兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home ~帰る場所~ 2

こんばんは、慧ネンです。

一年最後のメインイベント、クリスマスが近付いてきていますね。
某SNSでネタを少し頂けたにもかかわらず、それをなかなかお話に出来ない慧ネンですm(__)m

って言うか、どのシリーズも内容と年齢が合わない。
何故なら慧ネンが本編を完結出来ていないから(*_*;

Creuzシリーズは三度目のクリスマス。(夕鈴はもう大学生のはず…。)
上司と部下は付き合って初めてのクリスマスですが、ネタが浮かばず…。
Sweet☆Homeは、そろそろ何か進展があってからのクリスマス。(でも本編書いてないから、ネタバレ出来ない)

と言う訳で、ちょっとでも本編を進めようと、本当に久しぶりにSweet☆Homeの続きを書いてみました(^v^)

※幼児虐待の描写があります。ご注意下さい。


***


My Sweet☆Home ~帰る場所~ 2


若い女が、金切り声で男を責めている。
ヒステリックに喚く女を、男は冷めた目で見ているだけだった。
そんな光景を、物陰に隠れて怯えながら見詰める日々。

『あんたが女だから!だからあの人は、私を見てくれない!!』

そう言って女は幼い自分の娘を殴った。

『痛いよ!やめてよ、ママ…!』

彼女の小さい身体には、見えない場所に酷い虐待の跡が残った。

それから一年以上たち、二人の間に男児が生まれた。
女は無事に跡継ぎを産めた事にホッとし、夫である男が自分を見てくれるだろうと思っていた。
けれど男は、跡継ぎを産んだ妻を用済みとばかりにますます見向きをしなくなった。

仕事に打ち込み、家庭を顧みない男。
何の役にも立たない幼い二人の子に愛情を持てず、子育てを放棄した女。

これが物心ついた頃から、彼女が見ていた光景。
自分を見てくれない。愛してくれない二人の背中を、彼女はずっと見つめてきた。

友達が仲良く両親と手を繋いでいる姿を見ると羨ましかった。
遠足の時、ママに作ってもらったというお弁当を食べる皆が妬ましかった。
どうしてパパとママは、私を見てくれないの?

『ねえ、パパ、ママ…!良い子にしてるから!清良の面倒も見るから…!だからお願い!――私を見てっ!!』


「…お嬢ちゃん?大丈夫かい?」
「ねーちゃ?」

声を掛けられて、聖蘭は自分がうたた寝していた事にようやく気付いた。
バスは止まっていて、運転手さんが心配そうにこちらを見ている。隣に座っている弟・清良も、何だか泣きそうな表情。
「嫌な夢でも見たのかい?」と聞かれて、聖蘭は目の淵に溜まっていた涙を拭うと曖昧に返事を返す。あまり他人に話すような内容ではない事は十分理解している。

「着いたよ。その坂道を登ったら、白陽学園だ。」

彼が指を指す方向を見ると、緩やかに続く坂の上に大きな建物が立っているのが見えた。

お礼を言ってバスを降りた二人は、キュッと互いの手を握り締める。

「行こう、清良。お姉ちゃんに会いに。」

弟がこくんと頷いたのを確認して、聖蘭は彼の手を引いて歩き始めた。

一方、二人がいなくなったと連絡を受けた黎翔は、仕事を何とか引き継ぎ二人が通う保育園に来ていた。
園内は緊迫した状態で、園長と先生が蒼褪めた表情で黎翔に頭を下げる。

一度園に来ていた事は確かだ。誘拐か、それとも他の事件に巻き込まれたのか。
幼い子供の足で短時間に行ける場所など限られていると、周辺を捜したが二人の姿は見付からない。
ここ数日、二人の様子がおかしかったのを先生方も気付いていて、黎翔に家庭で何か変わった事はなかったかと聞いてくる。

