兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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この胸に愛の銃弾を ~プロローグ~

こんばんは。
自分の頭をポカポカと殴ってやりたい慧ネンです(*_*;

シリーズを一つも完結出来ていないのに、未消化のリクも沢山あるのに、どうして新しい話を思い付くかなあ…、この頭。
当ブログのお客様はとても寛容で優しい方ばかりですが、そろそろ怒られそうだ(汗)
でも書こうと思っている時に書かないと忘れてしまうので、許して下さいm(__)m

アテンション!

今回はヤ○ザの若頭である黎翔(27)と、女子高生夕鈴(17)のお話です。
シリーズになっていますが、あまり長くならないかもしれません。(中編+短編SS?)
暴力表現があります。苦手な方はご注意下さい。
ヤ○ザについては、全て妄想です。現実とは掛け離れているとお考え下さい。

色々問題ありなSSですが(いつもの事か…)、それでも大丈夫だと言う方はいってらっしゃいませ☆




***


この胸に愛の銃弾を ~プロローグ~


狭い卓を挟んで、気弱そうな中年男と端正な顔付きの若い男が向かい合っている。

「…私としては、君がどういう職に就いていようと二人が望むなら一緒になって欲しいと思っていたのだがな。」

二人の視線は合う事は無い。彼はじっとテーブルを見つめながら、悲しげに呟く。

「――申し訳ございません。」

きっちり正座をし、背筋を伸ばしていた仕立ての良い高級スーツを着た若い男は、目の前に座る男の肩越しに奥の部屋に目をやった後、苦渋の表情で頭を下げた。

あまり広くはない奥の部屋には、畳の上に敷かれた布団に若い少女が静かに眠っていた。

ずっと一緒にいたいと、汚れた身の上で叶う事の無い願いを持っていた。
結局家の事に巻き込んで、彼女を苦しめてしまった。

「…君のような男に、娘を任せたのは間違いだった。さっさと出て行って、もうここには来ないでくれ。」

視線を逸らし、追い払うように手を振る彼女の父。

彼とも、もう長い付き合いになる。
自分の娘がこんな男と付き合っていると言うのに、何も言わずに見守っていてくれた。それどころか、彼女を送っていくと家に上げて、茶を出してくれる優しい男だった。
そんな優しい男に、こんな言葉を言わせてしまった。

家族ぐるみで接してくれて、男にとってこの家は自分のもう一つの家のように思っていた。

初めて感じた温かさや安らぎ、何も考えずにただの『人間』になれる唯一の場所。

その場所が、もうすぐなくなってしまうのだ。

――何を言う。
そんなの、今更じゃないか。
自分には、こんな安らぎも温かさも必要ない。

戻るだけだ。
彼女と出会う前の、自分の道に。
ずっとずっと昔のあの頃に、ただ戻るだけだと思えば良い。

言葉にするのは簡単なのに、それがとても難しくて、そうなる事が辛いと思うのは、彼女と彼女の家族と接した時間が長かったから。

足取りも重く外に出た男は、慣れ親しんだ古い家に向かい深く頭を下げた後、全てを振り切るように踵を返し歩き始めた。すぐにスモークが貼られた黒塗りの高級車が彼の横にピッタリと横付けされ、運転席から降りてきた茶髪の男がドアを開けた後部座席に男は乗り込む。

「…調べは付いたか。」

問う声は低く昏く、先程中年の男と接していた時のような人間らしい感情がこもっていない。

「はい。」

助手席に座る男がすぐさま返事をし、眼鏡のブリッジを押し上げながら淡々と書類を読み上げる。

「実行犯数名と、彼らに今回の件を依頼した黒土組の娘はすでに捕えて、例の場所に閉じ込めております。」
「…仕事が早いじゃないか。」
「お褒め頂き光栄ですが、今回は上の方々も少々動いていますので。おやっさんからも、思う存分にやるが良いとのお言葉を頂いております。」
「父だけじゃなく、口煩いあのお歴々共が?」

クッと、男の口元に冷酷な笑みが浮かんだ。

屋敷に着くと、真っ直ぐに件の場所に向かう男に数名の組員達が付いていく。
この屋敷にいる者は皆、彼女の事を知っている。

誰にでも優しくて、強面の男が相手でも臆する事なく笑顔で接していた彼女。
よく組に出入りする彼女に対し、文句を言う輩は徐々に減り、最近では下っ端のチンピラから組長を含む組幹部ら全てが彼女を慕っていた。

その彼女を、男の最愛の女性をあんな目に遭わせた奴ら。

暴行を受けボロボロの姿で横たわる、数人の男と一人の女。
感情の籠っていないような冷たい瞳で、男は彼らを見下ろした。

「――さあ、彼女に手を出した報いを、受けてもらおうか。」

目には目を、歯には歯を。
彼女にした事と、同じ目に遭ってもらう。

数人の男に襲われて、甲高い悲鳴を上げる黒土組の娘と、急所を踏み潰されて聞くに堪えない叫びや呻き声を上げる男達。絶える事の無い声が響き、血を吸った床が赤く染まっていく。

