兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪Love Letter ♯後編

続きです。

リクエスト小説(Creuzシリーズ



♪Love Letter ♯後編


夕食の支度をし、家族で食卓を囲み、後片付けを行う。
洗濯を終えてお風呂に入って…。
いつも通りの事をしながらも、夕鈴は時間が気になってしまう。

弟は自室に下がり、短い晩酌を終えた父はほろ酔い状態で早めの床についた頃、黎翔が示した21時がやってきた。

夕鈴は暖かい茶を入れ湯飲みに注ぎ、それを持ってリビングのテレビの前に腰を下ろす。
テレビをつけチャンネルを合わせると、ちょうど彼が見て欲しいと言う番組が始まる所だった。


『皆様、こんばんは。今週もこの時間がやって来ました!音楽の『今』をお届けする、《Music Now》~!!』

司会者の男性が明るい声で挨拶をする。

黎翔が見て欲しいと言ったのは、毎週日曜日の21時~21時30分まで放送する音楽番組だった。
新曲やPVの紹介、売り上げや着うたのランキング、そして毎回一組だけアーティストがスタジオに登場し、トークの後ゲストライブがある。

30分と言う短い時間だが、毎週高視聴率の人気番組だ。

時間が進み、ゲストライブの時間になった。

『さて続きまして、ゲストライブのお時間です。本日お越し頂いたのは、世代を問わず大人気のCreuzの皆様です!!』

『こんばんは』

Reiを先頭に、4人がスタジオに姿を見せる。

用意されているソファに腰を下ろすと、さっそくトークが始まる。

『Creuzの皆様は、当番組は初めましてですね。』

『そうですね~。以前はあまりテレビに生出演しませんでしたから。』

そう答えるのは、Hiroだ。
文化祭の時明玉が言ったように、こういう場で主に話すのは彼の役割らしい。

『この後披露してくれる新曲は、噂によるとバラードとか。Creuzの曲はどちらかと言うとアップテンポの曲が多いと思いますが、初めてのバラード曲ではないですか?』

『初めて…う~ん、そうかもね。僕達にしては珍しい感じの曲かな?』

『今回、詩を書かれたのはReiさんですか?』

『…はい、そうです。』

話を振られ、Reiが初めて言葉を返す。
こういう場で、Reiが話をするのは本当に珍しい事だ。

カメラに囲まれマイクを向けられて、夕鈴は見てくれているかなと黎翔は思う。

自分の想いを書いた、この詩。
彼女が聞いてくれて、この想いが届いたら良いなと思う。

「失礼ですが、Reiさんが書かれる詩にしては、優しい感じの詩ですね?」

ズバッと思った事を言ってくるこの司会者は、黎翔は決して嫌いではない。

「確かにそうかもしれません。」

今回の新曲のような詩は、どちらかと言えばSuiが書くような詩だ。

「これはReiさんの実体験を元に書かれた詩ですか?…その辺、詳しく聞きたいのですが?」

興味津々に、聞いてくる司会者。

確かにこの番組を見ているだろう視聴者も、同じ気持ちだろう。
それほど、Creuzのメンバーの私生活は秘密に溢れている。

「すみませんが、それはノーコメントです。」

苦笑いで、Reiは返す。

本当の事は、自分と彼女が知っていればいい。

「それは残念ですね。では、今回の詩は、どのような事を考えながら作詞されたのでしょう?」

「そうですね…。この詩は一人の少女に恋する少年の目線で書きました。この歌を聴いた方達が、想いを寄せる誰かにその想いを伝える勇気が持てればと思います。」

その想いを伝える事無く終えるより、たとえ届かなくても何もしないよりは良い。
真剣なその想いは、必ず伝わる筈だから。

トークが終了し、メンバーはゲストライブの準備に入る。

「ファン待望の、Creuzの新曲。今回は今日まで詳しい情報は一切無く、異例の新曲発表です。」

準備の間、司会者は新曲の情報を伝える。

「…今頂いた情報によると、番組終了後着うた配信、明日リリースとなっております。」

普通、リリース前に有線や着うたなどで、新曲は一度は市民の耳に入る。
だが今回は、リリースを明日に迎えるまで、全く公開されなかった。

それもそのはず。
この新曲はReiが愛する恋人に一番に聞いて欲しくて、今日まで表に出さなかったのだから。

「…準備が整ったようですね。それでは歌って頂きましょう、――Creuz新曲で、
『Love Letter~僕の初恋~』 です。どうぞ!!」


僕達の出会いは ドラマチックではなく

誰かに話せるほど 素敵なものでもなかった


君にかけられた言葉

君に叩かれた頬の痛み

今でも鮮明に思い出すよ

強気な君が 流した涙

振り払われた 僕の腕

刺すような胸の痛みを 初めて知ったよ


誰かを愛する事はないと 思っていた僕の

これが初恋だと言ったら 君は笑うかな?


