兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 3

こんばんは、慧ネンです。

遅い時間ですが、三話目をお届けしてから寝ようと思います。

ブラック降臨!?な水月さんが何気に人気でビックリ。
でも今回は出て来ません(^^♪

今回はあの方が再登場します。

※ちょっと展開早いですが、好き勝手書いてますので悪しからず。気にならない方だけお読み下さい。


***




街を一望出来る展望台。
街灯の灯りだけが辺りを照らしている、人気のない駐車場。
停車している黎翔の車に並行するように、一台の大型バイクが滑り込んで来て止まった。

黎翔が運転席から出ると、闇に溶けるような真っ黒のライダースーツを着た小柄な人物はバイクを降りた。被っていたヘルメットを外すと、赤茶色の髪が風に揺れる。

「ご苦労だったな、浩大。」

にやりと笑うと、浩大もニッと口角を上げた。


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 3


黎翔は近くの自動販売機で買ってきたホットのコーヒーを、浩大に投げ渡す。尾行してきた車を撒けたのは、彼の功績だ。普段は奢ったりしないが(夕鈴は別)、今夜はそれを称えて奢ってやる。

まだ一月の初め。身を切るような冷たい夜。
温かいコーヒーを飲みながら、浩大はホッと息を吐く。

「…で、実際どうなわけ?あの尾行は氾家の指示なのか?」
「――分からない。」

黎翔自身にも敵が多い。
氾家ではなく、別の政敵かもしれない。だが、氾家の長男・水月が夕鈴に接触してきた以上、彼の関わり合いも否定出来ない。

尾行していた車のナンバーも照会したが、レンタカーで借りた人物は氾家側の人間ではなかった。けれど、偽装する事は十分可能だし、金で誰か雇った可能性もある。

「取りあえず、夕鈴ちゃんの安全が最優先だな。」
「手が空いている時には私が送るが…。」
「俺も出来るだけカバーするけど、毎日と言う訳にはいかないしな。」

黎翔も浩大も、多忙な身の上。
業務終了後の仕事もあるし、黎翔も毎日夕鈴と一緒に食事をしているわけでもない。それに帰りはともかく、出勤時の方が問題だ。黎翔と夕鈴の家は離れているし、明玉に頼んでも良いが、夕鈴と一緒にいる事で彼女にまで危険が及ぶ可能性も無きにしも非ずだ。

「汀にも出来るだけ一人にならないよう注意しておく。」

尾行されている事を知って驚いたようだが、彼女があまり恐怖を感じていなかった事が救いだった。

「あと一人くらい、信頼出来るやつが欲しいな。」

ポツリと呟いた浩大の言葉を聞き、黎翔は考えた。
夕鈴の身を護るには、二人だけでは限界がある。夕鈴の事を知っていて、見方になってくれる戦力が必要だ。

「…あいつを呼び戻す。」
「ああ、奴ならあんまり顔が知られてないし良いかもな。」

奴なら夕鈴と面識もあるし、信頼に値する人間だ。
夕鈴の身辺警護のため、黎翔は地方を飛び回って情報収集をしている部下を呼び戻す事に決めた。

時間はもうすぐ23時。そろそろ帰ろうと、二人は車体に凭れていた背を起こす。

「…そういや、さっき電話した時機嫌悪かったの何で?」

思い出したように問い掛けてきた浩大に、黎翔は一瞬動きを止めた。

「――聞くな。」

もう少しで触れそうだった彼女の唇を思い出して、少しだけ頬を染めた黎翔だった。


翌朝出勤すると同時に課長に呼ばれた夕鈴は、前を歩く彼の後に着いて行く。
昨夜の近過ぎる彼の端正な顔を思い出して、夕鈴は思わず自分の唇に指を這わせた。あの時携帯が鳴らなければ課長にキスされていたんだ。

頬を染めながら広い背中を見詰めていると、人通りの無い通路の隅で課長は足を止めた。
振り向いた彼は少しきつい表情をしていて、何かあったのか、自分は何かしてしまったのかと不安になる。

