兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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狼陛下の『花嫁』選び・其の三

連続アップ、失礼します…。

「このお話が大好き!」と仰ってくれる某所のお友達から、別ブログでは『其の一』しか読めないという衝撃な情報を頂きました(*_*;

原因は全く分からないのですが、慧ネンには読めるのでそんなご不便を掛けているなどつゆ知らず。
早めの移植…じゃなかった、移行を望まれている彼女のためにも、数日のうちに完了させようと思います。

本当に本当に、ごめんなさい…!


***




狼陛下の『花嫁』選び・其の三


夕鈴は心の中で溜息を付きながら、彼女達の話を聞いていた。

本日は他の候補者達との『親睦を深める』為のお茶会。天気は快晴。いつも通りの暖かい午後。
周囲は美しい花に囲まれているのに、この場所だけなんてドロドロした事か。彼女達の話も、自分や家の自慢話ばかり。

つまらないなあ…と思いながらも、それを表情に出すのは必死に耐えた。

下級貴族の娘の夕鈴は、7人の妃候補者達の中で一番格下である。今座っている席も下座に当たる。失礼な態度を取ろうものなら、夕鈴だけでなく家族にまでとばっちりが行くかもしれない。

出された茶も菓子も最高級な物らしくとても美味しいのに、夕鈴は心ここに在らずだった。


「え?…お茶会?」

『他の候補者の方々とのお茶会があるので明日は来られない』と黎夾に伝えると、彼は見て分かるほどしょんぼりと肩を落とした。

「はい…。正直な話、参加したくないのですが、そういう訳にはいきませんし…。取り合えず、皆さんのお話を聞いてきますね。」

「…夕鈴、無理してる?」

よほど顔に出てたのか、黎夾が心配そうに聞いてくる。夕鈴は苦笑いした。

「お茶会とか、苦手なんです。…他の方々のお話にも着いていけませんし。…でも大丈夫です。たった一、二時間、笑って皆さんの話を聞いてます。」
「黎鈴はどうするの?」
「…やっぱり連れてはいけませんよね?」

陛下に許可は得ているとはいえ、夕鈴だけが特別な許可を得ていると他の候補者達が知ったら、何を勘繰られるか分からない。

「僕が見ていれたら良いんだけど…」

黎夾は困った顔で夕鈴の膝を占拠する黎鈴を見る。
毛並みと同じ黒曜の瞳が、まるで睨む様に黎夾を見ていた。

「…嫌われてるみたいだし…」
「どうしてなんでしょうね…?」

悲しげに呟く黎夾に、夕鈴は首を傾げる。飛び掛ったり引っ掻いたりはしないものの、黎鈴は何故か黎夾に懐いてくれなかった。

「…野生のカン…かな。」

「?…何か言いました?」
「ううん?何でもないよ。…兄に籠を頼んでおくよ。…黎鈴には可哀想だけど、お茶会の間だけ、そこで待っててもらって?」
「ありがとうございます、黎夾さん!」


黎夾のお陰で、話が行った陛下からその晩籠が届けられ、翌日夕鈴は黎鈴を籠に入れて侍女の一人に世話を頼んできた。

(黎鈴…お利巧に待っててくれているかしら…。黎夾さん、今日はちゃんとお仕事しているのかな)

