兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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狼陛下の『花嫁』選び・其の六

こんにちは~。

後一話なので、さっさと移行しておきます。
これでア○ブロでアップしていた所まで全てこちらに移しました。
続きは、いつになるか分かりません

慧ネンの脳内では、後長くても五話くらいで終わるストーリー構成になっています。
現代パラレルに混じって、時々浮上してくると思いますので、アップされたら皆様よろしくお願いします

頂いている拍手コメントのお返事は、まとめてアップしようと思います。もう少しお待ち下さいませ。

では、どうぞ!


***



狼陛下の『花嫁』選び・其の六


「…夕鈴!怪我したって聞いたけど、もう大丈夫なの!?」

夕鈴が黎鈴を抱き黎夾に会いに行くと、彼は凄く不安げな表情で夕鈴に駆け寄ってきた。

「あ、はい。…もう大丈夫です。ご心配おかけしました。」

夕鈴はぺこりと頭を下げた。
夕鈴の頭には、まだ包帯が巻かれている。

頭に衝撃を受けて意識をなくした夕鈴が目を開けたとき、もう犯人も捕まった後だった。

自室の寝台で意識を取り戻した夕鈴は、目の前の状況に困惑した。そこには目の縁に今にも溢れそうな涙を溜めて、見詰めてくる紅珠。そして、黎鈴を腕に抱いたまま立っている陛下がいた。

陛下から事の顛末を聞き、しかも黎鈴が犯人を捕まえてくれたという事を知った。

「黎鈴様は、素晴らしい猫ですわ」

紅珠が感激したように微笑む。

「見事な働きだった。…将来が楽しみだな。」

陛下は黎鈴の活躍に、感服したようだった。

陛下の腕から抜け出して、自分の傍に寄ってきた黎鈴を夕鈴は感謝の意を込めて優しく撫でる。そして夕鈴は、自分の思っている事を陛下に伝えようと口を開いた。

「あの、陛下。…お願いがあるのですが…」


黎夾の隣に座り、夕鈴は空を見上げた。城に上がってから天気の良い日が続いている。今日もポカポカして、とても暖かい。

「…夕鈴、一つ聞いて良い?」
「はい?」

黎夾に声を掛けられ、夕鈴は彼を見た。

「兄に聞いたんだけど…夕鈴に怪我をさせた候補者の一人、処罰をしないで欲しいと頼んだんだって?」

―――そうなのだ。

夕鈴は陛下に、牢に入れられて沙汰を待っている娘を、自分に怪我をさせた候補者を許してあげて欲しいと頼んだのだ。

当然陛下にも紅珠にも大反対された。仮にも王自らが集めた候補者の一人に怪我を負わせたのだ。彼女は勿論、彼女の一族も罰しない訳にはいかない。

「では、こういうのはどうでしょう?…彼女のご家族には何の罰もなし。ただし、『陛下のお妃候補からは外される』事を、彼女への罰とする。如何ですか?」

夕鈴の提案に、陛下は渋々だが頷いてくれた。

午前中のうちに城を下りるようになっていた娘は、夕鈴の自室にやってくると深々と頭を上げ、自分の行いを詫びて去っていった。

「貴女が陛下の隣に立つお姿を拝見できるのを、楽しみにしております」

と、夕鈴にとっては素直に喜べないような言葉を残して。


「…陛下に聞いたのですか?」
「うん。」

むーと、黎夾は納得いかない顔をしている。

「夕鈴は、優しすぎるよ。人は誰だって、裏表を持っている。どんなに笑顔であっても、優しい言葉で話していても、その心の中では何を思っているか分からない。」

黎夾の言っている事も理解は出来る。確かにそうかもしれない。

でも…、と夕鈴は思う。

「黎夾さん、…人を疑うのって簡単ですけど、信じる事ってなかなか出来ないですよね?」
「そうだね…」

何か思う事があるのか、黎夾は思案顔だ。

「でも、信じてあげないと、誰も自分を信じてくれないんですよ。…私は彼女を信じました。私に向かって頭を下げてくれた彼女の姿と、謝罪の言葉を。彼女は元々悪い人じゃないと思うんです。…本当に私をどうにかしたかったのなら、他にいくらでも手はあったと思うんです。」

