兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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狼陛下の『花嫁』選び・其の四

こんにちは(^^♪

当ブログは無事に33000hitを迎えました
亀更新のブログにご訪問下さり、嬉しい限りです。
本当にありがとうございます

それでは、『花嫁』選びの続きを速達でお届けします☆

※紅珠の性格が原作と(かなり)違いますが、慧ネン的には『こうであったら良いな』と思ってます。陛下に対する態度がかなり違うので、原作のイメージを大事にされている方は読まないで下さい。


***



狼陛下の『花嫁』選び・其の四


「あははは!」

「もー、黎夾さん!そんなに笑わなくても良いじゃないですか!?」

「だって、夕鈴…!」

「だから笑い過ぎですって!」

昼下がり、いつもの後宮の裏庭で、黎夾の笑い声と、それを咎める夕鈴の大声が響く。

昨日のお茶会での他の候補者達との間の出来事を黎夾に話したのだが、タンカを切った夕鈴が余程面白かったのか黎夾は盛大に笑い転げた。

夕鈴としては心外だ。こちらは笑い所ではない。その後の紅珠と狼陛下のやり取りにもハラハラさせられたというのに。

「ごめん、ごめん。…で、その後どうなったの?」
「その後はですね…」


大貴族達に楯突き彼女達が去った後、紅珠にキラキラした瞳で見詰められ夕鈴は困惑してしまった。

自分達のすぐ傍で、あの狼陛下が見ている事に気付かないくらいに。

「私を無視して話に夢中とはな」

掛けられた低い声に、夕鈴はようやく陛下がまだその場に居た事に気付いた。ビクリと身体を震わせ振り返ると、細められた紅い瞳と目が合う。少し機嫌が悪いらしいその表情に夕鈴はピキリと固まってしまった。

「あら、陛下。まだいらしたのですか?」

狼陛下を恐れもせずに、そう返したのはなんと紅珠だった。

「私に口答えするとは良い度胸だな、氾紅珠」
「そうですか?私とお姉様の会話を邪魔するなんて、陛下こそ良い度胸ですわね」

あれ?あれれれ?

夕鈴はさらに困惑した。

アレは誰?さっき他の候補者達の心無い言葉に涙して、フルフル震えていた紅珠はどこに行った?

「私がまだいた事には気付いていた筈だが?」
「申し訳ありません。お姉様とのお話に夢中で、陛下など眼中にありませんでしたわ」

紅珠の声は鈴の鳴るように美しいのに、その口から出る言葉はなんと辛辣な事か。

「あ…あの~」

居たたまれなくなり、夕鈴はバチバチと火花を散らしながら(夕鈴にはそう見えた)睨み合っている二人に恐る恐る声を掛けた。

「まあ、私ったら…!お姉様の前ではしたない事を…」

夕鈴の存在を思い出し、自分の振る舞いを恥じるように頬を紅くする紅珠。

「すまない、夕鈴。私とした事が、ついムキになってしまった」

まるで黎夾のように、少し肩を落として詫びてくる陛下。

何故だか可笑しくなり、夕鈴はクスリと笑った。

「…お二人とも、どこか似ていますね。」

夕鈴にも可愛い弟が居る。喧嘩した事などないが、仲の良い兄弟がたまに言い合いをしたらきっとこんな感じ。

「まるで兄妹みたいですよ?」

夕鈴の言葉に、二人は嫌そうに互いを見ていたが…。

「…幼い頃からの付き合いだからな。兄よりは仲が良いかもしれん。だがこれが『妹』など…、まっぴらごめんだ。」

にやり。

「『これ』だなんて、失礼ですわね。…私には実の兄が三人おります。陛下が『兄』だなんて、お断りいたしますわ。」

にっこり。

美貌の二人は睨み合っても絵になるなあ…と、夕鈴はクスクス笑った。

「…お二人はきっと『似た者同士』なのですね。自分に似ているから認め合うし、衝突もする。…言い合っている時、お二人ともとても楽しそうでしたよ?」

『兄妹みたい』『似た者同士』と、二人にとっては心外の事を言われて、陛下も紅珠も眉を潜めていたが。

とてもお似合いの二人。陛下の隣に后として立つのは紅珠が相応しいと夕鈴は思う。
それをもし声に出して言っていたならばここで一騒動あったかもしれないが、夕鈴は心の中で思うだけに留めた。

