兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 20

こんばんは(^v^)

数日前、当ブログは48000hitを迎えておりました
皆様、いつもご訪問ありがとうございます~

亀更新ですが、これからもお付き合い頂けたらと思います

さて婚約者(フィアンセ)も20話目を迎え、佳境に入ります。
この辺が書きたくて書き始めたこのお話ですが、どうしてここに来るまでこんなに長くなったのか。
摩訶不思議です

夕鈴、ちょっと痛い目に遭いますので、ご注意下さいませ。

それでは、どうぞ!


***




夕鈴を駅の構内で階段から突き落とそうとした犯人が見付かったため、彼女は黎翔のマンションから自宅に戻った。
首を絞められた時の索条痕が消えるまでは自宅で療養しろとの上司命令で、あの日からは三日経っていた。

「…急にすみません。」
「いいえ、暇だったので大丈夫です。」

そんな折、氾水月から連絡が来て、話したい事があるので会いたいと言われた。アパート近くのファミレスを指定され、待ち合わせ時間前に行ったのに、彼はもう来ていて奥のテーブル席に座っていた。

彼の傍には二人のボディーガード兼運転手の部下も同席していて、平日とは言えちょうど昼時で賑わっているこの場に似合わない彼らに夕鈴は笑みを漏らした。


意地悪上司の、婚約者(フィアンセ) 20


「…珀課長と、もう貴女には関わらないと約束したので会うのはどうかと思ったのですが。ちょっと気になる事があるのでお伝えしておこうと思いまして。」

二人きりで会うのを避けるため、人が多いこの場所を指定したのだと彼は言う。
ここなら何かしようとすれば必ず他の人間の目にも触れるし、すぐに助けも呼べる。これなら珀課長も安心するだろう。

「話と言うのは、妹紅珠の事です。」
「紅珠さんの事、ですか…?」

珀課長を心から愛し、彼の支えになりたいと頑張っている可愛らしい女の子。
数日前に課長の婚約者である彼女とも、正々堂々と戦おうと決意したばかりの夕鈴は、その名を出されて少し動揺してしまった。

「紅珠に、私はもう珀課長と貴女に関わらないと伝えたんです。お前も婚約を破棄したらどうかと。そうしたら…。」

『お兄様まで、汀夕鈴の肩を持つのですか!?』

いつもは大人しい彼女が、珍しく声を荒げて水月を詰った。

「…男三人の末にようやく産まれた女の子で、父が特に甘やかしてしまって。まあ、私にも責任があるのですが…。」

可愛い妹の頼みだと断れず、幼い頃から色々手助けしてあげたり、彼女の望むように事を進めてきた。
父・史晴も溺愛する娘の頼み事は何でも叶えてやった為、要するに望めばなんでも手に入ると紅珠は思っている。

「無茶な事はしないと思いますが、くれぐれも気を付けて下さい。」

最後に夕鈴の身を案じて、水月は帰って行った。


そんな話を聞いたからだろうか。

「――汀夕鈴さん。」

社内の人通りの少ない廊下で声を掛けられた時、夕鈴は飛び上がりそうになるくらい驚いてしまった。

「…紅珠さん。」
「少しお話、よろしいでしょうか?」

美少女がにっこり笑って問い掛けているのに、その笑みが怖く感じるのは何故だろうと思う。

「あ、今は仕事中だから…」
「そうお時間は取らせませんわ。」

昼休みならと思ったが有無を言わせず切り返されて、夕鈴は仕方が無いと諦め彼女と向き合った。

「お願いします!…黎翔様の事、諦めて下さいませんか!?」

水月の話を聞いていたのでてっきり詰られるのかと思っていたが、紅珠の口から出た言葉は悲鳴に近い懇願だった。
泣きそうな表情で言う彼女を見て、本当に課長の事が好きなんだなと思う。
でも、夕鈴だって彼への気持ちを認め、紅珠にも負けたくないと思っている。

「…あのね、紅珠さん。」

だから夕鈴は自分の嘘偽りの無い気持ちを紅珠に伝えた。
婚約者である彼女に悪いという気持ちは確かにあるが、課長を想う気持ちは誰にも負けないと思う。

「ズルいですわ…!」

そう伝えた途端、紅珠の顔がクシャリと歪む。

「貴女はずっと黎翔様の傍に居られて、一緒に仕事も出来て!その上、優しい言葉を掛けてもらったり、心配してもらったり…!!」

自分はまだ学生だ。どんなに望んでも、彼と共に仕事をする事は出来ない。
一緒にいても少しも楽しそうじゃないし、話していてもどこか上の空だし、彼は私を見てくれない。
彼の瞳が見つめる先には、私じゃない別の女が――。

どうして彼に思われるのは、私じゃないの?

