兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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My Sweet☆Home~決別の日に~

えっと、えっと…慧ネンです。
こんばんは、本当にお久し振りです。ご無沙汰してすみません(*_*;

前もって更新停滞のお知らせをしていたにも拘らず、何も更新が無い当ブログに遊びに来て下さったお客様、本当にありがとうございます!
まだゲームからは離れていないのですが、ちょっと書こうかなと言う気になったのでほぼ一ヶ月振りに書いてみました。
『決別の日』のラストで、ちょこっと呟いたオリキャラ・紗都香サイドのお話です。

ご注意!

※オリキャラが主人公です。
※黎翔と夕鈴は回想でしか出て来ません。
※ちょっと痛い表現があります。


それでも読んでやると言う、強者のみお進み下さい(*_*;

・新見 紗都香(にいみ さとか)…黎翔の元妻
・久我 隆弘(くが たかひろ)…紗都香の付き人

では、どうぞ!


***


My Sweet☆Home~決別の日に~


離婚した元夫と実子が住むマンションに不法侵入したとして逮捕され、数日後に釈放された日。

「もう私は何も言うまい。お前はお前の好きなように生きなさい。」

背を向けてそう告げた父からは、何の役にも立たなかった娘への、失望の気持ちが滲み出ていて。
実家に居づらくなった紗都香は、早々と実家を出て小さなアパートで暮らす事にした。

「お前は来なくても良かったのに。」

狭い部屋、必要な家具と電気製品だけを用意した。別に命令をしたわけではないのに、それらを自分から片付けている久我に呆れた声で言う。

「いえ、私がしたいからしているだけなので、お嬢様は気になさらないで下さい。」

振り返った長身で端正な顔付の男は、額に滲む汗を拭いながら弾けるような笑みを見せた。

――久我隆弘。

紗都香の幼馴染で、幼い頃からずっと付き従ってくれる男。

白陽会からの援助を受けられなくなった新見家は、病院の経営も上手くいかず倒産寸前まで陥っていた。
付き人だった残りの二人は、父親にも見放された紗都香(娘)に見切りをつけ、すぐに離れて行った。
それなのに。

「お供しますよ、どこまでも。」

久我だけは、笑顔でそう言って紗都香について来たのだ。

一緒にいたって、何の特にもならない。
貯金はそこそこあるが、大した給料が払えるわけでもない。贅沢な暮らしが出来るわけでもないのに。

「…バカな男。」

冷めた声で呟く。

いつも傍にいてくれる、この男の気持ちが分からない。


白陽会会長、元夫の実父で義理の父でもあった男は、どうしても息子から彼女を離したかったらしい。一体どこからその情報を掴んできたのか、紗都香は久我の口から会長の手の者が奇襲を掛ける事を聞いた。

これを手伝って成功すれば、父はもう一度自分を認めてくれるかもしれない。

そんな醜い気持ちが、心の奥底に無かったかと言えば嘘になる。
――でも。

必死に追っ手から逃げる夕鈴の姿を見た時、身重の身で血の繋がりも無い赤の他人であるはずの清良を護ろうとしている彼女を見た時、何としてでも逃がしてあげたいと思ったのだ。

「ダメです、紗都香さんっ!危ないんです!怪我をするかもしれないんですよ!?」

身代わりになろうとしている事を悟ったのか、夕鈴は必死になって止めようとする。

何て馬鹿な娘(こ)。
自分の身の方が危ないというのに。こんな時ですら、自分の事より他人の事を案じるのか。

ああ、何て優しい娘(こ)なのだろう。
元夫が、心から愛する女性は。
貴女がそんな人間だから、心の底から憎めなかった。

「女がいたぞ!!」
「捕まえろっ!!」

彼女を逃がして僅か数分後、紗都香を夕鈴と勘違いした追っ手が追い掛けてきた。
伸びてきた無数の腕に捕らわれ、繋いでいた久我の手が離れる。

地面に引き倒されて頬や身体を数回殴られた後、無防備になった腹に男の足が振り下ろされるのがスローモーションのように見えた。

自分でも、彼女の身代わりになるなんて馬鹿な事をしたなって思うのよ。
でも何故か、後悔はしていない。

ああ、でも良かった。
こんな目に遭うのが、あの娘(こ)じゃなくて良かった。
彼女が無事で、本当に良かった…。


目を開けると、真っ白い天井が飛び込んできた。自分がどこにいるのか分からなくて身体を起こそうとすると、経験した事の無い激痛に襲われ呻く。

「あら、目が覚めた?」

聞き覚えのある声がして視線を動かすと、白衣姿の美貌の女性が紗都香を見ていた。

「瑠霞、叔母様…?」

痛みで顔を顰めながら呟くと、近付いてきた瑠霞が「無理に動かない方が良いわ。」と咎めた。

「貴女にしては、思い切った事をしたわね。」

てきぱきと診察をする瑠霞の表情は、呆れたような言葉の割に優しげで紗都香は不思議に思う。
元夫の叔母である瑠霞には、結婚当初から何故か嫌われていてこんな風に会話をした事もなかった。