変わった事…というか、その原因ははっきりと分かっている。

数日前に娘・聖蘭が連れて来た一人の人間。
何度忠告してものこのこやってきて、他人の家庭の事情に口を出してくるお節介な少女。
彼女のいう事が事実だからこそ、黎翔はどうしようもなくイライラしてしまった。
曇りの無い真っ直ぐな目で見つめられて、自分の所業を責められているように感じたからだ。

「園長!こんな物が裏口に…!」

一人の保育士が差し出したのは、何か数字が書かれたノートの切れ端。
番号以外何も書かれていなかったが、何故だか確信が持てて、黎翔は少し緊張しながらその番号にコールする。

『…はい。』

久し振りに聞く彼女の声を聞いた瞬間、黎翔はドクンと鼓動が跳ねた事に気付いた。

「…珀です。」

名を名乗ると、向こうで彼女が動揺した気配がした。
あんな事をした男の声なんて、二度と聞きたくなかったに違いない。
けれど。

「娘と息子が、お邪魔してないだろうか?」

二人がいなくなった事を伝えると、彼女――夕鈴は保育園の場所を聞いて「すぐに行きます!」と通話を切った。


白陽学園の校門前で、出入りする学生を確認しながら夕鈴を探す事一時間近く。

「いないね…。」
「まあま、ない。」

小さなお客様に興味津々に声を掛けてくる学生もいたが、夕鈴の事を聞くと知らないという者ばかり。
実は、白陽学園は小中高、そして大学があり、高校と大学の校舎は隣同士。
二人が待っていたのは大学前だったのだが、幼い二人はその事に気付かない。

「ねちゃ、お腹しゅいた…。」

シュンと呟く清良に、聖蘭もそう思う。ここに来たのは十一時頃で今は正午を少し過ぎた。けれどどこかに行っている間に、お姉ちゃんと擦れ違いになるかもしれないと思うと離れる事が出来ない。

ふと聖蘭は、ポケットに入れた携帯の番号が書かれたメモを思い出す。
夕鈴が、「何かあった時に」と渡してくれた連絡先。

ポケットに手を入れた彼女は焦った。
確かに入れたはずのメモが無い。

「嘘…!」

どこかに落としたのだろうか?
これじゃお姉ちゃんに連絡を取る事が出来ない。

いつも強気な彼女の瞳に、ジワリと涙が溢れる。だが聖蘭は、それを乱暴に拭った。
泣いてどうにかなるのなら、今までだってそうしてる。
どんなに泣いても状況は変わらない事を、彼女は幼いうちから嫌と言うほど理解していた。

校門前で待つ事を諦め、空腹でぐずっている清良を宥めながら坂を下りる。近くにあったコンビニに入ると、安いパンとオレンジジュースを買った。

少し歩くと川があり、二人は河川敷の草の上に並んで座り、買ってきたパンを二人で分けて食べた。
まだ物欲しそうな清良に、聖蘭は自分のパンをちぎって分けてやる。

さらさらと音をたてて流れる川の水を眺めながら、これからどうしようと思う。
もうちょっと待ってみるべきか、いくらなんでも園では自分達がいない事に気付いたはず。
きっと大騒ぎになっているに違いない。父にも連絡がいっているだろう。

怒られるだろうな、と思いながら、自分達に関心を持っていないパパの事だから、それはないかと自嘲する。
悪い事をしたら怒る、良い事をしたら褒めてくれるような父親だったらどんなに良かったか。
またいつものように、ただ無表情に見下ろしてくるだけなんだろうな。

