兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪彼女の親友

このお話は、『♪恋する子犬は、『待て』を覚える』の数日後のお話です。

オリキャラが出ます。

苦手な方は読まない事をお勧めします。

周囲の視線が痛い――。

駅を出て、学校が近付くにつれ、自分をチラチラ見ている視線が明らかに増えた。

先週の金曜日、夕鈴の帰宅を待ち切れず学校に迎えに来てしまった恋人を沢山の生徒に見られてから、週明けて、月曜日。

興味津々、物珍しい者を見るような視線を避けるように、夕鈴は俯いて歩く。

昇降口で上履きに履き替え、教室に辿り着いた夕鈴を、20人程の女子生徒が待ち構えていた。
覚悟していたとは言え、夕鈴は顔を引き攣らせ、溜息を吐いた。

恋人が芸能人である事を絶対に知られるわけにはいかない。

彼は『Rei』じゃないのか、と言う先輩からの問いには、「他人の空似です。」と白を切り通した。
納得のいってない感じではあったが、夕鈴がそれ以上話すつもりがないと分かると、彼女達は自分の教室に戻っていった。

ホッと息を吐いた夕鈴の肩を、誰かがポンポンと叩く。
振り向くと、そこには四人の大親友が。

「――どういう事か、説明してくれるわよね?」

有無を言わさない表情でにっこり笑う明玉を見て、夕鈴は冷や汗を掻き、若干引き気味になる。

これは、真相を話すまで、開放してくれそうもない。


♪彼女の親友


携帯が着信を知らせ、相手が愛しい恋人からだと分かると、黎翔は顔を綻ばせる。
高校生の恋人はもうすぐ授業が始まる時間の筈だが、一体どうしたのだろう。

「…もしもし、夕鈴、どうしたの?」

「すみません、今大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。…何かあった?」

恐縮そうに聞いてくる夕鈴に、黎翔は優しく言葉を返す。

実は打ち合わせの途中で、額に青筋を浮かべたマネージャーが視線の端に映るが、そんな事知るもんか。

「実は……」

言いにくそうに夕鈴が話してくれたのは、親友に自分との付き合いを言っても良いかと言う事。
申し訳ないような声に、黎翔は罪悪感でいっぱいになる。

先週の金曜日に夕鈴を勝手に学校まで迎えに行って、沢山の生徒に姿を見られてしまったのは、明らかに黎翔自身の責任だ。

「…話は分かったよ。――彼女達、今日の夜空いてるかな?」

「え?…空いてると思いますけど…ちょっと聞いてみますね。」

夕鈴の声が遠ざかり、親友だと言う彼女達もすぐ近くにいるのだろう。すぐに「大丈夫だそうです」と返事が返ってきた。

黎翔は困惑している夕鈴に、懇意にしていて彼女も連れて行った事がある料亭の名を告げる。

「…19時に彼女達全員連れて来て。――僕が、直接話すよ。」


「…本当に大丈夫なの…?」

料亭の佇まいを見て、明玉が不安げに呟く。

授業を終えそれぞれいったん自宅に戻り、私服に着替えてから駅で待ち合わせをしてタクシーでやってきた。制服のままだと、誰かに見られた時どの学校の生徒か分かり困るからだ。

明玉もだが、共に来た三人の親友も同じようにポカンと料亭を見上げている。

それも仕方がないと、夕鈴は思う。
初めて黎翔に連れられてここを訪れた時、自分もそうだった。

さすが芸能人御用達の店――。

その料亭は、一般庶民は決して訪れる事が出来ないような、所謂高級料亭だった。


黎翔からすでに連絡がいっていたようで、すぐに顔見知りになってしまった女将に部屋へ案内される。
彼は仕事で少し遅れるようで、お茶請けに高級な和菓子を出されたが、彼女達は妙にソワソワして落ち着きがなく、視線を彷徨わせている。