残酷な光景に直視出来なくて視線を逸らす者や、吐きそうになって慌ててその場を出て行く若い連中がいる中、男と彼の傍に付く幹部数名は眉一つ動かさずその光景を見ていた。

ブラウン管から流れる映像の中、呻き声を上げながらも唇を噛み締め決して助けを呼ばなかった彼女。自分の存在が、男の弱点になる事を理解しつつも、枷になるのが一番嫌だと言っていた彼女。

彼女は男にとって、眩しい程に強くて美しい、穢れ無き存在だった。


男は、現組長の実子で現在は若頭と言う立場にいる。
将来は組を継ぐ存在の彼には、幼い頃から平穏と呼べる日は無かった。
十五の時、ある日組本部に迷い込んで来た幼女に会うまでは。

真っ直ぐな目で自分を見て、恐れる事なく笑ってくれた彼女と。傍にいるべきではない、離れなければと思いながら出来なかった男は、彼女の傍で彼女の成長を見てきた。

小学校を卒業し、出会った時の自分の年齢を追い越して高校生になった彼女は、男の素性や立場も全て理解した上で、『ずっと一緒にいたい』と言ってくれた。

『私は貴方に護ってもらいたいんじゃなくて、貴方を護れるような存在になりたいの!』

常に危険と隣り合わせだった男に、そう言って笑ってくれた大切な人。

組ぐるみで彼女を護っていくはずだったのに、結局組同士のいざこざに巻き込んで傷付けた。
彼女自身には何の非も無かったのに、ただ男の傍にいると言うだけであんな苦しみを味わった彼女。

ピピッと飛んだ血飛沫が、傍で見ていた男の靴先を汚した。

「――汚らわしい、すぐに片付けろ。」

嫌そうに眉を顰めそう言うと、男は踵を返し部屋を出て行く。
その背後で、惨状と化しもう悲鳴も呻き声も聞こえない部屋を片付けるため数名が動き出した。

「…若頭。」

部下がすぐさま持ってきた替えの靴を差し出す。履き替えるとすぐに元の靴は下げられ、醜い男共の血で汚れたそれはすぐに処分される事だろう。

「呼ぶまで誰も近付けるな。」

暫く一人になりたかった男は、部下にそう命じると自室に籠った。

男の自室のデスクの上には、彼女が飾った写真立てが沢山置いてある。幼い頃の物から、つい最近の物まで。
元々写真が苦手だった男だが、彼女に強請られると弱く、彼女と一緒なら撮っても嫌とは思わなかった。

『一緒にいたい』と、最初に言葉にしたのは彼女の方だったが、男はずっと前からそう思っていた。

「約束を破って、ごめん。」

一緒にいようと誓ったのに、もう傍にはいられない。

男は写真立てを掴むと、次々に床に叩き付けた。ガラスの割れる音が響き、破片が周囲に飛び散る。

「…若頭!?どうしましたっ!?」
「何も無いっ!入ってくるなっ!!」

その音に異変を感じたらしく慌てて声を掛けてくる部下に、八つ当たりするように叫ぶ。

ハアハアと、男の荒い息遣いが静かな部屋に響く。仕事をするスペースが無いなと男が笑ったほど沢山置かれていた写真立ては全て割られ、尖った破片で写っている笑顔が歪んで見えた。

「すべて処分してくれ。」

扉の外で気を揉んでいた部下にそう声を掛けて部屋を出て行く。背後で息を飲む部下の気配を感じたが、男は振り返る事なく前を見据える。

男は進む。前に伸びる、修羅の道を。

彼女と過ごした日々を、沢山の思い出を、全て心の奥に仕舞い込んで鍵を掛けた。
自らの意志で砕いた鍵は粉々に砕け散り、もう二度と戻る事は無い。


十数年前、齢十五にして修羅の男と騒がれた人物がいた。
その男を『人間』に戻したのは、《夕鈴》という名の、一人の幼い少女だった…。


続く


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Comment

 

初っぱなから別れですか!?Σ ∪◎ω◎∪

修羅の道に足を向けてしまった若頭が再び心の拠り所を手にする日がくることを祈ってます。(>д<。)

  • posted by 桃月 
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  • 2015.10/18 20:53分 
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  •  
  • 2015.10/18 22:12分 
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まさかの新シリーズに驚きながら、やっぱり面白いです(^^)

気になるはじまりかた!
早く続きが〜
  • posted by ちろ 
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  • 2015.10/18 22:28分 
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こんばんは~(*゚▽゚)ノ 

