兎と狼のラビリンス

こちらは白泉社『狼陛下の花嫁』の二次創作ブログサイトです。(作者様・出版社様とは関係ありません)

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♪若葉マークな、恋人達のクリスマス ♯7

続きです。

クリスマス小説Creuzシリーズ



♪若葉マークな、恋人達のクリスマス ♯7


夕鈴はズリズリと膝で這うようにして、黎翔から出来るだけ距離を置く。

「ゆうり~ん…こっち向いてよぉ…」

背後にいる黎翔が悲しげな声でそう言うが、夕鈴は決して振り向かない。
彼の顔を見る事は出来ない。

何故なら、自分の顔はきっと茹蛸のように真っ赤になっているはずだから。

バスローブを羽織っているとはいえ、下着は身に着けていない状態。
このままベッドを降り、彼の前で着替える勇気もない。

どうすれば良いか分からなくて、夕鈴は俯いて身を固くしていた。

そんな彼女を見て、黎翔はクスリと笑みを漏らす。

今のような関係になって大分たつのに、夕鈴はなかなか慣れる事が出来ないらしい。

いつまでも初々しく、純真無垢な彼女。

そんな彼女が、とても愛おしい。

黎翔はベッドの傍に置いていた紙袋を手繰り寄せる。

中に入っているのは、昨日仕事を終えてから買いに行った夕鈴へのクリスマスプレゼント。

「夕鈴。」

黎翔は夕鈴を驚かせないように声を掛けてから、箱の中身を取り出しそっと彼女に近付く。
掛けられた声とギシリと軋んだスプリングに、ますます身を固くした夕鈴の首元に後ろから手を回す。

チャリ…と音が鳴り、夕鈴の首にネックレスが掛けられた。

派手な物を好まない夕鈴に合わせ、控えめだが一目で高価だと分かる質の良い宝石がついたペンダントトップが、彼女の胸元で静かに揺れる。

「これ…?」

驚いたように彼を振り返った夕鈴に、黎翔は優しく微笑む。

「――クリスマスプレゼント。」

こんなものでごめんね、と夕鈴に謝る。

前もって用意していたわけではないので、大した物を贈れなかった事を黎翔は悔やむ。

仕事を終えた時間も時間だったので、開いている店も少なく、限られた物しか手に入れられなかった。

もっとも、芸能人の黎翔が入店するショップで購入した品物なので、当然安物のはずはなく、金額を知れば夕鈴は目を剥くだろう。

教えるつもりもないが。

「とても良く似合ってるよ?」

「あ、ありがとうございます…」

満面の笑みでそう言われ、恥ずかしくてますます下を向いた夕鈴だったが、大事な事を忘れていたことに気付いて顔を上げた。

「あ、あのっ…、私もプレゼント用意してるんですっ!」

恥ずかしくて彼に背を向けていた事も忘れ、夕鈴はベッドから飛び降りるとバッグを置いているソファに向かう。

ちょうどベッドに背を向けてごそごそと荷物をあさっている夕鈴の、スラリと伸びる足に黎翔はどうしても目が行ってしまう。

「あれ~?どこいっちゃったかな…?」

腰を曲げて俯き加減の彼女は、自分の格好を理解しているのだろうか?

「あ、あった!」

黎翔の邪な思いも知らず、目当ての物を見つけた夕鈴は、小さな紙袋を持ってベッドに戻ってきた。

「た、大した物じゃないんですが…受け取って下さい!」

頭を下げられ、両手で差し出された小さな包み。

「夕鈴、これ…」

中に入っていたのは、香水のビン。
ビン自体は特に変わったものではなく、普通に販売されている一般的なものだ。

黎翔が驚いたのは、そのビンに書かれた香水の名称だった。


親友達と回った何件目かのお店。

「これ…」
店内を見て回っていた夕鈴の目に入ったのは、香水コーナーの手作りPOPだった。

《自分自身に、または大切な人へ。世界にたった一つだけの香りを作りませんか?》

何種類かの香りを組み合わせ、オリジナルの香水を作ってくれる珍しいサービスだ。
もちろん通常より値は張るが、大切な人へのプレゼント。
そう思えば安い買い物だ。

喜んでくれるかな?

自分が作り出した香りをいつも身に付けていて欲しいなんて、ちょっと図々しい?

うざがられたりしないかな?

