兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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夕鈴、小犬を拾う 3

こんばんは、慧ネンです。

リクエスト小説3話目をお届けに来ました。
一応、次がラストの予定です~。

が、ストーリーはまだまだ続いていきます。(何気にシリーズになりつつある)(*_*;
いつまでも名無しのままでは可哀想なので、彼にお名前を付けてみました☆

では、どうぞ(^^♪

***



夕鈴、小犬を拾う 3


「…どうしたの?夕鈴。」

ジッと見られている事に気付いた彼がこちらを見て、そう声を掛けてくる。
ハッとして、夕鈴はワタワタと慌てた。

「あ、えっとその…。そう!あ、貴方のお名前を決めなくちゃと思って…!」

その小犬のような表情につい見入っていた事を知られたくなくて、なんとなく誤魔化してしまった。

「名前…、ああ。確かにないと夕鈴が不便だよね。」
(いやいや、名無しで不便なのは貴方の方では?)

自分の事なのにのほほんとしている彼に、夕鈴は内心ツッコむ。

「僕としては拘りないから、本当に夕鈴の好きなように呼んでくれて良いんだよ?」
(…だから何で、そんなに嬉しそうなんですか?)

にっこにっこしている彼を見ていると、何だかどうでも良くなって来た。

頭に怪我をしている上、記憶まで無くしてしまった彼。
どうして怪我をしているのか。誰がやったのか。
彼はどこの誰で、一体何者なのか。

分からない事ばかりで、本当ならこんな呑気にこたつに座ってにこやかに談笑している場合じゃないはずなのに。

ただのホットミルク(本当に牛乳を沸かしただけで、特に何も入れていない)を、「美味しいね、温まるね~。」と笑いながらちびちび飲んでいる彼。

何もかも忘れてしまった、降り続ける雪のように真っ白な彼。

「…シロ。」
「え?」
「…貴方の名前。」

きょとんとしている彼を見て、ふふっと笑う。

生まれたばかりの赤ん坊のように、真っ白で穢れの無い存在。
彼には今、何もない。

(0(ゼロ)、でも良いけど…。)

ここに来てから彼が見せる表情が、どうしても小犬に見えて仕方が無いから。

「真っ白という意味で、シロ。」
「シロかあ…。」
「気に入らない?じゃあ、読み方変えて『ハク』にする?」

そう言った瞬間、彼はぴくっとして急に押し黙ってしまった。
何かを思い出したのか、夕鈴の方を見ているのにその瞳は何か違う物を見ているかのように鋭い。

「ど、どうしたの?」

そんなに気に入らなかったのかしら?と心配しながら問うと、ハッと我に返った彼は苦笑いしながら首を振った。

「シロで良いよ。」
「ほ、本当に良いの?」
「うん。」

シロ、シロ…と自分の名を確認するように呟いた後。

「――夕鈴がくれた、僕の名前…。」

へにゃっと、彼は幸せそうに微笑んだ。

(か、可愛い…♥)

まるで本当に、捨てられていた小犬を拾ってきたような気分になってしまって。

(って、何考えてんの私!…シロは人間!しかも恐らく私より年上…あ、)

ブンブン首を振りながらハタと思う。

「そう言えば、シロ…さんっていくつ?」

最初声を掛けた時には敬語を使っていたが、あまりにも彼が人畜無害でほにゃんとしているので、まるで友達や小さい子供を相手にしているような気になっていた。

「う~ん…、何歳なんだろ?それも覚えてないんだ。ごめんね、何一つ自分の事を話せなくて…。」
「あ、謝らないで下さいっ!貴方が悪いわけじゃないんだし、仕方ないですよ!」

ある筈の無い幻の耳がシュンと伏せられるのが見えて、そこまで落ち込まなくても良いのにと慌てる。

「呼び捨てで良いよ、敬語も必要ない。…見ず知らずの僕をこうして助けてくれる夕鈴には、すごく感謝しているから。」

マグカップをギュッと両手で握り締めて、伏せ目がちに言うシロは何だか少し悲しそうで、何か嫌な事があって、その現実から逃げたくて記憶を無くしちゃったのかな?と思ってしまう。

公園のベンチに俯いて座っていたシロの姿を思い出す。

あの冷たい雪の中、全て埋もれてしまえば良いと思っていたのだろうか?

「夕鈴がそんな顔をしなくても良いよ。」

悲しみが表情に出ていたのか、困ったようにシロが笑うから。
記憶を失い、内心は不安だらけだろう彼に気を使わせるのは悪いと思い、夕鈴も深く考えるのは止めようと思う。

明日早めに病院に行って、彼の怪我の治療と検査をしてもらって、必要な物の買い出しにも行かないと…。
やらなければならない事は、山のようにある。

でもそれは全て明日の事で、今一番考えなければいけない事は。

(そういえば、どうやって寝よう…。)

家族が泊まりに来た時に使う布団は、運悪くクリーニングに出していたのだった。


続く

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  • posted by  
  •  
  • 2014.10/28 10:55分 
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  • [Res]

 

シロ!かわいい(^^)ほんとに犬みたい。
ホットミルク飲んでるとこ想像したらぎゅーってしたくなってしまいました。
本誌の方が甘さが足りずでもやもやしてますが、今月号は…陛下ってば!とウルウルしてしまいましたよ。
この話は次がラストですか。甘々はあるのかなー。
楽しみに待ってます(^^)
  • posted by まるねこ 
  • URL 
  • 2014.10/28 13:44分 
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  • [Res]

 

次がラストですか?
うわっどんなラストなんでしょうか…ハラハラドキドキ!
甘いのかしら…それとも?
首を長くして待ってまーす
  • posted by 名無しの読み手 
  • URL 
  • 2014.10/29 03:36分 
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  • [Res]

Re: タイトルなし 

名無し様

ご訪問&コメントありがとうございます!
これ以上シリーズを増やしてどうするんだという感じなのですが、短編が苦手な慧ネンはついつい長いストーリーを考えてしまう癖があるようです(*_*;
続きがお目見えしたら、そちらもよろしくお願いしますね☆
  • posted by 高月慧ネン(名無し様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/30 23:55分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

まるねこ様

いつもコメントありがとうございます(^◇^)
本当に犬のような名前になっちゃいました☆
こんな小犬がいたらさぞかし可愛い事だと思います。
本誌でも早く甘々が見たいですよね~。ラストは先程アップしましたが、甘々なのか?
まあ、まだ出会って間もないですし、これからでしょうかね。
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/30 23:58分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

名無しの読み手様

コメントありがとうございます(^◇^)
体調の方は、落ち着かれましたか?
ラブラブには程遠いラストになりましたが、ほんわかしたイメージを感じてくれたらと思います。
また続きが出来たらアップするので、しばらくお付き合い頂けたら嬉しいです(^v^)
  • posted by 高月慧ネン(名無しの読み手様へ) 
  • URL 
  • 2014.10/31 00:01分 
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