兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home~求める存在(もの)~ 5

慧ネンです。

色々ご心配とご迷惑をお掛けしてすみません。
まだ閉じてますが、こっそり更新しちゃお。

書く事が嫌にならない限り、書き続けるぞ!オーっ!!
妄想が尽きる事はないもんね☆

黎翔パパの職業は何なのか。
頂くコメントでの皆様の想像が鋭いです(^^♪



***


My Sweet☆Home~求める存在(もの)~ 5


「外科の珀先生。医局までお戻り下さい。」

院内に響いたアナウンスに、黎翔は足を止めた。
今朝方緊急オペをした患者の容体を確認し、ちょうど部屋を出た所だった。
つい先程、小児科医の浩大も呼ばれていたので、何かあったのかと思いながら医局へ戻った黎翔は、その後すぐそこを飛び出した。

「浩大っ、子供達は!?」
「しー!静かにしろ。」

病室に飛び込んだ黎翔は思わず声を上げてしまい、咎められて「あ、悪い…」と謝る。
2つ並んだベッドの間に立つ浩大は、持ってたカルテを黎翔に手渡した。

「熱は高いが、インフルエンザじゃなかった。ここの所急に冷え込んだから、保育園で風邪の菌をもらってきちゃったんじゃないかな。今夜1日入院して、様子を見よう。」
「分かった。悪かったな、帰り際に。」
「うんにゃ、これが仕事だからな。」

浩大は笑ってそう言うと、黎翔と場所を代わり椅子を勧めた。
黎翔はそこに座るとハアと溜息を吐く。
まさか急患として運び込まれたのが自分の子供なんて。

顔を真っ赤にしてハアハアと苦しげな息をしている聖蘭と清良。
点滴の針が刺さった小さな腕が痛々しい。

「パパ…ママ…?」

譫言のように呟く娘の頭をそっと撫でながら、黎翔はふと違和感を感じて顔を上げた。

「浩大。二人に付き添っていた人はいなかったのか?」

そうだ。確かに聖蘭は一人でタクシーにもバスにも乗れる賢い子だが、こんな状態の今は無理だろう。
だとしたら二人をここに連れて来た者がいるはず。その人物…夕鈴は何処に行ったのだろう?

「さあ?俺が呼ばれた時には、二人だけだったけど。受付に聞けば分かるんじゃないか?」

浩大に二人を頼み状況を聞くため受付に向かった黎翔は、夕鈴を追い返したと言うその対応にキレそうになってしまった。さらに何度かけても電話に出ない夕鈴に、疲れも加わってイライラする気持ちを抑えられなかった。

そんな彼女に連絡がついたのは、もうすぐ深夜と言う遅い時間だった。

「何故電話に出ない。」

ムスッとした声が出てしまい、彼女が息を飲んだ音がする。

『す、すみません。帰りが遅くなっちゃって…』
「…?こんな時間までどこにいたんだ?」
『歩いて帰ってき…あっ…』

明らかに、しまった!と言う気配。

「お前はまた…!こんな時間に女一人で歩いて帰って、何かあったらどうするんだ!?」

子供に付き添うために泊まりになった黎翔は、シャワーを浴びて医局に一度戻っていたのだが、彼の怒声に周囲にいた医師や看護婦が驚いたように振り返る。

「おい、珀センセ―。」

こちらもたまたま戻って来ていた浩大が、何時になく激高している黎翔に落ち着けと声を掛ける。
そこで初めて、黎翔は同僚達の驚愕の視線に気付いた。

「~~とにかく。」

イライラと髪を掻き上げ、奥の窓際に場所を変える。

「子供達は様子を見るために1日入院させるが、ただの風邪だから心配するな。それから、」

ふと窓に視線を向けた黎翔の言葉が途切れた。カーテンの隙間から見える窓ガラスには水滴がついている。
この冷たい雨の中、また一人で濡れながら帰って行ったと言うのか。
――あの日の朝と、同じように。

『…珀さん?』

急に無言になった黎翔に訝しんだ夕鈴が不思議そうに問い掛けてきて、彼はハッと我に返った。

「…いや、何でもない。今夜は冷えるから、温かくして寝ろよ。」

おやすみと言って、彼女の言葉を待たず通話を切った。

しとしとと静かに降り続ける雨の日は、黎翔を憂鬱な気分にさせる。
本人が思っている以上に、あの朝、夕鈴が一人マンションを出て行った事は、彼の心の奥底に深いトラウマとなって残っていた。

「珀先生、何かお困りの事はございませんか?」
「一人で二人のお子様を見るのは大変でしょう。私に何か手伝わせて下さい。」

翌日。夜中に何度も目を覚まして泣く子供達を付きっ切りで看病していた黎翔は、朝からこんな感じで引っ切り無しに訪れる看護婦達を一睨みで追い返していた。

離婚して独り身の黎翔と親密になりたいと、あの手この手で寄ってくる女は後を絶たず、魂胆が見え見えの彼女達の言葉に、寝不足気味の彼は不機嫌マックスだ。

(あ~たばこ吸いてえ…)

以前は吸っていた煙草も、「子供達に悪いから」と夕鈴に止められてしまった。
最近は吸わなくてもなんとも思わなかったのに、久々に思い切り吸いたい衝動に駆られてしまう、が。