でも、せっかくだし…。

これにしようと決めた夕鈴は、レジに向かった。

「―――お名前は何になさいますか?」
「へっ?名前ですか?」
仕上げを待っている間に女性店員に聞かれ、夕鈴は思わず素っ頓狂な声を上げる。

「ええ。世界に一つだけの香りに、名前を付ける事が出来るんですよ。」
「…あの、作られる方はどのようなお名前を付けられるんですか?」

いきなり香水に名前を付けろと言われても、スッとは浮かんでこない。
困った夕鈴は、そう聞いてみる。

「そうですね…宝石の名だったり、好きな花の名前を付けた方もいらっしゃいました。恋人にプレゼントされるお客様は、ご自分のお名前をよく付けられますね。」

「自分の名前…」

自分の名前の香水を身に付けて欲しいなんて、独占欲丸出しと引かれたりしないかなと夕鈴は不安になったが、なかなか一緒にいられない彼に、少しでも自分の存在を近くに感じていて欲しい。

「じゃあ…」

夕鈴が黎翔のためだけに作った、世界に一つだけの香水。

yu-rin

ビンに貼られたラベルを、黎翔は指で優しくなぞる。

「…高かったでしょ?」

社会人の自分ならともかく、高校生の夕鈴にとっては決して安い買い物ではなかったはずだ。
世界に一つだけのオリジナルの香水なんて、値が張った事だろう。

彼女は無理をしたのじゃないかと思い、黎翔は不安になる。

「そんな事ないです!…バイト代余っていたしっ!黎翔さんが下さった物に比べれば、いえ、比べようもないんですけど…!」

眉を下げて自分を見ている黎翔に、夕鈴は慌てる。

「ちょっと…押しつけがましいかなと思ったんですけど。」
「ううん、そんな事ないよ。」

夕鈴の不安を、黎翔は一蹴した。

黎翔の職業柄、二人はともにいる時間が少ない。
離れている時、この香りに包まれていれば、お互いが傍にいてくれているような心地良さがあるだろう。

「ありがとう、夕鈴。使わせてもらうよ。」

「…はい。」

黎翔の笑みを見て、夕鈴は花が咲くように微笑んだ。


続く


何か纏まりのない文章になってしまったような…

後一話で完結かな?
もう少しだけ、お付き合い下さい






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Comment

No title 

夕鈴・・・かわいい~~~♥
可愛すぎますよ・・。

香水に自分の名前つけちゃうなんて・・・
大丈夫。押し付けがましくなんてないよ・・。
初々しいな~・・

黎翔さん、この香水付けてウザイ女どもを蹴散らせ!!
(あら、お言葉が過ぎましたかしら・・・おほほほ・・・)

可愛い二人をありがとうございます!

いつも大変でしょうが更新待ってますね(*^_^*)

ブッククロック来ましたよ!
めっちゃ可愛いです!!
悲鳴ものですよ(((o(*゚▽゚*)o)))
  • posted by ぷーちゃん 
  • URL 
  • 2013.02/01 17:49分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: No title 

ぷーちゃんさん、コメントありがとうございます♪

夕鈴が作った世界にたった一つの香水、黎翔にとって女除け?魔除け?になりそうです。
うまく表現出来てませんが、黎翔さん、とても嬉しかったみたいです!

基本的に彼は夕鈴に甘いので、彼女のする事はなんでも許してしまいます。
慧ネン的には黎翔→夕鈴って感じなので。
もちろん夕鈴も彼が大好きですが、きっと黎翔が夕鈴を思う気持ちには敵わないと思います(^^♪

ブッククロック、慧ネンも届きましたよ!
可愛いくて悶えてますが、ちょっと気になる事が…。

あっちのブログで、その辺叫ぶかもです<m(__)m>
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.02/01 20:07分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

はじめまして〜。
楽しくて一気に全部読みました〜(^O^)/
アメブロの方は申請で諦めていたので、読めて嬉しいです♪( ´▽`)
更新楽しみにしています〜。頑張ってくださいー。
  • posted by こな 
  • URL 
  • 2013.02/04 09:38分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: タイトルなし 

こな様

初めまして~(^^♪
コメントありがとうございます!
一気読みして下さったんですか?きちんと睡眠とりました?(汗)
前ブログも見ていてくれてたようで、とても嬉しいです。
更新、頑張りますね!!
  • posted by 高月慧ネン 
  • URL 
  • 2013.02/05 02:23分 
  • [Edit]
  • [Res]

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