兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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狼陛下の『花嫁』選び・其の一

新作じゃなくてごめんなさい(*_*;

すでにご存じの方が多いと思いますが、別ブログで連載していて更新停滞中のお話を持ってきました。
ほぼ二年前に書いた話なので、現在とはかなり文章が違います。
慧ネン的にはこの頃の話の方が好きなんですが、同じように書けなくなってしまったんです…。

ここにアップしたからと言って、すぐに続きが再開されるかは微妙な所ですが、ア○ブロさんがパソコンで更新出来なくなったりと不調なので、何かある前にさっさと移動しておきます。

以前受けたリクエストや某SNSのお友達からも、ありがたい事に続きを希望するお声を頂いているお話です。
話の流れは決まっているので、書き上がったら順次アップするように頑張りますね…!

※少しだけ修正してますが、話の内容は全く変わってません。


***



狼陛下の『花嫁』選び・其の一


どうしてこうなっているのだろうと、少女・汀 夕鈴は溜息を吐いた。

彼女がいるこの場所は、白陽国後宮の一室。日当たりの良い室内は明るく、周囲を見渡すととても煌びやかな装飾がなされている。

チュンチュンと、鳥のさえずりが聞こえる。昨日までの自分なら、こんな気持ちの良い日には張り切って洗濯をし、バイトに精を出しただろう。

広い寝台に起き上がった彼女は、こうなった経緯を考える。そう、これは父の一言から始まった。


「どう言う事?どうして私が王宮になんか出向かなきゃいけないの?!」
「ちょ、ちょっと待て、夕鈴!落ち着いてくれっ!」

憤慨する娘を父親である男が必死に宥めようとする。

「…これが落ち着いてられますか!しかも何?王様の奥方様を選ぶ集まりに参加しろって…!」

汀 夕鈴は下級貴族の娘だ。幼い頃に母を亡くし、頼りない父と四つ下の弟と三人暮らし。貴族とは名ばかりで、汀家はかなり落ちぶれていた。

そんなある日、この白陽国を治める若き国王が、妻を娶ろうとしていると言う噂が流れた。先王時代に荒れに荒れた王宮内を正し、内乱を治めた珀 黎翔は、その冷酷非情な振る舞いから『狼陛下』と恐れられていた。

さらに数日後、その噂を決定付けるように、国王は貴族達に触れを出した。

『我が妻にと思う者は、次の満月の日、王宮に来られたし。ささやかな宴を用意して、麗しき姫君達のお越しを待つ。一月共に時を過ごし、唯一の妃を選ぼう』

その触れを聞いた時、夕鈴はなんとなく王様らしくないな…と思った。冷酷非情と恐れられているあの国王陛下が、自分の妻を選ぶのにそんな事をするなんて。イメージと合わないな…なんて思っていられたのは、自分には関係が無い事だったからだ。

「父さん!自分の娘を売る気!?」

一ヵ月後、運良く国王の妃になれた者は、この国の母になる。自分の娘がそうなれば、その父母は巨額の富と名誉を得る。

キッと睨み付けると、父はブンブンと首を横に振った。

「そういう訳じゃない!…世話になっている人から頼まれて断れなかったんだ。…そ、それにほら、一月たって、もし選ばれなくても、多少の謝礼は出るという話だし。バイトだと思って参加してくれないか?」

な?、と言われ、夕鈴は考える。確かに父が言った人にはいつも世話になってるし、こんな美味しい話なら、大貴族の娘も参加するだろう。
自分が選ばれる筈が無いし、バイトだと思えば確かに物凄く魅力的だ。生活も楽になるし、官吏を目指す弟を助けてやれる。
「――分かったわ…」

しぶしぶ引き受けた夕鈴は、満月の日に王宮に向かった。


その日、王宮の大広間は沢山の女性で埋め尽くされていた。熟女からおそらく自分より年下だと思われる顔付きの少女も。豪華な衣装を身に纏った人達を見ながら、夕鈴は隅っこで所在無さげに立っていた。

