兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

上司と部下の、3日遅れのクリスマスイブ

こんばんは。(おはようございます?)
慧ネンです。

年の瀬迫るこんな時間に、こそこそとアップしに参りました。
ええ、クリスマスSSを。

え?クリスマスなんてとっくに終わってるって?
聞こえな~い♪

イブ当日に上げたSSがあまりにもアレだったので、もうちょっと甘い話が書きたいな~と試行錯誤していたら、ネタが降臨しました。
と言う訳で、遅くなりましたが上司と部下のクリスマスです。

タイトルに『3日遅れの…』と付けたのは、本当はイブじゃなくクリスマスのSSとして、昨日(28日)に書き始めたからです。
イブのお話になった上に、もう3日どころの遅れじゃないけどタイトル改名がめんどく…失礼、良いタイトルが浮かばなくてそのままにしてます。悪しからず。

どんな話でもオールOKな方のみ、お進み下さい。


***



上司と部下の、3日遅れのクリスマスイブ


あちらこちらで色鮮やかにキラキラ光るイルミネーションを見ながら、夕鈴は沢山の人が行き交う街中を歩いていた。
後1週間ほどで、クリスマス。
そう、黎翔と付き合い始めて初めてのクリスマスがやってくる。

去年はまだ付き合ってもなかった。
でもどうしても会いたくて、恋人たちのメインイベントの日に呼び出すなんて彼に迷惑かなと思いながらも、勇気を振り絞って誘ってみた。

容姿端麗で女性にモテるはずの上司は、以外にも誰かと会う予定も無いらしく、仕事で遅れるがそれで良いならとあっさりOKしてくれた。
イベント事に疎い彼は、クリスマスと言う事に気付いてなかったらしい。

手作りのセーターを渡すとすごく驚かれて喜ばれて、翌日とても綺麗で可愛いネックレスをプレゼントされてしまった。
それは今日も夕鈴の胸元で輝いている。

今年も何か手作りの物をプレゼントしたかったが、11月の中旬からずっと忙しくて時間が取れなかった。
12月半ばになりようやく繁忙日が過ぎ去り、公休日に自分の時間が取れるようになったので、夕鈴は黎翔に贈るプレゼントを買うために繁華街を訪れたのだ。

直前という事もあって、どの店もクリスマスの特設コーナーが設けられている。
毛糸のセーターにマフラー、手袋にネクタイ。
アクセサリーや香水など、沢山も商品が並んでいる。
価格も様々で、学生のバイト代で買えそうなものから、大人向けのちょっと高価な物まで。

今まで誰とも付き合った事が無く、黎翔が初めての恋人の夕鈴は、経験値が極端に低い。
何を贈ったら彼が喜ぶのか分からなくて、そんな特設コーナーの付近を不審者よろしくウロウロしていた。

何件かの店を回ったが、決める事が出来ずに夕鈴は溜息を吐く。
どの商品もとても素敵だけど、いまいちどれもピンとこない。
まだ時間もあるし、もう少し遠出してみようかなと思った時、視界に入った商品があった。

疎い夕鈴でも聞いた事がある、某有名ブランドショップのウィンドウに飾られているそれを見た瞬間、彼女の目にはもうそれしか映らなくなった。

ブランドものだけあって、その商品は結構高値だった。
普段の夕鈴なら決して買わないが、恋人への初めての贈り物。
付き合い始めて知った彼の誕生日はちょうど多忙な時期で、よくよく考えたらお祝いもプレゼントもしていない。

(誕生日とクリスマスのプレゼントだから、たまには良いよね…。)

ちょうど冬のボーナスが出たばかりで、懐もいつもより温かい。
彼に喜んでもらえるのなら、少しくらいの出費くらい構うものかと納得して夕鈴は目当ての商品を買うために初めてブランドショップに足を踏み入れたのだった。

今年はイブもクリスマス当日も平日だ。
クリスマスイブに会う約束は、すでに取り付けてあった。
けれど思うようにいかないのが、働く社会人の悲しい所で。

24日の昼間に一課に掛かってきた一本の電話に、深刻な表情で対応している課長を見て嫌な予感はしていたのだが。
業務終了後、更衣室で帰る支度をしていると、彼から電話が掛かってきた。

元々は第三営業課が起こした問題が解決せず、一課課長の黎翔と、二課課長の浩大も対応する事になったらしい。
もしかしたら解決に数日掛かるかもしれないと言う。

『…すまない。』

珍しく落ち込んだ声で謝られて、彼に負い目や負担を感じてほしくなくて。

「…大丈夫です!フリーの子とイブイブパーティーしますから!!」

我侭な女だと思われたくなくて、精一杯強がって、明るい声でそう返事をした。
寂しさや悲しみを、胸の中に抑え込んで。

通話を終えて携帯を下ろすと、後ろから背中をバンと叩かれた。

「今夜のパーティーは景気良くやるわよ!」
「帰りにお酒買って行こうよ。美味しいの、見付けたんだ♪」
「ケーキは外せないし、他には…チキンと…サラダと…お菓子も買わなきゃね!」

