兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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幼な妻 後編

眠いで~す(*_*;

後編をお届けしてから、寝ようと思います。

このお話は某SNSで慧ネンが参加しているコミュ[新・現代風・時代物な黎翔×夕鈴]にて、昨年5/19~5/23に開催された『幼な妻ーおさなづまー』祭に投下した作品です。

【設定】
現代パラレル
年齢操作あり(黎翔31歳、夕鈴17歳


夕鈴は高校生(←これは外せない)
黎翔は会社員(エリート)

二人は新婚さんです。

では、どうぞ!




幼な妻 後編


授業終了のチャイムが鳴り、今から一時間のお昼休みだ。
夕鈴は明玉他、数人の中の良い子達とお弁当を持って中庭に移動する。
木漏れ日が眩しい木の下で、芝生の上に直接腰を下ろし、お弁当を広げた。

「あれ、夕鈴ちゃんは今日、お弁当簡素だね?」

料理上手な夕鈴は、結構手の込んだお弁当を作る。
材料は普通の物なのだが、夕鈴のレパートリーはかなり多い。
そんな彼女の腕前を知っている友達が、不思議そうに首を傾げた。

今日の夕鈴のお弁当は、普通の卵焼き(普段は具入りの出汁巻き)に、ウインナー(普段はタコだったり、カニだったり)が無造作に詰め込まれているだけ。

「―今日は朝、時間が無かったの…。」

本当の事を言える訳もなく、夕鈴は引き攣った笑いを浮かべた。

朝食を済ませ、彼が洗濯物を干してくれている間に、パパっと作ったおかずを弁当箱に詰めた。

いつもは可愛くデコったおむすびを詰める事もあるのだが、さすがにそんな時間はなく、真っ白いご飯にふりかけをかけただけ。

甲斐甲斐しく世話をしてくれて、何度も謝りながら車で学校近くまで送ってくれた夫。

ここ最近は急ぎの案件もなく、毎日ほぼ定時で帰ってくる彼もきっと、今頃会社でお弁当を食べている頃だろう。

「――悪い事、しちゃったかな…。」

ポツリと呟いた夕鈴の言葉は、誰にも届かなかった。

***

会社の食堂で、黎翔はいつものように愛しい妻が作ってくれたお弁当を取り出す。

「お、今日も愛妻弁当。…奥さん、いつもマメだな~」
「…良いよな~。俺んちなんか、作るの面倒だって言って、作ってくれないんだぜ?」

わらわらと寄ってきた同僚達が、口々に悲しい愚痴を漏らす。

「それにこいつの奥さん、滅茶苦茶料理上手だし。弁当もすごい凝ってんの。」
「新婚さんは良いねえ!」

話を聞き付けた年配の社員が、黎翔の背中をバンバン叩いて離れていく。

愛しい妻が、誰かに褒められるのは嬉しい。
黎翔の口元に自然と笑みが浮かぶ。

「…今日はどんなお弁当なのですか?」
「新作あったら、ちょっと味見させてくれよ。」

私生活の方でも親しい同僚、李順が興味津々に聞いてきて、浩大はさっそく夕鈴の弁当を狙っている。

黎翔の妻がまだ高校生だという事を知っているのは、会社内ではこの二人だけだ。色々問題があるので、他の者には事実を伏せている。

黎翔はお弁当箱を見詰めながら、ホッと息を吐いていた。

朝っぱらからあんなコトして、夕鈴を泣かせてしまった。
彼女は怒って、お弁当を作ってくれないかと思っていたのだが、自分が洗濯物を干している間に作ってくれたらしい。

