兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 4

本日14日の深夜、地震がありました。
怪我もなく無事でした。
深夜と言えどまだ起きている時間だったので、テレビが倒れないようにずっと押さえていました。
長い横揺れで、乗り物酔いが酷い慧ネンは酔わないか心配でしたが何とか大丈夫でした。
今の所余震もないですが、いつ来るか分からない天災。
皆様もどうぞお気を付けて…。

さて、連載中の小説の続きです。
夕鈴の周りで起こる、不穏な出来事。
犯人は一体誰なのか…?
そしてまた、彼女の身にある出来事が。

では、どうぞ(^v^)

※本日はホワイトデーなのに、バレンタイン同様、何も浮かびませんでした。ごめんなさい(*_*;せめて去年のホワイトデーSSの続きでも書けたら良かったんですけどね…。


***



「また無くなってる…。」

会社からアパートに帰宅した夕鈴は、ベランダに干してあった洗濯物を見て溜息を吐く。
たかが洗濯物。けれど今自分の周りで起こっている不穏な出来事のせいで、彼女の気分はさらに滅入ってしまう。

駅の構内で、階段から突き落とされそうになった日から一週間。
様々な事が彼女の身に起こった。

課長の車で送ってもらう時、後を付けられるのはほぼいつもの事。
商談で外に出れば、変な男に声を掛けられたり、妙な視線を感じたり。
課長や一課の面々に心配掛けたくなくて、不安を顔に出さないようにしてきたが限界に近かった。

「何かあったら些細な事でも良いから必ず言え。」

そう言ってくれた課長に、相談するべきなのだろうか?
でも、無くなった物がモノだけに、彼に言うのは恥ずかしい。
――好きな人だから、なおの事。

夕鈴は風に揺れている洗濯物を見詰めながら頬を染めた。


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 4


数日後、夕鈴のアパートの傍の喫茶店に、夕鈴・明玉・黎翔・浩大・克右の姿があった。
課長に直接言う前に親友に話してみると、絶対力になってもらった方が良いと言われ、休日に彼を呼びだしたのだ。

実は、アパートに入居したばかりの頃もこんな事があったが、数回でパタリと止まったので夕鈴はあまり気にしていなかった。けれど最近になってまた同じ事が起こり、その頻度がハンパない。

「…どうしてもっと早く言わないんだ。」

話を聞いた黎翔は、眉間に深い皺を寄せた。

「だって…。」

いくら職場の上司でも、何もかも話せるわけじゃない。

「まあまあ、課長…。言うのが恥ずかしいって事もありますよ?」

怒ったように夕鈴を見詰める黎翔と、憮然としている夕鈴を見て、明玉が取り成すように声を掛ける。

「で、何を盗られたんだ?」

聞かれて、夕鈴は真っ赤になった。

初めはハンカチだった。
そして靴下が無くなり、お気に入りだったフリルが可愛いブラジャーも、つい最近盗られてしまった。

男三人は、『え?』と思う。
そんなに恥ずかしがるという事は、まさか。

耳まで赤くなった夕鈴が俯く、という事は、その考えは当たっているという事だ。

困ったような表情をしている浩大と克右はともかく、課長の頬が赤くなったのが明玉には意外だった。

アパートに向かって歩きながら、明玉と並んで前を行く夕鈴の背中を見て浩大は思わず呟く。

「そりゃ言いにくいわけだよな…。」

その言葉を聞きながら、思わず問い詰めてしまった事を黎翔は悔やむ。
確かに、男にそれを言うのは恥ずかしいだろう。
それと同時に、好きな女の下着を盗んだ犯人に対し、殺してやりたいほどの怒りが湧いた。

夕鈴が住むアパートは、16世帯の今時都会には珍しい木造の二階建て。
鉄の階段を真ん中に、左右に4世帯の部屋がある。
右側の一番奥が夕鈴の部屋だ。

明玉はもちろん、黎翔も部屋に入った事があるが、浩大と克右は中に入るのは初めてだった。

「思っていたんですが、女性の住む部屋にしては不用心過ぎますよね。」

何度か夕鈴をここまで送った時、外観を見て克右は不安に思っていた。
ベランダも確認してみたが、隣の部屋とは突き破れる薄い壁一枚の仕切り。男であればベランダを乗り越えて、こちらに来るのもたやすく出来そうだ。
事実、黎翔達にもそれは十分可能な事だ。