「…瑠霞叔母様は、私の事が嫌いだったのでは?」
「そうね…。でも、今の貴女はそうでもないわ。」

瑠霞が紗都香を好きになれなかったのは、彼女の心にある野心に気付いていたからだ。もちろん黎翔の事は愛していたのだろうが、珀家からの援助や姻戚関係を結ぶ事によって得られる名声を望んでいたのも事実だった。

そんな紗都香が、何の見返りも求めず危険を冒してまで夕鈴を逃がした。
浩大から連絡を受けた時、その以外性に瑠霞は驚いたものだ。

「甥達が捕まったという情報は入っていないから、彼女も無事に逃げ切ったはずよ。安心なさい。」
「そう…ですか。」

黎翔への想いが消えない紗都香にとって、複雑な思いだった。暫くの沈黙の後「良かった」と呟いた彼女の視線はぼんやりと宙を漂い、どうしようもない辛さや寂しさが彼女を襲う。

「貴女も、あんな男の事は忘れて現実を見なさいな。」
「…え?」

言葉の意味が分からず戸惑う紗都香に、瑠霞は優しげな視線を向けた。

「いつも貴女の一番近くにいて、護ってくれる人がいるでしょう?」

瑠霞が自分の背後に視線を向けた。彼女の立ち位置が動き、隣にあったベッドに横たわる男の顔が視界に飛び込んでくる。

「久我……。」

そこには、顔にも包帯を巻かれた自分と同じ満身創痍の久我が眠っていた。

手を引いてくれる掌の大きさや暖かさ、広く逞しい背中を見つめながら駅の構内を駆け抜けた。繋いでいた手が離れた瞬間、久我は焦った表情で振り返った。

『――お嬢様っ!!』

殴られた痛みで朦朧とする意識の中、振り下ろされる男の足と切羽詰まった彼の声が聞こえた。

あちこちに怪我はしているが、お腹を踏み潰されたような酷い痛みは無い。今こうして病院にいると言う事は、あの危機を乗り切って助け出されたと言う事だ。

多くの武術を習い、かなりの腕前の久我がこんな酷い怪我をしているのは、自分を護り抜こうと一人戦ったからなのか。

「馬鹿な男…。」

瑠霞はいつの間にか病室からいなくなっていた。
久我と二人だけになると、紗都香の頬に涙が伝わった。

幼い頃からの幼馴染で、いつも一番近くにいてくれた存在だった。
あまりにも近過ぎて、彼の想いに気付けなかった。

「私なんかと一緒にいても、苦労するだけなのに。」

それなのに、これからも一緒にいてくれると言うの?

「――言ったでしょう?どこまでもお供しますと。」

ふっと久我の目が開き、彼は紗都香を見つめて笑う。

「地獄まででもお付き合いしますよ?…お嬢様。」
「…お嬢様は止めて。そうしたら考えるわ。」

素直に言葉に出来ない自分は、可愛くない女だと思うけれど。
嬉しそうに彼が笑うから、幸せな気持ちになれた。

互いに伸ばした手を、ギュッと繋ぎ合う。

これからはこの男(人)と、一緒に生きていこう。

かつての家族との訣別の日に、本当の幸せを手に入れた。


END


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Comment

 

待ってましたぁ(^^)

やっぱり、夕鈴のまわりにいる人は幸せになっていけるんですね〜♡
さとかさんも幸せになれそうで良かったです🎶
  • posted by ちろ 
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  • 2015.10/14 20:18分 
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呟かれていたこと、しかと覚えています*\(^o^)/*

さとかさん、色々気付いてくれて良かったです。
おばさまも本当に良い位置にいらっしゃって、若者にとても必要な方ですね!

  • posted by タイフーンです(≧∇≦) 
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  • 2015.10/14 21:16分 
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うわぁ*\(^o^)/*更新嬉しいです。そしてなんかホッとする話でよかったぁ。
やっと真実の愛に気づいたから、これで彼女も幸せになれますよね。
でもお腹蹴られたのが夕鈴じゃなくてほんとによかった(>_<)
ゲームの合間でもいいのでたまにはこちらも書いて下さいねー
  • posted by まるねこ 
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  • 2015.10/14 21:36分 
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  • 2015.10/15 08:46分 
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  • posted by  
  •  
  • 2015.10/16 16:20分 
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まさかこんな真相が隠されていたとは!
黎翔サンのお父さんは夕鈴に宿った黎翔サンの子供を消そうと…そして夕鈴の体のみならず、心まで傷付けようとしたんですね!
なんて自分勝手な!!(*`Д´)ノユルセン!