そこで夕鈴は、課長から自分達の身辺を探っている者達がいる事を聞いた。
狙いはどちらか分からないが、何者かが怪しい動きをしているのは事実。

「昨夜尾行してきた奴らもまだ捕まっていない。汀、危険だから一人になるのは出来るだけ避けろ。人通りの少ない場所にも行くなよ?」

「本当は、私がいつも一緒にいてやれたら良いんだが…」と言う彼の表情は凄く不安げで、夕鈴は課長がそこまで自分の事を心配してくれているのを嬉しく思う。

「大丈夫です!心配しないで下さい、課長!」

だから安心させるように笑う。
怖くないんてない。課長が、支えてくれるから。

微笑む夕鈴の顔が曇らないように、何も起こらなければ良いと黎翔は願った。

けれど翌朝、早速夕鈴の身に危険が及ぶ事になる。


朝の通勤ラッシュでごった返す、駅の構内。
夕鈴は人の波に飲まれながら、地下鉄に乗る為階段を降りようとしていた。
その瞬間、ドンッと背中に衝撃が走る。

「…えっ!?きゃ…!!」

ぐらりと傾く身体。
――落ちる!と思った時、誰かが夕鈴の腕を掴み引っ張ってくれたお蔭で、彼女は階段から転げ落ちる事は免れた。

「――大丈夫ですか?」

掛けられた聞き覚えのある声に、夕鈴は驚いて振り返る。
そこには、去年初めて行った出張先で会った、課長の部下だという徐克右が立っていた。

結局地下鉄ではなく克右の車で社に送ってもらった。
怪我をしていないと思っていたが、夕鈴は落ち掛けた時足を少し痛めていたのだ。

「――汀!!」

医務室で女医の瑠霞に診てもらっていると、知らせを受けたのだろう黎翔が蒼白な顔で飛び込んできた。
挙句の果てに、まだ診察中の瑠霞に「どうなんだ?大丈夫なのか?」と焦りながら状態を聞きまくり、邪魔だと隅に追い払われてしまった。
そんな黎翔を、同じく部屋の隅で待機していた克右は目を点にして見つめる。

昨夜遅く連絡をもらい、いきなり戻ってくるように言われて来てみれば、当面の仕事は一課の女性社員・汀夕鈴の警護。
いつも微笑みを絶やす事なく、礼儀正しい善良な女性が本当に狙われているのか?と不思議に思っていたが、警護に着いた当日から彼女は何者かに階段から突き落とされかけた。

彼女を助けているうちに犯人に逃げられてしまったが、彼女を狙う何者かがいるのは間違いない。

夕鈴の怪我は足首の捻挫だけで済んだ。
けれど克右が助けなければ、階段を転げ落ちてもっと酷い怪我をしていたかもしれない。

「克右さん、助けてくれてありがとうございました。」

ぺこりと頭を下げて感謝の気持ちを述べると、夕鈴は黎翔の支えられて一課に戻っていった。
暫くして、まるで人を殺せそうなほど殺気立った黎翔が一人戻って来た。と思ったら、彼の後ろから二課長の浩大がぴょこっと顔を出した。

「――早速だな。」

浩大が呆れたように言う。相手はまだ知れないが、か弱い女性を狙うなんて最低の奴だと思う。

「克右、汀を突き落そうとした奴の顔を見たか?」
「すみません。彼女を助ける事に夢中で、逃げていく後ろ姿しか確認出来ませんでした。」

どこにでもいるようなスーツ姿の男で、すぐにサラリーマン達に紛れて姿が見えなくなった。

「克右を昨日のうちに呼び戻しておいて正解だったな?黎翔。」
「…ああ。まさか昨日の今日で、また動きがあるとは思っていなかったが…。」

これで、夕鈴の方が狙われている事が確認出来た。
彼女自身、人に恨まれるような人間ではないので、恐らく自分が関係しているんだろうと黎翔は唇を噛む。

相手は氾か、他の政敵か。
どちらにしろ、早く捕まえないと夕鈴が危険だ。
今回は足の捻挫だけで済んだが、次は軽傷で済むとは限らない。

怖かっただろうに、夕鈴は何も言わなかった。
少しだけ蒼褪めた顔に、周りの人間を安心させようと少しだけ笑みを浮かべて。

その表情を想い出し、黎翔は拳をギュウッと握り締めた。


続く


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よろしくお願いします。

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