兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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便利屋さん 1

まずはお詫びを…!

本当にごめんなさい!
ホントにホントにごめんなさい…!!

こんな事するから読者様に呆れられてしまうんですよね

ちょっと浮かんできちゃったんです

続き物ですが、人気が無いようだったら続きはアップせずに即下げます…(*_*;

現代パラレルなので苦手な方はご注意下さい。
※突拍子の無い内容です。深く考えずに読んで下さる方だけどうぞ。

***



便利屋さん 1


沢山の人が行き交う駅前で、彼女は途方に暮れていた。

汀夕鈴・17歳の高校二年生。
家は裕福ではなく、汀家の収入は父の給料と夕鈴のバイト代のみ。
彼女は得意の節約術を駆使して、何とか毎日を遣り繰りしていた。

公務員を目指して頑張っている可愛い弟・青慎を良い塾に通わせているため、汀家には余分な貯金は無い。
それなのに、今すぐ大金を用意しなくてはならない最悪な事態が起こった。

昨日、夕鈴が学校から帰ると家の前に不釣り合いな黒塗りの高級車が二台停まっていた。何事かと慌てて中に入ると、そう広くないリビングで父・岩圭と青慎が黒服の厳つい男達に囲まれて蒼褪めていた。

話を聞くと、父が不注意で彼らの車に傷をつけてしまったらしい。

修理代にしては高過ぎる金額を払えと言われ、抗議すると「縁起が悪いから車を買い替える。」と言うのだ。
高級車代など払えるはずも無く、それなら「命か身体で払え。」と脅された。

今日は朝から街を歩き回り、何とか金を融通してくれる企業などはないかと探し回っていた夕鈴はあるビルの前で足を止めた。

「便利屋、さん…?」   

そこには、『あなたのお悩み、何でも解決します。便利屋R』と言う看板が出ていた。
普段の夕鈴なら、怪しいと思い近付きもしなかっただろう。
けれど今は藁にも縋りたい状態。彼女は恐る恐る、ビルの中に入った。

「いらっしゃいませ。」

受付嬢がにっこりと微笑み、夕鈴を迎えた。

「あ、あの…表に出ている看板の便利屋さんって…。」

しどろもどろ問うと、彼女は「ああ」と言う顔をして。

「申し訳ございません、お客様。便利屋Rは当ビル横の階段を上がって三階になります。」

綺麗なビルに挟まれるように、小さなぼろい階段があった。ギシギシ音を立てる階段をゆっくり上ると、突き辺りにはこれまた年期の入った扉がある。

『便利屋R』と書かれた看板の下には、手書きやパソコンで作成されたと思われる『どんな悩みでもok!』『秘密厳守』『料金は要相談』などと書かれた紙が無造作に貼られている。

インターフォンなどなく、夕鈴はびくびくしながら扉をノックした。

「はいは~い!」

中から軽い声が聞こえてきて、開けて良いのかな?と思っているとガチャリと扉が開いた。
顔を覗かせたのは、赤毛の童顔の男性。

「いらっしゃい。」
「あ、あの私…」

こんな子供のような人がここの責任者なのかな?と不安に思っていると。

「何やら切羽詰まった顔してるネ。中に入って!話聞くから♪」

ニパッと笑って彼は夕鈴に入室を進めてきた。

室内はやっぱりぼろくて、本当に大丈夫なのかとますます不安になってしまった。
椅子を勧められて落ち着かないまま座る。

「便利屋Rへようこそ。俺はここの社員のコウ。」
「あ、私は…「ストップ」え?」

名乗ろうとすると、向かいに座る彼に遮られてしまった。

「名乗らなくて良いよ。仕事を受けるかどうか上が判断するまで、必要ないからね♪」

笑っているのに、彼の笑顔は何故か怖かった。

「――で、君の悩みは何かな?」

「単刀直入にネ」と言われて、夕鈴は事の顛末を話し、明日までにどうしてもまとまったお金が必要な事を伝えた。
自分の家の現状を伝え、とてもではないが払える金額ではない事。なるべく低利子で、すぐに貸してくれる企業などはないか。

