兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home~求める存在(もの)~ 3

こんばんは。慧ネンです(^^♪

リクエスト小説「My Sweet☆Home~求める存在(もの)~ 2」に、一話目以上に沢山の拍手とコメントをありがとうございます!

とっても嬉しくもあり、あまりに沢山の拍手を頂き慄いています。
こ、こんな話ですが良いんですか…?

このシリーズは黎翔と夕鈴の子ではないオリキャラも出てくるので、本当に今更なんですが、近いうちに人物紹介と設定集を作ろうと思っています。

※SSに出てくる聖蘭と清良は、黎翔パパが夕鈴ではない女性との間に儲けた子供です。二人の子じゃないなんて嫌だと言う方は、閲覧をお控え下さいね(*_*;



***


My Sweet☆Home~求める存在(もの)~ 3


夕鈴が珀家でバイトをするのは、黎翔が不在の日が多い。
家主である彼が家にいる時には、家族である彼らの邪魔をしないように極力マンションに行くのを控えている。
聖蘭と清良にどんなに懐かれていても、二人の父親である黎翔に「俺が休みの日でも、バイトが入ってなければ来てほしい。」と言われても所詮自分達は他人。
深入りは良くないと、夕鈴は思っていた。
それに。

いつの日か必ず、別れの日がやってくる。
馴れ合い過ぎると、別れが辛くなるだけだ。

たまに早く帰宅する黎翔に何か言いたげな顔をされても、夕鈴は『バイト』の域を出来るだけ超えないようにしていた。

(――なんて…)

今更か、と自嘲する。

聖蘭と清良が眠った後、黎翔に誘われるままに寝室を共にする。
抱いた後、彼は夕鈴を離したくないとばかりに抱き締めてくる。
そんな彼に背中を向けるのは、夕鈴のせめてもの意地だ。

黎翔と身体の関係を持ってしまい、抱かれるのは何回目だろう。
お互い裸のままなので、背中に感じる彼の体温が温かい。
本当の恋人同士なら、幸せを噛み締めながら彼の腕の中で微睡むのだろう。

けれど自分達は雇い主とバイトの関係。
これは、金が絡んだ身体だけの関係。

胸元で組まれた黎翔の腕に手を掛けると、彼はぴくっと身動ぎした。仕事が忙しいのか、夕鈴を抱いた後黎翔は大概目を閉じて微睡んでいる。

「…今夜は寒い。明日は日曜だし、俺も休みだから泊まっていけばいい。」

12月になり冷え込む日が続いていたが、今夜はさらに寒さが厳しい。
この後シャワーを浴びて自転車で帰る彼女が心配で、自分の腕の中から抜け出そうとしている夕鈴に声を掛けた。

初めて抱いた時のように乱暴な事はしていないが、それでも身体への負担はあるはず。ふら付きそうになる身体を隠すように、背を向けて帰っていく夕鈴。

たまにで良い。この腕の中で、朝まで眠っていて欲しい。

「…帰ります。」

そう願う黎翔の想いは虚しく、夕鈴は自分を拘束する黎翔の腕を抜けるとベッドから降りた。
彼に背中を向けている夕鈴は気付かないが、彼女を見送る黎翔の瞳はいつも寂しそうだ。

一緒にいたいと、そう思うのは自分だけで。
この思いは、独り善がりに過ぎないのだろうか。


「…夕鈴お姉ちゃんは、パパの事嫌いなの?」

洗濯物を畳んでいると、近くで清良と遊んでいた聖蘭がトコトコとやって来た。
ジッと大きな瞳で見上げてくるので、どうしたのかな?と思っていると突然そう聞かれて夕鈴は動揺した。

普通なら、『パパのこと好き?』と聞いてくるはずだ。
それなのに聖蘭は『嫌いなの?』と聞いて来た。
それは彼女に、夕鈴が黎翔の事を嫌っていると思わせる何かがあるのだろう。

「えっ?…ど、どうして…!?」
「だって、いつも帰っちゃうから。」

「あのね…」と聖蘭は秘密を暴露した。

聖蘭の話を、夕鈴は羞恥で悶絶しそうになりながら聞いていた。

眠っている途中でトイレに行きたくなって目を覚ました時、廊下に出た聖蘭は聞こえてきた苦しげな呻き声にハッとした。声が聞こえてきた方向には、父親の寝室がある。

何かに耐えるような細い声は、もう帰ったはずの夕鈴お姉ちゃんの声に思えた。
恐る恐る足音を忍ばせて近付くと、それは確信に変わる。
部屋の中から漏れてくる声は、確かに彼女のものだった。

聖蘭は愕然とした。
仲が良い、とまではいかないが、お姉ちゃんがバイトに来てくれるようになって、父親とそれなりに仲良くやっていたように見えたのに。
自分が勝手にそう思っていただけで、自分の知らない所で、父はまたお姉ちゃんを苛めていたのだろうか。

止めさせようと、ドアノブに手を伸ばした時、中から漏れてくる声に変化があった。

甘い、吐息のような声。
苦しげなのに、どこか喜びを感じているような、聖蘭が初めて聞く、夕鈴の声だった。

それは所謂『喘ぎ声』というものだが、幼い聖蘭に分かるはずもない。
だが嫌がっているわけではないような気がして、このまま父の部屋に入っちゃいけない気がして、彼女は気付かれないようにそっとその場を離れた。

保育園に迎えに来て、ご飯を作って面倒を見てくれるお姉ちゃんの様子は特に変化はなく、でも何となく聞くのは憚られて聞けなかった。

ただ、どんなに遅くなっても帰ってしまったり、父が休みの日にはバイトに来る事が無いのに気付いて、父にそれとなく聞いてみた。

少し驚いたように目を見張った後、しゃがみ込んで聖蘭と目線を合わせた黎翔は、「俺は彼女に、嫌われているから。」と困ったように呟いた。
そう言った父は、寂しそうに見えた。

