兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 12

このお話も12話目になりました。
内容が全く進まないよう…!!
慧ネンが書きたいシーンに、中々近付けません(*_*;
一体何話まで続くのかな?

地道にやっていくしかないようです。

では、続きをどうぞ!


***



自分のアパートに戻ってから、夕鈴は出来るだけ課長から距離を置いた。
同じ職場、しかも直属の上司だけあって全く会わないようにする事は出来ない。
それは仕方が無いので、会話は必要最小限、仕事の事のみ。朝は浩大か克右に迎えに来て貰って、帰りは主に水月に送ってもらっていた。

彼が、時々何かを言いたそうにしていたけれど無視した。
悲しそうな、寂しそうな視線で見詰めているのを、気付かない振りをした。

そんな日が過ぎ、暦は二月に入った頃。

「――おい。」

出勤してすぐ、夕鈴は男性社員に呼び止められた。


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 12


振り返るとそこには、何かと自分に突っかかってくる犬猿の仲の柳方淵が立っていた。

「方淵さん、おはようございます。――何か?」

相変らず偉そうな態度に内心ムカッとしたが、作り笑顔で挨拶をする。
方淵はそんな夕鈴を見て、ちょっと躊躇ったような顔をした。
彼にしては珍しい表情に、夕鈴は思わず首を傾げてしまう。

どう言葉にすれば良いのか。
方淵は正直悩んだ。
水月が夕鈴の事を良く思っていないのは確かだが、今の所危害を加えているわけではない。
けれど、あの時見た水月の瞳の奥の隠された狂気。
妹・紅珠に対する親愛の情は深く、彼女に害する者は容赦なく潰していく可能性もある。
いつかその思いが牙を剥き、目の前に立つこの女に降り掛かるかもしれない。

方淵としては夕鈴の事はどうでも良いが、課長の事を考えれば何もしないと言う訳にもいかない。
だから、忠告だけはしておく。

「――氾兄妹には気を付けろ。」

二人の内に隠された狂気に気付け。
あの笑顔に騙されるな。

「…は?」

意味が分からず目を見開いた夕鈴に、もう何も言わず方淵は背を向けた。
忠告はしたのだから、これ以上関わるつもりはない。

去っていく彼の後姿を見ながら、夕鈴は首を傾げる。
いつものように嫌味を言うために呼び止めたのだろうと思っていたのに、方淵は一言だけ言って、去って行った。

『氾兄妹には気を付けろ』

兄・水月は何を考えているのか分からない所もあるが、食事に誘ってくれたり、送ってくれたりと紳士的な態度だ。
妹・紅珠も、婚約者である課長の事を心から愛している、可憐で優しい美少女。

いつも微笑んでいる二人に、夕鈴は特に何かされた覚えもない。

「一体どういう事…?」

呟いた夕鈴の言葉に、答えを返してくれる者などいなかった。

***

「…どうかしましたか?」

向かいに座る水月に聞かれて、夕鈴はハッとした。

「私の顔に、何か付いてます?」

苦笑いしながら問われて、夕鈴は水月の顔をじっと見つめていた事に気付いた。

「すっ、すみません!何でもないです!!」
「そんなに謝らなくても良いですよ?」

にこにこ笑われて、夕鈴は居た堪れなくなる。
いつものように食事に誘われて、レストランで食事中、つい方淵の言葉を想い出し、笑顔で話す水月の顔を凝視していたらしい。

方淵の言葉が頭から離れない。

(虫も殺せないような人に見えるのに、柳方淵はどうしてあんな事言ったのかしら…。)

夕鈴には不思議でならなかった。

食事を終え、水月が会計をしているうちに夕鈴は外に出た。

彼が連れてきてくれるレストランの料理も美味しいけれど、会話もそれとなく弾むけれど、どことなくつまらないと思うのはきっと気のせいだ。

そう思わないとやっていられなかった。
課長と、一緒に食事をしたり、ドライブをしたり、恋人同士の真似事のような優しい時間。
意地悪な彼が時々見せてくれるようになった、優しい笑みを。