夕鈴を囲んで、次々に声を掛けてくれる仲の良い同僚達。
優しい彼女達に、ポロリと涙が溢れた。


白陽コーポレーションの仕事納めは26日だったが問題解決には至らず、ようやく目途が立ったのは翌日の昼過ぎだった。
遅い昼飯を二課長の浩大、社長代理の李順と共に取る黎翔は、無言で黙々と食事を口に運んでいる。

「それにしても、とんだ災難だったな。せっかくのイブに会えなくて、夕鈴ちゃんも寂しがってるだろ?」

そう言った浩大をチラッと横目で見て。

「…別に。友達とパーティーするんだって、案外楽しそうだったぞ。」

つまらなそうに、不貞腐れたように呟く。
どうやら拗ねているらしいが、大の男がそんな顔しても可愛くない。

不機嫌なのは恋人である夕鈴に会えないからだと思っていたが、急遽仕事が入り会えなくなった彼女が、自分がいなくても案外楽しそうだったかららしい。

浩大と李順は顔を見合わせて、呆れたように揃って溜息を吐く。

「貴女は本当に女心が分からない人ですね。」

仕事は出来るのに彼女の事となると…とぼやく李順に浩大はウンウンと頷き。

「そんなの、夕鈴ちゃんの強がりに決まってんじゃん。」

本当は会いたくてたまらないのに、我侭を言って困らせたくないという彼女の、精一杯の強がり。
約束を守れなかった黎翔が負い目を感じないように。彼の負担にならないように。

「…会ってやれよ、今夜にでも。もう今日から休みに入ってるんだし、気兼ねする必要もないだろ。」

ワタワタと携帯を取り出しメールしている黎翔を、浩大はニヤニヤしながら、李順は無言で食事を食べながら見ていた。


仕事が休みになっても、年末には沢山やる事がある。
けれど、なかなか会えなかった恋人から、会いたいと連絡が来たら、全てを後回しにして会いたくなる。
例え大掃除の真っ最中でも。

慌てて軽くシャワーを浴びて、悩んで選んだ服を着て、薄くだけど化粧もして。
アパートまで迎えに来てくれた彼から『着いた』とメールが来て、夕鈴は部屋を飛び出す。
車に凭れるように立っている黎翔の姿を見た途端、思わず走り出してしまった。

駆け寄ってきた夕鈴は、その勢いのまま飛び付いて来た。
細い身体を難なく受け止めて、会いたくて会いたくて堪らなかったのは、自分だけじゃなかったんだと黎翔はホッと息を吐く。
「ごめ…『んな』と続く言葉は、夕鈴からのキスで途切れた。

付き合い始める前、二人が初めて一緒に行ったレストランのあの日と同じ個室で、二人は向かい合って食事をする。
3日も遅れてしまったイブをやり直すため、懇意にしている料理長が二人のためだけに特別にクリスマスディナーを作ってくれた。

食事を終えて、夕鈴は当日に渡せなかったプレゼントを黎翔に差し出した。
あの日、夕鈴が黎翔へと選んだプレゼントは腕時計だった。
シックだが高機能で、一目見た時黎翔にとても似合うと思った。
しかもペアウォッチで、その対になる時計は夕鈴の腕で時を刻んでいる。

「…高かったんじゃないのか?」

思った以上の高価なプレゼントに、黎翔は夕鈴が無理したんじゃないかと少し不安になった。

喜んでもらえると思っていたのに黎翔の反応は微妙で、困ったような表情をしている。

嬉しくなかったのかな?
夕鈴は怖くなった。

厚かましいかもしれない。
ウザいと思われるかもしれない。
でも。
どうしても。

「…私と同じ時を、刻んでいってほしいと言う気持ちは迷惑ですか?」

目を見開いた黎翔は、ガタンと立ち上がり卓を回って夕鈴に近寄ると、ギュウッと抱き締めた。

「――痛いです。」

ギュウギュウと胸板に顔を押し付けられ、夕鈴は抗議する。

「…お前がそんな可愛い事を言うからだ。」

見えない彼の顔を、見たいなと夕鈴は思う。

「…大掃除の途中だっていうから、今夜は家に帰そうと思っていたのに。可愛い事を言って私にどんどん好きにさせる、お前が悪いんだからな。」

恋人になって知らなかった一面や表情を見れて、黎翔はますます夕鈴を好きになる。
ずっと一緒にいたいし、愛し合いたい。
のめり込んで、愚かなただの男に成り下がる。

でも悪いのは自分じゃない、全部お前のせいだと言われて夕鈴は、「何ですかそれ?理不尽です。」とぼやいたけれど。
その表情は幸せで泣きながら笑っていた。

目を覚ますとカーテンの隙間から日差しが差し込んでいるのに気付く。
冬の日の出は遅いけれど、もう『朝』と言う時間ではないのかもしれない。

その証拠に、隣に手を伸ばすといるはずの人はすでに起き出したようで空を掴む。

レストランを出た後、黎翔は何処にも寄らずにまっすぐにマンションに夕鈴を連れて来た。
急かすように腕を引かれて寝室に連れ込まれ、何度も何度も身体を重ねた。
眠りに落ちたのは何時だったか記憶にない。
というか、寝たと言うより気を失ったと言うのが正解かもしれない。