物思いに耽っていた聖蘭は、自分の肩に掛かった重みにハッとする。
隣に座っていた清良が、睡魔に負けて眠ってしまったらしい。

「清良、起きて、帰るよ。」

揺さぶると目を開けたが、疲れもあるのだろうぐずぐずとぐずりながら抱き着いてくる。

「どうしよう…。」

しっかりしているとはいえ、聖蘭はまだ五歳。
眠っている弟を、抱っこして歩く事など出来るはずもない。

時間は三時過ぎ。
秋の夕暮れは早い。これからどんどん暗くなり、寒さも増す。
早く帰らないと、バスも無くなってしまうかもしれない。

さすがの聖蘭も青くなって、途方に暮れていると。

「――聖蘭ちゃん、清良ちゃんっ!!」

ずっと会いたくて堪らなかった、大好きなお姉ちゃんの切羽詰まったような声が聞こえた。


続く


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  • posted by  
  •  
  • 2014.12/06 02:34分 
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続きをお待ちしておりました!
あんなことした黎翔パパのことを夕鈴はどうやって許して行くのかなーと思ってました。続きをまた楽しみにしています。
  • posted by まるねこ 
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  • 2014.12/06 05:55分 
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  • posted by  
  •  
  • 2014.12/06 07:29分 
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やたー!続きだぁーーーーー♪
∪ノシ>ω<∪ノシ

それにしても…ひどい母親だ。
子供は親の道具じゃないのに。
黎翔サンもだけど←
  • posted by 桃月 
  • URL 
  • 2014.12/06 10:46分 
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NoTitle 

やっと続きが読めてしあわせです( ´艸`)
黎翔さんと夕鈴が仲直り?出来るのかヒヤヒヤな思いで読ませていただいてます>_<
続き楽しみにしていますね!
  • posted by 陽向 
  • URL 
  • 2014.12/08 20:56分 
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すごいです(>_<) 

師匠!(T_T)←あ、私弟子じゃなかった(笑)
続き大人しくマテします。
ヒドイ陛下なんだけど、何か可哀想で放って置けない(。´Д⊂)
夕鈴、陛下も癒してあげてねー。・゜゜(ノД`)
  • posted by かんちゃん 
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  • 2014.12/09 15:45分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

お待たせ致しました!
このお話は、れいしょーさんより二人の子供達がネックですね。
子供らしい可愛らしさで、是非素直じゃないパパの恋を後押ししていってほしいものです。
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
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  • 2014.12/10 17:49分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

お待たせ致しました(*_*;
夕鈴は彼を許す…許すのか?
聖蘭と清良に対する想いと、彼に対する想いは違うような気がします。(二人の事は可愛いけど、父親は気に入らない、とか)
黎翔パパの想いは叶うのか!?(笑)
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
  • URL 
  • 2014.12/10 17:56分 
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Re: タイトルなし 

お名前無し様

お待たせしてすみません~(*_*;
親の愛情を知らない、可哀想な聖蘭。
夕鈴が一杯色んな事を、教えていってあげて欲しいですよね。
夕鈴はママというより、『肝っ玉母ちゃんイメージ』にウケました(^◇^)
でも納得☆

  • posted by 高月慧ネン(お名前無し様へ) 
  • URL 
  • 2014.12/10 18:37分 
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Re: タイトルなし 

桃月様

お待たせしましたー(*_*;
黎翔の元妻、二人の母親は、『悪女』のイメージで書いてます。
とにかく酷い女です。
今の所、黎翔さんも同類ですが☆
  • posted by 高月慧ネン(桃月様へ) 
  • URL 
  • 2014.12/10 18:40分 
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Re: NoTitle 

陽向様

お待たせしてすみません(*_*;
仲直り…って言うのも変な感じですねよ。いや、でも彼がした事を夕鈴は許さないと思うんですよね~。
許せないけど、彼に対する気持ちは変わっていく、みたいな?
つ、続き…頑張りますねm(__)m
  • posted by 高月慧ネン(陽向様へ) 
  • URL 
  • 2014.12/10 18:43分 
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Re: すごいです(>_<) 

かんちゃん様

す、すごいですか?
そして慧ネンは弟子取ってませんよ(*_*;
つ、続きはいつになるのか…。頑張りますねm(__)m
こんな黎翔さんが何か可哀想で放っておけないなんて、かんちゃんさん、優しい…!
彼もまた親の愛情を知らず育ってきた設定です。
夕鈴の存在が、彼にとっても安らぎになれば良いなと思います☆

  • posted by 高月慧ネン(かんちゃん様へ) 
  • URL 
  • 2014.12/10 18:50分 
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よろしくお願いします。

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