兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 8

こんばんは。

夕方にアップした愚痴日記に、沢山の拍手と温かいコメントをありがとうございました(^^♪
こんな公の場で、個人の愚痴を洩らしたのはちょっと拙かったかなと反省しております。
これからは楽しく!二次をやっていく所存です。(愚痴はこそっと愚痴ります←某所で)
記事を読んで不快に思われた方がおいでましたら、この場にてお詫び申し上げます。
本当に申し訳ありませんでした(*_*;

***

さてさて、心優しい皆様に励まされ、続きをポチポチ書いていました。

ついに当ブログで一番記事数の多かったCreuzシリーズを、上司と部下シリーズが追い抜きましたよ!
まあリクエスト小説や季節・イベント小説などでカテゴリ分けしているので、総数はどうか分かりませんけどね

このシリーズを書き始めて一年以上たったわけですが、もうそろそろくっついても良いのではないのですか?珀課長…
読者の皆様、待っているようですよ?

と言う訳で(どういう訳だ?)、ちょっと短いですが八話目をお届けします。


***



平日の午後、私服姿の美少女が白陽コーポレーションのエントランスを抜けて真っ直ぐにフロントに向かって行く。
ホールにいた男性社員や他の客が、可憐な少女の姿を呆けたように見つめている。

「いらっしゃいませ。」

どう見ても高校生くらいに見える少女に何用かと困惑しながらも、ベテランの受付嬢はそれをおくびにも出さず頭を下げると、少女は鈴が鳴るような声で用件を伝えた。

「氾紅珠と申します。第一営業課の、珀黎翔様にお会いしたいのですが。」


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 8


午後の業務が始まってすぐ、黎翔のデスクの内線が鳴った。フロントからの直通だった。
何かあったのかと受話器を取ると、自分に会いたいと客が来ていて、身元が確かなのですでに一課に案内していると言う。

誰かに会う約束もしていなかった黎翔は、その人物に思い当たらない。
「誰だ?」と聞こうとした時、「黎翔様!」と少女の嬉しそうな声が一課に響き渡った。

課内にいる社員全員の目がそちらに向く。沢山の視線を受けながらも、彼女の目に映っているのは黎翔ただ一人。

「氾紅珠…?」

思わず腰を上げた黎翔は、受話器を持ったまま呆然と呟いた。

ガラス張りになった応接室で向き合って何か話している二人の様子を、一課社員達はそれぞれの仕事をしながらも窺う。

「誰…?」
「課長の知り合いよね…?」

男は何も言わず口を噤んでいるが、こういう事には興味津々の女性社員達はこそこそと隣同士で囁き合う。
課長と向き合っている私服姿の少女の姿が、この場所には不釣り合いに見える。

「…親戚かしら?」
「でも課長の事、黎翔様って呼んだわよね?」

高校生にしか見えない少女の素性が気になって堪らないようだ。

「「「…………」」」

男性社員達は課長の様子を気にしながらも、女性社員の会話を静かに聞き流した。

暫くしてカチャリと扉が開き二人が出てくる。
先に出てきた黎翔は溜息を吐き、手を止めた部下達を見渡し口を開いた。

「氾エンタープライズの取締役の娘さんだ。」
「紅珠と申します。」

礼儀正しく頭を下げた彼女は、その後爆弾発言を投下した。

「――黎翔様の婚約者です。」

「!?」
「は?」
「え!?」

「えええええええ!!!???」と響き渡った悲鳴に、黎翔は痛む頭を押さえがっくりと項垂れた。


「――良いんですか?あれ。」
「良くないが、本人が了承したのだから仕方ないだろう…。」

仲良く?話をしながら一課を出て行った紅珠と夕鈴。

「せっかく来たのだから、社内の見学がしたい」と言った紅珠は、「この方に案内をお願いしたいですわ。」とよりにもよって何故か夕鈴を選んだ。

黎翔としては夕鈴に紅珠を近付けさせたくなかったが、夕鈴自身が許可したのだから仕方が無い。

「課長!一体どういう事ですか!!」
「そうですよ!あんな婚約者がいるのに、夕鈴ちゃんにちょっかい掛けるなんて!」

女豹達に詰め寄られ、黎翔は思わず仰け反る。
彼としても非常に予想外の事だった。

確かに紅珠からの再三の連絡を無視していたが、大人しい彼女の性格上、自分からここにやってくるなど思ってもみなかった。

裏にあるのは、彼女の父・氾史晴の思惑か、長兄・水月の策略か。

どちらにしても、厄介な事この上なかった。

「…婚約者と言っても、親が勝手に決めただけだ。私は彼女と結婚するつもりなどない。」
「でもきっと、夕鈴ちゃんショック受けていますよ!」
「そうですよ!後できちんと弁解して下さいよねっ!」

すごい形相で詰め寄ってくる部下達(女性)に、黎翔は若干蒼褪めた表情で「分かった」と呟くのだった。

自分に腕を絡めて楽しそうにしている少女を見ながら、夕鈴は密かに溜息を吐いた。

突然現れた、課長の婚約者だと言う紅珠。彼女の存在に呆然としていたが、いきなり社内の案内を頼まれた上、腕に縋り付かれ「お嫌ですか?」と泣きそうな顔で問われて、ついOKしてしまった。

本当に可愛らしい子だと思う。
今はまだ幼い為『可愛い』と言う表現が似合うが、もう少し大人になればとても美人で麗しい女性へと成長するだろう。
容姿端麗な彼女は、眉目秀麗な課長の隣に並んでも何の引けもとらない。とてもお似合いの二人。

美しくもない、平凡な自分と違って…。

「…どうなさいました?」

落ち込んで俯いてしまった夕鈴に、紅珠が気遣わしげに声を掛けてきた。慌てて何でもないと返すと、ホッとしたように彼女は笑う。

「私、黎翔様が働いている会社がどのような所か、見てみたかったんです。汀さん、案内して下さって本当にありがとうございます。」

親が決めた婚約者だったが、彼に会ってみて本当に結婚したいほど好きになった事。
以前からあまり会えなかったが、最近特に「仕事が忙しい」と言って会ってもらえなくなった事。
高校を卒業したら、彼をサポートできる職に付けるように大学に行くつもりの事。

夕鈴の心の葛藤を知らない紅珠は、嬉しそうに、そして少し寂しそうに課長の事を話す。
そのたびに、夕鈴の胸は苦しくなる。

(この子本当に、課長の事が大好きなのね…。)

今まで課長に言い寄ってくる女性達は、彼の地位を欲したり、金目当てと言った自己中心的な者ばかりだった。
だから夕鈴も、そんな存在に負けたくないと思っていた。
たまに一緒に食事をしたり、今は同じマンションで同居している課長が、自分と共にいる事で少しでも安らぎを感じてくれれば良いとそう思っていた。

けれど今回は、そんなふうに思えなかった。

課長の方はどう思っているか分からないが、紅珠の彼を思う気持ちは下心など無い純粋なもの。
心から彼を愛し、彼の力になりたいと彼女は頑張っている。

紅珠の存在が、夕鈴の心を乱していく。


――私は一体どうしたら良いの?
このまま、課長を好きでいて良いのかな?

その問いに、応えてくれる者などいなかった。


続く

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