(…場違いだわ、私…)

自分が持つ中で一番の衣装を選んで着てきたが、もともと煌びやかな物を好まない夕鈴の服は質素な物ばかりだ。周囲からはかなり浮いていた。

「…失礼致します。」

声が掛けられ、眼鏡を掛けた若い男が入室してきた。

「私は、陛下の側近で李順と申します。…これから皆様お一人ずつ、少しお話を伺いたいのでお名前を呼ばれた方から隣室にお越し下さい。まずは……」

一人の女と共に隣室で話しながら、李順は内心溜息を吐く。集まった女の多さに、呆れ返ったのは内心秘密だ。国王が歳も身分も指定しなかったから、想像以上の女狐が集まってきた。だがここにいる全員を残すわけにはいかない。
国王が決めた人数は7人。その7人に絞り込むのが李順の役目だ。無駄に時間が掛かるめんどくさい仕事だが、これも大事な任務だと割り切って李順は続けた。

「…どうだった?」

幾分やつれた表情で政務室に入ってきた李順に、白陽国国王・珀 黎翔が声を掛けた。

「どうもこうも…疲れましたよ。女と言うものは、よく口が回るものですね…。」

嫌そうに言いながら李順は絞り込んだ7人の詳細を黎翔に渡した。そこにはその者の出生から生い立ち、家族状況など、様々な内容がびっしりと書き込まれている。

この期に乗じて潜り込んだ刺客もいるかもしれない。李順が慎重になるのも当然だった。

興味なさそうにパラパラと書類を捲る黎翔に、李順は溜息を吐く。

実際の所、黎翔は自分の妃など興味が無いのだ。21になった自分に、自分の娘を妃にと縁談を持ち込んでくる大臣達に嫌気が差し、つい『自分の妃は、自分で決める』と言ってしまったのが始まりだった。

めんどくさいな…と黎翔は思う。

妃を娶って、何か変わるのか?妃のご機嫌を取り愛を囁くより、剣の鍛錬を積み自分に磨きを掛ける方がよほど充実する。

誰かを愛する事によって、珀 黎翔という人間はどう変わるのだろう。そもそも自分に、誰かを愛する事が出来るのだろうか…。

書類を捲っていた手を黎翔はある一枚で止めた。

「毛色の違うのがいるな」
「…ああ、彼女ですか。…そうですね、地味でがさつな所もありますが、裏表の無い素直な子でした。」

おや?、と黎翔は李順を見て

「珍しいな、お前が誰かを褒めるなど。」
「別に褒めてる訳ではありません。…この場にいるのが珍しいなと思っただけですよ。彼女が今回何故参加したのかが、少し気になるところです。」

思案するように李順が眼鏡を押し上げる。

「…狐になりきれなかった猫か、牙も爪も無い兎か…」

「何か仰いました?」

自分の呟きが聞こえなかったらしい李順に、「いや?」と顔を向ける。

「…どちらにしろ、面白くなりそうだ。」

獲物を狙う狼の表情で、黎翔はにやりと笑った。

政務室で国王とその側近がそんな話をしているなど、もちろん分かるわけも無い選ばれた7人はと言うと、女官に連れられ後宮に来ていた。

女官長に「本日より一ヶ月間、皆様にはこちらで暮らしていただきます。」と言われ、夕鈴はますます呆然とした。先程の面接(?)のようなもので、何故自分が7人の中に選ばれたのかも不思議でならないのに、いきなり後宮で暮らせだのと。

(いやいや、しっかりするのよ、夕鈴!…王様が誰かを選ぶのは一月先だし、私なんかが選ばれる訳ないし!)