必死だった。もしお金を揃える事が出来なかったら、自業自得の父や自分はともかく可愛い弟まで学校を辞めて働かなくてはいけなくなる。
それだけは何としても避けたい。

話し終えて、夕鈴はギュッと唇を噛み締めた。コウは何も言わない。
自分一人では何も出来ない。誰かに助けて欲しかった。

「――それは甘く考えすぎじゃないのか?」

静かな室内に、低い声が響いた。
いつの間にか衝立の傍にもう一人男が立っている。
漆黒のの髪に、宝石のような紅い瞳の端正な顔立ちの男。
冷たい瞳に射抜くように見つめられ、夕鈴の身体が震える。

「話を聞かせてもらったが、今時何の担保も保証もなく金を貸してくれるそんな所があるとでも?何の経済力もないただの高校生の女に、金を貸すような慈善会社があるならお目に掛かりたいくらいだな。」

鼻で笑いながら、夕鈴を見下してくる。

「…何もかも他力本願なのが気に入らない。お前自身は何をした?何か努力したのか?それをせずに無償に金を借りようなんて、腹立たしい事この上ない。」

夕鈴は震える拳をギュッと握り締めた。

ここに来る前、家にあるもので売れる物は全部売った。
母の遺品だった指輪、お気に入りだった家具、父は中古の車も全て売り払った。

けれど、とても必要な金額には足りない。たとえ家を売り払っても、用意出来る金額ではなかった。

「――何も、知らないくせに…。」

頑張って貯めたバイト代も、全て注ぎ込んだ。もしこのまま家まで売らなければならなくなったら、親子三人。どうやって暮らしていけばいいのだろう。

先の見えない不安に押し潰されそうになって、本当にどうしようもなくて、誰かに助けて欲しくてここに来たのに。

ここは室内こそぼろいが、コウは身なりも良く、もう一人の男も質の良さそうなスーツ姿だ。きっと裕福な家庭に生まれた子息が、気まぐれにやっているのだろう。

何の苦労も知らず、お金に困る事もなく。

キッと、二人の男を睨みつける。

「貴方達には分からないわよね!…私が今までどんなに頑張って来たか!」

朝も早く起きて新聞配達のバイト。帰宅後家事を済ませ学校に行き、終わると一度帰宅し夕食の準備をしてまたバイトの毎日。

夕鈴だって年頃の娘。欲しい物もあったし、オシャレにも興味があった。それを全て我慢して、節約に勤しみ慎ましく暮らしてきた。
汗水流して働き、苦労して稼いだものが一瞬にして消える。