車で学校に送り、彼女が車を降りる時に渡されてかなりビックリした。

時間もなかったし(それは自分のせいだ)、手の込んだ物は作れなかっただろうが、今日はどんなお弁当を作ってくれたのだろう。

ドキドキしながら包みを解き、パカッと蓋を開けた。

「――ぶっ!!」

吹き出したのは、一体誰だったか。
黎翔の目は点になった。

二段重ねの弁当箱、いつも手の込んだおかずが簡素なのは、今日は仕方が無い。けれど、もう一つの弁当箱には、真っ白なご飯に海苔で書かれた文字。

―― H・バカ ――

真ん中の『・』は、小梅だ。

「こ、これはまた…」

滅多な事では笑わない李順も、笑いを堪えている。

「『エイチ』って何だ?…お前の事なら『R』だし。あ、『珀』のHか?」

同僚が誤解してくれるも。

「…『エイチ』じゃなくて、『エッチ』だろ?あんた朝っぱらから、奥さんにイケナイ事したろ?」

的確に事実を当てて、浩大はニヤニヤ笑う。

――これはまずい。

黎翔は弁当を見詰め呆然とする。
彼女はかなり怒っている。
今夜は、口も利いてもらえないかも…。

蒼白になっている彼の周りで、若い社員達がナニかを想像して顔を真っ赤にさせていた。

***

全ての授業が終わり、鞄に教科書を片付けていた夕鈴はハアッと溜息を漏らす。

朝、止めてと言ったのに止めてくれなかった夫に腹が立って、彼のお弁当に悪戯をしてしまった。

いつも未成年の自分を養うために、朝から晩まで働いてくれている夫。
それなのに、なんて子供染みた事をしてしまったんだろう。

(怒っているだろうな、黎翔さん…)

職場の同僚の方達に、あのお弁当を見られたかもしれない。
もしそうなら、夫は恥をかいた事だろう。

ジワリと滲んできた涙を拭って、夕鈴は唇を噛み締める。

(謝ろう。…黎翔さんが許してくれるまで、謝り続けるしかないじゃない!)

こんな所で、泣いている場合じゃない!
晩ご飯の買い物をして、早く家に帰らないと!!

今日の晩ご飯は彼の好きなものを沢山作ろうと思いながら、夕鈴が席を立った時、教室の入り口から声を掛けられた。

「ゆ、夕鈴ちゃん!」
「汀さん!!」

転がるようにやって来た、クラスメイトの女の子達。

「ど、どうしたの…?」

余りの剣幕に若干引きながら、夕鈴は問い掛ける。

「なんか校門の所で、滅茶苦茶美形な男の人に声掛けられたんだけど!」
「…は?」
「『夕鈴はいますか?』って聞かれて、『まだ教室にいました』って答えたら、『悪いけど、呼んできたくれないかな?』って!」
「…汀さんの名前を言う時、すごく優しく笑ってカッコ良かったあ…!」

まさか、まさか…。
自分に会いに来る男の人って言ったら、父親か弟か、夫。
父親は娘の自分から見てもカッコいい部類ではないし、弟はどちらかと言うと可愛い。
――カッコいいと言ったら、夫しかいない。

「汀さんっ!」
「…夕鈴ちゃんっ!!」

「「「――彼とどういう関係!?」」」

「え…えっとお……」

冷や汗ダラダラで、夕鈴はクラスメイト達を見詰めた。

***

彼は車に凭れ掛かるようにして、立っていた。
会社から直で来たのか、スーツ姿で、ネクタイもきっちり締められたまま。
周囲に集まった女子生徒達が、キャアキャア言いながら彼を見詰めている。
あの中に入っていくのは恥ずかしいが、夫が他の女の子達と仲良く一緒にいるのを見るのは嫌で、夕鈴は意を決して彼に近付く。

