兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪ドラマ以上の、恋をしようよ

このお話は、『♪ドラマみたいな、終わり方』の続きです。

記者会見の仕方については、良く知らないので適当です


パシャパシャと、カメラのシャッター音が会場に響く。
沢山のフラッシュを浴びながら、表情一つ変えない彼を夕鈴はブラウン管越しに見詰めていた。

彼は何を言うつもりなのだろう?

あの噂は真実だとでも、言うつもりだろうか。

夕鈴の鼓動がドキドキと大きくなる。

Reiは、いや黎翔は、揺ぎ無い紅い瞳でジッと正面を見詰めた後、静かに口を開いた。


♪ドラマ以上の、恋をしようよ


『…今、週刊誌などで噂になっています、〇〇さんとの事についてですが、彼女とは仕事上でのお付き合いだけで交際の事実はありません。』

とても澄んだ声で、黎翔はその事実をはっきりと否定した。

だがすぐに、報道陣から疑問の声が上がる。

『ですがツーショットを撮られましたよね?…とても仲睦まじいご様子でしたが…』

『…あの時には、周囲に他の共演者もいました。彼女とは撮影時の思い出話に花を咲かせていただけで、個人として親しいわけではありません。』

次々と投げ掛けられる質問に、Reiは淡々と答えていく。


自分を囲む報道陣を見ながら、Reiは鬱陶しいと思う。

噂になっている女優にしてもそうだ。

このドラマの撮影途中に、Reiは夕鈴と出会った。彼女に対人関係の大事さを教えられ、それまで共演者に対して取っていた邪険な態度を、少し改めた。

そうしたらその女は何を勘違いしたのか、Reiに対しやけに馴れ馴れしい態度を取るようになってしまった。それに対しては、マネージャーの李順も呆れ果てたほどだ。

恋人としての付き合いなどないのだからそう言えば良いのに、女の曖昧な返答が余計にこの騒動を大きくしてしまった。

Reiが心惹かれる女性が、連絡をくれなくなってしまうほどに。

『…それに私には〇〇さんではなく、他に心惹かれる女性がいます。』

Reiの突然の爆弾発言に、会場は騒然となる。

Reiは過去何度も女性関係でよく噂になっていたが、このように会見を開く事も本命がいる事も彼の口から語られる事はなかった。

それが今回、初めて本人の口から語られる。

「…その女性について、詳しくお聞きする事は出来ますか?」

一人のアナウンサーがそう問い掛けると、会場中が息を飲む。

夕鈴もテレビの前に佇み、コクリと喉を鳴らす。

「…一般の方なので名前は言えませんが、笑顔が可愛い素敵な子です。」

夕鈴の事を語りながら、Reiは自分の表情が緩んでくるのに気付いた。


出会いは、最悪だった。

頬を叩かれたり、もう一つの素顔を見られたり、怒鳴ってしまって泣かせたりもした。

もう一度会いたくて、会ってしまうとますます好きになって。
芸能人としてではなく、一人の人間として見てくれる事がとても嬉しくて。

「私に欠けていた人間らしさを、教えてくれました。」
何の損得も無しに、ただ自分を思って言ってくれた人は初めてだった。

「…体調を崩した私を気遣い、遅くまで看病してくれて食事まで用意してくれました。」
あんな空っぽの冷蔵庫の中身で良く作れたなと思うほど、あの時の雑炊はとても美味しかった。

「…とても料理上手な、素晴らしい女性です。」
餌付けされた犬みたいだと自分でも思うけれど、だって仕方ない。

そう思えるほど、Reiは夕鈴に夢中なのだ。

4つも年下の、あの可愛い女子高生に。


何時の間にか頬を伝う涙に、夕鈴はようやく気付いた。
彼が自分を褒め称える度に、恥ずかしくなって顔は真っ赤になる。

この涙は、嬉し涙だ。

彼がこれほどまで、自分を想ってくれているなんて夕鈴は思っていなかった。
『付き合って欲しい』と言われたけれど、一時の執着心だと諦めてもいた。

けれど、そうではなかった。

彼はこんなにも、自分を愛してくれていた。

会場での質疑応答は、まだ続いている。

『…その女性とは、もうお付き合いされているのですか?』

Reiと新人女優との噂を真相についての記者会見のはずなのに、報道陣達の興味はすでに『Reiの本命』に移っている。

『ん~?…まだかな?…私が一方的に好きなだけ。気持ちは伝えてあるけど、なかなか良い返事をもらえなくてね?』

少し困ったように眉を下げたReiを見て、会場内はまたザワザワと煩くなる。

全国的に大人気で、顔もルックスも申し分ない男に好かれて、OKしない女性とはどんな人間なのか。

『…Reiさんには、その女性(ひと)しかありえないと?』

『そうですね。…私が愛しているのは、彼女だけです。』

もう彼の顔を見ていられなくて、夕鈴は両手で顔を覆いしゃがみ込んだ。

「~~~っ」

彼の言葉はとても嬉しいけれど、恥ずかしい。
もうまともに、彼の顔を見る事は出来ないかもしれない。

もうやめて欲しいと、夕鈴は思う。

自分を思ってくれているのは良く分かったけれど、もし世間に真実がばれた時が怖いと思う。
本名すら明かさない、バンドグループCreuzのメンバー。
その私生活は、謎に包まれていると言うのに。

それなのに、彼は涼しい顔で言ってしまった。

『…実は、彼女にだけは本当の私を知ってもらいたくて、私の本当の名を教えました。』

続けて放たれた本日最大の衝撃に、会場は収集が着かないほど大混乱になった。


「貴方は一体、何を考えているのですかっ!?」

もうこれ以上話す事はないと、Reiは大混乱に陥った会場を後にした。

スタジオ内の通路を歩く彼の後ろには、厳しい表情をしたマネージャーがついてくる。

「…そう怒らなくても良いじゃないか、李順。」

夕鈴に本名を教えた事を暴露した瞬間、自分の背後に控えていた彼が息を飲んだのに気付いたが。
自らの本気を世間に伝えるには、手っ取り早い方法だと思ったのだ。

「これが怒らずにいられますか!?一般市民に本名を教えるなど――― 彼女が周囲に洩らすという事も考えられるのですよ!?」

「夕鈴はそんな事しない。」

彼の杞憂を、黎翔はきっぱりと否定する。

そう、夕鈴はそんな人間じゃない。

まだ出会って数ヶ月だが、それだけはきっぱりと断言できる。

彼女はとても、誠実な人間だ。


優しくて、お人好しで、そしてとても暖かい。

そんな夕鈴だからこそ、黎翔は彼女を愛した。

「…さて。」

記者会見を終えて控え室に戻ってきた黎翔は、携帯を開く。
メンバーから冷かしのメールが届いていたが、夕鈴からの連絡は来ていない。

彼女は見てくれただろうかと思う。

伝わっただろうか?
この、彼女に対する滾る想いが。

黎翔は夕鈴にメールを送る。


夕鈴?

僕は、君の傍でずっと生きていたいんだ。

どうか答えて? この想いに。


ねえ、夕鈴。

僕と、ドラマ以上の、恋をしようよ?


続く
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