兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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かれこれ無言で20分

こんばんは!慧ネンです(^^♪
今夜は友達が泊まりに来るので早めにアップしま~す☆

とは言え今回のSS、妙にしっくりこなくて消そうかと思ったのですが、書き直しても上手く纏まらないと思うのでそのまま載せます。
今までと比べて非常に短いです。…違うか、今までのが長過ぎました。
今後のお題小説は、このくらいの長さになると思います(*_*;
一応『長すぎる5分に心臓が』の続きになりますが、これだけでも読めるはず、です。

お題は【できたてカップルさんに20題】
お題提供サイト様:TOY 様

※毎度お馴染み、超ざっくり設定

現パロ(黎翔26歳、夕鈴22歳)
上司と部下だけど、某シリーズとは別物
甘々なのかよく分からない二人


※困った事になりました…。

それでは、どうぞ!



***


かれこれ無言で20分


交際を申し込んできたのは、同じ職場に勤める直属の上司。
カッコいいとは思っていたものの、正直恋愛感情があったかと言えば首を傾げてしまう相手。自分の気持ちを知るためにもこのままじゃダメだと思い、付き合う事に承諾はしてみたのだが。
急に大きな商談が舞い込み忙しくなった事もあり、課長である彼は毎日遅くまで社に残って仕事をしていた。

ほっとかれている、と言うのはおかしいだろう。彼は別に遊んでいるわけではない。夕鈴だって社会人だ、分別は弁えている。
けれど、何の連絡もなくこれと言った進展もないものだから、ますます現実味がなくなっていってしまった。

シャワーを浴びた夕鈴はフウッと息を吐き、脱衣所の鏡に映る自分の姿を見つめる。無意識に指で触れた胸元、あの夜彼に付けられた痕はすでに薄くなって見えなくなっている。
少し近くなった相手がまた遠い存在に思えて、胸の奥がツキンと痛んだ。

痛い…?

「何で私、こんな気持ちになってんだろ…。」

困惑気味な声で呟いた言葉に、答えを返してくれる者はいなかった。


翌日は土曜日で、家でのんびりしていた夕鈴のスマホが着信を知らせる。
思わずガバリと起き上がりスマホを見るが、相手は大学時代の友人だった。

「もしもし?久し振りね。…うん、元気だよ。えっ合コン?今日!?特に予定はないけど…。」

合コンメンバーの一人が妹がインフルエンザに罹り看病をしなくてはいけなくなったので、空きを埋めるためにフリーの女子を探しているのだという。
先日彼氏と別れた事は伝えていたのだが、傷心の夕鈴が落ち着くまで誘うのは控えていてくれたらしい。

ふと心に過ったのは、彼の事。
悪いとは思ったけれど、今回はあくまで一人抜けた空きを埋める数合わせで参加する事にした。
商談は纏まり掛けていてもう少しで忙しさも落ち着くと思うが、黎翔から特に連絡が無いので大丈夫かと思い軽い気持ちでOKしたのだが…。

「ルミで~す♥」
「翠です。」
「さなえと申します。」

女性メンバーは友人の友達もいて、夕鈴も初めて見る子が多かった。次々に自分をアピールしながら自己紹介するバッチリメイクの煌びやかな彼女達に、夕鈴は場違いな所に来てしまったと気後れした。
対する男性側は医師や会社社長など、ビシッとスーツを着こなした中々のイケメン揃いだった、が…。

「…珀です。」

にっこりと微笑みながら名乗る端正な顔付の男の、じっと夕鈴を見つめる瞳は怒りに燃えている。

(どうしてここにいるのよ~っ!)

夕鈴は卒倒しそうになった。

場は盛り上がっているが、離れた席に座っている彼からの鋭い視線に夕鈴は心ここに非ずと言う感じだった。
そんな彼にはお近付きになりたい女達が必死に声を掛けていて、相手にされない他の男性陣は「誰だよ、あんなハイスペック男を呼んだのは…。」と嫉妬している。

確かに彼は集まっている男性陣の中で一番カッコイイ。そう思うのは自分だけではない。

彼の傍に陣取って、楽しそうに笑っている女達。

やめて。
彼に話し掛けないで。

胸の痛みが大きくなる。彼が他の女と笑い合っているのを見ると苦しい…。
こんな痛み、今までは知らなかった。


三十分ほど経った頃、黎翔は掛かってきた電話に、急用が出来たと言ってさっさと出て行った。
その後すぐに届いたメールを見て、夕鈴は友人に謝って先に抜けさせてもらった。

【外で待っているから、適当な事言って出て来い】

店を出てキョロキョロしながら歩いていると、急に物陰から伸びてきた手に引っ張られて連れ込まれる。
危うく悲鳴を上げそうになったが、覚えのある香水の香りにホッと力を抜いた。

運転している黎翔の横顔をそっと窺うように盗み見する。
そう言えば彼は酒を一滴も飲んでいなかった。最初から夕鈴が合コンに参加しているのを知っていて、連れ出すために来たのだ。
車内には重苦しい沈黙が続く。

かれこれ無言で20分。

何も言ってくれない彼が相当怒っているのが分かって、夕鈴が居た堪れなくなって俯いた時。
「…お前さ、どういうつもりだ?」
低い声が問い掛けて来て、ビクッと身体を震わせる。
「付き合う事に了承しといて、合コンに出て他の男に笑顔振り撒くなんて、俺をバカにしてんのか?」
「ちっ…ちがっ…!」
合コンに出たのは数合わせのためで、そんな気など全くなかった。
「じゃあ何?」
運転している黎翔は視線は正面から動かないものの、その横顔は怒りで冷ややかで。

(呆れられた…?)

