兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home ~二度目も最悪?~

ふと浮かんできたネタに中身を付けて、ちまちまアップしてみたこのお話。
何故か需要があるようなので、続きをアップしてみます。

初対面が最悪だった人物とは、何度会っても最悪のまま?

未だ名前も出てこない父親は、今回も酷いです。
ラスト、ちょっと大人風味を示唆する終わり方をしてますが、今後はどうなるか分かりません。

どんな話でも許せると言う方のみどうぞ。




My Sweet☆Home ~二度目も最悪?~


あの子たちは、どうしているだろうか?

帰宅途中に公園を通るたび、夕鈴は最近出会った幼い姉弟の事を思い出す。
学校からの帰り道、この公園で一人の少女―聖蘭に声を掛けられたあの日からすでに1週間が過ぎていた。

お腹を空かせた弟が泣いていると、助けを求めてきた聖蘭。
案内されて彼女の自宅に向かうと、リビングには2歳の弟・清良がいた。
父親が急いで仕事に行ったせいで、いつもは用意されている食事がなく、二人はお昼ごはんすら食べていなかった。

家政婦もベビーシッターも雇わずに、こんな幼い子供達だけを残し、仕事に行く二人の父親は一体どんな人間なのだろう?

二人を寝かしつけて待っていると、21時を過ぎてようやく彼女達の父親が帰ってきた。
お節介だとは思ったが、一言言ってやろうと思っていたが。

彼は夕鈴を見るなり、とても失礼な事を言い放った。

(あ、何だかムカムカしてきた。)

あの日の事を思い出し、夕鈴は顔を顰めた。
余りの態度に腹が立って、怒鳴って飛び出してしまった事を、特に悪いとは思わない。
けれど、聖蘭と清良の事がどうしても気になってしまう。

ご飯はきちんと食べてるかな?
また泣いてないかな?

「…なんて、心配してもどうにもならないんだけどね。」

苦笑いしながら、一人ごちた。
きっと、もう会う事はない。

――そう思っていたのに。


「…お姉ちゃん。」

あの日と同じように、小さな手に袖を引かれた。
あの日と違うのは、その少女に会うのが2度目だと言う事。

「聖蘭ちゃん…。」

宝石のように綺麗な紅い瞳が、ジッと夕鈴を見上げていた。

スーパーに寄った後、夕鈴は聖蘭と手を繋いで、彼女の自宅に向かった。
聖蘭には悪いが、正直彼女の父親には2度と会いたくはなかった。
けれどあの日と同じように、今日も父親が急に仕事になり、食事の用意がされていないと言うのだから仕方が無い。幼い姉弟には、何の非もないのだから。

リビングにいた清良は、夕鈴を見るなりにぱっと笑い、抱っこをせがむように手を伸ばしてきた。

「まぁま。」

夕鈴の事を母親だと思っているのか、抱き上げるとそう言ってキャッキャッと歓声を上げた。

「…あの日、パパに怒られたりしなかった?」

キッチンで野菜を洗いながら、夕鈴は気にしていた事を聖蘭に聞いた。
対面式になっているテーブルで、お絵描きをしている清良を見ていた聖蘭は、夕鈴の言葉に顔を上げ、少し困ったように笑った。

「…うん、私は大丈夫。お姉ちゃんこそ、私のせいでパパに怒られてごめんなさい。」

シュンと項垂れる彼女を見て、夕鈴は苦笑いする。
あれは怒られたと言うのだろうか?
ムカついたけれど、凹んだわけではないから聖蘭が気にする必要はないように思う。

「気にしないで。何とも思っていないから」

だから、これ以上彼女が自分を責めたりしないように、曖昧に言葉を濁した。

今日のご飯はカレーにした。
清良にはもちろんお子様カレー。
聖蘭に合わせて甘口のルウを使ったので、カレーは遠い昔母親が作ってくれた甘く優しい味がした。

食器を片付けて、夕鈴は別に作ったカレー鍋を冷蔵庫に入れた。
実はこれ、二人の父親用に作った辛口のカレーだ。
食べるかどうかも分からないのにわざわざ作り分けてしまった時、夕鈴は自分の生真面目さに嘲笑った。そこまでしてやる義理もないのに、困った性分だと思う。

