兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪Love Letter ♯前編

リクエスト小説(Creuzシリーズ)です。

第二弾は夕鈴ラブ様から頂きましたリクです。

ちょっとだけ、大人表現があります。

苦手な方は、閲覧をお控え下さい。


♪Love Letter ♯前編


am8:00

沢山の生徒で溢れている白陽学園の昇降口で、夕鈴は一度開けた靴箱の蓋をパタンと閉じた。

「…………」

見間違いかと思いもう一度開き、また閉じる。

見間違いなんかじゃ、ない…。

「おはよう、夕鈴!…どうしたの?」

ちょうど登校してきた雪花が、そこから動かない夕鈴を不審に思い声を掛ける。

「何々?…何かあったの?」

その二人の後ろから、楽しげに声を掛けてきたのは明玉だ。

「…どうしよう、二人とも…」

夕鈴は心底困ったように、弱々しい声で問い掛ける。

夕鈴が靴箱を開けると、彼女の上履きの上には。

「あら~」

真っ白い封筒が乗っかっていた。

「今時、珍しいね。」

メールが主な今の世の中、こうやって手紙を靴箱に入れるなんて珍しいと思う。

夕鈴の代わりに手紙を取り出した、明玉は。

「なになに…?――汀 夕鈴 様、差出人は…ありゃ、先輩だ。」

引っ繰り返し裏側を見れば、そこに書かれている名は三年の主席の生徒だ。

真面目で、前生徒会長で(二学期で二年生と代替わりする)、顔をルックスもなかなかの、人気のある生徒だ。
どうやらこれは正真正銘の、ラブレターらしい。

「あんた、どうするの?」
「…どうするって、もちろん断るわ。私には黎翔さんがいるし。」
「だよねー。」

確かにカッコイイ生徒だが、夕鈴の恋人は本物の芸能人。
先輩に勝機は無い。

と言うか、数日前の文化祭で黎翔と夕鈴は校内デートをして、沢山の生徒の目に触れた。
あれを見て、良くラブレターなんて出す気になったわね…、と明玉は溜息を吐く。

「でも…」

夕鈴はそのラブレターをギュッと抱き締める。

「ラブレター貰うの初めてだから、ちょっと嬉しいかな…。」

先輩の気持ちには答えられないけれど、彼の気持ちは、素直に嬉しいと思う。

(ありゃりゃ…。どうしますか?黎翔さん。)

明玉は携帯を取り出し、メールを打ち始めた。


黎翔の部屋のリビングで、夕鈴はソファに座りテレビを見ていた。彼は今、バスルームでシャワーを浴びている。
ソファの足元に置いていた鞄から、夕鈴は件のラブレターを取り出す。
朝のHRが始まるまでに目を通したので、封は切られているだが、夕鈴はそれを見て溜息を洩らす。

「…それなーに?夕鈴。」

ぼうっとしていた彼女は、黎翔がすぐ近くに来ていた事に気付かなかった。
声を掛けられハッと顔を上げると、身体を屈めて自分を覗き込んでいる、彼の姿。

「あっ…これはですね!…えっと…」

言いよどんでいると、彼の手に取り上げられる。

「――ラブレター?」

黎翔の紅い瞳が、きつく細められる。
機嫌が悪い時、彼がよくする表情だ。

先輩の気持ちに答える事はなく、黎翔と別れるつもりも無いが、他の男から貰った物を見せられるのは、彼にとって面白くは無いだろう。

黎翔の部屋で不用意に取り出した事に、夕鈴は後悔した。

黎翔は目の前であたふたしている恋人を見ながら、彼女の親友兼自分のメル友が親切にも教えてくれた情報は正しかったのかと、内心苦い気持ちになる。

もちろん夕鈴が、この告白をOKするわけ無いと分かっている。
だが彼女の親友から、初めてラブレターを貰えて、夕鈴が嬉しそうだったと聞いたのだ。

確かに自分達の始まりは、普通ではないものだったし、黎翔も夕鈴にラブレターを贈った事はない。

悔しい。

モヤモヤする。

憎い。

夕鈴にそんな表情をさせた、相手が。

文化祭の日、あれだけ見せ付けたのに、まだ夕鈴に横恋慕する輩がいたのかと、黎翔はギリッと歯を噛み締めた。

手に持っているラブレターをじっと見ている恋人の瞳は、ギラギラと野生の獣のようにぎらついていて、夕鈴は背筋が寒くなる。

「…もちろん、断るよね?」

チラリと窺うように視線を向けてきた黎翔に、夕鈴はコクコクと必死に首を縦に振る。
彼の視線の冷たさに、少しだけ泣きそうになった。

本当は、すぐに断る気でいたのだ。

ラブレターを貰ったのは確かに嬉しかったが、先輩の気持ちには答える事が出来ない。
どうせ断るのだから、返事は早い方が良い。
時間を置くほど期待を持たせてしまうと思い、夕鈴は昼休みに三年の教室に向かった。

教室の入り口で、先輩を呼んでもらう。

夕鈴は前生徒会長だった彼の顔をはっきり覚えていなかったが、近付いてきたのは、確かにカッコイイ部類に入る男だった。
黎翔という相手がいなければ、夕鈴はこの告白をOKしたかもしれない。
そう思えるほど、彼は自分には勿体無い位真面目な先輩だ。

二人で屋上に上がり、夕鈴はこの告白の返事をしようとすると、彼は待ったをかけてきた。

「…君に恋人がいる事は知っているよ。でも俺も、君に本気なんだ。…返事は急がなくて良いから、もう少し考えて欲しい。」

夕鈴は困ったように言う彼に、何も言えなくなってしまった。


「…夕鈴は僕のもの。それとも夕鈴は、僕一人では満足出来ない?」

先輩からのラブレターをポイッと放り投げられ、「あっ…!」と声を上げた夕鈴に黎翔は圧し掛かる。
彼の体重を受け、夕鈴の身体はソファに沈んだ。

「そんな事、無いです…!」

黎翔の湿った髪が顎に当たる。
彼の熱い舌が首筋をなぞり、その感触に夕鈴は身を震わせる。

「…だよねえ?…でも、夕鈴?君は自分が誰のものか分かってないみたいだから「わ~んっ!…分かってます!分かってます!!」

リボンを外され、襟をブラが見えるほど大きく広げられる。

黎翔と付き合い始めて半年が過ぎ、色恋に疎く、何も知らなかった夕鈴も、もうこれから何が行われるのか分からないほど子供ではない。

彼との行為は嫌ではないが、明日は学校があるのに…!

半泣きになりながら、夕鈴は足をバタバタさせて無意味な抵抗を見せるが、黎翔は難なく彼女の身体を押さえ込む。

「…遠慮しないで?君が誰のものか、その身に分からせてあげる。」

ニヤリと、彼は夕鈴を見下ろして哂った。

「ふぁ~んっっ!!」


翌朝、夕鈴は眠い目を擦りながら、学校に向かっていた。

結局、前日の夜は深夜近くまで眠らせてもらえず、いつもの如く、黎翔の車で朝帰り。
前もって連絡を入れておけば深い追求はしてこない物分りの良い自分の家族に、夕鈴はありがたいやら、恥ずかしいやら。

そして夕鈴の身体を思うように堪能した、黎翔はと言うと。

夕鈴を愛車で自宅に送り、家の中に入る彼女の背を見ながら、ふと考えた。

「ラブレター…か。」

この胸の中の、溢れんばかりの彼女への想いを、伝える事が出来るだろうか?


♪Love Letter ♯中編に続く

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よろしくお願いします。

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