兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 6

お久し振りです!

またぷちスランプに陥ってましたが、何とか続きを書く事が出来ました!(^^)!

内容は全く進んでいなくて、この話は本当に完結を迎えるのかな?とかなり不安になってきている慧ネンです。
ストーリー自体は出来上がっているので、のんびりとやっていこうと思います。

まるで新婚か!?と思えるような甘々だった前回とは打って変わって、今回は物騒な会話が続きます、すみません…。
あまり深く考えず、軽く(内容は軽くないですが。)読んでくれる方だけ閲覧をお願いします。

では、どうぞ!


***



「嘘…。」
「何であんな子が…?」

「良いなぁ…。」
「課長が羨ましい。」

ひそひそと呟かれる声が、あちこちから聞こえてくる。

課長の愛車で彼と共に出勤した夕鈴は、少し前を歩いている彼の背中を見詰める。
地下駐車場で彼の車を降りた所を見られたのだろう、黎翔を狙っている女性社員からは嫉妬の、夕鈴が好きな男性社員は羨望の視線が向けられる。

自分はともかく、この事で課長に迷惑を掛けたくないし、彼が悪いように言われるのは嫌だ。

「――汀。」

つい俯いてしまって、床を見詰めながら歩いていると課長の鋭い声が夕鈴を呼んだ。


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 6


カツカツと靴音を響かせながら一課に向かっていると、後ろを着いてきている夕鈴の歩調がのろくなったのに気付く。
優しい彼女の事だから、口さがない連中の言葉に傷付いているのだろう。

「汀、顔を上げろ、胸をはれ。」

彼女は被害者だ。
何も知らないくせに、勝手な事ばかり言う社員達に内心舌打ちする。

「お前は何も悪くないのだから堂々としていろ。あんなくだらない言葉に、お前が傷付く必要はない。」

優しい声、優しい言葉。
夕鈴は顔を上げて、振り返る事をしない課長の広い背中を見た。
入社した時から、この背中をずっと追いかけてきた。

不器用な彼の、彼なりの励ましの言葉がとても嬉しい。

「…はい。」

その広い背中に抱き着きたいほど、課長が好きだと思った。

一課に入ると、すでに出社していた社員達が一斉に黎翔と夕鈴を見た。

「課長、おはようございます!」
「汀、おはよう。」
「おはよう、夕鈴ちゃん。」

口々に朝の挨拶をした後、ニヤニヤと黎翔を見てくる。

「同伴出勤なんて、課長ついに同棲したんですか?」

「馬鹿野郎、同居と言え、『同居』」

真っ赤になった夕鈴とは対照的に、黎翔は呆れたように訂正する。
お前達までそんなくだらない事を言うのか?と、内心がっかりしていると。

「――で、うちの可愛い夕鈴ちゃんに馬鹿な事をしてくれているヤツはどこのどいつです?」

がらりと彼らの雰囲気が変わった。
笑いながら聞いてくる部下達がかなり怒っているのが分かる。
ある者は眉間に深い皺を寄せているし、ある者は笑顔が引き攣っている。

黎翔は溜息を吐いてデスクに着くと、一課の部下全員をその前に集めた。
夕鈴の身に起こっている事、今現在分かっている事を全て話し、彼女の身を護るために犯人が分かるまで自分のマンションに匿っている事を伝える。

一課の入り口に佇んでいた克右を呼び、互いの顔を確認させた。

「徐克右と言う。今は汀の警護を担当しているが、社の人間にはこいつの存在を知られたくない。」

克右の本当の仕事は諜報員。彼は白陽コーポレーションの社員ではなく、黎翔の下で働く部下だ。
他社に入り込んで動きを探る仕事もするため、一課以外の社員に顔を知られるわけにはいかない。

ぺこりと頭を下げている克右の胸には社員証ではなく、取引相手など他社の人間が社に訪れた時に付ける入館証が付けられている。

「私と克右、そして二課長の浩大が汀の傍に着く。お前達に頼みたいのは、社内にいる間の彼女の警護だ。」

夕鈴を狙っている犯人の他に、今朝自分達が共に出社した事を良く思わない輩も出てくるはず。

「ただし、決して独りで動くな。二人ないし三人。女だけで動く時は出来るだけ大人数で行動しろ。それから――。」

ふと夕鈴の顔色を窺うと、少し蒼褪めているのが分かる。
原因はすぐに分かる。彼女は自分の事で誰かが傷付くのではないかと危惧しているのだ。
夕鈴の傍にいる事、それは即ち、その者にも危険が付き纏ってくる。

「――自分の身を大事にしろ。もし危険だと判断したら、その時には必ず逃げろ。女だけじゃない、それはお前達にも言える事だ。」

黎翔の視線が男性社員達に向けられる。
『男だから逃げるわけにはいかない』と、命を危険に晒して欲しくはない。何の非もない彼らが傷付く事を、夕鈴は望んではいない。
実際そう考えていたのだろう、課長からの命令を聞き、神妙そうな顔で彼らは頷いた。

「汀だけじゃなく、ここにいる全員、私の大事な部下だ。この中の誰かが傷付く事を、汀も私も望まない。それを踏まえた上で、汀の事を頼むぞ。」

「「「――はいっ!!!」」」

***

「――課長!待って下さい!」

話を終えてそれぞれの仕事に戻った後、営業二課に行くため一課を出た黎翔を方淵が追い掛けた来た。特に急いでもなかったため、彼はすぐに黎翔の横に並ぶ。

「どうしてあの者なのですか?私は今日まで、彼女が狙われている事も知りませんでした。早く言って頂ければ、私は貴方に頼まれた事を全うしました。」

方淵は黎翔が自分ではなく、克右に夕鈴の警護を任せた事が納得いかなかった。

「珍しいな、方淵。お前と汀は犬猿の仲だと思っていたが…。」
「確かに彼女のどこが良いのか、私にはさっぱり分かりません。ですが、彼女が誰かに恨まれるような人間ではない事は分かっています。」

心酔している上司が夕鈴に惚れ込んでいるのは、周知の事。
方淵としては納得いかないが、彼が信頼して大事な存在を任せる――その役割に選ばれなかったのが悔しい。

「…方淵。」

沢山の社員が行き交う通路。擦れ違う社員が課長である黎翔に頭を下げては通り過ぎていく。
黎翔は歩みを止めぬまま、少しだけ声を小さくして方淵を呼んだ。

「――この件には、氾が関わっている。」
「……っ!!」

方淵の身体がびくりと跳ねる。

「まだ氾がどのように関わっているか、詳しい事は分かっていない。だが無関係ではないのは事実。」
「そう、ですか…。」
「氾の長男とは、面識があるのではなかったか?」

床を見詰める方淵の視線が泳ぐ。
氾家長男・水月とは幼馴染の腐れ縁だ。
だが方淵にとっては、ただそれだけ。特に親しいわけでもないし、父親同士は多少いがみ合っているようだが自分と水月の間には特に何もない。

ただいつもにこにこしていて、のらりくらりとしている様子が癪に障る事もあった。
あの笑顔の裏で何を考えているのか分からない男。
それが方淵の、水月に対する印象だ。

「…氾水月の、最近の行動などを調べてみます。」
「――良いのか?もしかしたら家ごと巻き込まれるかもしれないぞ?」

危惧する課長に、方淵は笑う。

「大丈夫です。その辺は上手くやってみせます。」

どんな時にも部下への気配りを忘れない、そんな課長の力になりたいと思った。


続く


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