「――夕鈴!!」

パアッと、彼が破顔する。
花が咲くような笑顔に、「キャー!!」と甲高い悲鳴が周囲から上がった。

子供のような夫の笑顔に、夕鈴は真っ赤になる。
嬉しそうなその笑みは、彼がとても30歳を越えているとは思えないものだった。

黎翔は周囲の視線を気にせず、まっすぐに愛しい妻の元に向かう。
その手には大きな薔薇の花束。

真っ赤な顔で自分を見上げてくる彼女の前に立つと、スッと花束を差し出す。

「…今朝は本当にごめん。――許してくれる?」

たったこれだけで許してもらおうとは思っていない。
今夜は彼女に家事をお休みしてもらって、久し振りに腕を振るおう。
彼女が許してくれるまで、料理も、掃除も、洗濯も全部代わりにやろう。

何だか泣きそうになっている彼女が、大きな花束を両手でしっかりと受け取った瞬間、周囲から大きな歓声と拍手が上がる。

ポロリと一筋の涙を流した愛しい女性(ひと)を、黎翔はしっかりと胸に抱きしめた。

***

トントンと、野菜を刻む音。
コトコトと、コンロに掛けられた鍋が音を立てる。

今日キッチンに立っているのは、夕鈴ではなく夫の黎翔。
朝の詫びに、夕食を作ると言って聞かなかったのだ。

「…夕鈴はゆっくり待ってて。」

自分がすると言っても聞いてくれなくて、夕鈴は仕方なく追いやられたリビングで課題をこなしていた。

黎翔の料理の腕は夕鈴も知っているので、その点については何も心配していない。
けれど、一日頑張って仕事をして家に帰ってきた旦那様に、夕食の支度をさせるなんて、主婦として失格ではないだろうか。

パタンとノートを閉じ、夕鈴は立ち上がるとキッチンに向かう。

「黎翔さん。」

スーツを脱ぎ室内着に着替え、黒いエプロンをした夫の背中に声を掛ける。
彼は振り向くと、ちょっと困ったように笑った。

「ごめん、もう少し待って?」
「…料理するの久し振りだから、手間取っちゃって…。」

腕、鈍っちゃったかな…?と黎翔は肩を落とす。
けれどテーブルの上には、すでに出来上がった数品の料理。
それを見る限り、とても彼の腕が落ちているようには見えない。

「…お手伝いします。」

夕鈴は腕をまくり、黎翔の隣に立つ。

「大丈夫だって…。今日は僕が「黎翔さん。」」

夕鈴は夫の顔を見上げる。

「私は貴方の妻です。」
「う、うん…。」
「…そして、私たちは夫婦ですよね?」
「…うん。」

歳の差は14歳。

頭も良く、仕事も出来て、とてもカッコいい優しい夫。
それに対して、まだ高校生で、何も大した事も出来なくて、子供っぽい自分。

けれど、出会って、将来を誓い合ったあの日から、二人は夫婦なのだ。

夕鈴は夫を見上げたまま、頬をピンク色に染め、ふわりと笑った。

「――夫婦は、助け合うものでしょ?…ね?あ・な・た♥?」


子供子供と、君は言うけれど、僕は君を子供扱いした事なんて一度もないよ?夕鈴。

可愛い可愛い、僕の妻。

コテンと首を傾げて僕を見上げてくるその仕草が、僕をどれだけ煽っているのか、君は気付いていないでしょ?

ああ、明日も君は学校があるのに。今夜は我慢できるかな?

でも煽ったのは君だから、今夜は覚悟していてね?

――可愛い幼な妻の言葉に、夫は頬を染めて、夜の夫婦の時間に思いを馳せるのだった。


END


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Comment

No title 

とりあえず。

夜の夫婦の時間に思い馳せているどこかの誰かに

『反省』

の二文字を教え込みたいと思うのは、私だけでしょうか…(-_-;)?
  • posted by さき 
  • URL 
  • 2014.02/19 11:28分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

さき様

もっと言ってやって下さいよ!
調子に乗っている誰かさんに。

全く『反省』してないですよね、どこかの誰かさん。
夕鈴が一度家出したら(夜がしつこくて(爆))、奴も反省するでしょうかね?
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2014.02/24 22:22分 
  • [Edit]
  • [Res]

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