兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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上司と部下の、夢の階(きざはし)

婚約者(フィアンセ)が途中ですが、ちょっと書く時間が無いのでSNSよりサルベージ

昨年の5月9日『告白の日』に書いたお話で、上司と部下シリーズの二人になります。
SNSでは『夢のまた夢』と言うタイトルでしたが、上司と部下シリーズ風にタイトル改名しました。

夕鈴はまだ入社1年目。
お互い想い合っているけど、擦れ違ってばかりの頃の、ある日の短いお話


***



上司と部下の、夢の階(きざはし)


「…夕鈴?」
名を呼ばれ、夕鈴はハッと顔を上げる。
向かいの席に座る男性が、心配げな顔でこちらを見ていた。
「え…?」
戸惑ったように声を上げると、彼は眉を寄せた。
「どうした?大丈夫か?」
「あ、はい…。大丈夫、です…。」
「良かった。…急にぼんやりするから、どうしたのかと思った。」

優しい言葉を掛けてくれる男性は、見た事あるような、無いような。
知っている人にも見えるけど、夕鈴の知る彼は、こんなに優しい表情で自分を見たりしないし、『夕鈴』と名で呼んだりしない。

きょろ…と視線を周囲に向け、夕鈴は戸惑う。

クラシックが流れる、落ち着いた店内。
彼の背後には大きな窓があり、摩天楼の夜景が広がっている。
自分達がついているテーブルには、初めて見る高級そうな料理と、ワイングラスが置かれている。

ここはレストランのようだ…と、夕鈴は思う。

そして目の前にいる漆黒の髪、紅い瞳をした男性は、まるですべてを包み込むような視線で見つめてくるのだ。

「…課長?」

思わず呟くと、彼は目を見開いた。
「…随分と、懐かしい名で呼んでくれるな。」
そしておかしそうに笑う。
「もう上司と部下じゃないだろ?」
クスクス笑いながら、
「いつもみたいに、黎翔と呼んではくれないのか?」
困ったようにそう言った。

…はい?

困惑している夕鈴をよそに、彼は言葉を続ける。

「…付き合い始めて大分たつし、私はもうそろそろ一緒になっても良いと思っているのだが?」

「え、えと…」

「返事を。…君の返事を聞かせてくれないか?」

「へ、返事って…。」

「結婚しよう、夕鈴。」

けっこん?

血痕?

…いや、

結婚?

「――えええええぇ!!??」

ガバリと飛び起きた。
「…夢…?」
自分の声で、目が覚めた。
「…なんて夢、見ちゃうのよおぉ…!」

出勤しても朝の夢を思い出し、集中出来ない。
チラッと課長の席を見ると、先輩にあたる男性社員と何か話し合っている。

『結婚しよう、夕鈴。』

耳に残る優しく甘い声。

彼を見詰めたままぼうっとしていると、急にこちらを見た課長と目があった。ボッと顔が赤くなったのを自覚し、夕鈴は慌てて顔を逸らす。

こんな事じゃいけないと、夕鈴は自分の仕事を再開した。

黎翔の視線が資料から離れたのに気付き、部下の男性は彼に声を掛ける。
「課長、どうしました?」
「いや…何でもない。」
「?」
すぐに視線を戻した課長に、部下は首を傾げるのだった。

…どうかしてる。

黎翔はぼんやりとそう思う。

自分たちは上司と部下の関係。
おまけに、彼女と付き合っているわけでもない。

それなのに、どうしてあんな夢を見たのだろう。

彼女にこの想いを伝える日が、来るのかも分からないのに。

『結婚しよう、夕鈴。』

生涯を共にする誓いを立てるなんて、夢のまた夢だ。

課長と結婚する日が来るなんて、こんなのきっと夢のまた夢。

その日は一日中、二人は大きな溜息を吐きながら仕事をする事となった。


END

夢のままで終わるかどうかは、課長次第のような気がします。
――と、読者様も思っている事でしょう。


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よろしくお願いします。

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