その恐怖も辛さも、分からないくせに。

「何の努力もしてないって!?――私の事を良く知らないくせに、勝手な事言わないでっ!!」

バンっと机を叩き、夕鈴は立ち上がり叫んだ。
悔しさと辛さがごちゃごちゃになって、ボロボロと涙が溢れてくる。

驚いたように、コウともう一人の男が目を見開いたけれど。

「もうあんた達なんかに頼まないっ!こんな所に助けてもらおうとした、私が馬鹿だったわ!!」
「あっ、ちょ…っ!」
「お邪魔しました!!」

これ以上こんな場所に居たくなくて、夕鈴は泣きながら部屋を飛び出す。
悔し紛れに、扉を思い切り閉めてやった。


夕鈴がいなくなった後、コウは溜息を吐きながら長身の男を見上げる。

「言い過ぎたんじゃないの?」

それに対して、男からの返答はない。
けれど内心ではそう思っているのか、少しだけその表情に困惑が見える。

「…金の無心をしてくる奴なんて、ろくでもないヤツだと思ったんだ。」

そんな人間が、男は大嫌いだった。
だから彼女もそうだと思った。何の苦労も知らない、箱入り娘だと。

「…彼女の手を見たか?一生懸命働く人間の手をしてた。」

少し日に焼けた手、水仕事で荒れた指先。
苦労を知っている者の手だった。

「今ならまだその辺にいるんじゃないか?行きたかったら行けよ。」

そう言ってやると、すぐに飛び出していく。
その背中を見ながら、促してやらないと動こうとしない男に、コウは不器用なヤツ、と笑う。


けれど結局、その周辺を探したけれど彼女の姿は見付ける事が出来なかった。

「…逃げ足早いね~。まるで野兎みたいだ。」

金に近い茶色の長い髪を二つに括っていた夕鈴を、コウはそう評する。

「さ、行こうぜ?レイ。」

心なしか落ち込んでいるような彼――レイの肩を、ポンポンと叩く。

助けを求めてきた彼女の力になれるよう、まずは彼女を探し出さなければ。
二人は上着を羽織ると、夕闇が迫る街に繰り出した。


続く

名前がCreuzシリーズに似てますが、お気になさらず…

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  • posted by  
  •  
  • 2014.04/11 00:46分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

早速清き一票を下さり、ありがとうございます(^^♪
貴重なご意見として、受け止めさせて頂きます。続きを書くかどうかは、もう少し様子を見てみますね…(*_*;

  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/11 01:17分 
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No title 

お久しぶりです^^
あちらの記事が動いてたのできちゃいました~

コメも残さず、読み逃げばかりでごめんなさい(>_<)
でもこの続きがどうしても気になるんで、コメ残していきます(笑)

続ける!に私も一票!
これでおわっちゃったら・・・・気になり過ぎて倒れちゃう

あ、それと<花嫁選び>もゆっくり待ってますね(*´∀`*)


  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2014.04/11 09:27分 
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  • 2014.04/11 15:09分 
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  • 2014.04/11 16:20分 
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No title 

面白かったです!!
このあとどうなるのか!?
すごく気になります( ´艸`)
  • posted by 陽向 
  • URL 
  • 2014.04/12 00:28分 
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Re: No title 

ぷーちゃん様

お久し振りです!コメントありがとうございます♪
あちらはスマホでポチポチとアップしています。小説はアップしないと思いますけど(笑)

読み逃げ、結構!でもたまにコメント残してくれたら泣いて喜びます♥

便利屋さん、続編希望ありがとうございます。
続きが気になり過ぎて、倒れるってどんだけ(*_*;
後ろに椅子を持ってきて、倒れないようにしてあげます(^^♪

『花嫁』選びも、ぼちぼち続けていきますね~。
  • posted by 高月慧ネン(ぷーちゃん様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/13 02:50分 
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Re: こんにちは! 

風花様

お仕事お疲れ様です(^^♪
コメントありがとうございます(^v^)

風花様も、続編希望ですね。今回はいきなり夕鈴ピンチです。
せめて危機を脱するまでは続けないと、夕鈴に恨まれてしまいそう…。
『花嫁』選びも、ゆっくりのんびり続けていこうと思います(^_-)-☆
  • posted by 高月慧ネン(風花様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/13 02:53分 
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Re: No title 

ひなたぼっこ様

コメントありがとうございます~(^^♪
またまた続編希望!?あんな所で止められると気になってしまうのかな?
慧ネンの話が面白いと言って下さってとても嬉しいです♥
(慧ネンもボキャブラリーなくてごめんなさい(*_*;もっと面白おかしくコメント返信してみたい…)

ブログリンクの件、ありがとうございます。
またお手があいた時に、ぽちっとやって下さいませ。慧ネンはお先にリンクさせて頂きました♪
  • posted by 高月慧ネン(ひなたぼっこ様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/13 03:00分 
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Re: No title 

陽向様

コメントありがとうございます。
続編希望、承りました~。
続きはもうちょっとお待ち下さいね(^v^)
  • posted by 高月慧ネン(陽向様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/13 03:02分 
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壁|・)っ『投票』
  • posted by eira 
  • URL 
  • 2014.04/13 23:23分 
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Re: タイトルなし 

eira様

清き一票、ありがとうございます(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(eira様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/13 23:51分 
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『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

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