兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home ~初対面は最悪~

こんばんは、慧ネンです。
更新停滞中のお話もあるのに、ごめんなさい…
性懲りもなく、某所で言っていた新しいネタです

続きがありそうで、続くか分かりませんが、とりあえず二人の出会い編。
様子見として、短編に放り込んでみました。
需要があるようなら、新しいカテゴリを作ると思います。

※注意※

・現代パラレルです。27歳社会人×17歳高校生。
・黎翔さんが二人の子持ちです。(夕鈴との子ではありません)
・夕鈴に対する、彼の態度が(最初の方は)酷いです。
・オリキャラが出ます。
・色々おかしい設定です。


どんな話でも許せると言う強者だけ、お読み下さい




「お姉ちゃん。あのね、弟が大変なの。」

夕鈴が女の子にそう声を掛けられたのは、バイトが無いある日の、帰宅途中の公園でだった。


My Sweet☆Home ~初対面は最悪~


汀夕鈴、17歳。
親元を離れ、学校の近くにアパートを借り、一人暮らしをしている女子高校生である。
将来はカフェかケーキ屋さんを開きたくて、そのために勉強中&バイトをして資金集めの途中だ。

新しいお菓子のメニューが浮かんだので、バイトが無い今日は試作品でも作ってみようとスーパーの寄った後、いつも通り抜ける公園で、小さな手に袖をツンツンと引かれた。

驚いて振り返ると、涼しげな紅い瞳をした、とても利発的な可愛らしい女の子が、ジッとこちらを見上げている。
周囲を見渡しても、彼女の親らしき大人の姿はない。

「お嬢ちゃん、一人?」
「うん。」
「パパとママは近くにいるの?」
「ううん。パパは仕事で、ママはいないの。」

しゃがみ込んで目線を合わせ、色々質問してみると、彼女はしっかりと受け応えしてくれた。

「弟君が大変って、何かあったの?」
「…あのね、お腹が空いたって泣いてるの。いつもはパパが用意してくれてるんだけど、今日は慌てて仕事行ったから、何もないの。」
「えっ!?…もしかして、お昼ご飯も食べてないの?」

こくりと、彼女は頷く。
夕鈴は絶句した、今は夕方である。

あまり人様の家庭の事情に踏み込むのは、夕鈴としては避けたいと思うが、こんな小さな女の子が、お腹を空かせて泣いている弟の為に、助けを求めてきたのだ。
ほっとけるわけがない。

「お家は近いの?」
「うん。あそこだよ!」

指を指した方向を見て、夕鈴はさらに目を見開く。
彼女の小さな指の先、そこには、最近建った超高級マンションがそびえ立っていた。
何階建てかは知らないが、夕鈴はマンションを仰ぎ見て、しばらく硬直したのは言うまでもない。


「私は夕鈴、お嬢ちゃんは?」
「聖蘭(せいら)」

小さな小さな拳を握り、二人は手を繋いでマンションに向かった。
聖蘭に案内され、夕鈴はマンションのエントランスを潜った。
警備員がチラリとこちらを窺ってきたが、ここの住人と一緒の場合は、比較的警戒は緩いようだった。
カードキーでロックを解除しながら進んでいく聖蘭を、複雑な思いで見詰めていた。

直通のエレベーターで最上階まで行くと、そこは他の階とは違い、部屋は一つしかないようだ。
ここまで上がってきたのだから、当然その部屋は彼女の自宅と言う事になる。

「どうぞ上がって下さい。」

幼いながら教育はしっかりしているのか、玄関の扉を開けた聖蘭は、夕鈴に向かってぺこりと頭を下げた。
その仕草が可愛くて、夕鈴は心が温かくなる。

「お邪魔します。」

クスクス笑って少女にお辞儀を返し、夕鈴は部屋の中に入った。

「――清良。」

リビングに入り、聖蘭が声を掛ける。
広いリビングのソファの上に、彼女よりさらに幼い男の子が座っていた。
『きよら』と言うのが、この子の名前なのだろう。
随分泣いたのか、目元は赤くなってしまっていた。
年齢を聞くと、二歳と言うのだから驚く。
こんな幼い姉弟だけを残して、仕事に行く父親とは一体どんな人物なんだろう。