ここはもう腹を括り、これがバイトの内容だと割り切って、しっかり稼がしてもらおうと、拳をぐっと握り締めた夕鈴だった。

それから広い湯殿で湯を浴び、(夕鈴が)見た事も無いような豪華な衣装を着せられ、国王が開いた宴に出向いた。…のだが。

見ると聞くとは大違い…とよく聞くけれど、噂(聞いた)通りの国王陛下が玉座で自分達を待っていた。

「私のために集まって頂き、とても嬉しく思う。ささやかな宴だが、そなたらも楽しんで欲しい。」

言葉は丁寧だが、その顔に笑みは浮かんでいない。

(自分の奥様を選ぶくせに、ちっとも嬉しそうじゃない…。こんなに美人な人達ばかりなのに…)

目立たない場所で食事をしながら、チラリと夕鈴は玉座に座ったままの国王を見る。肘掛にもたれ、興味が無さそうに杯を傾けている。

(…陛下にもいろいろあるのね、きっと…)

王宮の奥深くには下級貴族の娘の自分なんかには想像もつかないような、闇があるのだろうなとぼんやりと思った。そんな夕鈴を、国王が見詰めているとも知らずに。

宴が終わり後宮の自分に与えられた一室に戻ってきた夕鈴は、寝台にばったり倒れこんだ。宴で他の女性達に声を掛けられたのだが、慣れていない夕鈴は適当に話を合わし相槌を打つだけで、かなりの神経を使い心身ともに疲れてしまったのだ。

掛けられた言葉は友好的なものだけではなかった。それはそうだ。本気で国王・珀 黎翔の妃を望んでこの場にいる彼女達からすれば、夕鈴はライバルという事になる。たとえ夕鈴自身にその気がなくても。

(こんなんで私…一ヶ月持つのかしら…。ああ、目が覚めたら、全部夢だったっていう事はないかな…)

そう思いながら眠りに引き込まれた夕鈴は虚しくも、翌朝この広い寝台で目覚めたのだった。


続く


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Comment

No title 

前にAmebaのブログで読ませて頂きました!
続きの更新がなかったので、続き気になってたんです!!
ありがとうございます!
  • posted by 陽向 
  • URL 
  • 2014.04/07 19:36分 
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祝 花嫁選び再開! 

まってました!密かに!続きがとっても^_^とっても楽しみです!
  • posted by まぎっち 
  • URL 
  • 2014.04/07 21:44分 
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No title 

こんばんは。
以前、狼陛下の二次創作を検索中に偶然ブログを発見・拝見して、
続きがとても気になっていました。
こちらにお話を掲載されていらっしゃらなかったので、
あのまま終わりかな~と覚悟しておりましたが、
転載及び連載再開とのこと、嬉しいです。
続きを楽しみにしています!
  • posted by うりうり 
  • URL 
  • 2014.04/07 23:32分 
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  • [Res]

待ってましたぁー 

お久しぶりですっ♪

花嫁選び
大スキなので
再開♡すっごく!!うれしいですっ♡♡

連載
続き…楽しみに待ってまぁ〜す☆
  • posted by 鈴 
  • URL 
  • 2014.04/08 02:02分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

陽向様

お久し振りです…!
あちらではもう更新はないと思います。続きが出来たら、こっちにアップしていきますのでよろしくお願いします(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2014.04/09 18:53分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 祝 花嫁選び再開! 

まぎっち様

初めまして!
密かに待っていて下さって嬉しいです(笑)
つ、続き?は、頑張りますね?はい…。
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2014.04/09 19:02分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

うりうり様

初めまして、ですよね?
某所ではうりうり様の日記の膨大なネタにウハウハしていますよ♪(←書けないけど)
よく更新停滞しますが、一度書き始めた話は出来るだけ完結させたいと思っているので、この話もラストを目指して頑張りたいと思っています。
いつになるか分かりませんが、ゆっくりお待ち頂けたらと思います(^v^)
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2014.04/09 19:15分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 待ってましたぁー 

鈴様

お久し振りです(^_-)-☆
まだすぐに連載再開出来るか分かりませんが、鈴様にも続きをリクエストしてもらっているので頑張りたいと思います(^^♪
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2014.04/09 19:19分 
  • [Edit]
  • [Res]

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