兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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新しい森は、危険がいっぱい~おおかみサイド~

夜分にこんばんは。
慧ネンです。

このお話は、お遊びSS『ハラハラ?波乱な慰安旅行』のおおかみサイドです。

読んでみたいと言うお声を頂きましたので、アップします。
カタカナ表記が多いので、読み難いかもしれません

何気に人気がある、おおかみとうさぎ。
やっぱりマスコット的で可愛いからでしょうか?

うさぎサイドも、需要ありますかね?

では、どうぞ!




新しい森は、危険がいっぱい~おおかみサイド~


夕鈴の生き別れた家族を探す旅を続ける、おおかみとうさぎ。
温かい気温と、優しい風。
今日も良い天気です。

しばらく進んだ二匹は、新しい森へと足を踏み入れました。
そこは先程までと違って、木々が生い茂る、険しい森でした。
けれども、僅かに差し込む太陽の恵みを受け、今まで見た事が無い植物や花、動物も見る事が出来ました。

新しい森は、誘惑が多い分、危険がいっぱいです。
二匹は慎重に進んでいました。

「あ…。」

うさぎの目の前を、見た事もない蝶がひらひらと横切りました。
興味を惹かれたうさぎは、つい、その姿を追ってぴょんぴょんと駆け出してしまいました。
初めての森の上、生い茂る木々に視界を奪われ、兎はすぐに蝶を見失ってしまいました。
がっくりと肩を落とした後、夕鈴はハッとして周囲を見渡します。

「黎翔さん…?」

そこでようやく、うさぎは大好きなおおかみと逸れてしまった事に気付きました。

岩がごつごつとせり出した道を歩いていたおおかみは、ふと後ろを振り返って絶句しました。

「夕鈴…!?」

すぐ後ろを着いてきていたはずのうさぎの姿が、どこにもありません。
いつの間に逸れてしまったのでしょうか?
初めて足を踏み入れたこの森の様子を探るのに熱中しすぎて、すぐ傍にあるはずのうさぎの気配が離れた事に気付くのが遅れました。

――不覚です。

おおかみは唇を噛み締めました。
鋭い牙が自らの身体を傷付け、口の端から血が流れてきましたが、気にしている暇はありません。

この森に、どんな危険が潜んでいるかおおかみには分かりません。
すぐにうさぎの匂いを追いました。
けれど、彼はすぐに彼女の痕跡を見失いました。

何か凄く嫌な匂いがして、鼻が利きません。

「これか…。」

忌々しく、一本の巨木を見上げました。
あまり長く傍にいたくないほど、刺激のある匂いです。
こんな木は、今まで見た事がありませんでした。

おおかみは焦りました。
もう夕刻を過ぎ、日が落ちて夜の闇が周囲を包んでいます。
これからの時間は、夜行性である多くの肉食獣が活動します。
そんな所に、牙も爪も持たないうさぎが一羽でいたら、良い標的になります。
早く見つけなければなりません。

真っ暗闇の中を、おおかみはうさぎを探し回っていました。
初めて訪れた土地で、土地勘もない彼には、とても難しい事でした。
ふと、おおかみは鼻をピクリと振るわせて、歩みを止めます。

血の匂いです。
狼の鋭い嗅覚は、匂いにとても敏感でした。
しかもこれは、動物の物ではなく、『ニンゲン』の血の匂い。

歩調を緩め、匂いがしてくる方向にゆっくりと近付いたおおかみは、見付けました。
大きな木に凭れ掛かる、一人の『ニンゲン』の『オンナ』。
こんな深い森の中に一人でいるなんて、普通ならあり得ない事です。
どこから来たのだろうと、おおかみは思います。

しかも、持っているのは身を護るものではなく、ずっと灯りがついている不思議なモノ。
この森では、役に立ちそうもありません。
怪我をしているらしく、腕を押えています。
この血の匂いは彼女のモノで間違いないでしょう。

ジッと様子を窺っていたおおかみは、ピクリと耳を立てます。
周囲に、自分と同族の気配。
狼の群れです。
血の匂いに引かれ、集まってきたのでしょう。
狙いは、おおかみではなく、血を流している『ニンゲン』のようです。

空気が動き、狼が一斉に飛び掛かりました。
『ニンゲン』が悲鳴を上げて蹲った瞬間、おおかみは思わず飛び出してしまいます。

その声には、覚えがありました。
数年前、初めて街に下りた時、『ニンゲン』が沢山働いている『カイシャ』と言う場所で、出会った『オンナ』の声。

「夕鈴」と、愛しいうさぎと同じ名前を持つ『ニンゲン』。

ギャン!
ガウガウ!