まあ♡新シリーズが!これは楽しみ~♪二人の人生が再び重なることはあるのでしょうか…?|ω・)チラ

sweet☆homeシリーズは気長に待ちますよ |ω・)逃がさないゼ
  • posted by RON 
  • URL 
  • 2015.10/18 22:37分 
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ついて行きます、どこまでも!
新シリーズいいじゃないですか。楽しみにしてますよ~。
  • posted by ますたぬ 
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  • 2015.10/18 22:39分 
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コメント乗り遅れた!∑(゚Д゚)
新シリーズはまたガラッと変わりましたね。いいんですよ。妄想が出てきたらすぐに書いていただいて。
どんなお話でも読みます!
でもいきなり別れ?夕鈴と一緒に乗り越えてほしいなぁ…
とりあえず続きを待てします。
  • posted by まるねこ 
  • URL 
  • 2015.10/18 23:42分 
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ぽかぽか?いえいえ‼︎

続きカモーン!
新たなるお話クゥァムウォーーン‼︎

大人しく待て出来ます様に♪( ´▽`)
  • posted by タイフーンです(≧∇≦) 
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  • 2015.10/19 05:40分 
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  • posted by  
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  • 2015.10/19 13:33分 
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Re: タイトルなし 

桃月様

そうなんです。初っ端から別れのシーンなんですよ(*_*;
ラストはハッピーを目指すので大丈夫です。若頭も夕鈴もきっと幸せになれますよ。
無自覚なバカップルになりそうな予感です☆
  • posted by 高月慧ネン(桃月様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/22 00:46分 
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Re: タイトルなし 

あい様

いつも突拍子もない始まり方ですみません…。そして気になる所で、次回に持って行く。
夕鈴に一体何が起こったのか、どうしてお別れになっちゃったのかツッコミ所満載なプロローグですが、本編の方で少しずつ明かしていくようにします。
そして、支部の現パロの続編…!やった、言ってみるもんだ♥
大人しく待てしてますので、書ける時によろしくお願いします(^^♪
そして相互フォローありがとうございます!お返事頂く前に、勝手にフォローしてすみませんでしたm(__)m
支部の方にSSをアップするかは分かりませんが、ブログ共々、お付き合いして頂けたら嬉しいです☆
  • posted by 高月慧ネン(あい様へ) 
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  • 2015.10/22 00:52分 
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Re: タイトルなし 

ちろ様

慧ネンもまさかの新シリーズ…!
私の頭の中は一体どうなっているんだ?
そしていつも気になる所で終わってすみません…(*_*;
続き頑張ります~。
  • posted by 高月慧ネン(ちろ様へ) 
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  • 2015.10/22 00:54分 
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Re: こんばんは~(*゚▽゚)ノ 

RON様

二人の人生はきっと重なりますよ~。だって若頭は夕鈴がいなきゃ人として生きていけないもん(←断言)
スイートホームの方も、忘れているわけではないのよ?
続きも一応考えているの。でもすぐには書けないの。
やっぱり逃がしてもらえないか…あう(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(RON様へ) 
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  • 2015.10/22 00:58分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

いやいや、慧ネンについてきていたら、どこに行くか分かりませんよ!?
どうしてこうも新たなネタが浮かぶのか、慧ネンも不思議に思います。(それが面白い内容かは分かりませんが…)
ストーリーは出来ているので、頑張りたいと思います!
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
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  • 2015.10/22 01:03分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

乗り遅れてませんよ~。皆さん、反応が早いんだから…(汗)
今回のシリーズは確かに雰囲気がガラッと違うような感じですが、黎翔が夕鈴を溺愛している所はいつもと変わりません(^^♪
妄想は生まれた時に書かないと、すぐに消えちゃうんですよね~。最近物忘れが酷くて、とても困っている慧ネンです(*_*;
プロローグからいきなり最終回!?のようなお別れシーンですが、二人が幸せになれるよなお話にしたいと思います。
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
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  • 2015.10/22 01:08分 
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Re: タイトルなし 

タイフーン様

新作を望んで頂いてありがとうございます(^^♪
実際ポカポカしたら、慧ネンの脳みそは色んな事をすぐに忘れちゃうでしょうけど。
取り敢えずは忘れないうちに続きを頑張って書きますね(^^♪
  • posted by 高月慧ネン(タイフーン様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/22 01:12分 
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Re: 夕鈴が幸せなら。 

聖璃桜様

夕鈴の幸せを目指して頑張りますよ~!
たまに死ネタも書いたりしますが、ハッピーエンド推奨ですので(^^♪
リアルだと慧ネンも嫌です。ヤ○ザネタは妄想に限ります(なんのこっちゃ)
  • posted by 高月慧ネン(聖璃桜様へ) 
  • URL 
  • 2015.10/22 01:15分 
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