「ここで吸うわけにもいかないしな…。」

2つのベッドには1日寝て比較的元気が出てきた子供達がパッチリ目を開けて、帰りたいとぐずっている。特に人見知りが激しい清良は、出入りする医師や看護婦を見て泣きっ放しだ。

朝ご飯は比較的よく食べていたし、昼になっても熱が上がらなければ自宅で療養でも良いと、浩大からも許しが出た。
だが子供達を自宅に連れ帰るならば、夕鈴についていてもらいたいのだが、朝からまた彼女と連絡が取れないのだ。
その事もさらに彼の気落ちの原因となっていた。

結局午前中には連絡が取れず、午後黎翔の帰宅時間に合わせて二人の退院手続きをした。

「ここ、か…?」

片腕に一人ずつ子供達を抱いて、黎翔はお世辞にも綺麗とは言えない古いアパートの前に立っていた。
あまりにも夕鈴に連絡が取れず、メールの返事も無いので心配になって、マンションに帰る前にバイトの契約をした時に教えてもらった住所を頼りにやって来た。

「お姉ちゃん、ここにいるの?」
「まあまあ~」

聖蘭は興味津々にアパートを見上げ、清良は早く会いたいと泣いている。
ポストで部屋を確認して、玄関の前で聖蘭を腕から降ろす。

「良いか?静かにしてるんだぞ?」

土曜の午後だというのに周辺は静かだ。高校生の一人暮らしの部屋に、子連れの男が訪ねてきているのを見られたら、変な噂が立ってしまいそうだ。
彼女の様子を確認してすぐに帰ろうと思いながら、扉をノックする。

暫く待っても反応が無く、出掛けているのか?と半ば諦めかけながら、念の為もう一度携帯を鳴らしてみると、着信音は部屋の中から聞こえてきた。

「…汀?いるのか?」

もう一度ノックすると部屋の中で人が動く気配がして、ギイッと音を立てて扉が開けられた。

「はい…」

覇気のない声で出てきたのは、今にも倒れそうなくらい調子の悪そうな夕鈴だった。


続く


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  • 2015.03/13 19:55分 
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  • 2015.03/13 20:44分 
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わ~い♪更新だぁ~(*^^*)
この後の展開がとっても美味しそう。
  • posted by 彩華 
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  • 2015.03/13 23:27分 
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  • 2015.03/16 13:30分 
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Re: タイトルなし 

RON様

続けてのコメント、ありがとうございます(^^♪
D様から、RONさんが心配されている事を聞いて申し訳なさと同時にとても嬉しかったです。
本当に突然で、ご迷惑とご心配掛けてすみませんでした。
これからもよろしくお願いします(^v^)

黎翔さんはやっぱり外科医でしょう!
白衣姿も最高ですよね!
狼陛下のキャラの面々が、白衣着ているのを妄想すると…萌える♥

  • posted by 高月慧ネン(RON様へ) 
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  • 2015.03/17 00:24分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

こちらこそ、わざわざメッセージ下さってありがとうございました。
とても嬉しかったです(^^♪

パパは外科医が似合いますよね?
『無表情でさくさく切っていく』にウケました(^◇^)
確かに想像出来る☆
黎翔パパって何ていうかこう…いまいち感情が読めないから人に誤解されやすいというか。確かに夕鈴の事を心配しているけど、心配している事を彼女に知られたくないんです。天邪鬼だから(笑)
そしてまた誤解されればいい←え?
この二人、近付いて行っているのか離れているのか分かりませんね(*_*;
でもこのじれったさ感を上手く表現出来たら良いな(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
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  • 2015.03/17 00:38分 
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Re: タイトルなし 

彩華様

美味しそうだなんて、嫌だわ彩華さん。←語弊あり。
亀更新を待って頂いてありがとうございます(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(彩華様へ) 
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  • 2015.03/17 00:40分 
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Re: No title 

ますたぬ様

こんなパパを応援して下さるなんて…!
今はこのシリーズがマイブームですね(^^♪
どれでも良いから少しずつ進めて行かないと…。一体いくつ連載抱えてるんだ?
春コミ楽しかったです。皆様に元気を分けてもらいました。
ご心配下さって本当にありがとうございます(^◇^)
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
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  • 2015.03/17 00:43分 
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  • 2015.03/17 06:46分 
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  • 2015.03/17 07:48分 
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Re: タイトルなし 

フルグラ様

こんばんは~(^^♪
一週間近く閉じてしまって、本当に申し訳ございません(*_*;
皆様の励ましに、元気と勇気をもらいましてまた再開させて頂きました。
フルグラさんの愛読所を奪わないようにします☆

黎翔パパもこういう事が無きゃ、夕鈴の家には行ったりしないんだろうなとちょっと思ったり。
まあ子供達を置いて行くわけにもいかないですしね。
看病、出来るのか?パパが…。

お子様、ご卒業おめでとうございます!
やっと一区切りとは言え、これからも大変だと思いますがフルグラさんも頑張って下さいね!
  • posted by 高月慧ネン(フルグラ様へ) 
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  • 2015.03/18 00:50分 
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Re: 初めまして 

くみ様

初めまして!コメントありがとうございます(^^♪
いつも来て下さっているとの事、とても嬉しいです~♥
そうですね。まだ無かった事には出来ませんが、皆様に励まされながら前を向いて頑張って行こうと思います。
これからもよろしくお願いします。
  • posted by 高月慧ネン(くみ様へ) 
  • URL 
  • 2015.03/18 00:53分 
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『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

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