そう思うと、悲しくて涙が溢れてきた。

付き合い始めたはずなのに、職場以外で話した事もなく、デートの誘いもない。彼が忙しかったのは重々承知しているが、付き合っているという実感が湧かなかったのだ。

何も言わないまま静かに泣いている夕鈴を見て、黎翔はハザードランプをつけて車を路肩に停止させた。
イライラする気持ちを持て余しながら、前髪を掻き上げる。

(…怒ってどうする。汀を怖がらせるだけなのに。)

午後に商談がやっと纏まって今夜夕鈴を誘うと思ったら、偶然彼女が合コンに参加する事を知ってしまった。
たまたま参加者の一人の男が、商談先の社員だったのだ。
休憩中らしいその男が電話で話している側を通りかかった黎翔は、彼の口から出た付き合い始めたばかりの恋人の名に、驚いて振り返った。内容から合コンだと分かって、怒りで冷静さを失った彼は有無を言わさず男に自分が代わりに参加する事を認めさせた。後日その男は友人達に、「あの時はマジ殺されるかと思った」と感じた恐怖を語ったという。

夕鈴が、他の男にのこのこついていくとは思えないが、酒に酔ったらどうなるか分からない。本人の意思が無くても、無理矢理…と言う事もあるかもしれない。
酔った夕鈴は普段の彼女からは想像も出来ないほど妖艶になると知っているからこそ、黎翔はすごく不安だった。

邪魔なシートベルトを外すと黎翔は助手席側に身体を寄せて、夕鈴をギュッと抱き締めた。
「…課長?」
「…悪い、全部八つ当たりだ。」
不安げな声の夕鈴をこれ以上怯えさせないように、出来るだけ優しく言って背を撫でてやった。

恋人と別れたばかりの夕鈴の弱みに付け込んで、酔った彼女を誘って抱いた。
愛の言葉もなく、ただ身体だけを先に繋げてしまった二人。
黎翔は夕鈴に対し少しの罪悪感を感じているし、夕鈴は自分の気持ちがまだ良く分からない。

戸惑いや葛藤も大きく、少しの事で悩んだりするだろう。

スタートラインに立てたと思っていたけれど、仕事が忙しかった事もあり、あれから恋人らしい事を何もしていない。
色々すっ飛ばしてしまったが、付き合い始めて最初にしなければいけない事がある。

ようやく落ち着いた夕鈴から離れて、赤くなった彼女の目元を指でなぞると擽ったそうに笑ってくれた。その笑みを見て、やっぱり彼女が好きだと黎翔は思う。
手に入れたい、何としてでも。
彼女の心も、身体も全て。

そのためには、互いの事を知っていく必要がある。

「…汀、明日デートしよう。」

そうと決めたら、彼は行動が早かった。


続く


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  • 2016.02/02 23:38分 
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  • 2016.02/03 00:52分 
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あれ、自分も仕事っていって合コンきて!と思ったら夕鈴が参加するのを知って無理やり参加者にまじったとは。でもこちらの黎翔さんは行動が早くていいですね。ぐいぐい来られたらすぐに夕鈴も落ちますね(o^^o)
テンポよく進んでいくのでジレジレせず楽しいです♪
  • posted by まるねこ 
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  • 2016.02/03 02:24分 
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  • 2016.02/03 08:24分 
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  • 2016.02/03 16:17分 
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  • 2016.02/03 21:34分 
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NoTitle 

こんにちは〜〜!!!

このシリーズ大好きです(((o(*゚▽゚*)o)))
黎翔さんの不器用な強引さがもう……!!

続き楽しみにしてます✨
  • posted by えぐち 
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  • 2016.02/03 23:35分 
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  • 2016.02/04 01:23分 
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Re: NoTitle 

かざね様

センサーが付いていて、ビビッと来たんですよ、きっとww
夕鈴に関しては、タイミングを逃さない男☆
さて、どんなデートにしようかな~(^^♪←決めていない。
  • posted by 高月慧ネン(かざね様へ) 
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  • 2016.02/05 23:05分 
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Re: タイトルなし 

ますたぬ様

黎翔は早くしないと夕鈴を他の男に奪われるかもしれないという不安。夕鈴は自分の気持ちが分からず、実感が湧かない事に対する不安。互いに不安は抱えているものの、全く正反対の事ですね。
やっぱり押せ押せ攻撃の方が、夕鈴コロッといっちゃうんじゃ…?と思います。
お題は見ているだけでも楽しいし、何故かニヤニヤしちゃいます☆
次はどれにしようかな~(^○^)
  • posted by 高月慧ネン(ますたぬ様へ) 
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  • 2016.02/05 23:12分 
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Re: タイトルなし 