ここに来てやはり、夕鈴の彼がただの一般人ではなく、おそらくは自分達の予想通りだという事に気付いたようだ。

「ねえ、夕鈴。…やっぱりあんたの彼氏って―「失礼します」」

意を決して問い掛けた明玉に声に、障子の向こうから掛けられた女将の言葉が被る。

「…お連れ様がお見えになられました。」

明玉達は息を飲み、夕鈴は彼を迎える為に腰を上げた。

「…ごめんね?遅くなって……」

「いいえ、お仕事お疲れ様でした。」

黎翔は自分を迎えてくれた夕鈴を抱き締め、頬に唇を落とす。
本当は唇にしたかったが、親友に見られるのは流石に恥ずかしいだろうと思い留まった。

夕鈴の身体は離したが肩は抱き寄せたまま、黎翔は卓の向こう側に並んで座る四人の彼女の親友達に視線を移す。

「――初めまして。」

Reiの表情のまま、笑って挨拶をする。

「はっ…初めましてっ」

彼女達は慌てて立ち上がり、頭を下げる。

「今日は急に、すみませんっ」

ガチガチに固まっているのを見て、黎翔は苦笑いする。

「…急に呼び出したのは私の方だから気にしなくて良いよ。」

座るように促して腰を下ろしてもらったが、やはり緊張は解けないようで、夕鈴もそんな彼女達を見て困ったように笑っている。

「明玉、といいます。」

「雪花です。」

「…凛、です。」

「華月と申します。」

丁寧に頭を下げて自己紹介をしてくれる彼女達に、黎翔は礼儀正しい子達だなと思う。

「Reiです。――いつも夕鈴と仲良くしてくれてありがとう。」

夕鈴との会話の中によく聞く名前の子達ばかり。きっと本当に仲の良い、大親友なのだろう。
自分の知らない、知る事の出来ない学校での夕鈴を、見る事が出来る彼女達。

少し、いや、かなり悔しいけど。

女の子の親友に妬いても意味がない。

「…あの、聞いてもいいですか?…夕鈴のどこを、好きになったんですか?」

恐る恐る、と言った感じで聞いてくるのは、明玉という子だ。

だから自分達の出会いを、掻い摘んで話してあげた。

最悪な出会い、いきなりけんか腰になり、頬を叩かれた事。

「夕鈴、あんた、叩いちゃったの!?」

芸能人の頬を!?と明玉は目を剥く。

「だって、芸能人だって知らなかったんだもんっ」

慌てて弁解する、夕鈴は可愛いなあ。


掛けていた礼儀や、人間らしさを、教えてくれた事。

「そう言えばReiさん、以前より感じが良くなったと言うか、明るくなられましたよね…」

父親が出版社に勤めていて、過去Reiの批判的な記事を読んだ事がある華月は呟く。

そう言われて、以前よく書かれていたゴシップ記事や中傷的な記事を書かれる事が無くなったなあ…と、黎翔は思う。


料理も上手くて、餌付けされちゃったかもと言うと、雪花は「夕鈴の作ったご飯、美味しいもんね」と笑い、凛も控えめにコクコクと頷く。

「じゃあ、あの記者会見で言ってた好きな人って…」

「あ、あれ見てたの?…そう、夕鈴の事だよ。」

Reiの少しきつめの表情が崩れ、ニコニコと微笑む子犬のようなもう一つの本性が顔を出す。
夕鈴の事を褒められると嬉しくて、黎翔もご満悦だ。

「…あれ?なんか感じが…」

Creuzの大ファンで、結成当時から追っかけをしている明玉は、そんなReiの変化に目を瞠る。

そんな彼女を視界の端に捉えながら、黎翔は隣に座る夕鈴の顔を覗き込む。

「夕鈴、彼女達にも僕の本名を教えてもいいかな?」

「私は構いませんけど、い、良いんですか…?」

そんなに簡単に教えちゃって…と、夕鈴は不安顔だが。

「いいよ。…だって彼女達は、君の友達だから。」

それだけで、彼女達は信用に値すると黎翔は思う。


夕鈴に何かあった時の連絡用に、彼女達とアドレスの交換をする。
ちなみにこれはプライベート用の携帯だ。夕鈴の専用携帯は他にある。

「…これからも夕鈴と仲良くしてあげてね?」

にっこり笑ってそう言うと、夕鈴の親友達は頬を真っ赤にして頷いた。


その後美味しい料理に舌鼓を打ち、彼女の親友との顔合わせはほのぼのとした雰囲気のまま終わった。

連絡先をゲットした彼女達に、夕鈴があまり話さない学校での様子を伝えてもらおうと、良くない事を考える黎翔が大きな尻尾を盛大に振っていた事に、残念ながら夕鈴は気付いていなかった。


END


ちょっと黎翔と、明玉達・夕鈴の親友の顔合わせを…と思い、急遽書きました

親友達の名前は適当につけてみました。
この四人は夕鈴の大親友です

これからのお話にも、ちょくちょく出て来ます。
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よろしくお願いします。

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