玄関扉もあまり厚くない木製で、やろうと思えば蹴り破れるのではないか?と思う。
階段下にあるポストも鍵はついていないし、ドアチェーンも防犯カメラも無い。
セキュリティが甘過ぎる。

「…汀、隣に住んでるのはどんな奴だ?」

狭いキッチンで、明玉と共にコーヒーの準備をしている夕鈴に聞く。

「隣…ですか?確か20代後半くらいの男性が一人で暮らしていたと思いますけど…。」

夕鈴自身あまり周囲と付き合いが無く、隣人に会う事も稀だった。
何度か見掛ける程度なので自信が無いが、ここに引っ越してきて挨拶に伺った時に部屋から出てきたのはそんな男性だったような気がする。

少し考えるような仕草を見せた黎翔は、いきなり玄関に向かい外に出ていく。

「え?課長!?」

思わず追おうとした夕鈴を浩大が止めた。驚いて振り向くと、彼は首を横に振って無言で行くなと伝えてきた。


外部から侵入しようとしたら、間違いなく一階の住人に見つかる。アパートと隣の建物は少し空いていて、そちらからベランダに入る事は不可能に近い。
夕鈴の部屋は角部屋だ。だとすれば、侵入経路は隣の部屋のベランダしかない。

扉をノックすると、夕鈴が言ったように一人の男が出てきた。
突然の訪問を詫び、頭を下げる。

「隣に住む者の知人です。ちょっと聞きたい事があるのですが、お時間よろしいですか?」

自分より年は上だろうが、ひょろっとした外見のひ弱そうな男の瞳が泳いだ事を、黎翔は見逃さなかった。


結局、男はあっさりと自分の罪を認めた。
黎翔の刺すような瞳に威圧されたのかもしれない。
営業スマイルを浮かべて話す彼の瞳は、全く笑っていなかったから。

引っ越しの挨拶に来た夕鈴の笑顔に惹かれ、見掛けるたびに話し掛けようと思うのだが、引っ込み思案な性格から何も出来ず。ある風が強い日に、自分の部屋のベランダに飛ばされていたハンカチを返しに行かなければと思いながらも、思わず盗んでしまった。つい調子に乗り、彼女の留守を狙い靴下や下着にも手を付けた。
ピタリとそれが止まったのは、それだけで満足してしまったからだ。

「…それがどうしてまたやっちまったわけ?」

警察を呼んだ後、入った男の部屋のあちらこちらに、盗られたそれらは錯乱していた。
とても夕鈴には見せられない光景だと三人は顔を顰める。
男は余罪があるとみて、警察署に連行された。
夕鈴には聞かれたくないので、黎翔達は部屋の前の通路で話をする。

「私のせい、らしい…。」

憮然として、黎翔は浩大に応えた。

男が言うには、彼女が身に付ける物を手に入れて満足したはずだった。
部屋に戻れば、隣には彼女がいる。
それだけで幸せだったのに、最近、彼女の部屋に男が訪れた。

薄い壁は話し声や物音を全て遮断出来ない。
時々聞こえる彼女の楽しそうな声。
男は結局彼女の部屋に泊まっていき、人目を気にするように朝早く帰って行った。

時々見かける彼女はどんどん綺麗になっていて、男に愛されてるのが分かる。
「どうしても、許せなかったんです…。」
自分の存在に気付いてほしかった、他にも思いを寄せている男がいる事を知ってほしかった。
――それが自分勝手な思いだとしても。

黎翔と夕鈴の本当の関係を知らない男は、二人が恋人同士だと誤解していた。

「まあ今回の事は、氾の仕業じゃないのは明らかだな。」
「男と氾家とは何の接点もありませんでした。」

夕鈴の周りで次々起こる騒動。
克右が男の素性を洗ったが、氾家との結びつきは無かった。今回の事は、男の個人的な犯行だ。

「…氾が動くのなら、もっと大きな事をするだろう。」

相次ぐ尾行も、傷害沙汰も、未だに誰が裏で手を引いているのか分かっていない。

「今回は汀が怪我をする事はなかったが、これからまた何かあるかもしれない。浩大、克右。引き続き頼むぞ。」
「りょーかい!」
「お任せ下さい。」

浩大は情報収集を、克右は夕鈴の警護を。
彼女がこれ以上怪我をしたり、辛い思いをしないで済むように。

覚悟を新たにし、三人は夕鈴と明玉が待つ部屋に戻った。


続く


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よろしくお願いします。

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