彼女が本当に悪い人間だったのなら、夕鈴がもっと苦しむ事をするだろう。
『国王陛下の妃』という魅惑に、彼女は惑わされてしまっただけだ。

「…だからもう良いんです!」

にっこりと微笑み、「黎鈴も無事だったしね?」と、彼女の頭を撫でる。

「そう…か。…夕鈴が良いならもう何も言わないよ。」

黎夾はそう言うと、夕鈴に首元を撫でられ気持ち良さそうにしている黎鈴に「黎鈴、こっちにおいで?」と呼びかける。
黎鈴は言葉に反応し夕鈴の腕を抜けると、黎夾の腕を伝い肩の上に乗っかった。

その光景を見て、夕鈴の目が点になる。

「え~?何時の間に仲良くなったんですか?!」

「ほら、黎鈴が犯人を暴いた時にね、僕も傍で見てて。褒めてあげたら、何故か懐いてくれたんだよ。」

黎恭が嬉しそうに答える。

勿論、彼が『黎夾』としてその場に居たわけでは無い事を、夕鈴は知る由も無い。

「良かった…。黎鈴が黎夾さんに懐いてくれて。いつも傍にいるのに、仲が険悪だったからどうしようかと。」

ホッと夕鈴が息を漏らす。

野良とはいえ黎鈴の産まれはこの王宮だ。

陛下の妃選びの一ヶ月と言う期間が終わって自分が城を下りる時、彼女を連れて行くわけにはいかない。黎夾なら、黎鈴を託しても大丈夫。きっと可愛がってくれる筈だ。

「…僕も黎鈴が懐いてくれて嬉しい。まるで夕鈴の傍にいる事を認めてくれたみたいだ。」

思案していると、黎夾が嬉しそうに声を弾ませる。

「え…?」

夕鈴は困惑した。

傍にいる事を、認めてくれた…?

