兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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上司と部下の、嵐の夜は

こんばんは、慧ネンです。

…台風ですね。
現在台風が通過中の地域にお住まいの方、何事も無くお過ごしでしょうか?
慧ネンが住む地方は、昼~夕方に掛けて通り抜けて行きました。
今年の台風は毎回真夜中に来て、夜が明けるとはるか彼方へ去って行かれていたので、昼間に直撃を受けたのは初めてでした。
偶然にも仕事は休みだったので良かったです。しかし停電には困りますね。
SS書いている時じゃなくて良かった(^v^)

そんなこんなで、台風をネタにSS書いてみました。
短いですが、お暇つぶしにどうぞ(^^♪

二人はもう付き合っています。


***



上司と部下の、嵐の夜は


大型の台風が接近している本日、社員達の安全を考えた社の方針で、夕鈴は普段より早く帰宅する事が出来た。
外はすでに風が強くなっていて、つい先程から降り始めた雨は勢いを増すばかり。

夕鈴が住むアパートは築年数が古く、所々に老朽化も見られる。
さすがに雨漏りはないものの、ミシミシと家鳴りは酷い。念の為にと思い閉めた雨戸が、強風でガタガタと音を立てた。
停電を心配して早めにお風呂に入り夕食を済ませ、夕鈴は一人テレビで台風情報を見ていた。

そのうちに雷が鳴り始め、夕鈴はお気に入りのクッションを抱き締めて震えていた。
彼女は雷が苦手だ。
本当は、こんな夜には恋人と一緒にいたかった。
けれど数日前、些細な事で喧嘩をしてしまい、なんとなく頼る事が出来なかった。

抱え込んだクッションに顔を埋め、夕鈴は唇を噛む。

心配してくれた上司であり恋人の黎翔が声を掛けてくれたが、意地っ張りの夕鈴は彼の事を突き放した。

(…私って、ホントに可愛くない。)

一緒にいて欲しって、素直に言えたら良かった。


大地を震わすような轟音が響き、フッと電気が消えて室内は一瞬で真っ暗になった。
恐れていた停電、何もする事が出来ず少し早いがもう寝る事にした。
眠っている間に台風は通り抜けてくれるだろうと思いながら目を閉じるが、雷の音や家鳴りになかなか寝付く事が出来ない。

布団の中で小さく丸くなって、夕鈴は一人震えていた。

初め、それは気のせいかと思った。
どこか遠くで何かが倒れるような音や、転がっていくような音。
ガタガタと言う風の音に混じって聞こえた、インターフォン。

そんなわけない、こんな嵐の夜に一体誰がこの部屋に来るというのか。
彼と一緒にいたいという願望が、こんな幻聴を聞かせるんだ。
――夢。自分はもう眠っていて、夢を見ているのかもしれない。

しかし自嘲気味に笑う夕鈴の耳に聞こえたのは、今度ははっきりとした携帯電話の着信音。
そこに表示されたのは、愛しい恋人の名。

「…は、はいっ!」
『…夕鈴?もう寝ているのか?』
「はい。…停電だし、する事もないので…。」

雷が怖くて寝付けなかったとは、やっぱり言えなかった。

『起こして悪いが、扉、開けてくれるか?』
「え?」

扉?そう言えば彼の背後でザーザー変な音が…。
夕鈴は慌てて枕元に置いてあった懐中電灯を掴むと、その明かりを頼りに玄関に向かう。
扉を開けると、物凄い風と共に雨が吹き込んできた。

そこには、少し困った顔をした黎翔がずぶ濡れで立っていた。

狭い廊下は屋根があっても入り込む雨を凌ぐ事は出来ず、彼は髪の毛からも雫をたらしている。
車で来たのだろうが、アパートから目と鼻の先の駐車場からここまで来るまでにこの有様になってしまったのだろうか。
彼は右手に畳まれた傘を持っていて、よく見れば折れてしまったのか形が歪になっていた。

「…入って、良いか?」

そう言えば数日前に喧嘩をしてしまっていた事を、思い出した黎翔は不安げにそう聞いた。
酷い雨風に加え停電にもなり、どうしても夕鈴の事が心配になった。
甘え下手で素直じゃない可愛い恋人が、一人で震えていないかと思った。