「貴女ばかり彼を独り占めして、私を除け者にするなんて酷過ぎます!」
「…紅珠さん、落ち着いて!」

ヒステリックに叫ぶ紅珠を落ち着けようとするが、彼女は夕鈴の言葉に耳を貸さない。
それどころか、悔しそうにキッと睨み付けてくる。

『彼女は、お前が思っているような悪い人じゃないよ。人の痛みに敏感で、ちょっぴりお人好しな、素敵な女性だよ。』

「いつも私に優しかったお兄様まで、貴女に惑わされて私の傍から離れてしまいました!」

何でも望みを聞いてくれた兄水月は、婚約者から引き離すために近付いたこの女に返り討ちにされた。言わなかったが、兄はきっと汀夕鈴を好きになってしまったのだ。

誰もがこの女に惹かれ、離れていく。

「…沢山の人に想われているのだから、黎翔様一人くらい譲ってくれても良いじゃないですかっ!!」

悔しくて泣き始めた紅珠を宥めようと彼女の肩に手を置こうとしたら、「嫌!触らないで!!」と振り払われた。
その彼女の身体が、バランスを崩してぐらりと傾く。

その後ろには、階段が――。

「――危ない!!!」

とっさに腕をのばした夕鈴は、掴んだ紅珠の手をぐいっと引っ張る。
その反動で立ち位置が入れ替わり、夕鈴の身体は何もない空間に投げ出された。

まるでスローモーションのように自分の身体が浮くのを感じる。
ほんの一瞬の事なのにすごく長く感じて、何の音も聞こえない中、驚愕の表情で目を見開いているの紅珠が視界の端に見えた。


ヒステリックに叫ぶ紅珠の声を聞き、一体何事かとチラチラ様子を窺っていた数名の社員は、夕鈴が階段から落ちる瞬間を目撃していた。

「…きゃあああっ!!」
「誰か落ちたぞ!!」
「救急車呼べ――っ!!」

悲鳴、怒声、大声で話す同僚達の会話を、夕鈴は冷たい床に頬を当てたまま聞いていた。

身体を打ち付けられた瞬間、息が止まるかと思った。ガンガンと痛む頭、床にじわじわと広がっていくものに触れた手は、真っ赤に染まっている。

「おい、大丈夫か!?」

バタバタと何人もの足音がして、周囲に人が集まってくる。

「誰か、一課の珀課長に連絡しろ!!」

階段の踊り場に倒れている女性が一課に籍を置く汀夕鈴だと気付いた男性社員が声を荒げ、数人の社員が慌てて走っていく。

「しっかりして!」
「医務室の先生もすぐ来るからね!!」

倒れている夕鈴の傍に膝立ちになり声を掛けた女性社員達は、頭の下に広がっていく血を見てどうしていいか分からなくなった。

ヒューヒューと、自分の喉から洩れる呼吸音だけがやけに耳に響く。
うっすらと聞こえる励ましの言葉を掛けてくれているのは、どの部署の女性達だろうと夕鈴はぼんやりと思う。

数分も経たないうちに階下から数人の足音が響いてきて、階段を駆け上がってくる。

「――汀っ!!!」

まるで悲鳴のような、課長の声が周囲に響いた。


続く


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Comment

┃q・ω・∪ こんばんは♪ 


きゃーーーーーーーーー!!
夕鈴が!夕鈴がぁぁぁぁぁ!!

…このあとの課長の「狼」炸裂する場面が怖い。
((((>_<;))))ガクブル
  • posted by 桃月 
  • URL 
  • 2014.07/10 23:46分 
  • [Edit]
  • [Res]

やっぱり(>_<) 

こんばんは(^_^)夕花です。

いつもコメント、ありがとうございますm(_ _)m
やっぱり、こうなってしまいましたか!
前回のお話を読みまして、嫌な予感がありました(^-^;)
夕鈴の人柄を好きになって、集まってることに紅珠は気づかないのですね(^-^;)
好きな人を譲るなんて、できるわけないですよね!
この後、どうなっていくのでしょうか?
夕鈴がとても心配です(T^T)
課長は滅茶苦茶怒りそうですし、彼を止めれる夕鈴がヤバい状態ですし、ハラハラドキドキです(>_<)

続きを楽しみにしております。
  • posted by 夕花 
  • URL 
  • 2014.07/11 01:00分 
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2014.07/11 01:58分 
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Re: ┃q・ω・∪ こんばんは♪ 

桃月様

コメントありがとうございます(^^♪
課長の「狼」…炸裂するのか?するのだろうか?
大切な夕鈴が怪我をしたのだから、不安でいっぱいになってどちらかと言うと小犬になりそうな気がします…(汗)
  • posted by 高月慧ネン(桃月様へ) 
  • URL 
  • 2014.07/11 16:35分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: やっぱり(>_<) 

夕花様

いつもコメントありがとうございます(^^♪

恋愛感情は有る無しにしろ、夕鈴の人柄に寄ってくる沢山の人達。
まだ紅珠には理解出来ないようですが、何れ気付くと思います。
課長は怒りよりも不安でベコベコになっています。
大丈夫!慧ネンはハッピーエンドを目指していますので、夕鈴はきっと無事ですよ!!
そして課長を止めて下さいます☆
夕花様の言う通り、課長を止めれるのは夕鈴だけですからね!
  • posted by 高月慧ネン(夕花様へ) 
  • URL 
  • 2014.07/11 16:41分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 池ぽちゃだったら良かったのに。 

聖璃桜様

原作のように池だったら痛い思いはしなかったですよね~(*_*;
夕鈴の事だから、きっと紅珠とも良好な関係になって行く事と思います。
続き頑張りますね☆
  • posted by 高月慧ネン(聖璃桜様へ) 
  • URL 
  • 2014.07/11 16:43分 
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