それから陛下は、「周囲にくれぐれも注意するように。もし何かあればすぐに知らせるように」と言い残し戻っていった。紅珠からも同様の言葉を貰い、すごく心配している彼女に十分に気を付けるからと言い、部屋に送ってあげた。

昨日の茶会の後の事を黎夾に話し終えると。

「氾紅珠ね…。僕も会った事がある。確かに美人だと思うけど、性格はかなりきついよ?」

黎夾も眉を潜め、嫌そうに言う。

「そうですか?…とても可憐な美少女だと思いますけど」

昨日の陛下との言い合いを見て、夕鈴も紅珠の見方を少し変えたのだけれど。夕鈴に対してはふんわりとした態度しか見せないので、彼女に対するイメージは余り変わらない。

「それはともかく…。夕鈴は大丈夫?他の候補者達に何かされてない?」

不安そうな瞳が夕鈴を見詰めてくる。

「…っ、いえ、私は大丈夫です!何もされてないですよ?」

夕鈴が一瞬言葉に詰まったのを、黎夾は見逃さなかった。

「本当に?…僕、心配なんだ。彼女達が何かあくどい手を使ってくるんじゃないかって…。本当に何もない?」
「はい。何もないです!」

黎夾が余りにも不安げに心配そうに聞いてくるので、夕鈴は安心させるように微笑みながらそう答えたが。

本当は、ある。

彼女達の仕返しと言う名の嫌がらせは、すでに始まっていた。

紅珠を部屋に送り届けた後は特に何事もなく、通常通り夕食をとり、就寝したのだが。

朝食をとった帰り道、夕鈴は何もない回廊で足を滑らせ尻餅をついた。調べてみると油が塗られたようにツルツルとしていた。侍女達が憤慨し、陛下に進言しようと言うのを夕鈴は必死に止めた。

本当に彼女達がやったのか確証も無い。怪我もないし、衣装が汚れただけだから、と。

侍女達は何か言いたそうだったが、「こんな事で忙しい陛下の御手を煩わすわけにはいけない」と言う夕鈴の言葉に、最終的に折れてくれた。

その後も、夕鈴の部屋の書物が破られていたり、衝立に傷が付けられていたり…。
今の所、夕鈴に実害の無い子供の様な嫌がらせが何回かあった。

衝立については隠しようが無かったので、自分の不注意で傷を付けてしまったと陛下の側近・李順に伝えてある。彼も何か言いたそうだったが、夕鈴はそれだけ伝えると自室へ下がった。

こんな些細な事、陛下に進言しなくても大丈夫。自分の対人関係くらい、自分で何とかしないと!

ついでに紅珠と黎夾にも言わないでおこうと夕鈴は思う。
言えばますます二人に心配をかける事になってしまう。

「何かあったらすぐに僕に言ってね?些細な事もだよ?…怪我してからじゃ遅いんだからね?」
「分かりました!何かされたら言いますね。…本当に黎夾さんって心配性なんだから。」

少し呆れたように、困ったように夕鈴は黎夾に言う。

「――味なマネをしてくれる…」

「?…何か言いましたか?」

「ううん、何も…」

少し考え込む黎夾の瞳は昏かった。普段は決して見せない、まるで狼陛下のような…。

「黎…夾、さん…?」

困惑気味な夕鈴の声に、黎夾はハッと顔を上げた。

「…夕鈴だから、心配するんだよ?本当に何かされたら言ってね?」

ワタワタとそう言った黎夾は、いつもの子犬のような彼に戻っていた。
先程の冷たい瞳は、自分の見違いだったかなと夕鈴は思った。

夕鈴は気付いてなかった。昨日の陛下と紅珠の会話で、陛下の弟であるはずの『黎夾』の存在が無かった事に。

いつもは陛下(兄)に進言するように言う黎夾が、自分に言ってくれと言った事に。

もし気付いていたなら、その不自然さに首を傾げたかもしれない。

だが夕鈴は、まだその事実に気付いてなかった…。


続く


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Comment

 

33000hitおめでとうございます✨
これからも応援させていただきますよ〜😊
  • posted by まぎっち 
  • URL 
  • 2014.04/10 17:16分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

まぎっち様

お祝いのお言葉、ありがとうございます!
亀更新ながら、これからも頑張っていこうと思います(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(まぎっち様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/11 01:15分 
  • [Edit]
  • [Res]

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