取った手は雨に濡れて酷く冷たくて、夕鈴は泣きたくなって唇を噛んだ。
喧嘩をしたのに、あんな素っ気ない態度を取ったのに、彼は心配してずぶ濡れになりながらこうして来てくれた。
言葉の代わりにこくんと頷いて、握り締めた彼の手をそっと引いた。

脱衣所に蝋燭を灯して、冷え切った身体を温めてもらうよう黎翔にお風呂を勧めた。
湯船にお湯を張ったままで本当に良かった。
付き合い始めて黎翔はたまにこの部屋に泊まるので、下着やパジャマも置いてある。
バスタオルと共に準備して、夕鈴は彼が出てくるのを待った。

真っ暗闇の中、二人は狭い布団に身を寄せ合って横になる。
暗闇に慣れた目が、ようやく至近距離にある互いの顔を捕えた。

甘い口付けを交わし、脚を絡め合いながら黎翔は笑う。

「…こうやっていれば、雷も気にならないしいつの間にか夜も明けてるだろ。」

わき腹やお尻を撫で回し始めた彼の不埒な手に、夕鈴は多少ムッとしながら言葉を返す。

「明日仕事だから今夜はダメです!」

この行為に流されると、明日の朝起きれなくなるのは経験済みだ。

でも、この雨の中彼が来てくれたのはとっても嬉しいから。

感謝と愛情を込めて、黎翔の唇にキスをする。

「…来てくれて嬉しいです。ありがとう、黎翔…。」

少しだけ素直になって、小さな声でそう言うとギュウッと抱き着いた。

「――これでお預けって、有り得ないだろ…。」

柔らかい身体を絡み付かれて、何も出来ないなんて。
少々情けない声で呟く黎翔に抱き締め返されて、ぬくぬくした気持ちで夕鈴は目を閉じた。

外は嵐。
降り続ける雨も、強い風も、鳴り止まない雷はもう、

二人の幸せな眠りの、妨げになどなりはしない。


END

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Comment

 

拍手一番乗りでした!嬉しい(^^)
課長はちゃんと我慢できたのかな。嵐の夜に甘々ありがとうございます。
  • posted by まるねこ 
  • URL 
  • 2014.10/14 00:16分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

早速のコメント&拍手ありがとうございます!
あまりにも早くてビックリしました。課長は、我慢しましたよ。た、多分…。
台風大丈夫ですか?お気を付けてお過ごし下さいませ。
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/14 00:36分 
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  •  
  • 2014.10/14 03:29分 
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  • 2014.10/15 22:42分 
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  •  
  • 2014.10/16 20:21分 
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Re: タイトルなし 

名無しの読み手様

お久し振りです~(^^♪
台風、何事も無くて何よりです。確かに風強かったですよね。通り過ぎてからもしばらくは家がガタガタ言っていました。

生殺し♪
いつも我慢出来なくて夕鈴に負担掛けているから、たまには良いんですよ(^v^)
夕鈴の事が心配になって、台風の中駆け付けた事は褒めてやりましょう(^^♪
翌朝、目の下隈で真っ黒上司にウケました♥
  • posted by 高月慧ネン(名無しの読み手様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/16 22:04分 
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Re: 教えて下さいm(_ _)m 

羽梨様

どうやって教えたら良いか、本気で悩んじゃいました。
よくよく考えたら、ツイッターのDMとか、SNSのメッセもありましたね…(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(羽梨様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/16 22:07分 
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Re: ε٩(๑>ω<)۶зもう 

羽梨様

課長も気に入って頂けて嬉しいです(^^♪
最近はCreuzより課長の黎翔さんの方が書きやすくなってしまいました。
もっと意地悪な彼を書いてみたいのですが、一度恋人の関係になると優しい上司になりつつあります(^◇^)
昨日も徹夜したのだから、今日は早くお休みくださいね。
最近特に冷え込みが激しいので、お風邪を引かれませんように…。
  • posted by 高月慧ネン(羽梨様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/16 22:16分 
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