――もう二度と見れないかもしれない。

ポロっと、溢れた涙を強引に拭った。
その時。

「危ないっ!!」

グイッと腕を引かれてたたらを踏んだ夕鈴の目の前を、一台の車が凄い勢いで走り抜けていく。

「克右、追えっ!!」
「はいっ!!」

キュルキュルと、タイヤが軋む音。
走り去った車を、見た事がある車が追っていく。

「大丈夫か、夕鈴ちゃん!」
「は…はい…。」

どくどくと音を立てる心臓を押え、夕鈴は道にへたり込んだまま、声の主を見上げる。
焦ったように声を掛けてきたのは、営業二課課長・浩大だった。

「浩大さん、何で…。」

何故彼がこの場にいるのか分からずそう聞いたが、彼はその問いには答えず、夕鈴に立ち上がるように促した。
その時背後で扉が開く音がして、水月が慌てて飛び出してきた。

「夕鈴さん!大丈夫ですか!?一体何があったんです!?」
「――馬鹿野郎!一緒にいるならちゃんと警護してやれよ!彼女は今、何者かに狙われているんだぞ!!」

浩大が水月に向かって吠える。
夕鈴が狙われている事は、水月も知っているはずだ。
彼が関わっている可能性もあるが、今回の犯人は氾家とは関わりないだろう。

「浩大さん!私は大丈夫です!水月さんを責めないで下さいっ!!」

水月を睨み付けている浩大に、そう言って縋る。
彼に非はない。
私は大丈夫だからと…。

彼女の足が、ガクガクと震えている事に浩大は気付いた。

強い子だと思っていた。
階段から突き落とされそうになった時も、隣に住む男が下着泥棒だと知った時も、誘拐されかけて首に傷を負った時も、彼女は『大丈夫』と笑っていたから。

けれどそれは違った。
今までは、彼女の傍には黎翔がいた。
どんな時にも傍にいて、彼は彼女を護っていた。

怖くない、はずはない。
命が狙われたのだから。

今まで彼女が気丈に振る舞えたのは、課長が傍にいたから。
どんな時にもすぐ駆けつけて、支えてくれたから――。

その彼は、今は別の女の傍にいる。

(そうだよなあ…。怖くないはずないよなあ…。)

そんな事にも気付かなかった自分達はバカだ。

薄暗い場所でも分かるほど蒼褪めている彼女の顔を見詰めながら、浩大はそう思いながら唇を噛み締めた。


続く

あれ?課長が一回も出て来なかった…(*_*;

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Comment

存在感 

ダーク水月さんの存在に気を取られ、課長の存在を忘れていましたΣ(゚д゚lll)

すっごい、ドキドキしちゃって心臓に悪いわー、ダーク水月さん(笑
  • posted by Norah 
  • URL 
  • 2014.04/26 22:52分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 存在感 

Norah様

コメントありがとうございます!
ダーク水月さんの存在に、課長の存在は埋もれてしまったと言う訳ですね?
ヘタレ課長には、ちょうど良いお仕置きかもしれません。
水月さんは、ダークだけど、本当の黒にはしたくないので、その辺は気を付けて書いていこうと思っています。(要するに根っからの悪人にはしたくないのです。)
  • posted by 高月慧ネン(Norah様へ) 
  • URL 
  • 2014.04/27 02:41分 
  • [Edit]
  • [Res]

ハラハラドキドキ(;^_^A 

こんばんは。夕花です。

昨日、お誕生日だったそうで!
おめでとうございます(≧∇≦)

コメントのお返事、ありがとうございますm(_ _)m
とっても嬉しかったです!
立て続けに読破中です(^_^)
夜中にならないように気をつけますね。

今回の小説もハラハラドキドキです!
夕鈴が寂しそうで可哀想です!黎翔部長が側にいないとダメですね(^_^)
ちゃんと浩大が護衛していて良かったです。水月は当てにならないし!早く部長が側についていてほしいです!
次回も楽しみにしております。
  • posted by 夕花 
  • URL 
  • 2014.04/28 22:18分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: ハラハラドキドキ(;^_^A 

夕花様

コメント&誕生日のお祝いのお言葉、本当にありがとうございます(^^♪
お返事遅くなってすみません(*_*;

続けて読破して下さっているようで、こんな拙い話ばかりなのにとても嬉しいです。
あまり夜更かしするのは、良くありませんよ~?(自分の事を棚に上げて言う。)
文字ばかりで目にも負担が掛かると思いますので、無理のない程度で…。

何気に珀課長より浩大の方がしっかりガードしてくれて、役に立っていますよね。仰る通り、水月はあてにならないと思うので、ホント課長にもう少し頑張ってもらいたい所です(*_*;
続きもぼちぼち書いていきますね~☆
  • posted by 高月慧ネン(夕花様へ) 
  • URL 
  • 2014.05/03 20:16分 
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  • [Res]

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よろしくお願いします。

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