夕鈴の頭の中は黎鈴と黎夾の事で一杯だった。

「…それにしても、貴女のご衣装はとても素敵だわ。」
「ありがとうございます。…父に頼みまして特別に仕立てていただきましたの」

「貴女の簪もとても素晴らしいわ。」
「いいえ、私より貴女の方が素敵ですわ」

扇で口元を多い、優雅に微笑みながらお互いを褒め称えている大貴族の娘達。夕鈴は口を挟まずに、相槌を打つのみに留めた。

「…それにしても、貴女」

上座に座る娘が瞳を向けたのは、夕鈴の隣に座る可憐な少女にだった。

大臣の一人、氾 史晴の娘・紅珠。陛下の覚えも良く、身分的には位は上なのだが、14と言う年齢から他の候補者達から格下に見られているのだ。

「…御父上にお願いして妃候補者に名をあげるなんて、図々しい事」
「身の程を知りなさい。」

心無い言葉ばかりが、幼い少女に向けられている。

「…そんな、私…」

年上の女狐に散々詰め寄られ、紅珠はフルフルと震え始めた。

「…それとも、余程御身体の具合が良いのかしら?」
「そんな!…何故そんな酷い事を仰りますの?」
「だって…ねえ?」

クスクス笑う口元を扇で隠して視線を交し合う候補者達を見て、夕鈴の我慢の限界が来た。

「…ちょっと待って下さい!…なんですか?良い大人が幼い子を寄って集って!!恥ずかしくないんですかっ!?」

がたんと立ち上がって叫んだ夕鈴に、軽蔑の視線が向けられる。

「…貴女も何て野蛮な。…身分の低い下級貴族の娘の癖に。無礼ですよ!」
「…何ですって!?」

野蛮?無礼?『身分』の違いがなんだと言うのか。地位があるのは彼女達の家や親であって、彼女達ではない。何もしていないくせに、権力を振り翳している彼女達が許せない。

「…無礼なのはそちらでしょう?!…ご実家の権力をちらつかせて、言いたい事言って!身分は違えど、私達は同じお妃候補ですよ!…確かにライバルですけど、どうせなら御自分の力で向かってきたらどうですか!?」
「まあ!…なんて憎らしい!!…これだから下賎な者は嫌いですわ!」
「嫌いで結構です!」

夕鈴がそう叫んだ時、背後から低い声が響いた。

「一体何の騒ぎだ?」

ぴたり、と空気が固まった。

狼陛下と恐れられる国王・珀黎翔が、側近李順を従え背後に立っていた。

「へ、陛下…!」
「な、何故この様な場所へ…?」

途端に慌て出す貴族の娘達。

「…そなた達が親睦を深める為茶会を開いていると聞いたのでな。私も加えてもらおうと来てみたのだ。…で、これは一体どう言う事だ?」

冷たい瞳が7人の妃候補者達を見据える。全員が席を立ち、上座に集まる5人は顔を蒼くして、下座にいる夕鈴は泣いている紅珠を背に庇ったまま。

「…何でもありませんわ。…陛下、せっかく来ていただいて申し訳ないのですが、茶会はこれにてお開きに致します。」

上座に座っていた娘が震えながらもそう言った。

「…紅珠殿、夕鈴殿。…御機嫌よう」

まるで見下すように夕鈴と紅珠にそう言うと、4人の候補者を取り巻きのように引き連れて、娘は去っていった。


「…李順」
「はっ」

「紅珠殿、もう大丈夫ですよ」

黎翔が李順に何か指示を出しているのを聞きながら、夕鈴は泣いている紅珠を必死に宥める。縋り付く彼女の背を優しく撫でるが、彼女はますます泣き出してしまう。

「ですが…!私のせいで、貴女様があの方々に目を付けられてしまいましたっ」

それはそうだろう…と夕鈴は思う。大貴族の娘に楯突いたのだ。これから様々な嫌がらせが始まるだろう。
でもそれは、紅珠のせいではない。

「…貴女のせいではないわ。彼女達の態度には前々から少しムカついていたの。…貴女のお陰で言いたい事も言えたしね?…大丈夫だから、もう泣かないで?」

「ね?」と、弟・青慎にする様に彼女の頭を撫でてあげた。

すると、紅珠はウルウルした瞳で夕鈴を見上げてきた。

「…素敵です」

何故だが彼女の顔がポッと赤くなる。

「…ん?」
「…先程の夕鈴様はとても勇ましく凛々しかったですわ!…お姉様、とお呼びしても構いませんか?」
「え?…紅珠殿?」
「嫌ですわ。…どうぞ、紅珠、と呼び捨てて下さいませ」

夢見る乙女の様に瞳をキラキラさせて自分を見詰めてくる紅珠に、夕鈴は困惑していた。

すぐ傍で自分達のやり取りを見ている陛下の存在を、しばし忘れてしまう程に。


続く

紅珠ちゃん大好きです♪

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Comment

 

連続アップ!ありがとうございます
紅珠可愛いですよね💕
  • posted by まぎっち 
  • URL 
  • 2014.04/10 12:49分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

まぎっち様

次も早めにアップしますね!
紅珠は夕鈴と陛下を応援してくれそうなので好きです~(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(まぎっち様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/10 13:54分 
  • [Edit]
  • [Res]

か、かわいい 

紅珠、可愛いv-10
そして、夕鈴、男前(笑)
大人しく待て出来なくて、陛下は夕鈴に会いに来たのに、夕鈴、紅珠の頭ナデナデしちゃったら、陛下がすねちゃう(笑)と、色々とニヤニヤしながら読ませて頂きました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

続きを楽しみにしております。きっとNorahは、ここの陛下よりは上手に待てができるはず…自信ないな(笑
  • posted by Norah 
  • URL 
  • 2014.04/10 15:07分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: か、かわいい 

Norah様

お久し振りです!
紅珠は可愛いですけど、夕鈴はお、男前…ですか!?
そんな強気な夕鈴だからこそ、陛下も惹かれていくんでしょうかね(^^♪
六話目までは移行するだけなので、そんなにお待たせせずにアップ出来ると思います。
陛下に負けないように、待機よろしくお願いします(笑)
  • posted by 高月慧ネン(Norah様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/10 15:34分 
  • [Edit]
  • [Res]

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よろしくお願いします。

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