二人を育てるにもお金はかかるし、働くのは仕方が無いにしても、家政婦を雇うとか、託児所に預けるとか、何か手はなかったのだろうか…。

そう考えて、夕鈴はハッとして首を振る。
家庭には、その家庭ごとの事情もある。
勝手に踏み込むのは、失礼な事だろう。

今の自分にできる事は、二人にご飯を作ってあげて、彼女達の父親が仕事から帰ってくるまで傍にいてあげる。
余計な詮索や、お節介は出来るだけしない方が良い。

キッチンを覗いてみて、夕鈴はさらに目を見張った。
シンクには、積み上げられた食器と、カップ麺や出来合いの物らしい、惣菜のトレー。
まさかと思って洗面所に向かうと、洗濯機には放り込まれたままの衣類。
リビングは比較的片付いていたが、奥の洋室は様々なものが押し込まれている。

ひくひくと、夕鈴の蟀谷が痙攣する。
二人の父親は、まったく生活感が無い人間なのかもしれない…。

取りあえず、ごみを素早く分類して片付け、溜まっていた食器を洗う。
パパッと軽い食事を作り、まずはお腹を空かせている二人に食べさせてあげた。
学校の帰りに寄ったスーパーで、お菓子の材料と共に夕飯の材料も買っておいて良かったと夕鈴は息を吐いた。

夕鈴は4つ下の弟がおり、早くに母親を亡くしてから、幼い弟の面倒を見てきた。
人並み以上とはいかないが、ある程度の事は出来る。

二人がリビングで仲良くテレビを見ている間、勝手に悪いと思ったが、チャチャッと洗濯機を回し、物置と化してる洋間も、出来る範囲で片付ける。
洗濯物の中には男性ものの下着もあったのだが、実家で父や弟のそれを見慣れているからか、夕鈴は全く気にせず作業を続けた。

二人の父親はあまり家事をしないのかと思ったが、キッチンは意外と器具が揃っていたし、とても豪華な食器乾燥機付きのシンクで、夕鈴を驚かせた。
二人の母親が料理好きだったのかな?と不思議に思った。

聖蘭に出してもらった大き目のバスタオルを身体に巻いて、夕鈴は二人をお風呂に入れた。エプロンもないし、着ている制服を汚したり濡らすわけにもいかず、苦肉の策だった。

きちんとドライヤーで髪を乾かしてあげていると、清良はうとうとと舟を漕ぎはじめる。
いつも二人で寝ていると聖蘭が言う和室に、まず彼を寝かせる。
聖蘭がもう少し話をしたいと言うので、布団の上に横になった状態で、内緒話をするように女同士の話をした。

「パパはいつもこんなに遅いの?」
「…ううん。早い時もあるよ。」
「聖蘭ちゃんはパパのこと好き?」
「――分かんない。あんまりパパと話した事ないから。」

別に悲しむようでもなく、淡々とそう答える彼女が、とても可哀想だと思った。

すうすうと可愛らしい寝息が聞こえ、夕鈴は布団をしっかり掛けてあげると和室を出た。
キッチンで、明日の二人のおやつにと思いながら、プリンを作って冷蔵庫に仕舞う。
セットしておいた洗濯はすでに乾燥も終えていて、本当はお日様に当てて乾かしたいんだけどなと思いながら、きちんと畳む。

ふとリビングの時計を見れば21時を回っていた。
二人の父親は、何時頃に帰ってくるのだろうか。
幼い二人だけを残して帰るのも心配だが、家主がいない家にいつまでも部外者の自分がいるのもおかしな話だ。
それにこれ以上遅くなると、色々拙いのではないかと思う。

どうしようかなと思った時、玄関の方からガチャガチャと鍵が回る音がした。
やっと帰ってきたと思い、夕鈴がソファから腰を上げた時、一人の男がリビングに入ってきた。

とても容姿端麗な男は一瞬目を見張り、そして不躾な視線を夕鈴に向けてきた。
夕鈴はというと、二人の父親が思っていた以上に若かったので、驚いて言葉もなく、つい見つめてしまった。
実年齢は分からないが20代前半と言っても通用するほど若く見える。
二人の子持ちとは、とても思えない。