この想いを 詩にのせて

君に贈りたい

どうか届いて この想い

Love Letter

どうか届いて 僕の初恋



ブラウン管の中の恋人の姿を、夕鈴は瞬きもせずに見詰めていた。

ステージの中央で歌う彼の姿が、だんだんとぼやけてくる。
頬を流れる涙を拭う事もせず、夕鈴は言葉も無くその顔に笑みを浮かべた。

今でも十分過ぎるほど自分を大切にしてくれて、愛してくれる彼。
けれど出会ったばかりの頃から、こんな風に想ってくれていたなんて知らなかった。

黎翔から贈られた初めてのLove Letterは、夕鈴の心の奥に大切に仕舞われた。


翌朝、夕鈴はある決意を胸に学校に向かっていた。

「ねえねえ、見た?昨日のMナウ!」
「見た~!Creuzの新曲、良かったよね~」
「Reiがあんなに幸せそうに歌うの、初めてじゃない?」

同じように徒歩で通学する女子生徒達が、昨日の《Music Now》の話をしながらキャアキャア騒いでいる。

「早速着うたダウンロードしたんだけど、もう何回も聞いてるよ!あれって最高のラブレターだよね~」

彼女達の会話を聞いて、夕鈴は本当にその通りだと思った。
夕鈴も番組が終了した後すぐに着うたをとり、何回も聞き直した。

携帯から流れてくる歌は、彼の想いそのもの。

正真正銘の、彼からのLove Letter

「――おはよう、夕鈴!」

背後から声を掛けてきたのは、大の仲良しの明玉、雪花、凛、華月。

「おはよう。」
「…その顔だと、夕鈴も見たんだよね。」
「最高のラブレター貰えて良かったね?」

親友達の言葉に、夕鈴は頷く。

「じゃあ、あんたがしなきゃいけない事は、一つだね。」

そう言った明玉に、夕鈴は「ええ。」と返事をした。

「――ごめんなさい。」

少し肌寒い風が、夕鈴のスカートを揺らす。
昼休み、ラブレターをくれた先輩を屋上に呼び出し、彼に頭を下げる。

「私、お付き合いをしている人がいます。ですので、先輩の想いには答えられません。」

自分には最愛の人がいるから。

先輩がどんなに思いを寄せようと、夕鈴が愛するのはただ一人。

先輩に待ったをかけられるたびに、告白を断る事の罪悪感に夕鈴はどうしても先輩に対し強く出れなかった。先輩の想いも、嬉しかったから。

でも、それは自分にとっても先輩にとっても良くない事だと夕鈴は気付く。

黎翔を愛するのなら、先輩の想いにははっきり断らなくてはいけない。
それに気付かせてくれたのは、その勇気をくれたのは黎翔だ。

「…分かったよ。」

どことなく悲しげな表情をした先輩は、ようやく夕鈴の返事を受け入れた。

「俺のラブレターは、君の相手に敵わなかったと言う事だね。」

先輩は分かっていたのかもしれない。
夕鈴が愛する、たった一人の男の存在を。

「ごめんなさい、そしてありがとうございます。」

校舎の中に戻る彼の背に、夕鈴は謝罪と感謝の言葉を掛ける。

先輩にとってこれが初めての告白かどうかは分からない。
けれど彼のように誠実な人なら、きっと彼だけを想い愛してくれる存在がきっと現れるだろう。

先輩のラブレターを、受け取ってくれる人は必ずいるはずだ。
その日が一刻も早く来る事を、願って。


夕鈴は広がる青空を見上げ、覚えてしまった詩を口ずさむ。

――それは彼がくれた、最高の『ラブレター』



本編は一応終了です。

これで終われないのが慧ネン、おまけを後にアップします

※作中の詩は慧ネンが適当に考えただけです
(変なのは気にしないで下さい)
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よろしくお願いします。

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