さとかサンも瑠霞叔母サマのおかげ?で自分の側に本当に自分を愛してくれてる人がいてくれたことに気付いたのなら、きっと幸せになれますよね(^^)

  • posted by 桃月 
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  • 2015.10/18 10:04分 
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ほんとの幸せ 

更新楽しみにしてました。
さとかさんがほんとの幸せに気づけて良かったですね。

早く夕鈴たちにも幸せになって、ラブラブなところが見たいですね😊
れいしょうさんのお父さんも直接夕鈴にあったら、きっと彼女の良さが分かるはずなのにーと思ってます。だって夕鈴良い子ですもん💕

こんにちは~(*゚▽゚)ノ 

幸せの青い鳥はすぐそばにいるのです…(∩´∀`∩)救いがあってよかった!

後はあの二人なのだけど…。|ω・)チラ
  • posted by RON 
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  • 2015.10/18 14:08分 
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Re: タイトルなし 

ちろ様

お待たせしました!
夕鈴に関わった人は皆幸せになれば良い…!どんな悪人でもって言うのは言い過ぎですが、彼女にはそんな魅力があると思います(^^♪紗都香もやっと本当の幸せを掴めて良かった良かった☆
  • posted by 高月慧ネン(ちろ様へ) 
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  • 2015.10/18 20:22分 
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Re: タイトルなし 

タイフーン様

ギクッ…。覚えていましたか…(汗)

紗都香も夕鈴に会った事で、気付けた事があったと思います。独り善がりな思いをぶつけても、相手には伝わらないよね…。
瑠霞叔母様は、本当に若者には心強い存在ですね。あ、彼女も十分若いので、こんな事言ったら怒られそうです…(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(タイフーン様へ) 
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  • 2015.10/18 20:25分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

お待たせしました!
紗都香が聖蘭達にした事は許しちゃだめだけど、彼女も黎翔パパに愛されなかった被害者だから、悪人のまま終わるのは何だか嫌だったんです。
今は黎翔にまだ未練がありませが、きっと久我と二人幸せになれると思います。
彼女が護った夕鈴も、早く幸せにしてあげないとね…。
ゲームはちょっと下火状態になりました(レベルが上がり敵が強くて倒せず進まないから面白くなくなるという現状。)
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
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  • 2015.10/18 20:39分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

お待たせ致しました~!
いつの日か夕鈴に、二人が幸せになった事を教えてあげたいですね。ずっと気にしていそうだし…。
昼夜の寒暖が激しくて辛い時期になりました。風邪引いたりしないよう気を付けます。
ますたぬさんも、お身体ご自愛下さいね(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
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  • 2015.10/18 20:42分 
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Re: タイトルなし 

あい様

お待たせしました~(^^♪
過去作読んで下さるのは嬉しいですけど、寝不足はお肌の大敵ですよ!睡眠は十分とって下さいね?
黎翔とは無理でしたが、紗都香も久我と一緒に幸せな家庭を築けるのではないかと思っています。
支部のお話、とっても素敵で大好きです♥
あのお話、シリーズ化しませんか?あいさんが書かれる現パロも、沢山読んでみたいです~。
あ、フォローしても良いですか?(←ここで言うな)
  • posted by 高月慧ネン(あい様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/18 20:57分 
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Re: タイトルなし 

桃月様

コメント返信する前に、新作にコメント頂いちゃったよ(汗)そちらのお返事はもう少しお待ち下さいね(*_*;
桃月さんの中では、黎翔さんパパは最悪な存在になっていますね。仕方が無いですけど…。
彼は夕鈴の事を『息子を誑かす悪い女』と思っているので、彼女に会って人となりを知れば、考えも変わるのではないかと思います。
紗都香も久我となら幸せになる事が出来るでしょう。後は黎翔と夕鈴達が幸せになって大団円…かな?
  • posted by 高月慧ネン(桃月様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/18 21:04分 
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Re: ほんとの幸せ 

こやあの様

お待たせ致しました(*_*;
紗都香もようやく久我の想いに気付けて良かったです。二人は幸せな家庭を築く事でしょう。
夕鈴達の方はですね…まだ色々波乱が続く予定です。
なにぶん、夕鈴はお腹の子が黎翔の子だと本人に言っていないし、黎翔のお父さんの事もあるし。
でもハッピーエンド目指しているので、頑張ります~。
黎翔さんパパも早く夕鈴に会って、彼女の良さを知ると良い…。黎翔の父親なんだから、きっと夕鈴のような母性溢れる女性に弱いはずなんだよね(笑)
  • posted by 高月慧ネン(こやあの様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/18 21:14分 
  • [Edit]
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Re: こんにちは~(*゚▽゚)ノ 

RON様

その青い鳥に、紗都香は気付くのが遅かっただけなんですよねっ。彼女には久我と幸せになって欲しいと思います。
あ~あの二人はですね…幸せになるのはまだ先かと・・・サッ(←隠れる)
  • posted by 高月慧ネン(RON様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/18 21:22分 
  • [Edit]
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