暫く見詰め合っていると、男が急に顔を顰めた。

「――あんた、誰?」

聞かれて、夕鈴はハッとする。
確かに彼とは初対面だ。
自分の家に帰ってきたらいきなり知らない女がいたら、そりゃビックリするだろう。
夕鈴がここに来た経緯を、彼は知らないのだから。

「あ、あの、私は汀ゆ「…ああ、金目当て?いくらでもやるからさっさと出てけ。」…」

名乗ろうとした夕鈴の言葉を遮って男が言った事は、とても失礼な事だった。

「…はあっ!?」

素っ頓狂な声が上がるが、気にする暇もない。
今、この男は何て言った?

公園で幼い女の子に声を掛けられて、心配になって色々世話を焼いた。
確かに何かの見返りを求めてやったわけではないが、それにしても理由も聞かず、随分な物言いではないか。

男が脇に抱えていた鞄から財布を取り出し、そこから一万円札を数枚抜き取っている。
「ほらよ」と差し出されたそれを、夕鈴は男の拳ごとパンと払った。

「――失礼ね!!バカにしないで!こんな物いらないわ!!」

ギッと男を睨んで、夕鈴はリビングの入り口に立て掛けてあった自分の鞄を掴むと、どすどすと足音を響かせて玄関に向かう。

「…お邪魔しましたっ!!」

幼い姉弟が寝ている事も忘れ、夕鈴はバタンと力任せに扉を閉めて部屋を出た。

「――何よ、あれ!!」

ムカつく、ムカつく!と心の中で思いっ切り悪態をつきながら、夕鈴は暗い夜道をアパートに向かって歩く。
聖蘭と清良との温かい交流が、一気に冷めていくように感じる。

「思うのは勝手だけど、言い方ってものがあるでしょ!」

胡散臭い者を見るような、男の不躾な瞳。
訳も聞かずに罵るなんて、失礼極まりないと思う。
あの男、二人の父親は最悪だけど…。

「プリン、食べてくれるかしら。」

メモも残さずに飛び出してきてしまったので、二人は冷蔵庫の中のその存在に気付かないかもしれない。
もう会う事はないかもしれないが、食べてくれたら良いなと、二人の小さな姿を思い出す夕鈴だった。


END


一応主人公の一人なのに、黎翔さん、名前が出ませんでした

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  • 2013.11/06 00:22分 
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  • 2013.11/06 18:39分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

おお!早や清き一票が…!
このお嬢様は、小さいけれど意外と策士ですよ。侮れません(・。・;
可愛さを武器に、夕鈴を引き込んで行く事でしょう(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
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  • 2013.11/07 00:56分 
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Re: 面白かったです 

ななちよ様

ツボ入っちゃいましたか(^^♪
慧ネンも最悪な出会い方をした二人がいじいじ、ジレジレとゆっくり仲良くなっていく話が好きなんです。(だからついついそんな話を書いてしまう)
黎翔も夕鈴の可愛さや素晴らしさを早く自覚して、甘やかしまくったら良いと思うのですが、今回は子供達の手前、それは無理?
前途多難でどうなるか分かりませんが、頑張ります☆
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/07 01:01分 
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Re: ふふふのふ( ̄ー ̄)ニヤッ 

なつきりん様

どうなるでしょうね…。
一応考えてはあるのですが、日が空けば空くほど、内容が変わってきているような気がします☆
夕鈴を思いっ切り不審者扱いの黎翔さん。
子供達に詰め寄られたら良いよ(^^♪
少しは人を信用する事を、黎翔さんはまず覚えなければいけません(*_*;
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/07 01:06分 
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Re: タイトルなし 

からあげ様

くっつく所までって…遠っ!m(__)m
どちらかと言うと、シリアス目になりそうなこのお話。
続きを期待している方が結構おいでるので、頑張ってみようと思います。
黎翔さんが早く夕鈴の魅力に気づいたら、万事解決になるのにm(__)m
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/07 01:09分 
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Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

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