まるねこ様

黎翔はさすがに訳もなく合コンには出ませんよ~。そんな事が夕鈴に知られたら、もう二度と信用してもらえなくなる…。
ぐだぐだ悩む前に即決断!即行動!がモットーの黎翔課長、夕鈴が落ちるのもすぐか…!?
テンポ良く進んでいるのは、慧ネンのせいです。あまりジレジレぐだぐだにすると長くなるから…(*_*;
  • posted by 高月慧ネン(まるねこ様へ) 
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  • 2016.02/05 23:45分 
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Re: タイトルなし 

あい様

夕鈴という想い人がいるのに、黎翔が訳無く合コンに参加する事はあり得ませんって。どんだけ酷い男に思われているの、課長~!?
商談席の名も無き彼は、素直に代わって良かったと後々思ったでしょう。
あいさんのピンク脳が炸裂…(したらマズイか)発揮される日をお待ちしております~~♥
早く告白して、夕鈴に受け入れてもらわないと、お題のタイトルに沿わない(*_*;
できたてカップルさんへのお題なのに、まだ出来ていない…m(__)m
  • posted by 高月慧ネン(あい様へ) 
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  • 2016.02/05 23:53分 
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Re: 合コンですか・・・ 

くれは様

コメントありがとうございます!パス届いて良かったです。
別館、大したSS置いてないので、頑張って探してSS読んでがっかりするかもしれないですよ?なのでお時間ある時に、ゆっくり探してみて下さい(^^♪そんなに難しくないですよ?ブログの初めの方のページの、沢山あるハートを調べてみて下さい☆
この二人は上司と部下シリーズよりサクッとくっついて、関係が進んでいきます。
だってその後のお題も控えているのでww
朝夜はまだ寒いですね。くれはさんも、お身体ご自愛下さい(^v^)
  • posted by 高月慧ネン(くれは様へ) 
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  • 2016.02/06 00:09分 
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Re: NoTitle 

rejea様

悶え死なないで下さーいっ!!
仕立てのいい細身のダークスーツ…じゅる…(おっと、よだれが…)
カッコいいですよね~♥
でもダークスーツって言われると、慧ネン、どうしてもヤのつく職業の方が浮かんで来るの(^o^)
  • posted by 高月慧ネン(rejea様へ) 
  • URL 
  • 2016.02/06 00:15分 
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Re: NoTitle 

えぐち様

気に入って頂けてとても嬉しいです~(^v^)
不器用な強引さ…。もう一人の課長に、爪の垢飲ましたいですねww彼にもこのくらいの強引さがあれば、付き合い始めるまでに五年も掛からなかったのに…(笑)

  • posted by 高月慧ネン(えぐち様へ) 
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  • 2016.02/06 00:33分 
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Re: こんばんは 

順子様

確かに原作陛下も、初期の頃から夕鈴のこと好きでしたよねっ絶対!!(←力説)
好き好きフラグ立っているのに、何で自分の気持ちが分からないのか。夕鈴が寄せてくれる好意に気付かないのか。(あんなにあからさまなのに…)とずっと思っていました。
課長の夕鈴センサーは毎日良好です!ス○ーカー…イケメンだったら慧ネンは許す!あ、でも恋人や夫がいる女性はたとえイケメンでもス○ーカーされるのは嫌ですよね…(*_*;
何もかもすっ飛ばしてやっとデート、その後お持ち帰り…う~ん…どうしようかな…?
もうすでに美味しく頂いちゃってますが!?
慧ネンは狼陛下の夢は見た事ないので、羨ましい…。しかも夕鈴とリンクとか、あの陛下の美貌を真正面から見つめる事が出来るって事ですか!?きゃーっ♥一度そんな夢見てみたいです!!
それにしても、順子さんが見た夢って、原作の近いですよね。ここまではっきりと言って、官吏達全てに認めさせる陛下はカッコいい!このくらい言わないと、欲の塊の魑魅魍魎共には伝わりません!!
この先、原作もこういう展開になってくれたら良いですねえ。せっかく本物夫婦になったのに、他国の王女が来て掻き回されているので、ハラハラしているんですよ。次号も気になっています(^^♪
素敵な夢ですが、SSを書くのは慧ネンにはハードルが高い内容です(*_*;
せっかく教えて頂いたのにすみません。最近原作沿いは書けなくなっているので…。
恵方巻き、慧ネンも食べましたが、丸かじりは苦手なので包丁で切って食べました♪←意味無しww
  • posted by 高月慧ネン(順子様へ) 
  • URL 
  • 2016.02/06 00:54分 
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Author:高月慧ネン
『兎と狼のラビリンス』へようこそ。
黎翔と夕鈴が大好きな管理人・慧ネンが、溢れる妄想を書き殴るために作ったブログです。
原作沿いや現代パラレル、色々ありますので、お好きなお話をお読み下さい。
よろしくお願いします。

†いらっしゃいませ†

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