「ち、違うの!そうじゃないのよ…!」

夕鈴は慌てていた。
まさか、知られていたなんて。気付かれていたなんて。
幼い聖蘭は良く分かっていないかもしれないが、ベビーシッターの高校生がその家の家主と身体の関係を持っているなんて、世間に知られれば問題になる上、子供の成長にも悪影響を及ぼす。

不器用なバツイチの父と、可愛い二人の子供。
この幸せな家庭を、壊すわけにはいかない。

それに、黎翔が寂しそうだったと言うのは、彼女の気のせいだろう。
身体だけの関係だと、そう言ったのは彼なのだから。

でも、決して嫌っているわけではないから、そこだけは訂正しておく。

自分の両肩をそっと押えて、「パパの事は嫌いじゃないけど、パパも私の事は好きじゃないと思うわ。」と諭すように話す夕鈴の言葉を、聖蘭は首を傾げながら聞いていた。

(パパはお姉ちゃんの事、好きだと思うんだけどなあ…。)

夕鈴に会ってから、どんどん変わっていく父親の変化は、娘の聖蘭から見れば明らかなものだった。
そしてそれは、夕鈴も同じ。
二人の態度は険悪だった初対面の時とは雲泥の差で、たまに口喧嘩はしているものの、傍から見る限り良好に見える。

今もちょっとだけ頬を染めて、焦ったように「パパの事は嫌いじゃないけど…」と言っているお姉ちゃんも、きっとパパの事が好きなはずなのに…。

「大人って、難しいね…。」

必死に弁解して、逃げるようにキッチンに去っていく夕鈴は耳朶まで真っ赤で、彼女の気持ちを表しているようだ。
あんなに分かりやすいのに、父も気付かないなんて。

やれやれと呟く聖蘭を、清良が不思議そうに見つめていた。


続く


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∪ノシ>ω<∪ノシ つっづき♪つっづき♪


・・・・・・( ̄∇ ̄)
恐るべし!聖蘭チャンw
なんて聡い子なんでしょう///

大人はなかなか素直になれませんからねー。
聖蘭チャンがどんなふうに二人を導いていくのか!
楽しみだー♪( ´艸`//)

はやくくっついてもっとイチャイチャして欲しい♡∪//ノωノ∪←
  • posted by 桃月 
  • URL 
  • 2015.02/25 21:35分 
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聖蘭ちゃん、行けー!
パパ泊まって行ってまで言うんだったらあともう一言言って夕鈴の誤解をとけばいいのに!
いや、子供にしてはこれ以上ないほどの性教育(笑)
そしてパパが何医なのか気になる。
ここはかわいい2人の子に頑張ってもらってくっつけてほしい。
そうそう、私は清良ちゃんの「まぁま」がかわいくて好きです。
  • posted by まるねこ 
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  • 2015.02/25 22:04分 
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  • posted by  
  •  
  • 2015.02/25 22:04分 
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お姉ちゃん、泊まって行って。 

今回、浩大と聖蘭がタッグを組めば面白そうと思いました。
  • posted by 聖璃桜 
  • URL 
  • 2015.02/25 23:32分 
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2015.02/26 09:42分 
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Re: タイトルなし 

桃月様

な~んか最近書くのが楽しくなっちゃってます、このシリーズ。
聡すぎてある意味怖い聖蘭。
素直じゃない不器用な二人を、きっといい方向に導いてくれるでしょう…!
この二人はくっつく前に無意識にイチャイチャしてそうだな(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(桃月様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/05 00:23分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

皆さん聖蘭プッシュですね!
素直になれない大人二人の、キューピッドになってくれるでしょうかねえ…?
いや~「泊まっていけば良い」と上から目線じゃダメですよね?
「泊まっていってほしい」って言わないと!
こんな事じゃ、誤解を解くなんて一体いつになる事やら。
パパは○○医ですよ~。一番合ってると思うんですよね~。
清良の「まあま」は自分で書いといて悶えてます♥


  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/05 00:40分 
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Re: (o^^o) 水曜日☆ 

お名前無し様

こちらのコメントを返信する前に、新たにコメントを頂いてしまう不義理…。
申し訳ありません。
お名前分かったけど、こちらな「お名前無し様」で返信させて頂きました(*_*;
コメントに力をもらい、更新頑張ってます!
また読んで頂けるようなお話をアップ出来るよう頑張りますね~(^v^)
  • posted by 高月慧ネン(お名前無し様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/05 00:44分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: お姉ちゃん、泊まって行って。 

聖璃桜様

いつの日か、そんな日が来るかもしれませんね。
黎翔パパはタジタジになってしまうんだろうなあ…。
(言葉では敵いそうにないし。)
  • posted by 高月慧ネン(聖璃桜様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/05 00:46分 
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Re: No title 

ますたぬ様

素直になれないパパに変わり、聖蘭に頑張ってもらうしかないですね!
聡い彼女はパパと夕鈴の気持ちも分かっているので、きっと二人をくっつけてくれると思います♪
ホント、本誌陛下のように、素直になる事も大切ですよね!
狼陛下キャラは、白衣も似合うなあと思いながら書いてます(^^♪
黎翔さんは、ますたぬさんの想像通りです!やっぱ○○医が一番似合いますよね~♥
おお、何気に浩大聖蘭タッグが人気ですね!
書いてみるのも面白そうだ…(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/05 00:51分 
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