二人の父親には会いたくないので、もうそろそろお暇しようと夕鈴は腰を上げた。念の為洗面所と先日物置と化していた洋間を覗くと、今日はそれほど惨状にはなっていない。
ハウスキーパーでも呼んだのかな?と思う。

「聖蘭ちゃん、私、もう帰るね。」
「お姉ちゃん、今日はパパが帰ってくるまでいてくれないの?」

しっかりしていても、まだ五歳の彼女。
こういう表情をすると、やっぱり年相応に見える。

「うん。パパに見つかったら、また何か言われちゃうからね。」

表情を曇らせた聖蘭を見て、あの日、やはり父親に何か言われたのだろうと思った。

「…冷蔵庫にゼリー冷やしてるから、明日の朝にでも食べてね。」

寝る前に食べたらお腹を冷やすだろうと思い、朝食のデザートにでもしてくれればと伝える。
こくりと頷く聖蘭の頭を撫でて玄関に向かう夕鈴の後ろを、彼女はトコトコと着いてくる。何も言わないがまだ一緒にいて欲しいのか、寂しそうな顔をしている。

可哀想になって、夕鈴は何かあった時のためにと、携帯の番号を書いたメモを渡した。

「じゃあ、またね。」

靴を履き、しゃがみ込み、聖蘭に目線を合わせてバイバイする。
その時、夕鈴の背後でガチャッと音がして、扉が開いた。

入ってきたのはこの家の家主、聖蘭の父親だ。
彼は夕鈴を見るなり、眉間に深い皺を寄せた。
一方夕鈴も、彼がこんなに早く帰ってくるとは思わなかったので吃驚していた。
顔を合わすとまた言い合いになりそうだったので、今日は早めに帰宅しようと思ったのにとんだ誤算だ。
時刻はまだ20時過ぎである。

「…またあんたか。勝手に人の家に上がり込んで、一体どういうつもりだ。」

ムッとした夕鈴は、頭一つ分以上背の高い男をギッと睨み上げた。

「そっちこそどういうつもり?こんな幼い子供達だけ残して、仕事に行くなんて!」
「それはこちらの都合だ、あんたには関係ない。」

ムカムカ
ああ言えばこう言う。
自分のしている事が、本当に正しいとでも!?

「関係無くないわ!こんな小さい子に助けを求められて、助けないでいられると思う!?」

思わず大きな声で怒鳴ると、男が少しだけ怯んだ。

「大体ね!お夕飯ぐらい用意してから仕事に行きなさいよ!清良ちゃんなんて、初めて会った時お腹を空かせて泣いてたのよ!!」
「…菓子でもなんでも、食ったら良いだろ。カップ麺もあったはずだ。」
「夕食がカップ麺だけなんてありえないわ!それに、子供達しかいない時にコンロを使わせないで!聖蘭ちゃんはまだ五歳なのよ!?」
「煩いな、今までだってこうして来たんだ。子供達も、ほっといても勝手に育つだろ。」
「――何よそれ!!」

吐き捨てるように言った男に、夕鈴の堪忍袋がプツンと切れた。

「まるで犬や猫みたいな言い方しないで!子供には親の愛情が必要なのよ!?仕事に行かなければいけないのは仕方が無いにしても、その間面倒を見てくれる、家政婦さんやベビーシッターを雇いなさいよっ!!」

こんな大きなマンションに住んでいるのだから、金銭的に無理と言う事はないはずだ。
自分で面倒を見れないなら、仕事の合間だけでも親戚に頼むとか、子供達のために何か手を打つべきなのに…。
どうしてそれをしない?

「…めんどくさい。」

カッとなった夕鈴は、思わず手を振り上げていた。
パンと乾いた音が玄関に響いて、夕鈴はハッとして身体を硬直させた。

「――やったな?」

別に大して痛くもなかったくせに、男は少し目を見開いた後、獰猛な笑みを見せた。

「きゃ…!痛いっ、離して!!」
「パパ!やめてっ!」

夕鈴の悲鳴に、怖々と二人が言い合っているのを見ていた聖蘭が声を上げる。

父親が夕鈴の事を良く思っていないと言う事は気付いていたが、聖蘭はどうしてもまた会いたかった。
だから父親の留守を良い事に、夕鈴をまた家に連れてきた。

「聖蘭が悪いの!だからお姉ちゃんを怒らないでっ!!」

夕鈴の腕を無遠慮に掴んでいる父に、必死に止めて欲しいと頼む。
血の繋がりもない赤の他人の自分に、優しくしてくれる夕鈴が大好きだった。
苛めないで欲しい、傷付けないで欲しい。
夕鈴が痛みで顔を顰めているのを見て、聖蘭は泣きそうになった。

