兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪若葉マークな、恋人達のクリスマス ♯2

続きです。

クリスマス小説Creuzシリーズ



♪若葉マークな、恋人達のクリスマス ♯2


「夕鈴、これなんてどう?」

「…こっちにも良さそうなのあるよ~」

23日、夕鈴は親友達とショッピングに来ていた。

目当てのものは、黎翔に贈るプレゼントだ。

先日の彼の誕生日、夕鈴は特に何も買う事が出来なかったので、バイト代が残っており、多少値が張る物でも購入する事が出来そうだ。

何件かの店を回りながら、夕鈴は彼に何を贈ろうか悩む。

しかも大人な黎翔にプレゼントする物を選ぶので、回るのは普段夕鈴は入らないような少しだけ高級な大人なお店ばかり。

品揃えも豊富で、夕鈴は目移りしていた。

黎翔は、何を贈っても喜んでくれるだろう。
でもどうせなら、彼に似合う何かを贈りたい。

「ネクタイとかは?」
「服とか…でも個人で趣味が違うからねえ…」

明玉は夕鈴と同じ一般家庭の生まれだが、雪花、凛、華月は結構裕福な家のお嬢様だ。
彼女達が勧めてくる商品は、さすがと言うか、品の良い物ばかり。

店内を見て回っていた夕鈴は、あるコーナーで足を止めた。

「これ…」

喜んでくれるかな?

うざがられたり、しないかな?

あの優しい笑みを、見せてくれるかな?

夕鈴は手に取った商品を、レジに持っていった。


24日の夜、バイトを終えた夕鈴は、駅前で黎翔がくるのを待っていた。

大きなツリーのイルミネーションがとても綺麗で、彼を待つ間、夕鈴はジッとその光を見詰める。
もうすぐ22時になるのだが、駅前は相変わらず沢山の人が行き来している。

腕を組んで歩いていく、若いカップル。
手を繋いで歩く、家族連れ。
片手に鞄、もう一方の手にケーキの袋を持って時間を気にしながら走っていくサラリーマン。

心なしか、みんなの表情がとても幸せそうに見える。

夕鈴はハアッと、白い息を吐き出した。
そして、視線を下げ、自分の格好を見詰めて今度は溜息を吐いた。

夕鈴の今夜の衣装は、親友達のコーディネートだ。

モコモコの白いロングコートの下は、襟が大きく開いた同じく白を基調としたワンピース。
しかも裾はミニスカと言って良いほど短く、パンストを穿いているとはいえ少し寒い。

ロングブーツはヒールが高くて、履きなれない夕鈴は転んでしまいそうだ。

こんな格好で彼に会うのは恥ずかしくて、夕鈴は別の服にしようと思ったが、にっこり笑った親友達はそれを許してくれなかった。

大きく開いた襟元と外気に晒された脚が寒いと抗議すると、『女のオシャレは寒さを気にしない』と言われ、ヒールが高すぎて転びそうなので普段の靴にしたいと言えば、『この服装で運動靴とか有り得ないでしょ』と却下される。

「大丈夫!…とっても似合っているよ!」

と、太鼓判まで押してくれた。


(…あ、足が、スースーする…)

こんな露出の多い格好をした事がない夕鈴は、気になって仕方がない。

そして、自分の勘違いではないだろう。
道行く人が、チラチラと視線を向けてくるのだ。

それが男ばかりと言う事に気付いていない夕鈴は、自分の格好はそんなに変なのかな?と、頭を悩ませていた。

10分ほど待っていると、黎翔が現れた。

あまりの人通りの多さに困惑しているような彼を、夕鈴はしばらく見詰める。

黎翔が好んで着る、黒を基調とした服装。
羽織っている高級そうなコートも、首にまかれたマフラーも、少しごつめのブーツも、やはり黒で統一している。

彼はどんな服装でもカッコイイなと、夕鈴はホウッと溜息を吐く。

素性がばれてはいけないので、いつものように眼鏡を掛けているが、やはり彼が放つオーラは一般人とは違う。道行く人々が、呆けたように彼に視線を送っている。

黎翔は夕鈴の姿を見つける事が出来ないのか、キョロキョロと視線を動かしている。

どうしよう…というような表情をしている黎翔を見るのは初めてで、その子供のような彼に夕鈴は心の中でフフッと笑う。
けれど途方に暮れている姿はやっぱり可哀想で、夕鈴は彼に向かってタッと駆け出した。

腕時計で時間を確認すると、22時を少し回っている。

浩大に車で近くまで送ってもらったのだが、渋滞していて遅くなったしまった。

待ち合わせの駅前は思っていた以上に人が多く、黎翔は不味かったか…と思う。
自分にチラチラ向けられる視線も鬱陶しいが、夕鈴の姿を見付ける事が出来ない。

「――黎翔さんっ」

辺りを見渡していると、聞き慣れた優しい声が自分を呼んだ。

「ゆうり…」

声が聞こえた方に視線を向けると、彼女が満面の笑みで駆け寄ってくる。

答えようとした声が途切れたのは、大好きな彼女の格好だった。

自分とは正反対の、白を基調とした服装。

穢れを知らない純真無垢な彼女に、純白の衣装はとてもよく似合う。

長い髪はアップされ、綺麗に纏められている。
マフラーを巻いているとはいえ、首元は寒そうだ。

初めて見る、彼女の大人びた姿。

遅くなった事を詫びるつもりが、黎翔は言葉を忘れたように黙り込んでしまった。

「黎翔さん…?」

動きを止めた黎翔を不思議に思い、夕鈴は首を傾げる。

彼の目は少し見開いていて、ジッとこちらを見詰めてくる。
その視線を辿り、彼が自分の姿を見ていると分かった夕鈴は、困ったように口を開く。

「ヘン…ですか?」

自分でも着慣れない服を着ている事は理解している。

頬を紅く染めた夕鈴はコテンと首を傾げ、黎翔に伺いを立てる。

その姿を見ていた周りの男共が、ぐはあっ…!と悶えた事に気付いたのは黎翔だけだ。

鋭い視線を男共に向けて牽制し、黎翔は小さく舌を打つ。

こんな人通りが多い場所に、これ以上彼女をいさせるわけにはいかない。
あんな邪な視線を向けてくる輩の目に、夕鈴を写されたくない。

自分の事は棚に上げて、黎翔は苦々しく思う。

「…遅くなってごめんね。――寒かったでしょ?」

彼女の手を引き、黎翔はこの場から離れる事にした。

予約を入れているレストランは、徒歩でも行ける距離だ。

夕鈴と腕を組み歩きながら、黎翔は出来るだけ彼女の肢体を視界に入れないようにする。


心の中に吹き荒れるブリザードを、今は無視するしかなかった。


続く

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