られ月の光りは届かなくなった。
懐中電灯の灯りだけを頼りに、黎翔は夕鈴の痕跡を探す。

数十分経った頃、不自然に草が倒れていたり、木が折れている場所を見付けたが彼女の姿は何処にもない。
地面を照らした黎翔は、それを見て戦慄する。
土と草に、真っ赤な血が点々と付いていた。

「――夕鈴!どこだ!?」

叫ぶように名を呼んでみても、深い森に木霊すだけで彼女からの返事はなった。
注意深く前に進んで少し経った頃、黎翔は自分以外の何かの息遣いを感じた。

――人、ではない。
何かもっと…、そう、大きな動物のような…。
懐中電灯の明かりを消し、木の陰に身を潜める。

暫くすると、辛うじて目で確認出来る距離を、黒い影が横切った。
黎翔はギクリとする。
それは、鋭い牙を持つ獰猛な動物、――狼だった。


続く


夕鈴、ピンチ…!?
あれ?お遊びSSのつもりが、何か遊びじゃなくなってきた…(*_*;


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