「聖蘭、お前は向こうに行ってろ。」
「でも、パパっ!」
「…大丈夫だから、向こうに行ってて。ね?」

小さな子供にこんな所を見られたくなくて、夕鈴は彼女に微笑んだ。

「…パパ!約束だからね!…お姉ちゃんに酷い事しないでっ!」
「――ああ。」

いかにも仕方なくと言った感じに答えた父親と、小さく微笑む夕鈴を見ながら、聖蘭は後ろ髪を引かれる思いでいつも寝室として使っている和室に下がっていった。

「さて。」

娘の姿が見えなくなると、男はまた夕鈴の腕を掴む手に力を入れた。
痛みが走るが、声は上げない。
もし聖蘭に聞こえたら、彼女はきっと悲しむから。

夕鈴は歯を食いしばり、キッと男を見上げた。

「威勢がいいのは良い事だが…、あんたは今のこの状態、分かっているか?」
「――何の事でしょう?」
「知り合いでもない男の家に、勝手に上り込んで…。俺に何されても文句は言えない立場だぞ?」
「…は?」

夕鈴は首を傾げる。
この男は、一体何を言っているの?

「世間知らずか、それとも慣れているだけか…。子供達は寝た、若い女と、男が一人。そうなると、する事は一つだろ?」

にやりと妖艶に笑う男を見て、夕鈴の背がゾワッと粟立つ。
経験はなくとも、何も知らないほど子供ではない。
男が言っている言葉の意味を理解した瞬間逃げようとするが、力の差は歴然で、夕鈴に男の束縛から逃れる術は無かった。


END


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  • posted by  
  •  
  • 2013.11/08 23:05分 
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ぅおおーーぃ!! 

黎翔さん(仮)の馬鹿ーーっ!
親切でやってるのに…ていうか、幼子放っておくなんて…!
父親の風上にも置けないっ!
風下に置きましょう←

あ、黎翔さんに(仮)がついてるのは、まだ名前が出てないらしいので、なんとなく(^_^;)
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2013.11/09 00:06分 
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きゃー(,,> <,,)♡ 

はっちが某国の某トピにてリクしたおはなしですねっ♪
今やっと気が付いて2本一気に読んじゃいましたヾ(*´∀`*)ノ

待ってましたぁ(*´艸`)
身勝手な狼さん登場ですね!?

素敵ですっ!
お子様達めっちゃ可愛いですー!

清良ちゃんにいたっては既に母親認定!
ああ、続きが気になりますぅ(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾
  • posted by はっち 
  • URL 
  • 2013.11/09 00:36分 
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  • posted by  
  •  
  • 2013.11/09 08:51分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

ふふ、一体どうするつもりなんでしょうね?
そう遠くない未来に自分の気持ちを自覚した時、盛大に悩めばいいと思います(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/10 00:05分 
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Re: ぅおおーーぃ!! 

さき様

小さな子供を放って仕事に行く親は最悪ですよね(*_*;
風下と言わず、地の果てに置いてやりましょう☆
まだ名無しのごんべなので、黎翔さん(仮)…(笑)
名が出てなくても正体バレバレですね(^_-)-☆
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/10 00:09分 
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Re: きゃー(,,> <,,)♡ 

はっち様

残念ながら、はっち様のリクではありませんでしたm(__)m

とても自分勝手で俺様なお父さん黎翔。
小さくて可愛いお子様たち。
そしてすでにお母さん認定な夕鈴。

この先どうなる事やら…☆
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/10 00:12分 
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  • [Res]

Re: NoTitle 

名無しの読み手様

え!?
酷い黎翔さん、お好みですか?
まだ名無しですけどね(ー_ー)!!
ご訪問、ありがとうございます。
いつも読み逃げですが、慧ネンもたびたびサイトにお邪魔させて頂いてます!(^^)!
続き、頑張りますね!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/10 00:15分 
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