彼に沢山愛してもらえるのはすごく嬉しくて幸せだけど、その行為は夕鈴の身体に負担を掛ける。
今も身体中が痺れていてあまり感覚が無く、思考もぼんやりしているのはそのせいだ。

広いベッドは一人で寝るには寂しくて、夕鈴はもう起きようと左手で目を擦った。
すると、昨夜までなかった何か固い感触が目に当たる。

何だろうと自分の指を見た夕鈴は、数秒固まって、自分の左手の薬指に光る輪に寝ぼけ眼を見開いた。

ゆっくり寝させてやりたいがやっぱり一人は寂しくて、もうそろそろ起こしても良いかな?と思いながら寝室に向かっていた黎翔は、中から聞こえてきたドサッと言う音に驚いて慌てて扉を開ける。

「夕鈴っ、どうした!?」

目に飛び込んできたのは、ベッドの傍に蹲る塊。

「れいしょ~…」

いや、ふえーんと泣く最愛の女性(ひと)。

思わず飛び起きてベッドから降りようとした夕鈴は、全く腰が立たずそのままずるりとベッドから落ちてしまったのだ。
抱き上げてベッドに座らせると、よしよしと頭を撫でてやる。

「こ、これ…。」

夕鈴が自分の左手を広げて黎翔に見せる。
黎翔はちょっと申し訳なさそうに笑って。

「婚約指輪…というか、私の気持ちのつもりだ。」

付き合い始めてまだ1年はたっていない。
喧嘩も沢山したし、何度も擦れ違って泣かせたりした。
二人が一緒になるには、まだ沢山の問題が残っているけれど。
今すぐ「結婚しよう」とは言えないけれど。

――それでも。

離したくない。
ずっと傍にいて欲しい。

「…安物で悪いけど、受け取ってくれるか?」

もちろん、正式に婚約した時にきちんとした婚約指輪を贈るつもりだし、結婚指輪も二人で選ぶつもりだ。
この指輪は、黎翔のけじめだ。
何があっても離さない、愛し抜くと言う決意を込めて。

目を真っ赤にして泣き続ける夕鈴はコクコク頷いて、そして「もう一度、填めて下さい。」とお願いしてきた。

実は、面と向かって指輪を填めるのが恥ずかしかったので、夕鈴がまだ眠っているうちに本人の承諾を得ず勝手に填めたのだ。
黎翔は「うっ…」と詰まったが、彼女に可愛くおねだりされると断れるはずもない。


彼の部屋の寝室で、ベッドに座ったままの夕鈴の左手を、傍らに立った黎翔が取る。

一度は外した指輪をゆっくりと填めてくれる彼の頬は少し赤くて、可愛いって言ったら怒られるかなと内心笑う。

黎翔はすでに普段着に着替えているが、夕鈴は素肌にナイトガウンを羽織っただけで、恥ずかしくてすごくドキドキしてしまうけれど。

指輪が光る薬指に、そっと唇を落とす彼の姿は神聖な儀式のようで。
夕鈴はこの日の事をずっと忘れないでいようと思った。


END


関連記事
スポンサーサイト

Comment

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2014.12/29 09:32分 
  • [Edit]
  • [Res]

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2014.12/31 16:41分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 素敵なお話をありがとうございます。 

聖璃桜様

コメントありがとうございます♪
そうでしたね。経験値が少ないのは夕鈴だけではなかったですよね。
本当に課長は彼女の事になるとダメダメ人間。
この二人のゴールインはまだまだ先のようです。
夕鈴の家族の話とかは、もちろんありますよ。構想は出来ているので、早めに書き上げたい所ですm(__)m
  • posted by 高月慧ネン(聖璃桜様へ) 
  • URL 
  • 2015.01/03 02:03分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: 甘々(≧∇≦) 

風花様

年明けました。すみませーん(*_*;
今年もよろしくお願いします(^^♪

プレゼントって、友達や家族に贈る時も何にしようかと悩みますよね~。
夕鈴の場合、初めての恋人だから余計にです☆
そして課長の拗ねるポイントが情けない。
李順や浩大の言う通り、ちっとも分かっていないダメ男。

お?おお!?
マーキング…虫除け…。何だかネタになりそうな言葉が。
2015年初SSも去年と同じく、この二人でいってみようかな~?
が、頑張ってみます…!!

2015年が風花様にとって良い年になりますように(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(風花様へ) 
  • URL 
  • 2015.01/03 02:30分 
  • [Edit]
  • [Res]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

プロフィール

高月慧ネン

Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

キリの良い数字を踏まれた方は、ご連絡下さい♪

ご訪問中のお客様

現在の閲覧者数:

にほんブログ村ブログパーツ

ブロとも申請フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。