黎夾を見ると、ニコニコ笑っている。肩に乗ったままの黎鈴を撫でているが、黎鈴は嫌がる事無く気持ち良さそうにしている。

夕鈴は黎夾の言葉の意味を考える。

自分はもうすぐこの場所を去っていく者だ。それは勿論、黎夾との別れも意味している。

「黎夾さん、それは一体どういう「…待って、夕鈴。」」

夕鈴の言葉を遮るように声を掛けると、ふと空を見上げる。頭上に何かあるのかと思い、夕鈴も顔を上げるが特に何も見当たらない。

青い若葉が、風に揺れているだけだ。

「降りてきたらどうだ、浩大!」

黎夾は夕鈴が聞いたことが無いような低い声でその者を呼んだ。

「あ~、やっぱ気付いてた?…上手く気配消してたんだけど。」

ガサガサっと、木々が揺れたかと思うと、一人の男が黎夾と夕鈴の前に降り立った。

「…きゃあ!」

驚いた夕鈴は声を上げ、思わず黎夾にしがみ付き。彼の肩に乗っていた黎鈴も飛び降りて毛を逆立て威嚇している。

「…大丈夫だ、夕鈴、黎鈴。これは兄が寄越した君の護衛だよ。」
「えっ!?」

『これ』呼ばわりされた浩大が、酷いっすと愚痴っているのを無視し、黎夾は言葉を続ける。

「先日の件もあるし、兄が決めた一ヶ月まで後、半月。今回は怪我だけで済んだけど、命を狙われる可能性もあるから念のためにね。」

命を狙われると聞き、青褪める夕鈴に黎夾は苦笑いする。

「大丈夫、念のためだよ。…これは好きなように使ってもらって良いから。」

紹介すらしてくれない黎夾に、浩大はまるで子供のように笑う。

「…どうも、初めまして。お噂はそちらのへ…じゃなかった、黎夾様からかねがね。俺は浩大って言うの!これからよろしく。俺の事は気軽に大ちゃんとでも呼んでね~」

普段は陛下の隠密をしていると言う浩大に、明るい隠密もいたものだと夕鈴は思う。

「黎夾様が俺の事紹介してくれるって言うからずっと待っていたのに、話に夢中でなかなか呼んでくれないんだもん。もう暇で暇でさあ~」

「だから僕達の話の邪魔をしたのか?」

黎夾にジトッと睨まれて、浩大は苦笑いする。

「俺が様子を見に来なきゃ、何時までたっても呼ばなかったっすよね?」

その通りだったので、黎夾は口を噤んだ。

「んじゃ、俺は勝手に護衛してるんで、普段通り過ごしてもらって良いから!」

浩大は夕鈴に向かってニパッと笑うと、フッと姿を消した。

「す、凄いですね…」

夕鈴はあっけに取られて呟いた。黎鈴も姿を消した浩大の気配を探っているのか、あたりをキョロキョロ見回している。

「…ちょっと変なヤツだけど、悪いヤツではないから。仕事の腕も確かだし。何か危険な事とかあったら、すぐに彼を呼んで良いからね?」

夕鈴を見詰める黎夾の瞳はとても優しい。

夕鈴は嬉しくなって、頷くとにっこり微笑んだ。


王宮での新たな出会い。

夕鈴がここに居られる期日。

陛下が妃を選ぶ日まで、あと、半月――。


続く

気まぐれ更新で、続くと思われます…。
い、いつかは完結させたい(*_*;


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  • posted by  
  •  
  • 2014.10/05 00:41分 
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Re: タイトルなし 

トマト様

初めまして!コメントありがとうございます(^^♪
面白いと言って頂けてとても嬉しいです☆
続きも早めにお届けできればと思います。が、頑張るぞ…。
  • posted by 高月慧ネン(トマト様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/08 02:41分 
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はじめまして。
先週末からこちらのサイトにおじゃましてます。

このお話好きです!o(^▽^)o
気長〜に更新待ってます。
では〜
  • posted by けい 
  • URL 
  • 2015.02/04 00:03分 
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Re: タイトルなし 

けい様

初めまして!ご訪問&コメントありがとうございます(^v^)

このお話が好きと言って頂けて、とても嬉しいです~。
亀の歩みより遅い更新ですが、ホント気長~に待って頂けたらと思います。
  • posted by 高月慧ネン(けい様へ) 
  • URL 
  • 2015.02/07 21:59分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

こんばんは。
このお話、多分2月か3月かに一気に読んで、更新を待ちながらいつの間にかどなたの作品か思い出せなくなっていた、続きを楽しみにしていたお話でした。

My Sweet☆Homeのお陰でこのお話をもう一度見つける事が出来て凄く嬉しく思っています。
埋めた場所が分からなくなったワンコが、偶然その宝物のホネを堀当てた様な喜びです♪

どのシリーズも面白く、あちこちから更新の期待が寄せられて応えるのもきっとご苦労されているのではないかと思いますが、その内こちらもお願いしますね!
  • posted by ハニー 
  • URL 
  • 2015.05/08 22:29分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

ハニー様

また古い記事にコメントありがとうございます!
こちらの話も続きを望まれている方が多いのですが、中々続きを書く事が出来なくて申し訳なく思っています(*_*;

どうやって話を繋げようか悩んで、王宮に来てちょうど半月、一日暇をもらって下町に下りる…等、いっその事場面転換してやろうかと思っているこの頃です。
最近は本当に現パロばかり書いているので、原作沿いは難しくて自信はないのですが、いつの日か完成させたいと思っています。
  • posted by 高月慧ネン(ハニー様へ) 
  • URL 
  • 2015.05/12 05:33分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

いやぁ〜
久しぶりに読み返してみるとやっぱり続きが気になりますね(^^)

すべてのシリーズ気長に待ってます♫
  • posted by ちろ 
  • URL 
  • 2016.01/04 15:29分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

ちろ様

読み返しありがとうございます~(^^♪
続きもそろそろ書かなくては~と思っています。ストーリーは出来てるのになあ…(*_*;
今年こそは、頑張ってみようかな…。
  • posted by 高月慧ネン(ちろ様へ) 
  • URL 
  • 2016.01/04 20:49分 
  • [Edit]
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『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
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よろしくお願いします。

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