退かなければ喉笛を噛み切ってやるという勢いで、狼たちを蹴散らしました。
彼らが去ると、辺りにまた静寂が訪れました。

ゆっくりと『ニンゲン』に近付くと、彼女はびくりと身体を震わせました。
当然の事でしょう。『ニンゲン』にとっても、狼は畏怖の対象です。
喰われると思ったのでしょう、ギュッと目を瞑った『ニンゲン』の水が流れている頬を、狼は舐めてやりました。
驚いたように顔を上げて、灯りがついている不思議なモノを向けられました。
――眩しいです。

「あなた、あの時の…?」

どうやら数年前に一度会った事を、思い出したようです。

「今日は兎さんは一緒じゃないの?」

そう聞かれて、おおかみは悲しげに目を伏せました。とても大切なうさぎと、逸れてしまいました。
この広い森の中、うさぎは一体どこに行ってしまったのでしょう?

『ニンゲン』をこのまま置いていくわけにもいかず、おおかみは背中に乗れるように彼女の目の前で伏せをします。この闇の中、『ニンゲン』が歩き回るのは危険です。
少し躊躇ったような素振りを見せた後、『ニンゲン』はおおかみの背中に乗り、首にそっと腕を回しました。
うさぎと比べたら重いですが、このくらいなら気にもなりません。おおかみは立ち上がると、ゆっくりと歩き始めました。

「私、大好きな人と喧嘩しちゃったの。」

落ちないように背にしがみ付いてくる『ニンゲン』が、ポツポツと話し始めました。
おおかみは『ニンゲン』の言葉を全て理解出来ます。
問い掛けと言うより、それはまるで独り言のようでした。

「課長にとって、私ってどういう存在なんだろ…。」

おおかみはもちろん、返事を返す事は出来ません。けれど、『ニンゲン』は誰にも言えなかった気持ちを吐露するように、言葉を続けました。

「ただの性欲の捌け口なのかな?」

『ニンゲン』は、何て悩みが多い生き物なのだろう。
背中の毛並みが濡れていくのを感じ、おおかみは『ニンゲン』の世界は生きにくいと思いました。

しばらく歩いていると、背中に乗っている『ニンゲン』が静かになりました。
きっと揺れと疲れからうつらうつらしているのでしょう。もうすぐ夜明けです。

ふと、おおかみは足を止めました。
前方に、『ニンゲン』の姿、今度は『オトコ』です。
おおかみの視力はとても良いです。
遠目でも、『オトコ』の顔を確認出来ました。数年前、背に乗っている『オンナ』を、「夕鈴」と呼んだ『ニンゲン』に間違いありません。
周囲にキョロキョロと視線を彷徨わせている彼が、彼女を探しているのは明らかでした。

おおかみはグルグルと喉を鳴らしました。
目を覚ました『オンナ』が顔を上げて、『オトコ』の姿を確認したようです。

「課長…?」

小さな声で呟きました。
呟きは聞こえるはずが無いのに、『オトコ』は顔を上げこちらを見ました。
そして驚いたように目を見張って、慌てて駆け寄ってきます。
『オンナ』を降ろすためにおおかみがまた伏せをすると、背から降りた彼女は足を縺らせながら走り出しました。


駆け寄ってくる、『オトコ』の傍に。
探し続けた、愛しい存在がありました。
うさぎはおおかみの姿を認めると、ぴょんぴょんと飛び跳ねてきます。

「黎翔さん、ごめんなさいぃ~~。」

余程怖い目に遭ったのか、うさぎは泣きながらしがみ付いてきました。

「無事で良かった、夕鈴…。大丈夫?怪我はない?」

おおかみが問い掛けると、うさぎはこくりと頷きます。
そして顔を上げ、後ろを見ました。
うさぎの視線の先には、『ニンゲン』の姿。
二人はしっかりと、抱き締め合っていました。

「あの人が、危ない所を助けてくれました。」

おおかみが『オトコ』の大切な『オンナ』を守り、『オトコ』がおおかみの大切な、うさぎを守ったのです。
『オトコ』がいなかったら、うさぎに会えなかったかもしれません。

『ニンゲン』は好きにはなれないけれど、この二人なら好きになれそうな気がします。

うさぎと同じ名を持つ『オンナ』と、彼女をとても大切にしている、自分と同じ紅い瞳をした『オトコ』。

「…カチョウって、変な名前だよね。」
「え?」

『オンナ』がずっとそう言っていたので、それが『オトコ』の名前だと、おおかみは思っていたようです。

うさぎは、彼の名を知っていました。
二人が抱き締め合いながら、お互いの名を呼んでいたからです。

「黎翔さん、あのね…。」

うさぎは、クスッと笑っておおかみの耳元で囁きました。

「彼も、『黎翔さん』なんですよ?」

と―――。


おおかみサイド・END


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  • posted by  
  •  
  • 2013.11/11 22:19分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: おおかみさん...♡ 

風花様

お久し振りです~。
リア、忙しそうですね。
お身体ご自愛して、頑張って下さい。

人間黎翔さんは、自分の気持ちをうまく伝える事が出来ないヘタrですから。
それに反し、おおかみ黎翔さんは、思いに忠実で、しっかりしてますからね。
カッコ良く見えるのかもしれません(^^♪
うさぎ夕鈴サイドも頑張りますね!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.11/18 19:08分 
  • [Edit]
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